※二次創作に登場したオリジナルキャラクターが中心の話です。
※コラボ小説になります。
※俳優パロです。そういうのが苦手な方の閲覧はお控えください。










 YAMI PARTY







 幼い頃から、家族と共に数多くのドラマや映画を観て育って来たが故に、俳優になると言う夢を気付けば持つ様になっていた。
 そして努力が叶い、夢が現実となってから仕事が急増し、多忙な日々を送っているが、色々な共演者と出会い、有名無名関係なく、誰とでも親しくなっていた。
 その業界で、若手俳優であるディバと言う男性と出会った。ファンタジーを題材にしたドラマで共にレギュラーとして共演する事になったのがキッカケで、公言はしていないが、最も親しく、そして、最も信頼している相手となった。ドラマでは、彼は冷酷非道な悪役を演じているが、撮影が終わると子供っぽい笑顔になる。仕事とプライベートをきっちりと使い分けており、更に演技力は、ベテランも顔負けの実力者だ。まだ10代後半と聞くが、評価されている演技からして、間違い無く将来有望だろう。
 そんな彼が、今週の日曜日、自分の部屋で鍋パーティを開きたいと言って来た。ディバにとってかなり親しい人のみと少人数で行うと言う。彼が誘った仕事仲間は、スバル、アキト、ルビウス、リンリー、そしてマーシスだ。メールで誘われ、マーシスは日曜日はオフだから即オーケーの返信をした。彼の普段のオフの日は、家で静かに本(台本も含む)を読んだり、音楽を聴いたりしているが、たまには皆で集まり、何かをして過ごすのも悪くないと思った。おまけに寒い日が続くのだ。心身温まり、楽しい思い出となるだろう。
 ただ、ディバからのメールで1つ気になった内容があった。それは、鍋の具についてだ。

「普通の鍋じゃないことをしたいから、鍋に入れたいもの、何でも良いから持って来ること。但し、液体類だけは禁止。それ以外は本当に何でも良いからね。後、自分が持ってくるものを、絶対に他の人に言わないこと。分からないことがあったらメールで」

 普通の鍋じゃない鍋をしたいと言う。一体これはどう言うことなのだろうと、相手に聞き返すのも忘れ、小1時間考えてしまった。
 普通じゃないと言うことはだ。肉や野菜と言った、極普通の具。それとは違うものを持って来て欲しいと言うことなのだろうと、マーシスは、メール内容と睨めっこをしながら、顎に軽く触れそう思い始める。
 受信者一覧を見ると、鍋パーティに集まる予定の者宛に一括でこのメールが送信されているのが分かる。全員に持ってきて貰うと言う事らしい。
 ──何でも良い、か。流石にオモチャの様な絶対に食べられない物は持って行っても仕方ない。それならば、と、マーシスの心の奥底に潜む悪戯心が目覚めた。




 冷たい風が吹く、日曜日の夜。
 特注で掛けている白いサングラスに長い菫色の髪を1つに束ねたマーシスは、ディバのいるマンションの入り口前で、他の者達が来るまで待機していた。
 彼の手にぶら下げているビニール袋には、幾つかの鍋の具となるものが入っていた。当然、ディバが言っていたルールに従って用意したものだ。
 約束の時間なら、そろそろ他の者達も来る頃だと、自分の腕時計を見た時だった。

「オーッス! マーシスさん、先に来てたんスね!」

 マーシスより大柄で体育会系の男──ルビウスが片手を上げながら笑顔で登場した。そんな彼に、マーシスはサングラスの奥から目を丸くした。

「ル、ルビウスさんも来たんですか?」
「何です? 俺に来られちゃ嫌だったんスか?」

 と、ルビウスは少し頬を膨らませ、ワザとらしい拗ね方をした。そんな彼に誤解をされたかと、マーシスは半ば慌てて首を横に振る。

「いや、そうでは無いです。ルビウスさん、今日位家でゆっくりした方が良いのでは? いつも仕事や大学、バイトまでしてて、最近ではモデルの仕事もしていると聞いてます。幾ら鍛えてあっても、休める時に体を休めないと何れ壊しますよ」

 マーシスの言う通り、彼──ルビウスも俳優の仕事が主だが、まだ大学生なのだ。更にバイトもしており、最近ではモデルの仕事も始めている。流石のマーシスもここまでハードスケジュールな内容を聞いた時には、自分の耳を疑ったものだ。

「いやいや。折角オフが重なったから久々に皆でワイワイするのに、家で大人しく何て出来ないッスよ」

 ルビウスは歯を見せながら笑い、後頭部に片手を置いた。
 彼の元気は一体どこから来るのやら。と、溜め息を軽くついたマーシスだが、口元は微笑を描いていた。

「ディバ達も心配していましたよ。だから、偶にで良いから、ちゃんと休んでください。ファンの人達の為にも」
「……そう言われると俺弱いんだよなぁ……分かったッスよ。休める時に休みます」

