禁断の惑星での決戦








 静かな宇宙空間にワープゲートが現れた。ゲートの中心から波紋が幾重も浮かび上がり、その中心からグレートフォックスが現れる。母艦を出したゲートは少しずつ薄くなってゆき、やがて消えた。
 グレートフォックスの顔の先には、真っ赤に染まり、わっかが囲んでいる惑星が見えた。

「あれが、禁断の惑星……」
「タイタニアっ」

 メタナイトに続いてマーシスが呟いた。

「滅んだ星だけあって色がグロテスクだねー」

 そんなことを言っているカービィだが、見たところ興奮していると見た。

「待って、フォックス」
「どうした、クリスタル?」

 クリスタルは静かに胸に両手を当て、フッと瞼を閉じた。暫くして瞼を開くと、彼女は話した。

「惑星の周りを護衛している敵が何体かいるわ」
「うぅ、しつこいなぁっ」

 マリオはぶるぶる震えている。いわゆる武者震いと言う奴であろう。

「フォックス、どうする?」

 フォックスは前方を見ながら、口端をニヤッと上げた。

「侵入の邪魔をするなら、こちらも護衛の邪魔をしてやるさ」
「じゃあ……行くっきゃないよな?」

 マリオは拳を握りながらウィンクをした。フォックスも振り返ると、頭を縦に動かした。

「俺とファルコとスリッピー、そしてクリスタルがアーウィンに乗る。良いな?」
「OKだ。空は任せろ!」
「ええ。分かったわ」
「ようし、頑張るぞー」

 ファルコは両手を広げ、クリスタルは頷き、スリッピーはガッツポーズをして各々返事をした。

「よしっ。カービィ、僕達も行くぞっ」
「うんっ!」

 マリオがカービィに言うと、カービィはフワリと浮遊して返事をした。

「後の皆は地上戦の準備をしておいてっ」
「分かりましたっ」
「確り頼むぞ」

 リンクとスネークはそう返事をした。

「よっし! 皆、行くぞ!」




 グレートフォックスから、四機のアーウィン、そしてマントを付けたマリオと、ワープスターに乗るカービィが飛び出した。六つの光が宇宙空間を隕石の如く駆け抜ける。
 タイタニアへ近付くと、マリオ達の前に艦隊やアパロイドの集団が通せんぼをしてきた。敵達はマリオ達を見付けるとすかさずレーザーを連射してくる。今までの経験を活かす彼等はその攻撃を難無く避けた。

「どっけえぇ!」

 フォックスはブーストを使い、艦隊へ向かってボムを発射した。それが敵に当たる直前にフォックスは直ぐにそこを通り過ぎる。ボムは大爆発を起こし、艦隊を全て巻き込んだ。
 クリスタルは、逃げながら攻撃して来るアパロイドを追い掛ける。そのままレーザーを浴びせ、破壊した。

「敵機撃墜!」
「オイラも行くよーっ!」

 スリッピーは操縦菅を握り直すとスピードを上げた。向こうから蛾型アパロイドが飛んで来て、彼に向かって一回り大きい高速レーザーを撃ち放つ。スリッピーはぎりぎりでレーザーを避けていった。

「あぶないなあ! このこのー!」

 今度はこちらの番とスリッピーはハイパーレーザーを連射したが、アパロイドは赤玉のある殻を閉じるとそれを避けた。

「ああ! チクショー、弱点を塞いじゃったよー」

 スリッピーは悔しがりながら通り過ぎた。
 そこへ、スリッピーを横切った光があった。それはカービィで、カービィはソードを構えていた。

「とりゃああぁ!」

 カービィはアパロイドへ、思い切り横へソードを一振りした。すると、アパロイドの蓋が切れ、赤い玉がさらけ出す。

「ギイイィィ!」

 相当な激痛が走ったか、アパロイドは超音波並の悲鳴を上げた。
 その直後にスリッピーのレーザーがアパロイドの弱点にヒットし、彼はその場を離れる。アパロイドはもがきながら爆破された。

