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Impostor 「リーダーとリンクさんが行方不明!?」 マロンは慌ててカカリコ村へ行き、スマブラを、入口に入ったとこで唯一生えている木の場所まで集めた。城下町にいるスマブラも、仲間の一人が来た事で村へ来た。 マロンの話を聞いた彼等は酷く驚き、ナナは叫んだ。 「エポナもいなくなったのか!」 遅れて体力が無事回復し、手伝いをしていた子リンやゼルダも驚きを隠せない。 子リンは、愛馬も行方が分からなくなったと言う話を聞いて思わず声を上げた。 「ええ……休憩時間の間にいなくなっちゃったの」 マロンは、不安と心配で複雑な表情をした顔をうつ向かせた。 「村か城下町に戻ったのかなと思って来たんだけど……」 「残念だが、城下町に彼等はいなかったな」 メタナイトは腕を組んだ。 「この村にも来ていないでしゅ……」 プリンは目をうるませて言った。 「チャー……」 「ピチュ……」 ピカチュウとピチューは、耳を垂らして落ち込んでいた。 「そう言えば」 一番後ろに立っているガノンドロフが不意に口を開いた。 「このハイラルで唯一邪悪な気配を感じた場所があった」 「そこはどこ、おじさん!?」 「おじ……っ」 マロンは彼の正体が分からないので、おじさんと呼ぶ以外無いらしい。だがガノンドロフにとっては少し応えたらしく、片目元がヒクッとわななく。 (抑えて抑えて) スネークは彼の肩を優しく抑え、彼をなだめた。お陰でガノンドロフは少し落ち着いた。 「そこは迷いの森だ」 「迷いの森?」 アイスクライマーは揃って言った。 「私も彼と同じです」 ゼルダは言った。 「唯一その森が、何者かに寄って闇の力に支配されているのを感じます」 「どうしてその森だけが?」 カービィは目線を空へ向けてハテナを浮かべた。 「残党……」 「え?」 聞こえた声にスマブラはマーシスを見た。 「単なる勘だが、残党がいるのかも知れん」 「先に言っておくが、俺の手下はもういない」 マロンにまで聞こえない程度にガノンドロフは呟いた。 「それか、自然から生まれたモンスターの仕業かも知れないな」 子リンは考えながら言葉を繋げた。 「とにかく、その森へ行ってみましょう」 マロンは言った。 「きっとマリオ達は迷いの森で迷っちゃったのよ」 「ここにいても仕方がありません。行きましょうっ」 ゼルダはキッとして言った。 スマブラとマロンは迷いの森へ来た。 迷いの森は木々が生い茂り、奥まで見渡す事は困難だった。オマケに濃い白の霧が森を包み、一歩踏み出せば直ぐに迷ってしまうかも知れない。 「こんな霧……今まで無かった筈なのに……」 子リンは見開いて森を見上げた。 「迷わない様、用心して捜しましょう」 ゼルダは言った。 「おーい! リーダー! リンクさぁーん!」 「隊長ー! リンクー!」 「ピッカァー!」 「マリオ殿! リンク殿! どこにいるのだー!」 手分けして捜すスマブラ。だが、彼等の呼び声は森の奥へ吸い込まれ、僅かに木霊すだけだ。 そして不思議な事に。各々あちこちへ入って行った筈なのだが、さっきまで彼等がいた場所に全員がいつの間にか現れていた。何回繰り返しても、何回も振り出しに戻ってしまうのである。 「あ、あれ? ピカチュウ?」 「ピィカ?」 カービィとピカチュウは指を向かい合わせた。 「迷いの森とはこう言う事なのか」 マーシスは顎を軽く掴んだ。 「この森の正しいルートを歩いたつもりなのに……この霧のせいかな……」 森育ちの子リンは迷いの森を何度も通っていたらしいが、彼も苦戦しているらしい。そして悩みながら腕を組んだ。 「うーん、どうやってマリオさん達は森の奥まで行けたんだろ」 「確か、邪悪な気配を感じたと申したな」 メタナイトはガノンドロフを見て言った。 「そうだ。強さまでは把握出来ないがな」 「きっと、マリオしゃん達がやっつけてくれましゅよ」 プリンはニコッとした。ファンシーズはマリオ達の力を信じていて、心配する気持ちが次第に薄れていっている。 