 鼻の頭をかきながらルビウスは言った。

「おーい!」

 それから暫くした後、黒髪を持ったもう1人の男が手を大きく振りながら現れた。
 彼の名前はスバル。彼もまた俳優であり、ついでにゲームが大好きな人である。

「え! ルビウスさんも来てたんですか?」
「何だスバル、お前もマーシスさんと同じ事言うのか?」

 思わずキョトンとしたルビウスに、マーシスはクスッと笑った。

「皆、ルビウスさんの体調を気にしてると言うことですよ」
「そうか。思った以上に心配掛けさせてるみたいだな……だけど大丈夫だ、俺はちゃんと鍛えられてるからな!」

 そう言って腕で力瘤を見せてやるルビウス。そんな彼を見て、二人は顔を見合わせた後、再度微笑みを零した。

「スバル、アキトとリンリーは?」
「アキトは今日仕事なんです。後、リンリーからもさっき電話があって行けなくなったみたいで」
「そうか」
「残念だなぁ」
「二人共、本当残念がってました。でも、仕事なら仕方ないですしね……」

 彼等も仕事で忙しい。無論、マーシス達も忙しくないと言えば嘘になる。こんな風に集まれるのも、奇跡に近いと言えた。恐らくアキトやリンリーよりも忙しいであろうルビウスが来れたのは、マーシス達にとってはベスト・オブ・奇跡だろう。
 忙しい毎日であろうに、ルビウスの見た目は元気そうで、本当にタフな男だと、同じ業界の人間として尊敬せざるを得なかった。

「それでは、これで全員と言うことになりますね」
「じゃあ、行きましょうっ」

 マーシス、スバル、そしてルビウスは、材料を入れた袋を片手に、ディバのいる部屋を目指した。
 扉の横に設置されているブザーを鳴らすと、それを合図に直ぐ様扉が開かれた。扉を開けたのは、赤色で長めにウルフカットをしたディバである。

「いらっしゃい、マーシスさん、ルビウス先輩、スバルくん!」
「ディバさん、来ましたよー!」

 ブイサインするスバルに、ディバはニッとした笑顔で返した。

「……あれ? アキトくんとリンリーちゃんは?」

 残りの二人がいないと分かるとディバは少し目を丸くし、辺りをキョロキョロ見回す。

「二人共仕事で来れなくなったそうです」

 マーシスが答えると、ディバはそれは仕方ないですねぇと少し残念な顔を伏せた後、気を取り直したかの様に笑みに戻る。

「じゃあ3人で上がってください。外は冷えるでしょう。もう既に鍋の下拵え出来てるんです」
「お! やるなぁディバっ」

 ルビウスは悪戯っぽい笑顔になりながら、ディバの頭をわしゃわしゃと撫でた。撫でられたことで髪が更にぼさぼさになる事にディバはわわっと慌てる。そんな二人を見て、マーシスとスバルは苦笑した。
 2DKの部屋に男4人が入り、真ん中に設置してある炬燵を囲むようにして座った。炬燵のテーブルの上には、既にぐつぐつと音を立てている鍋が置いてある。

「うひょー! やっぱり炬燵はいいなぁ」

 気温がかなり低い夜の外にずっといたからか、スバルは炬燵のありがたみをその場で噛み締めていた。

「一先ず、これを飲んで温まってください」
「お。気が利くねえ」

 ディバは4人分の熱めの緑茶をトレイに乗せ、彼等の前にそれを置いた。3人は緑茶の湯気に息を何回か吹き掛けてから1口飲む。心身がじんわりと温まった。
 その間に、ディバも具の入った袋を持ってくると炬燵の中へと座り込んだ。

「さて、皆さん、材料は持ってきてくれましたか?」
「おう」
「バッチリ持って来ましたよー!」
「何でも良いと言われて、少々迷いましたけどね」

 マーシス達は袋を取り出し、中身を取り出そうと手で探ろうとした。

「ああっと! まだ出さないでくださいっ!」

 ディバが慌ててそう言った。相手に突如言われ、3人は反射的に袋から手を離す。ディバはそれ下さいと言い、3人から袋を中身ごと貰う。
 すると何を思ったか、炬燵から立ち上がっては部屋のスイッチをオフにした。すると、部屋が暗くなった。夜の時間帯が故、周りが何も見えない程に真っ暗だ。今ある光は、鍋の下の火だけで、余り頼り無い。
 何だ何だと少し慌てる中、ディバが懐中電灯を自分の顔の下から当てて来た為に、幽霊が現れたかとギョッとする3人。夏ならまだしも、冬にホラーな場面は少し応える。