「ファルコ、行くぞ!」

 マリオはファルコより先に飛んでいった。

「俺みてえに、あまり無茶するなよ?」

 相手に聞こえない様に態々通信を一旦切ってから、ファルコはそう呟いてみた。
 マリオ達の目の前に蜂の様なアパロイドが何匹か現れた。
 アパロイドはハリミサイルを連射して来たが、マリオは華麗な動きでそれを避けていく。

「とお!」

 気合いを入れて拳を突きだし、アパロイドの腹へめり込ませた。それでも奴は懲りずに針攻撃を仕掛けようとしたが、

「とどめのファイアー!!」

 と、マリオが叫ぶと、めり込ませた拳から炎を吹き上がらせた。炎はアパロイドを包み、そして爆発した。

「ウオラアアアアアァァ!!」

 ファルコは操縦菅を一気に前へ倒し、アーウィンのスピードをグンッと上げた。アパロイドは針を何発も繰り出すが、ファルコはローリングを使ってあちこちに緊急回避をした。

「エースパイロットを舐めんじゃねええええええ!」

 ファルコのアーウィンは、スピードを上げたままアパロイドを貫通した。そして小爆発し、宇宙のもくずとなって消え去った。

「へっ。そんなんで俺達の敵になったなんてな」
「……普通、宇宙空間で火は使えないと思うんだけど……」

 クリスタルはマリオを見て何気無く突っ込んでしまった。そこへフォックスから通信が入る。

「クリスタル、カービィも見てみな」

 言われた通りにカービィを見た。炎で己を包み、敵に突進しているカービィが目に入った。

「……わ、分かってるわよっ。常識を捨てれば良いんでしょ?」

 未だ慣れていない為に溜め息をつく。そして通信を切り、アーウィンを動かす。

「よし。大分片付いたみたいだなっ」

 マリオは見回した後、タイタニアへ顔を向けた。

「行っくぞ、皆!」

 マリオは待ちきれないのか、言いながら飛んで行ってしまった。カービィもワープスターであちこち飛行しながらマリオの後を進んで行った。
 フォックスも辺りを見た後、サングラスを掛け、確りと前方を見た。

「スターフォックス、これより大気圏へ突入するっ!」

 フォックスに続いてブーストで突入していくスターフォックス。後にグレートフォックスもタイタニアへ突入した。
 先に行くマリオは、外気圏へ入る直前に迫った。一気に熱が体を襲う。流石のマリオも少し顔を歪ませた。

「大丈夫、隊長?」

 カービィはマリオの横を飛んでいる。本人は平気らしい。

「ああ。大丈夫だっ」

 少し苦痛な顔をしているが、カービィにはウィンクをして見せた。

(頼むぞ、僕の相棒……!)

 マントの裾をギュッと握り、祈りを込めた。そして、バッと自分の前へと持って来た。
 外気圏へ入ると、スピードの速いマリオやカービィの回りを炎が突き抜ける。普通ならば、温度が非常に高い外気圏へ入った時点で燃え尽きてしまうものなのだが、まだマリオ達は少しも燃えていない。

「くっ……!」

 防具でもあるマントに守られている彼だが、マントが少しでもずれればおしまいだと言い聞かせた。風に寄ってマントは激しく動くが、マリオの前方は何とか死守していた。まるで意思があるみたいに。

「うおおおぉぉ!!」

 そして、段々スピードを上げていく彼等は漸く熱い圏を越え、かなりのスピードで赤い地面が見えて来たのに気付く。

「わわわああぁ!」

 マリオは慌てて急ブレーキを掛けたが、もう遅い。一気にそこから砂埃が吹き上がった。カービィはワープスターから飛び下り、マリオの側まで駆け寄る。

「た、隊長! 大丈夫!?」

 砂埃が晴れた後に、地面に上半身を埋めて足をバタバタさせているマリオが現れた。マリオは地面に膝を何とかつけると、上半身を思い切り引き抜いた。息を吸い、顔をブンブン振った。
 タイタニアの大地は赤い砂漠で、空も夕方並の赤い空だった。中には廃墟になった、崩れ掛けの古い建物も所々にある。