「だと良いが……」 スネークが呟き、大人陣は森を見つめた。 「……あら?」 マロンはふと子リンを見つめていた。 「え、何?」 「貴方……良く見たら、小さな頃のリンクに凄く似てるわね!」 「え? え?」 子リンはハテナを沢山浮かべていた。 「言われてみれば……」 メタナイトは言った。 「子供リンクは別次元のハイラルにいる筈では無いのか?」 「あ、あれ? 言われてみれば……」 子リンは頭を掻いた。 「恐らく、宝玉の力が不安定な証拠なのだろう」 メタナイトは呟いた。 「クレイジー大臣に頼んで借りた本に確か記されていた。 それは、『時空次元の歪み』」 「歪み……」 「スマッシュ王国に関係する者に限るが、宝玉が破壊された為に守護の力が歪み、子供リンクがこの次元の世界へ気付かぬ内に飛ばされてしまったのだ。中には次元の一部が別次元の同じ世界に混ざりこみ、そこに住む者がその世界を知らぬ内に記憶してしまうことがある」 「つまりその世界に別次元の一部があっても、当たり前のことの様に思ってしまうということなんだね?」 「そういうことだ。一刻も早くマリオ殿達を見付け、それを話さねばならぬな」 マーシスはそう言った。 二人は、深い霧に包まれた迷いの森を歩く。視界が慣れてきたのか、少しなら遠くを見渡せる様になった。 「結局、ボクらは一体どこを歩いているんだ?」 マリオは頭に両手を回すと、そう呟いてしまった。 そんな気分に陥るのは無理も無いかも知れない。始めの二人は張り切っていたものの、その気も次第に中途半端になって来る。先程から同じ道をグルグル歩いている気がするのだ。単に同じ木が立ち並んでいるだけなのか、それとも何者かに化かされているのか。 「ボンゴボンゴを倒した筈なのに、こっち側から魔物の気配を感じる……一刻も早くエポナを見つけ出さなければなりませんね」 暫く歩いていると、やがて何かの広場に出た。地面は湿原っぽく、空は霧の色、背の高い木々に囲まれた、とても広い場所である。 その中心辺りに、白い服を身に纏った者が、うつ伏せ状態で倒れていた。ギョッとした二人は直ぐ様駆け寄った。近くで見ると、白い毛皮を着ている様だ。 「だ、大丈夫か!? 確りしろ!」 マリオはとっさに膝を付いて軽く揺さぶるが、その者はグッタリしたまま身動き一つしない。 「マリオさん、どうしましょう?」 側で立っているリンクにマリオは見上げる。 「どこか安全な場所を見付けて、そこまで運んだ方が良いな」 「そうですね」 二人で話をしていると、その者は気付かれない程度に顔を上げ、目を光らせた。 「キーッ!」 「うわぁー!?」 その白い人物は、白い猿だ。突如起き上がった猿にマリオ達が驚いている間、その白い猿はマリオに飛び掛かり、そして逃げる様に去って行った。 「マリオさん! 怪我はっ?」 「いってえ……し、心配は要らないよ」 倒されたマリオは、片手で頭を抱えながら立ち上がった。 何気に懐に手を突っ込んでみた。 「……ん?」 マリオは眉をひそめた。 「どうしました?」 リンクが問うのをよそに、マリオは焦った様子で身体中あちこちを手で探っていた。そして少しだけ時が止まった後、 「……欠片が……」 「え?」 二人は嫌な予感がした。そしてマリオは、リンクが思った通りの台詞を言ったのだ。 「宝玉の欠片が無くなっちまったぁ!」 「何ですってええぇーっ!?」 二人は開いた口が塞がらない状態になってしまった。 「も、もっと良く探したんですか!?」 動揺を見せまくっているリンクは慌てて言った。 「探したけど……見付からないよ!」 「正か森で落としたとかは……」 「そんな事は無いよ、さっきまで欠片は確かにあった……」 「マリオさん?」 マリオは何故か固まっていたが、それは一瞬の出来事。何かにピンと来た様だ。 「もしかしたら……あの猿……っ……」 「あの白い猿が奪っていったのですかっ」 二人は猿が逃げていった方角へ、バッと体を捻らせた。 「ははぁ。カカリコ村を騒がせていた詐欺師って、あの猿だなっ!?」 怒りを込めるマリオは指をパキパキと鳴らす。 