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動き出す悪夢 ババラントの狂暴な蕾が牙を剥いて襲いかかる。マリオとリンクは別々の方向へジャンプして回避した。彼等がいた場所にババラントの頭が深くめり込んだ。あれをまともにくらえばひとたまりも無いだろう。 「行くぜ! 花の化け物っ!」 マリオはそのまま二つの内、片方のババラントの顔面に前方向から蹴りを入れ、更に上へと蹴り上げた。半開きになったババラントの口に足を掛けて上へ上がるとハンマーを取り出し、頭部へお見舞いすると、ババラントの頭は泉へ叩き付けられた。泉が水しぶきを上げる。 「うわわっ……!」 マリオは紫の水を慌てて避けるが、雫に触れたマントは、ジュウッと音を立てて僅かに溶けてしまった。 「ハァッ!」 もう片方のババラントへ向かうリンクは、空中で横斬りをかまし、更に剣先を前へ構えたまま体を前へ一回転させる。威力がアップした刃が円を描きながらババラントへ斬り付けた。 「ギアアァ!」 ババラントは大ダメージに叫びを上げる。 リンクは休まず、フックショットを奴の顎へ撃ち込んで近付き、反動を利用して下からキックをお見舞いした。そのまま後ろへ引っくり返るババラントの蕾に足を付け、軽やかにバック宙をすると、地面へ無事着地した。 だが引っくり返る直前で、ババラントは体勢を立て直し、リンクを食らおうと大口を開いた。 「うわっと!」 リンクはとっさにジャンプし、彼の下でババラントの口がバクンッと閉じられた。 一方のババラントはマリオへ毒液を吐き出すが、マリオは避けながらあちこちを飛行していた。マントが一部溶かされた為にコントロールするのが若干困難になってしまっている。少しずつ近付き、攻撃を仕掛ける。 「ハアァ! くらえ!」 マリオは手を引くと赤い光を溜め込んだ。そして前へ突き出し、ファイアボールをぶち当てた。 「グオオォ……!」 植物属性のババラントにとって、炎攻撃は相当応えた。 リンクは蕾に乗る。かなり太いその茎は一振りでは切断出来ないと思い、ならばと、ボンゴ戦の様に剣を茎に突き立てた。少しだが剣は刺さっていて、紫の液体が溢れた。 「ギイィアアア……!」 ババラントはリンクを振り落とそうと首を激しく振るが、リンクは必死で耐え、もう一度その傷へ剣で突く。さっきよりも剣が深々と突き刺さり、ババラントは先程よりも高めの悲鳴を上げたのだ。 マリオとリンクが地面へ戻り、二匹のババラントは哀れな姿のまま、紫の泉へ沈んだ。小さな泡を沢山立てながら、泉の底へ沈んでいった。 不気味な程に静まり返った。響いているのは、水が流れる音のみ。 やったかと思ったその直後、復活した二つの蕾と同時に別のものも現れた。蕾と蕾の間に現れたのは、見た目は巨大花にも見えるだろうか。だが、柱頭の先には一つの玉があって、目玉としても見てとれた。それらの他、泉の中から無数のツルが現れて間も無く、マリオ達に襲い掛かった。 「うわぁっと!」 危うく捕まりそうになったマリオ達は慌ててツルから逃げた。 「第二段階って訳か!」 急ブレーキしたマリオは口端を吊り上げ、舌を出した。 「一瞬の油断が命取りだ。行こうぜ、リンク!」 「ハイッ!」 リンクは気合いを入れて返事をした。 一本のツルがマリオへ向かい、マリオの片手首に巻き付いた。マリオがしまったと思った直後、ツルはグイッとマリオを引っ張り上げた。 「わあぁーっ!」 「マリオさん!」 (自分で言った側からこれですか!) リンクは内心で突っ込みながらもブーメランを使って助けようとしたが、その手を別のツルが襲う。バシッと叩かれ、彼の手からブーメランがはたき落とされた。 「クソッ……!」 叩かれた手を抑えながら、対する蕾と本体を睨んだ。 「ならこっちも、望む所だ!」 片手を塞がれているマリオだが、自由な手足を使って、こちらへ来る蕾やツル達をけちらしていった。 