竜巻VS竜巻 村の修復に取り掛かっているトッピーに行き先を聞き、青空の下、スマメンは白く輝く雪山に刻まれた土の道を歩いていた。道の形は複雑で、たまに急になったり緩やかになったり、上がったり下りたりする。トッピーの村に来る前よりは大分マシだが、モンスターの様なこの道も彼等の体力を奪って行っていた。 やがて、上も岩で覆った崖を歩く事になった。まるで、片壁の無い鍾乳洞である。高い位置にある岩天井には氷柱が垂れ下がっており、先から垂れる氷水がマリオ達に当たる。 「キャッ! 冷たっ!」 頭に当たったカービィは叫んだ。 「こんな時にモンスターが襲って来るときついかもな」 と、マリオは軽いジョークをかます。だが、彼の言う通り、逃げ道を見付けるのは困難な状況に彼等はいた。 一番後ろで隣同士歩いているメタナイトとマーシスは警戒心を強めながら辺りを見回す。冷たい風が吹き、顔が酷く冷たくなる。 そんな中、澄んだ青空を染める白い太陽の中に、何やら黒い点が現れた。それにハッと気付いた二人は思わず足を止めた。 「? どうした、お二人さん」 スネークは二人の異変に気付いて立ち止った。スネークの声に、スマメン全員止まり、二人に振り向いた。メタナイトとマーシスは、鋭い眼差しで空のある一点を見ていた。スマメンも彼等の目線を追ってみる。太陽の中に黒点がある。それは妙に動いていて、そして、次第に大きくなってゆくにつれて形がはっきりとして来た。どうやら鳥の形をしている様だ。 「ニットピッカーだ!」 アイスクライマーは声を揃えた。 「ニ、ニットピッカー?」 マリオは眉を顰めた。 ニットピッカーと言う鳥はどんどんスピードを上げてこちらへ向かって来た。 「あぶね!」 スマメンは慌ててしゃがむと、上をニットピッカーが通り過ぎる。それはスレスレで、マリオの帽子を飛ばした。再び上空へ舞い上がると、百八十度回転してまたこちらへ向かおうとしている。 「奇襲だなんて汚いなぁ」 マリオは落とされた帽子を拾い上げて被る。 「それはお互い様ですよ」 リンクは僅かに口端を上げて立ち上がった。マリオはムゥッと不貞腐れるが、彼の言う事は正しい。 「とにかく、また壁が現れたみたいだな」 こちらへ向かうニットピッカーを見ながらマリオは言った。 「どうする、マリオ殿」 マーシスは微笑んでマリオに問うと、マリオは決まってると身構えた。 「その先に道があるのなら、打ち壊すまでさ!」 ニットピッカーは今度は方向を変えて鍾乳洞の天井へ向かった。そして、その場を通り過ぎる際に氷柱がニットピッカーに当たり、スマメンへ向かって落ちて行く。 「げっ、ヤバイ!」 スマメンは目を丸くした。多くの氷柱が鋭い槍となってこちらへ落ちて来るのだ。 「わわわっ」 マリオはピカチュウを抱き締めるとマントで己の身を包んだ。 「しゃがむのだ! スネーク殿!」 スネークは言われた通りにさっと膝を付き、マーシスはスネークの上で剣を振った。次々と、彼等を襲う氷柱が壊れて行った。リンクもピチューを抱き締めて、上から落ちて来る氷柱を盾で防いだ。メタナイトとカービィはソードを構えると氷柱を次々と壊して行った。 「うー今のはヤバかった。串刺しになるとこだったよ」 マリオはマントを外し、顔を青ざめながら言った。 ニットピッカーは、同じ様に繰り返しこちらへ向かおうとしていた。 「このまま戦うのは不利だ」 スネークはスマメンの前に出た。ニットピッカーが近付いて来た所で足元へ何かを投げた。そこから煙幕が広範囲で広がり、ニットピッカーは怯んだ。 「今だ、隊長!」 スネークは振り向いた。 「先ずはここから抜け出すぞ」 「あ、ああ!」 スマメンは急いで鍾乳洞擬から抜け出た。 煙幕攻撃に首を振り、ニットピッカーは突如空に向かって鳴き声を上げた。まるで超音波の様で、スマメンの聴覚を攻撃した。 「うわ、何だ!」 スマメンの一部は耳が痛くなって耳を慌てて塞いだ。ニットピッカーの鳴き声は山の向こうまで響き渡った。一体何が起こるのかと、スマメンは見守ってしまっていた。 「ピカッ!」 ピカチュウはある方向を指差した。