「うぅ。一寸行き過ぎた……」

 くらくらする頭を必死で押さえた。

「!!」

 今、その瞬間が命取りだった。マリオとカービィは地面を蹴って素早くそこから離れる。彼等がいた所に、爪先が鋭い四本足を持った、巨大な紫のアパロイドが現れた。

「やっぱりアパロイドさんのご登場かっ!」

 マリオはそいつへ向かう。
 アパロイドは黒い弾を作り出して発射させたが、マリオは軽々と避け、そいつを思い切り蹴り飛ばした。蹴られた敵は砂の壁に激突した。

「ふん、軽い軽いっ」

 マリオは手をパンパン叩いて埃を取った。

『マリオ、聞こえるか?』
「! ペッピーか?」
『今はそいつらに構わなくて良い! 本拠地はこの先を真っ直ぐ行ったとこにある。ここの辺りはワシらに任せろ』
『頼んだぞ、マリオ!』
「フォックス……」
『てめぇらだけじゃ放っておけねえ。援護してやるぜ』
「!」

 他の者から声がし、見上げると、赤い戦闘機が目に入った。

「スターウルフ!」
『この星に本拠地があるのに間違いねえなら、さっさと行くんだ。でねぇと、ライラット系にまた魔の手が伸びるだろうぜ』
「ウルフさんの言う通りですっ」

 リンクの声が間近に聞こえ、マリオ達は振り向くと、既に地上に立っている残りのスマブラがいた。

「行こう、マリオ殿。もう時間がないのだ」
「本拠地が近いせいか、子リン達を蝕む因子の進行が早くなったのだ」
「何だって!?」

 それを聞いたマリオ達は顔を青ざめた。
 だがそんな暇もない。マリオは気持ちを確り切り換え、クルッと前を向いた。

「行くぞ、皆! 最後の戦いだ!」
「オーッ!!」

 マリオ達は走り出した。真っ直ぐならば、突き進むしかない。
 途中で敵が立ち塞がるが、それはグレートフォックスやスターフォックス、そしてスターウルフが次々と倒してくれている。だが時折空中戦になり、その時はマリオ達が地上の敵を倒していった。
 リンクは横を小さな石が数個か落ちてくる音を聞き、横を見てみた。廃墟の細長いビルが、アパロイドに寄って倒れてきたのだ。

「うわあぁ!」
「リンク!」

 マリオは急ブレーキをして即刻Uターンをし、リンクに体当たりをした。そして、マーシスとメタナイトがジャンプをすると剣を引き抜きビルをバラバラに切り裂いた。スネークはスティンガーを構え、そのアパロイドを難無く破壊した。

「リンク、大丈夫かっ?」
「ピッカ……!」
「は、はい。ありがとうございます」

 皆で協力し、走って走って走り抜く。どれくらい時間が経ったか、誰も気にする者はいなかった。
 暫く走っていると、パペトゥーンで見た基地の影が地平線から顔を出した。

「! フォックス!」
「……間違いない。奴らの基地だ!」
「よーし、突撃ぃ!」

 漸く基地の前まで来た時だ。

「!!」

 全員、恐ろしい程の殺気を感じると思わず立ち止まった。強い風が吹いていて、砂埃が立ち込める。

「あら、もうこんなとこまで来ちゃったんだね?」

 基地の入り口の上で、数人かの影が立っていた。影の正体は、ギガ精鋭部隊である。

「ディバ!」
「ほんっと、なっがーい距離なのに、やっぱり早く来ちゃうものなんだな」

 ディバは言った。

「まだアパロイドマザーは未完成なままなのにな」

 ガフィは腕を組む。

「だから、彼は最後の手段を取った訳なんだよね?」

 ラフィットは気弱で語った。

「流石、あの男は色々な意味で天才ですよね」

 ミエールはクスクス笑った。

「最後の手段? な、何だそれはっ!」

 マリオは指をビシッと突き付けた。

「あの天才科学者さん、アパロイドのママが蘇らなかったら、自らの魂を捧げるってさっき言ってたのさ」

 デークはつまらなさそうに答えた。

「それはつまり」

 マーシスは前に出た。

「未完成の部分を自らで埋めると言うことか!?」
「お。鋭いねぇ……ま、どうなっても僕達の知ったことじゃないけどね」

 ディバはクスクスと苦笑した。

「どの道、あの愚かな科学者は既にアパロイドマザーと融合した。本当のお楽しみは、これからだぜ……!」

 ディバはニィッと歯を見せ、ギガ軍はその場から消えた。その直後、基地が一気に崩れ落ちる。マリオ達が急いでそこから離れると、彼等がいたとこも基地が崩れてきたのである。
 基地を崩したのはアパロイドの影なのだが、今までのと比べ物にならない程に巨大で、離れていったマリオ達も見上げてしまっていた。
 浮遊しているそいつは全体的に黒色で、体はトゲトゲしており、真ん中に一つの目玉がある。目玉の周りには四つの赤い玉があり、体の外側には、グロテスクな数本の触手がウネウネしていた。