ツルはゴムの様に伸び縮みするから、マリオはそれを利用しようと考えた。マントを使って遠くまで飛び、ツルが大分伸びたとこでマントの力を解放した。するとツルが一気に縮み、それに乗ってスピードを上げたマリオの拳は、真ん中の花の化け物にかなりのダメージで命中した。 「グギャア!」 「どーだ!」 めり込んだ拳にババラント本体は悲鳴を上げた。 「おっ?」 ツルにも意思があった事をマリオはすっかり忘れていた。マリオを捕えているツルは一度高く上がり、そして彼を地面へ叩き落とした。 「がはっ!」 休まずマリオを今度は天井の岩へとぶつけた。 「マリオさんっ!」 襲うツルを次々と斬り倒していっていたリンクは思わずマリオを見た。 一瞬の油断でも命取りなのは確か。リンクを蕾が体当たりして来たのだ。 「ぐあっ……!」 リンクは岩壁に背中をぶつけ、蹲ってしまう。ツルが数本リンクの体に巻き付き、ぐったりしてしまった彼を宙吊り状態にした。 「うぐっ!」 ツルはマリオを放して地面へ落とした。よろめきながら必死で立ち上がろうとするマリオに蕾が牙を剥いた。 「わ、あぶなっ!」 ハッとしたマリオはジャンプして間一髪回避したが、ババラントの蕾は地面スレスレで止まってはこちらを向くと、彼めがけて毒液を吐き出した。するとマリオの右足が毒をまともに受けてしまい、焼ける音が上がった。 「! うわあああああああぁぁぁ!!」 マリオは突如の激痛に堪らずひざまずき、煙と湯気を上げる片足を苦痛な顔をして押さえた。片足は赤黒く変色していて、見るからに痛々しかった。 休まずツルは彼の首へ絡み付き、絞め上げる。 「っ! ぐ……うっ……!」 マリオは先程の打撃と毒攻撃に寄り、体力を失い、ツルを解く気力も殆んど無い。おまけに息も出来なくなって、意識も朦朧としてきていた。 「マリオさっ……!」 リンクも身体中を絞め上げられ、引き千切られるのも時間の問題だった。 「っつ! マリオさんが……!」 自分がどうなろうと彼だけでも助けたい一心だが、今の状態じゃどうする事も出来ない。 (……ヤバい、かも……っ) マリオも薄目になりだし、目の前も暗闇に覆われ掛ける。 まだ諦めたくないと言うのに、このまま、皆を……皆の世界を……救えないのか? ボクはっ……、この場で……死んで……しまう……の……か……。 …… ………… ……………… …………………… ふと、意識が塵になる直前、風が頬を撫でた気がした。 「! ブーメランが……っ!」 未だツルに苦しめられているリンクは、誰かが飛ばしてきたブーメランを見た。 「!? ギャアウゥ……ッ!」 それは旋風を連れて来、ブーメランは彼等を縛るツルを切り裂き、旋風はババラントを翻弄した。 途端にツルの力が瞬時で緩み、リンクは体を回転させながら着地した。無論、マリオの絞首も解き放たれ、酸欠なマリオは激しく咳き込んだ。 直ぐ様リンクは駆け寄った。 「ゲホッ! ゴホッゴホゲホッ……ハァ、ハァ……」 「マリオさんっ! 良かった、無事で……」 リンクは半泣きで側にしゃがんだ。涙を滲ませているマリオは、首を軽く抑えながら彼を見て、大袈裟だと笑んだ。 「にしても、今のは一体……」 マリオ達は首を傾げた。一体、誰がボク達を助けてくれたのだろう? すると、最近聞いた声がした。 「キッキー!」 「あっ!」 洞窟の壁に空いている穴から白い大猿が現れた。相変わらず歯を見せ、リンクのブーメランを振り回していた。 「ウーク! 来てくれたのかっ」 マリオは笑顔で言った。 「ウッキー!」 ウークはリンクに向けてブーメランを投げ、リンクはそれを受け止めた。 「ありがとうな、ウークッ」 リンクはブーメランをかざした。 「ウキ!」 「?」 更にウークは、マリオ達に何かを伝えようとしていた。ピョンピョン跳ねながらある所を指差し、もう片手で何かを投げると言うジェスチャーを見せていた。