「皆さん……『闇鍋』と言うものを知ってます?」
「や、やみなべ?」
「はい、闇鍋、です。鍋の中に自分達が持ってきた具を入れて、それを何も見えない中食べると言うものです。取ってから明かりを付けてそれを食べると言うのもありますが、僕達はこのルールで」
「マジか!」

 スバルは目をぱちくりさせ、ルビウスは相手の説明に驚いた顔をしていた。マーシスは、闇鍋は話に聞いたことがあった。ディバからのメール内容からして、普通の鍋ではないとは分かっていたが、まさか自分達が闇鍋をする時が来るとはと、今、密かに楽しみになって来ていた。
 暗闇の中、ガサガサとビニールが擦れる音がする。ディバがビニールの中身を取り出しているところなのだろう。そして、お湯が跳ねない様に気をつけつつと、ゆっくりと鍋の中にそれらが入れられていく音が、3人に聞こえた。一体鍋の中に何を入れられたのか。どんな食べ物が当たるのか。3人、否、ディバも含め、誰も分からずにいた。暖かな部屋の空間は今、緊張と不安で張り詰められていた。

「……よし。じゃあ、皆で食べましょうっ」

 大分煮えて来たと判断したのだろう、ディバが声を発した。その言葉を合図に、全員は片手に小さい椀を、もう片手に箸を持ち、鍋の中に箸を入れていった。
 マーシスが掴んだ物は、少し大きめで、柔らかい感触だった。だが、それは箸で掴むと崩れ易いものだと判断し、素早く椀へと移す。形は崩れてしまった気がしたが、気にせずそれを口へと運んでみた。
 シャクッとした食感で、一瞬の辛みの後にほんのりと甘みが広がる。

「これは……玉葱?」
「あ! マーシスさん、俺の持ってきたものが当たったんスね!」

 その声はルビウスだった。

「野菜は体に良いッスよ。ラッキーだったッスね、マーシスさん」
「……玉葱丸々1個持ってくるとは……野菜は嫌いではないですが、初めてですよ、こんな風に食べるのは」
「いやあ、切って貰うのかと思いきや、丸ごと食べさせることになる何て思いませんでしたから」

 マーシスとルビウスのやり取りに、辺りは笑いの空間と化した。

「ギャアァッ!?」

 その直後、スバルの方から悲鳴が聞こえた。

「ど、どうしたの、スバルくん!?」
「か、か、からあああ!! ゲッホゴホッ! だ、誰だよこれえぇ!?」

 咳き込みながらドタバタと音がする事から、激辛なものに当たって悶え苦しんでいる所だろう。そういえばスバルは辛いものが苦手だったな、と、マーシスは何故か冷静に思っていた。

「……あ。スバルくん、僕が入れた唐辛子、美味しかった?」

 ヒヒヒッと、演じている時に良く発している笑い方でそう言うディバ。
 どうやらディバは、唐辛子をそのまま入れた様だ。辛いものが苦手であろうと好きであろうと、何も知らない侭それを齧ってしまったら、恐らくたまったものでは無い。

「く、くっそー。ディバさん、覚えて置いてくださいよぉ……っ」

 緑茶を飲み干した後でも掠れた声で言うスバルが、とても気の毒に思えた。

「……ん?」

 さっきまで笑っていたディバの今の声が聞こえた。何か不味いものにでも当たったのだろうか。

「これ、もしかして……バナナ?」
「あ! ディバさんに俺の持ってきたものが当たった!」

 スバルから、お返しにと言わんばかりの声色でそう言っているのが聞こえた。
 鍋で煮えたぎったバナナ……食べられない訳でもないが、食べろと言われて出来るものなのかは微妙なところである。
 だがディバの反応は、

「──美味いね、これ」
「え」

 今の一言に、3人は同じタイミングで思わず声を出した。

「鍋に入ったバナナ、意外といけるかも知れない……残念だったねえ、スバルくん?」
「! うおーっ! そういえばディバさんはとんでもない果物好きだってこと忘れてたぁー!」

 そんな訳で、鍋に入ったバナナは、ディバには効果が零だった様だ。スバルの悔しそうな声に、マーシスとルビウスは思わず苦笑を零した。

「はははっ。皆好き嫌いは良くないぞー」

 ルビウスは笑いながら言った。

「何でも食べられる様になれば健康的にもなるってもんだぜ」
「そういうルビウスさんは、もう食べたのですか?」

 マーシスの持ってきた『あるもの』は、現時点でまだ誰にも当たっていない。となるともしかして……。

「俺はこれからだっ」

 そう言ってルビウスは、箸で掴んだものを口の中へと放り込んだ。
 だが暫くした後、

「!? ぐああぁ!?」

 その瞬間、今度はルビウスからの断末魔が響いた。そんな彼に二人は驚き慌てふためく。
 矢張りアレが当たったか……と、一方のマーシスは密かに悪戯っぽく笑ったのであった。