「な。あれが……」
「アパロイド……マザー……!?」

 マリオとリンクは順番に言った。

「あの一部が……奴に寄って作り出されたのか……!」

 信じられないとフォックスは驚愕した。

「科学者、か。大体予想はつくな。相変わらず、狂った男だぜ」

 ファルコは冷や汗を流して言った。

「ククク……待っていたぞ……」

 アパロイドマザーから低い声が聞こえた。

「この宇宙を支配するのは……この私だ……」
「アンドルフ! 生きていたのか!」

 ペッピーは叫んだ。

「ったく、しつけえ奴だな」

 ファルコは眉根を寄せながら溜め息を吐いた。

「何か、気持ち悪いよぉ……」
「ピ、ピカ……ッ」

 ピカチュウと、虫が若干苦手はカービィは、ソードを片手に僅かに震えている。

「……皆!!」

 マリオは叫んだ。

「こいつを倒して、フォックス達の世界を救うんだ!」

 何を思っても、戦うことを決して忘れないスマブラ。全員武器やらを構え、アパロイドマザーを睨んだ。
 マリオはピカチュウと共に飛び立つ。敵は黒い触手を振り上げ、一気に振り下ろしてくる。マリオはそれを避けるが、一度振り下ろされた触手が再び振り上がって来た。マリオはそれを何とか掴むと、ピカチュウはその触手に飛び乗った。

「ピイィィカアアァ……チュウウゥゥー!!」

 思い切り電撃を浴びせると、一本の触手が電気を受ける。そしてマリオが上からそれを蹴り落とした。ピカチュウは反動で宙に浮くが、マリオの肩に戻った。
 スネークとリンクは危うく避け、触手が地面へ叩き付けられる。

「うおおぉ!!」

 リンクは触手を伝って走り、懐からフックショットと言う、物に差して引き寄せるアイテムを右手で取り出した。アパロイドに向けて発射させると、フックショットはそれに刺さり、リンクを引き寄せた。リンクは左手に剣を握り、スピードを利用して赤い玉に突き刺した。

「キイイィィ……!!」

 赤い玉にヒビが入り、粉々に砕け散った。だがまだ動けるアパロイドマザーは、触手でリンクの体に巻き付いた。

「!! うわああぁぁぁー!」

 触手は空へとリンクを投げ飛ばし、体から小型ミサイルを数発発射させた。

「リンク! くっそお!」

 マリオはミサイルへファイアボールを撃ち放った。全てミサイルへ当たり、爆発して消滅した。

「リンク!!」

 フォックスはアーウィンをリンクへ向け、ブーストを出した。彼を追いながら近付くと、リンクはアーウィンの翼に見事に乗ったのである。

「フォックス! 流石だな。ありがとう」

 リンクは翼に乗りながらフォックスに微笑んだ。

「何とか間に合ったみたいだな。振り落とされるなよっ」
「暴れていたエポナも乗りこなした俺をなめるなよっ」

 フォックスは方向転換をし、リンクを連れてアパロイドマザーへ向かう。

「まだアパロイドマザーの力は弱まってないわ。あの赤い玉を四つ全て壊さないと!」

 クリスタルはアパロイドマザーを見ながら言った。

「なら、壊してみせるさ」

 スネークは、スティンガーを構えると駆け出した。アパロイドマザーは彼を睨むと、先程のミサイルを放った。スネークはそれらをかわしながら、こちらからも射撃をする。アパロイドマザーの二つ目の赤い玉に命中し、それはシャッターの様なもので閉じられた。
 だがスネークは、すぐ近くに残りのミサイルが放たれていたのに気付かなかった。