ある所、それは只今頭をクラクラさせているババラントだ。そしてウークが見せている行動。それは、ブーメランの投げ方である。 リンクは自分の持っているソレと彼を交互に見た。 「リンク、大体分かった」 「ハイ、俺もです」 ウークは、ババラントの弱点と倒し方を知っている様だ。野生の勘とでも言うべきだろうか。 「よし、とどめを刺すなら今だ!」 「やりましょう」 二人は立ち上がったが、マリオはまた座り込んだ。 「くそ、足がっ……!」 「無理しないでください、マリオさん。ここは俺がやります!」 リンクはマリオを守る様に前に出、ウークと同じやり方でブーメランを投げた。 「でりゃあ!」 すると、投げられたブーメランは竜巻を作り出し、ババラントを攻撃しながらこちらへ引き寄せた。 「グ!?」 柱頭の先がリンクの目の前に現れた。その玉は矢張り目玉だ。 「リンク、これを剣で受け取れ!」 「!?」 マリオはファイアボールをリンクのマスターソードへ放った。すると、マスターソードは赤く燃え、パワーアップした。リンクは暫し驚いていたが、直ぐ行動に移った。 「くらええぇっ!」 リンクは炎の刃で、ババラントの目玉を真っ二つにした。 「ギャアアアアァァ……!!」 ババラントは燃え盛る炎に包まれて激しく暴れ回ったが、最終的に真っ黒焦げになり、風化して行った。彼等の前にボトリと落ちた目玉も、そのまま煙となって消えた。 「シャー!!」 「うわあ!」 油断した子リンは、後ろを取ったデクババに餌食にされそうになった。 だが、それもピタリと止まる。子リンは、顔を覆っていた両腕をそっと離した。目の前のデクババがみるみる消滅していった。デクババは全て消えたのだ。 「彼等、やってくれたか」 マーシスは微笑んで剣をしまった。 「ねえ、皆! あれ!」 浮遊しているカービィは森の上から何かを指し示した。森の中心へ、天からの光が差し込まれていた。 「あれは……」 ゼルダは呟いた。 「神の降臨」 毒に染まっていた泉は段々透明色になり、美しい姿を取り戻していった。そして、緑、赤、青、黄色等、様々な色の光の小さな玉が、沢山姿を現した。妖精達である。 リンクは、炎が消えて元に戻ったマスターソードを、片手でクルクルと回しながら鞘におさめた。 「やったな」 「ハイ」 リンクとマリオは、手と手をパシンッと交した。 「あっ」 マリオは気付いた。ババラントの目玉が消えたとこから、虹色に輝く欠片を見付けた。 「ババラントも欠片を持っていたのか」 「俺が行きます」 リンクはそれを拾った。すると、欠片から光が放たれ、リンクの体内ヘ吸い込まれていった。彼も、空間神に選ばれし戦士だったのだ。 「マリオさん……」 リンクは不安になったが、 「大丈夫、自分の力を信じろ」 マリオは笑みをやめないで返事をしてくれた。その自信さに、リンクはホッとした。 「はい」 そこへ、ウークが恐る恐る歩み寄って来ていた。また何か言われそうな気がするのか、少し怯えている。 「ありがとう、ウーク。毛皮コートにしなくて正解だったよ」 マリオは、悪戯っ子な笑顔をしながらウィンクをした。ウークは彼を見ると、照れた顔をしながら頬を掻いた。彼等を見て、微笑ましく思ったリンクだった。 洞窟内に、黄金に輝く光が現れる。マリオ達は泉の方を見た。泉に浮かぶ光の玉には、三つの三角で作られた大きな黄金の三角形があった。 「良くぞハイラルを覆う悪魔を闇へ還した、勇敢なる戦士達よ」 黄金の聖三角形から、女性の美しい声が聞こえてきた。 「私達はトライフォース。ハイラルを見守る神」 「トライフォース……!」 マリオ達は見開いた。 「各々の『世界』には、各々の神が存在します。そして、その神々と世界を作り出し、総てを統治する偉大なる空間神が存在します」 マリオは、自分の持つ欠片を見た。 「空間神の力が欠片と化して衰えている今、悪魔の手に落ちれば、貴方達の世界は滅びるでしょう。