「だとしたら、そいつはきっとウークと言う、悪戯好きの大猿ですねっ」 「あんにゃろおー……絶対に欠片を取り戻してやる! ついでに、あの猿にお仕置きだっ」 マリオは後先考えずにダッシュした。リンクも彼に続いて走って行った。 「マリオさん、今、猿の声が聞こえました」 走りながら話す。 「本当か? よし、ならまだそう遠くは行っていない筈だ」 そしてマリオとリンクは再び広場に出たが、明らかに雰囲気は違う。広場にも木が数本か生えている。 その太い枝には、例の猿がいた。猿は二人を見ると、ギョッと目を丸くした。彼の手元には、光る宝玉の欠片が握られていた。 「やい、詐偽猿! その欠片は凄く大事な物なんだ。返せっ!」 「……キキッ! キィキィ!」 ウークはピョンピョン跳ね、更に後ろを向いて尻を叩いていた。マリオはそれを見て、堪忍袋の緒が切れる一歩手前になった。後少しで理性を消してしまいそうである。 「くっそ! 受けて立つぞ!」 怒ったマリオはマントを首に巻くと、ウークに向かって飛んでいった。 「くらえ!」 マリオはそのまま拳を繰り出した。ウークは難無く飛んで避けると、思い切りマリオにのし掛かった。 「ぐあは!」 マントは重力に負け、マリオは地面へ落下してしまった。ウークは跳ねながら勝ち誇るとまた木を上って行った。 「コラ、ウーク! 欠片を返すんだ!」 リンクはブーメランを投げた。軌道は見事彼へ向かっている。だがウークはそれを素手で挟んで受け止めてしまい、そのまま振り下ろしてお返しにと投げ返す。それだけでは無く、ブーメランは旋風を巻き起こしながらこちらへ来た。 「うわっ、わぁ!」 リンクは吹き飛ばされ、地面へ倒された。 ウークは歯を見せ、頭上で手を叩きながら喜んでいた。そして今はあちこちの木に飛び移っている。 「直接あいつに攻撃するのは無理みたいですね……」 二人は体勢を立て直し、リンクは言った。 「……なら、別の方法で攻めよう」 マリオは険しい顔で言った。 「それは?」 マリオはリンクにヒソヒソ話をした。リンクはその内容に頷いた。 そして二人は走り出した。ウークは相変わらず木々を飛び回って遊んでいたが、彼等の動きに気付いた時はつい止まってしまった。 「ウキッ!?」 「直接攻撃が駄目なら、間接攻撃をくらえ!」 二人はウークのいる木に思い切り体当たりをした。彼等の力だと木は相当な反動を受け、大きく振動する。ウークは慌てていたが、バランスを崩すと木から落下してしまった。ドテッと落ち、ウークの手から欠片が転がり落ちた。 「やりましたね、マリオさん」 「おう」 マリオはリンクに欠片を見せた後、ポケットに戻した。 ウークはよろめきながら立ち上がろうとしたが、目の前にいきなり現れた刃に悲鳴を上げた。 「ウーク、人に迷惑を掛ける事は、人を悲しませる事なんだぞ」 剣を突き付けているリンクの隣で、マリオは腕を組んで説教をする。ウークは聞きながらその場で座り込む。 「今度からは人の為になる事をするんだ。そうすれば、互い嬉しい筈だよ」 今まで冷たかったマリオの表情が段々温かな微笑みになる。ウークは正座しながら、それを少しの希望に溢れる目で見つめた。 「今回は見逃してあげるけど、次からまた迷惑を掛ける様な真似をしたら、本物の毛皮コートにするからな」 「ウキッキ!」 ウークはピョンピョン跳ねて反応した。ビックリしてるのか了承したのか理解出来ないが、取り合えず言葉は通じたらしい。そしてウークは猿芸らしく、両手と脳天を地面に付けた後、広場を去った。 「マリオさんらしくない脅し方でしたね」 リンクは呆れた笑顔で首を横に振った。 「そうだった?」 マリオは目線を上げ、しらばっくれた振りをして見せた。 「さあて本題へ戻ろう」 辺りの霧を眺める。 だが暫くすると、その霧が紫色に変色していっていた。 「何だか不気味な霧になったな」 「それにっ……少し息苦しいです」 リンクは喉を少し抑え、一度咳をした。 「あそこからだ」 紫の霧が流れて来る方角は直ぐに分かった。マリオ達は軽い息苦しさを感じたが、気にしない程度だった。 とある洞窟に入ると、水音が聞こえて来た。