目線を追うと、向こうからニットピッカーの大群が現れた。何百匹もいると見る。 「何だありゃあ!」 スマメンは揃って目を丸くした。 「言い忘れてたけど」 アイスクライマーは言った。 「ニットピッカーはピンチになると、仲間を呼ぶんだよ」 「それを早く言ってよ!」 マリオは半ば怒ってしまった。 「ゴメン、言うタイミングを逃したんだ」 「スネークに怒るとこだったぞ!」 「そりゃあないだろ、隊長」 煙幕攻撃を言っているのだろう。スネークは肩をすくめた。 「喧嘩してる場合ですか!」 リンクは声を上げた。 「あの大群を止めるには……」 メタナイトは言った。 「こちらからも、一気に片付けるしか無い」 「よし、ボクに任せろっ」 マリオは崖からジャンプし、大群に向かって飛んで行った。体をコマの様に回転させた。 「マリオトルネイィード!」 マリオはトルネード状態で大群に突っ込んだ。ニットピッカー達は驚き、一部がバラバラに飛び回る。 「やった?」 「まだだ」 カービィの疑問にメタナイトは即答した。 今度はニットピッカーも、大きな円を描いて竜巻を起こした。それはマリオの数十倍の力がある。 「な、何! どわぁっ!」 巻き込まれたマリオは、ニットピッカーの集中攻撃を浴びてしまった。止むを得ず、崖の上へ戻ってきた。 「マリオさんっ」 「くそ、このままぶつかっても無駄だな」 マリオは立ち上がり、ニットピッカーの竜巻を見つめた。何か方法は無いか、色々頭の中から見付けてみる。 「……なあ、アイスクライマー」 隣に立っているアイスクライマーを呼ぶと、彼等は振り向いた。 「目には目を、歯には歯をって言葉を知ってるかな?」 「? うん、知ってるけど」 「……マリオ、もしや」 メタナイトは振り向き、マリオは頷いた。 「そなたと同じ姿が山程いたのか」 「ちーがーうっ!」 マリオは首を横に激しく振った。 「打撃の竜巻を打撃の竜巻で応戦するんだよ!」 プンプンしてマリオは言った。 「さっき見せてくれたろ、アイスクライマー?」 「……あ、そう言う事か!」 アイスクライマーは互いの手を叩いた。理解出来たと笑顔になっている。 「そう言う事」 マリオは口端を上げた。 「ど、どう言う事?」 「ピカ?」 「ピチュ?」 カービィやポケモン達はハテナを浮かべていた。 「来ましたよ、マリオさんっ」 リンクの言う通り、ニットピッカーの竜巻がこちらへ近付いて来た。 「行くぞ、アイスクライマー!」 「了解っ」 マリオは左手でポポ、右手でナナの手を握ると、再び崖からジャンプした。マリオは彼等の手を引いて竜巻に向かって飛ぶ。 「アイスクライマーっ」 「うんっ!」 マリオは二人の手を離すと、足を彼等に掴ませた。そして、先程と同じ様に体を回転させたのである。 「マリオトルネード!」 「……あ!」 リンク達もやっと理解したらしい。アイスクライマーは、片手でハンマーを前へ突き出した。すると、さっきの様に竜巻が発生したが、ニットピッカーの竜巻よりも上回った威力まで起こした。ぶつかった途端、ニットピッカーの竜巻が崩れて行った。打撃の竜巻に力負けしたのである。どんどんバラバラになって行き、あちこちへ飛び回る。 だが、ニットピッカーは、今度は力づくでも四方八方からマリオ達をターゲットに襲いかかった。 「マリオ殿達を援護するのだ!」 マーシスは叫んだ。そしてメタナイトの背中に乗り、メタナイトは翼を広げると飛び立った。二人の剣がニットピッカーの翼を切り裂く。 「はっ!」 リンクはブーメランを取り出し、思い切り投げた。ブーメランは弧を描き、多くのニットピッカーに当たった。 「それっ」 スネークは玉を集団に向かって投げ付けた。それは照明弾で、強い光が放たれる。目が眩んだニットピッカーは飛行能力を失った。 「ピカチュウ! ピチュー! 乗って!」 カービィは走るとワープスターが追い掛けて現れた。ピカチュウやピチューも彼の星に乗り、まだ多いニットピッカーに向かった。 「こっちも竜巻を起こすよ! トルネード!」 「ピーカーチュウゥ!」 「ピチュウウウゥ!」 ワープスターは回転し始め、ピカチュウとピチューもその場から電撃を放った。