欠片の一部が、ギガ軍の手中にあります」 「何だって!? いっつ……!!」 「マリオさんっ」 マリオは立ち上がろうとしたが、足の痛みでひざまずいた。 「それを使い、貴方達より先に空間神の力を手にしようとしています」 「だからクルヴィやディバ達はここまで来れたのか……」 マリオは、冷や汗を流しながらでも考え込んだ。 「時の勇者、リンクよ」 「! ハイ」 ハッとしたリンクはトライフォースに振り向いた。 「これからの戦いの為に、貴方に力を与えましょう」 するとリンクの体が光に包まれ、軈てそれは体内へ吸い込まれる様に消えて行った。 「これからも様々な困難と出会うでしょう。ですが、仲間と共に戦い、悪魔を全て無へ還すのです」 「……はい」 リンクはその場で膝をつき、深々と頭を下げた。 「偉大なる空間神を救い、『世界』を元に戻すのです、選ばれし戦士達よ」 トライフォースはそう言い残し、シュンッと姿を消した。 「……あ? 足が治ってる」 マリオは立ち上がってから気付いた。彼等の傷は、完全に癒えていた。 「リンク、行こうか」 「そうですね」 「ウキッ」 二人と一匹は洞窟を出た。 カカリコ村に戻り、改心したウークは村人と仲良くなった。 ハイラルが本当に平和になったお祝いに、リンクは村の真ん中でオカリナを奏でた。カカリコ村の人々は、既にお祭り気分となっている。 後で分かったことだが、エポナはマリオ達に森に危機を知らせたいが為に、森へ向かったらしい。ババラントの件が解決したと同時、エポナは無事マリオ達のとこへ戻って来た。 「生きていたか」 ガノンドロフはリンク達を見て、苦笑交じりで言った。 「マリオ殿」 「ん、何?」 「実は話しておかねばならぬ事がある」 マーシスとメタナイトは、次元の歪みについてマリオに話した。 「……そうなんだ……」 マリオは腕を組んだ。 「どうりで、子リンの乗る馬が何かかなり大きいなと思ってたんだよね」 と、少し吹き出して見せる。 「この世界のエポナの本当の主人は、リンクと言う事になるのだな」 メタナイトは言った。 「実はさ、こっちも皆に話しておくべき事があるんだよ」 マリオがそう言うと、 「欠片の話か?」 マーシスはマリオより先に応えた。マリオは目を丸くした。 「な、何で分かったのっ?」 「さっき、ディバ達がなぜ各世界を行き来出来るか、その方法を推測したのだ。恐らく、欠片の一部が彼等の手に渡っているのだろう?」 「あ、ああ、そうだよ……」 マリオはポカンとしてしまっていたが、メタナイトは澄ました目でマーシスを見つめていた。 「まあとにかく、一刻を争うって訳さ」 マリオが言うと、二人はコクリと頷いた。 「明日になったらここを出なきゃ……名残惜しいけどね」 心から楽しく演奏をしているリンク達を見ながら、マリオは静かに言った。 ギガのアジト。 「これで漸く動けるな……」 ギガは巨大なカプセルを見ながら肩を震わせる。 身を翻すとラボを出、とある広い部屋のギャラリーへ出た。そこは二階で、一階を見下ろせた。一階の広場にいるのは、紫の体を持つ無数の軍団と、ギガ精鋭部隊だった。無論、無傷状態に戻ったディバ達もそこへ戻って来ていた。彼等を先にマリオ達のいるとこへ向かわせたのはほんの小手調に過ぎず、欠片の力と、それに寄るマリオ達の戦力調査をしていたのである。ギガはそれを元に、更に手下達をパワーアップさせたのだ。 ギガは拳を掲げると声を上げた。 「神を見下す日は近付いている。神など恐れるな!」 「おおおぉ!!」 軍団と部隊は叫んだ。 「神々を跪かせろ! 完全なる闇の世界を築くのだ!」 ギガが叫び、手下達も叫んだ。それは、アジト内から外まで響き渡った。 「闇の世界か。あんま興味ねえな」 ワリオのクローン──サーシュンは軽く溜め息をついた。 「俺様が興味あるのは、マリオだけだからな」 「俺は、楽しければ何でも良いよ」 フォックスのクローン──ガフィは、ニヤリと赤い目を細めて言った。 