「うお! くそ、油断した……っ」

 大ダメージには及ばなかったが、スネークは一度倒れてしまった。

「スネーク殿、大丈夫か!」

 触手を切り裂いたばかりのマーシスは慌てて彼へ駆け寄った。スネークは多少よろめきながらも立ち上がった。

「ああ、何とか生きてる。こう言う未知なるモンスターと戦うには、まだまだ経験不足だからな」
「ここは私達に任せるんだ。メタナイト、翼は大丈夫か?」
「昨日休んだお陰か、大分回復している。いつでも飛べるぞ」

 マーシスは頷くと、高々とジャンプした。メタナイトは翼を広げ、飛び立ち、マーシスは彼の背中に足を乗せた。

「キシャアアァ!」
「! 二人とも気を付けて!」

 クリスタルは叫んだ。二人も、アパロイドマザーの目から巨大なエネルギーを感じている。そして、その目からオレンジ色の巨大なビームが二人に向かって発射された。

「はぁ!!」

 二人は掛け声を放つとメタナイトは降下し、マーシスは更にジャンプした。二人の間をビームが通過し、正に危機一髪だった。

「これを喰らうが良い!」

 マーシスは剣を後ろへ向けた後、直ぐに前へ投げた。彼の投げた剣はかなりのスピードで、誰にでも中々見きる事が出来ない程だ。そして剣は、アパロイドマザーの赤い玉へ命中した。

「ギャアアァ!」

 アパロイドマザーは悲鳴を上げ、ダメージを受けた赤い玉のシャッターみたいな蓋を閉じようとする。マーシスはグイッと腕を引くと、剣が独りでに引き抜かれ、彼の手に戻った。
 彼はこの時空中だったが、飛んできたメタナイトに乗った。

「リンク、確り狙えよ!」
「ああっ」

 リンクは、アパロイドマザーに向かって飛んで行くアーウィンの翼の上で弓矢を構えている。その矢先は赤く燃えていた。

「させるものかぁっ!!」

 アンドルフの声が聞こえ、数本の触手が彼等に一斉攻撃を始めた。

「うわわっ」

 フォックスやマリオ達は慌てて避けるが、中々触手は攻撃を止めようとしない。

「くそっ。このままじゃ最後の赤い玉に攻撃が出来ない! どうするっ……」

 マリオは避けながら考えた。そして何かを思い付くと、ピンと来たと言った顔になった。

「リンク! 上へ向かって射るんだ!」

 ここからじゃ声が届かないので、インカムを使った。

「上にですか?」
「これは恐らく、今しかチャンスがない作戦だっ。賭けるしかない」
「マリオさん?」
「大丈夫っ。僕を信じるんだ。そして、自分も信じるんだ、リンクっ」
「……わ、分かりました。行きますよっ」

 戸惑っていたリンクだが、言われた通り、上に向かって矢を放った。

「愚かな。どこを狙っている?」

 アパロイドマザーことアンドルフは、リンクの矢を目で見上げた。

「! 何!?」

 矢のターゲットはマリオだった。マリオはそこから動かず、リンクの矢がこちらへ来るのを見ていた。

(馬鹿なっ。死ぬつもりか! それとも何かの作戦か?)
「させん!」

 触手が矢とマリオを追う。
 そのスピードは速く、あっと言う間に矢に巻き付いた。振り回された矢は先の炎を風で消し去ってしまった。

「あっ! ヤバい!」

 予想外だったか、マリオは驚き焦っていた。

「望みの通り……緑の勇者の矢をくれてやるわ!」

 触手が縦に振り下ろされると、矢が見えなくなってしまった。そして気付けば、マリオは右肩を一段と熱く感じた。見てみると、右肩にアンドルフが放ったリンクの矢が突き刺さっていた。