サンダーを浴びたトルネードがどんどんニットピッカーを攻撃していった。 「ピ、ピチュー……」 ピチューはうっかり目を回してしまい、倒れそうなとこをピカチュウが慌てて支えた。 「やったっ! 集団は全滅だ!」 アイスクライマーはハンマーを上げた。 「後は、集団を呼んだ張本人っ」 それを聞き、遠くでマリオに睨まれる最後のニットピッカーはギクッとした。 「くらえっ! スーパージャンプパーンチ!!」 マリオはスピードを上げて一気に近付き、そして、ニットピッカーにとびきりのアッパーを仕掛けた。ニットピッカーはホワイトベアと同じく、空の星となって消えて行った。 「やったー!」 カービィ達は星の上ではしゃいだ。リンク達も笑顔だ。 「いやー、今回もかなり疲れたなあ」 降り立ったマリオ達。マリオは寒い空間内でも汗を流していた。 「これだけニットピッカーがいるとすると」 ポポが言った。 「恐竜の住処もあと少しだと思うよ」 「よーし」 山頂まで大分近付いたマリオ達は、更に緊張を高めた。 「マリオしゃん達、まだかなー」 プリンは、恐竜の子供を優しく見守りながら言った。 「でも、助けに来てくれたとしても、この子が心配でならないでしゅ……」 少しシュンとしてしまった。この子供を見る度、母性本能がくすぐられてしまう。どうしても離れられなくなってしまう。この子もスマッシュブラザーズの一員だったら、連れて行ってあげたいところだ。そうで無い上、まだ物心付かない子供だ。誘拐をしてでも連れて行こうだなんて思わない。しかし、中々離れられない気持ちでイッパイだった。 そんな辛い思いを抱いていた時だ。 「これだけ穫ればあの子も大丈夫だね」 「まだ傷の手当てが出来ないのが惜しいけどね」 「……ん?」 外から声が聞こえて来た。だが、今度は子供っぽい声だ。それでもプリンは警戒心を弱めず、出口を睨んだ。洞窟へ入って来たのは、青いエスキモーと赤いエスキモースタイルの男女。野菜を両手に抱えながら入って来た。プリンには見覚えがあり、名前を思わず呼んだ。 「ポポしゃん! ナナしゃん!」 「え……ああ! プリンちゃん!」 ポポとナナはプリンを見て目を見開いた笑顔をし、三人は互いを指差した。 「久しぶりだねー! 元気にしてた?」 ポポとナナのアイスクライマーは、プリンの前で座り込んだ。同時に沢山の野菜を横に置く。 「元気じゃないでしゅよ……いきなり恐竜に誘拐されたんでしゅっ!」 プリンは皿の目に涙を溜めた。そして、これまでの事情を全て話した。 「そうだったんだ……」 「マリオさん達も一緒なのね?」 ナナはプリンの顔を覗き込んで尋ねた。 「そうでしゅ。プリンだけ誘拐されて……マリオしゃん達がたしゅけに来てくれる事を祈ってるんでしゅ」 「そうだね、待ってる方が危険も少ない。ここにいれば安全だからさ」 ポポは笑顔で言う。プリンは目を更に丸くした。 「えぇ!? だってここ恐竜のしゅみかでしゅよ!? 危険でしゅよ!」 「アハハッ、大丈夫だよ」 ポポは笑い飛ばした。 「ここの恐竜はとても優しいんだよ。子供が出来るまでは、まあ確かに強敵だったけどさ、子供が出来てからは優しくなって、僕等の力を貸して欲しいと、ここへ僕等は連れて来られたんだ」 「そ、そうだったんでしゅか? でも、敵だったんでしゅよね?」 「確かにそうだけど、でも、あの恐竜は只食べ物が欲しかっただけで悪さをしちゃっただけなのよ」 ナナも笑顔で答えた。 「目的の為に手を悪で染めてしまっただけなの」 「目的の為……」 「? どうしたの、プリンちゃん?」 「な、何でも無いでしゅ」 プリンは慌てて首を左右に振った。 「そうだ。野菜がいっぱい穫れたから、良かったらプリンちゃんも食べない?」 「え、良いんでしゅか?」 「うん。お腹ぺこぺこでしょ?」 ナナが問うと、それに答えたのはプリンの腹だった。赤くしたプリンと、目を見開いたアイスクライマーは笑い声を上げた。 マリオ達と同行しているアイスクライマーは、密かに怪しげな微笑みを浮かべていた。 ──to be continued── |