「……」 ネスのクローン──ラフィットが唯一声を上げていなかった。隣にいるディバは彼を見下ろすと、彼の頭に手をポンッと置いた。ラフィットは、ビクッと肩を上げた。 「心配すんな。今までの特訓を思い出せば、相手はイチコロだ」 ディバは自信ありげに口端を上げていた。それを見たラフィットは、それでも顔を伏せていた。 (ま、それでも『君みたいなクローン』の戦闘力は、皆には劣るけど) ディバは笑顔を絶やさないまま、ラフィットを見てそう思った。 ギガ軍の本格的な動きは、ここからであった──。 ピシッと、コーヒーカップにヒビが入ってしまった。 「あぁっ!」 ロイはキッチンで、大臣の為にコーヒーをいれていたのだが、そのカップが欠けてしまったのに驚く。 「ロイ、どうした。早く行くぞ」 書類を両手で持つマルスがキッチンへ顔を出した。 「……大臣のコーヒーカップが……」 しょんぼりしたロイは、そのカップを見せてみた。マルスはそれを見て、眉間に皺を寄せた。 「決して割れる事は無い筈なんだけどな……」 「……何かの予兆……なのかも知れない……」 二人がそれを見ていると、 「マルス! ロイ!」 二人の元へクレイジーハンドが現れた。 「は、はい!」 「直ぐに王の間へ集まれ。国王陛下がお呼びだ」 「分かりました」 マルスとロイは王の間へ急いで向かった。 玉座に座るマスターハンドは、いつに増して真剣な表情をしていた。 「マルス、ロイ、もしかしたら、最も恐れていた事が起ころうとしているやも知れん」 「えっ? それって……どう言う意味ですか?」 「これから私が言う事を、一刻も早くスマッシュブラザーズに伝えてくれぬか」 「ははっ!」 翌日の朝。 マリオ達はカカリコ村で、次の目的地への準備を整えた。 「子リン、来るか?」 マリオの問いに、子リンは首を縦に振った。 「俺の本当の故郷がここじゃないなら、本当の故郷へ帰ろうと思う」 「それもそうだね。暫く宜しくね」 「ああ」 ふと顔を上げると、村人の前にゼルダが立っていた。 「ゼルダ姫は行かないの?」 「はい。国の再建がまだ途中なので、手伝わなければなりません」 ゼルダは頭を下げた。 「ゼルダ様は私がお守りする。安心して行きなさい」 彼女の隣にいるインパは腕を組みながら言った。マリオは、笑顔で彼女に振り向いた。 「インパさん、色々ありがとうございました」 「これだけは覚えなさい。人は守るものの為に戦うのだと」 インパは微笑んだ。 「あれ? ガノンさんは?」 ポポは首をキョロキョロさせた。気付けばガノンドロフは村からいなくなっていた。 「『長旅は面倒だから取り敢えずハイラルを守ってる』との伝言だ」 スネークはニヤッと言った。それを聞いたスマブラは思わず吹き出した。 「そう言えば、まだ彼に言ってなかったな」 マリオは空に向かって言った。 「ありがとう、ガノンドロフ」 ガノンドロフは空を飛行しているが、彼の今の言葉は小さいながらも聞こえた。チラリと下の森に目線をやると、口端を僅かに上げた。 「可愛い手下の仇を討ってくれたほんの礼だ。それに、俺にしかハイラルの世界を支配する権利は無いからな。それを食い止めようとするリンクと新たに戦う日を、楽しみにしているぞ」 と、聞こえない程度に言い、飛行スピードを上げて山の奥へと消えていった。 「そろそろ行くか」 マリオは欠片を取り出した。リンクは、ゼルダから受け取ったのとで二つの小さな欠片を掲げた。二つの欠片と一つの欠片が掛け合わされた。 欠片は光を放ち、マリオ達を包む。 「ありがとう! また来てねー」 マロンはエポナの隣で、元気な笑顔で手を振った。 ゼルダ達や村人達、町の人々に見守られながら、スマブラは次の世界へと旅立って行った。 マリオ達はまだ気付いていなかった。 ギガ軍との戦いは、これからが本番だと言う事に。 ──第一章:了── |