リンクの話に寄れば、旅人の疲れを癒す小さな泉があると言う。だが、今はその言葉は信用出来なかった。言ったリンクも、撤回したい程だ。着いた広い空洞にある泉は毒々しい紫色で、洞窟の天井から光と共に流れて来る二つの滝も同じ色をしていた。 「ここは特に酷いな」 マリオは口を軽く抑えた。 「ですが、最も殺気を感じてますよ」 「ああ、そうだな」 そして、突然毒の泉が波紋を作り出した。 「な、何だ!?」 それは激しく波打ち始める。すると、泉の中から二つの巨大な蕾が現れた。茎はクネクネと動き、蕾は、開いた部分が狂暴な口になっている化け物だ。 「何だありゃあ!?」 「え、何!?」 捜索をしてる最中、マロンの足下が急に盛り上がった。そこから人間サイズの植物の化け物が現れ、マロンへ大口を開いた。 「キャアアァァッ!!」 「マロン!」 子リンは剣を引き抜いて直ぐに植物の茎をスパンッと切った。植物の化け物の頭は地面へ落ち、ビクンビクンと跳ねていたが、やがて死ぬと、紫の煙と共に消滅した。 「マロン、大丈夫?」 「ありがとう、私は大丈夫よ」 しかし安心したのも束の間だ。スマブラの側からは、次々と植物の化け物が現れたのだ。 「邪悪な奴らか……デクババの事だったのだな」 余裕なガノンドロフはニヤけていた。 「笑ってないで、仲間を助けなさいっ!」 ディンの炎で植物の化け物、デクババを燃やして倒したゼルダは、そんな彼に振り返ると怒鳴った。それでもガノンドロフは、はいはいと軽く返事をした。 「ピチュッ」 ピチューは電気玉を放った。だがデクババは首を振ると痺を取り払う。 「ピチュ!?」 ピチューは、サーッと顔色を青ざめた。 「ピィカ!」 ピカチュウは、ピチューを襲おうとしたデクババを掴んで電磁波を放った。デクババが麻痺して動けなくなったとこを、ピチューはロケットずつきでとどめを刺した。 「行くでしゅ!」 プリンはデクババに往復ビンタをした後、上へ伸びる程まで蹴り上げ、そして転がる攻撃をすると、デクババの茎が千切れ、相手は消えた。 カービィはファイナルカッターを駆使して次々とデクババを切り倒して行った。 「えーい!」 アイスクライマーは背中を合わせ、手からブリザートを放った。前後のデクババはカチカチに凍り、アイスクライマーのハンマー一振りで崩れた。 スネークは折角だからと的当ての時に貰った弓矢を試した。矢は軽く、弓も扱い易かった。そしてデクババを一撃で倒せた。 「こいつらは何者かの子分なのだろうか?」 メタナイトは後ろから襲うデクババを飛んで避け、後ろへ回り込むと、敵を縦に真っ二つにした。 「きっと親玉がいる筈だな」 何匹かに囲まれたマーシスだが、剣と体を一回転させて回転切りをお見舞いした。敵全員の茎が切り裂かれる。 デクババはゼルダに襲い掛かる。 「はっ!」 ゼルダの体を、フロルの風と言う緑に輝く優しい風が包むと、彼女はその場から消え、デクババの後ろに回り込んだ。そしてネールの愛と言う技を出す。青いバリアの攻防技で、襲い掛かるデクババ達を難無く倒した。 「姫、その様な技を持たれているのですね」 敵を倒したばかりのメタナイトは言った。 「この欠片が、私に力を与えてくれるのです」 ゼルダは、静養中に早く治る様にと、渡された小さな欠片をそっと握った。 「私には感じます」 側にいる二人の騎士に言った。 「マリオとリンクは、デクババの親玉──ババラントに会っています」 「ババラントか……」 「そいつが暴れているのか、女王陛下様」 ガノンドロフは、紫の液にまみれている巨大な剣を地面に突き立てた。 「村人姿とかなりのギャップがあるな」 隣のスネークは吹き出していた。ガノンドロフはそれに今更気付くと思わず赤くなった。 「彼等を信じましょう。きっと、森の呪いを解いてくれます」 「そう願うしかありませんね」 その場にいる五人は霧の森を見つめた。 「魔物の気配は、こいつの事だったんだな!?」 「行きましょう、マリオさん!」 マリオとリンクは身構え、ババラントへ飛びかかった。 ──to be continued── |