 ディバは明かりをつけた。
 パーティが盛り上がる中、気が付けば闇鍋は空となっていた為に、パーティはこれにて終了となった。
 あれからも色々な食べ物に当たっていた4名の男達。中々解けない飴に、目玉焼き、トマト、何が何だかよく分からないものまで当たり、全員が異なった反応を見せ、全員で笑い上げたりしていた。

「はぁー。面白かったー」
「何だかんだでめっちゃ盛り上がりましたね!」
「そうですね。僕も楽しかったです」
「…」
「? ルビウス先輩、どうしました? もしかして、お腹壊しました……?」

 何故か顔を俯かせ、ずっと黙り込んでいるルビウスに、3人は心配そうな顔を向ける。しかし黙っているのかと思いきや、よく見ると、口だけ動かしている。何か話している様だが、中々聞き取れない。スバルは彼へ顔を近付けた。

「ん……から、あげ……カエ、ル……何かそれをずっと繰り返してるな」
「ああ。僕が持ってきたカエルの唐揚げですか」

 マーシスはサングラスを中指で上げながら飄々と話した。悪戯心から用意したもの、それはカエルの唐揚げだったのだ。そしてそんな彼を、ルビウスは思い切り睨み付けた。

「マーシスさんが持ってきたとは思わなかったッスよ! 何でこんなゲテモノが俺に、うぅ……」
「まあまあ。カエルの唐揚げも体に良いんですよ?」
「俺は何でも食べると言ったが前言撤回! ゲテモノはダメだ! ダーメーだ!!」

 楽しそうに語るマーシスの言葉を遮るかの様にルビウスの声が思い切り上がる。そんな言い方もまるでわざとらしく言っている様に聞こえ、スバルとディバはクスクスと笑っていた。

「ルビウス先輩」
「何だ!」
「……闇鍋、面白かったですか?」

 そう聞かれ、ルビウスは勢い任せに全然と言おうとディバを見ると、ディバは笑顔の中、どこか心配そうな色に染まっているにも見え、ルビウスは何故か言葉を発せ無かった。そんなディバにスバル達も気付いた様で、笑顔を僅かに消した。
 ディバは顔を少し伏せ、口を開いた。

「ルビウス先輩は、朝から晩まで仕事や大学で、本当にいつも忙しそうですし、中々一緒に遊ぶ機会が無いじゃないですか。だから、こう言う楽しい時間を、貴重な時間を、皆と一緒に過ごしたかったんです」
「ディバ……」
「でも、楽しく無かったらすみません。折角の貴重な時間を無駄にしてしまったのなら、反省します……!」

 ルビウスに合わせる顔が見付からないのか、顔は伏せたままそう言った。
 そして暫くした後、ルビウスは笑みの中溜め息をつき、ディバの頭に手を置いた。ディバは肩を軽く上げ、相手を見上げる。

「楽しくない訳が無いだろう。こんな滅多に無い楽しい時間を、こんな俺の為に、ディバや皆が作ってくれたんだ。すげえ面白かったし、忘れられない思い出になったし、寧ろ感謝したいぜ。サンキューな」
「先輩……!」

 ディバに明るい笑顔が戻った。それを聞いたマーシスとスバルもホッと息を吐いた。

「……ただ、ゲテモノだけはゴメンだけどな」
「それはどうも、失礼しました」

 こちらを細目で見てくるルビウスに対し、マーシスは澄ました顔で返した。暫くして、小さな部屋が笑いで満たされた。
 今日は、ここにいる皆にとって忘れられない、楽しい思い出となっただろう。そして、ルビウスも。
 楽しそうなルビウス達を見て、そう思ったマーシスであった。




 その様な話を、スバルは来れなかった二人組に話した。
 二人は非常に興味を示し、行けなくて悔しかったが為に、今度は全員で闇鍋パーティをすることになったのは、まだずっと先の話である。










 ──END──








【後書き】

 キリ番250000番を踏んでくださったLIN様リクで、「LIN様のオリキャラと私のところのオリキャラで俳優パロ・闇鍋小説」でした。
 こんな感じで大丈夫でしたでしょうか……マーシスが何か腹黒い……(笑汗)。でも、少しでも楽しんで頂けましたら幸いです。
 因みに闇鍋の具の味や体に良いかはフィクションなので、普通の鍋の時は絶対に真似してはいけません(爆)。

 LIN様、リクエストありがとうございました!