「うぅわああぁ!!」

 さっきまで炎を纏っていた為に思わぬ激痛が走り、叫ばずにはいられなかった。

「ピカピイィーッ!」

 ピカチュウも酷く驚き、涙目で声を上げた。

「そろそろ終わりにしてやろう。スマッシュブラザーズの隊長とやら!」

 触手がマリオやピカチュウに巻き付く。

「くっ! 畜生っ……油断させてはマントで跳ね返そうとした作戦だったのに……!」
「ピィカッ……」
「隊長! うわぁ!」

 油断したカービィは触手に叩き落とされる。地面にぽてっぽてっとバウンドし、気を失ってしまった。

「カービィ! マリオ! くっそ!」

 ファルコはアーウィンを動かしてそこへ向かおうとしたが、目の前にアパロイドが現れて行く手を阻む。

「ちぃっ! どうしても遊んで貰いたいみてえだな……っ!」
「このままじゃマリオが負けちゃうよ!」

 スリッピーも彼等を見るとかなり焦った。

「遊びは終わりだ。このまま絞め殺してくれる!」
「く……遊びは、終わり? それはっ……こっちの台詞だよ」

 マリオは息苦しい中でも口端を吊り上げる。

「何?」

 アンドルフは理解できず、そんな返事をした。
 マリオは触手を掴むと、彼に何のことかを教えてやった。

「僕達にばかり気を取られると命取りって訳だ!」
「でああぁ!!」

 アーウィンに乗っているフォックスとリンクは同時に叫ぶ。彼等はアパロイドマザーの直ぐ近くまで来ていた。

「!? し、しまった!」
「くらえ、アパロイドマザー!」

 確りと弓矢を構えたリンクは、矢を思い切り放った。炎を吹き出しながら矢が真っ直ぐに飛んで行く。そして、最後の赤い玉に命中した。

「ギアアァァーッ!」

 全ての赤い玉がシャッターの様な瞼で閉じられ、マリオ達を縛っていた触手も全て消滅した。
 四つの赤い玉の中心からは蛇の様な黒い物体が現れた。だが頭の先は黄色い目玉で、口など無い。しかもかなり暴れていて、辺りへ鞭の様に振っていた。

「うわっ!」

 フォックスは、避けながらそこから一旦離れた。

「くっ」

 スネークはダッシュしてカービィの手を掴むとローリングをした。カービィは危うく、アパロイドマザーの攻撃の餌食になる所だった。

「今よ、マリオ! とどめをさすの!」

 クリスタルは叫んだ。

「やつの弱点は、あの蛇の先の目玉よ!」
「よーし分かった。じゃあ、行っくぜーっ」

 マリオは(右肩をやられている為)左拳をギュッと堅く握り締めた。拳が光と炎に包まれる。

「トドメだ! アンドルフ! アパロイドマザー!!」

 アパロイドマザーの目玉はマリオの拳に見開く。マリオはスマッシュパンチを一気にかまそうとした。

「やったね! これで奴も終わりだ!」

 スリッピーははしゃいだ。勝利は目前だと、スマブラやスターフォックス、スターウルフは思っていた。
 だがマリオは、パンチをする直前にいきなり静止してしまった。彼の一撃でトドメが刺されるつもりだった。それなのに……。

「? マリオ?」

 フォックスは呼び掛けるが、マリオは冷や汗を流しながら動かない。

「どうした、マリオ! 早くトドメを刺せ!!」

 ファルコは叫ぶが、反応は返って来ない。

「……」

 マリオのインカムに、誰かの声が聞こえて来た。久しぶりに聞いた声にマリオは思わず技を止めてしまった。その声は、

 ──マリオさん、やめるんだ!
 ──これ以上、マリオしゃん達が傷付くのを見たくないんでしゅ!
 ──ピィ! ピチュー!
(子リンにプリン……それに、ピチューまで……?)

 彼等のあまりにも懇願な声がマリオの脳内へ入り込んでくる。それらの声は彼にしか届いていないらしく、他の者は戸惑うばかりだった。

 ──マリオさん、もうやめて欲しいんだっ!
「子リン……」
 ──ピチュ、ピッピチュー!
 ──もう十分に戦ったでしゅっ! 一緒に帰りましゅ……。
「ピチューにプリン……っ」
「マリオ! 何だか知らないが、目を覚ましてくれ!」
「畜生っ……一体、どうしちまったんだ……っ!」

 フォックスとファルコは、見開きながらマリオを見る。少なくとも、ここにいる仲間は皆ファルコと同じ気持ちであるのは事実だった。
 一体、勝負の行方はどうなってしまうのか。










 ──to be continued──