声








「どうなってるんだよぉ! マリオの様子が変だ……っ!」

 スリッピーは、泣きそうな顔でオロオロしていた。

「クリスタル!」
「ええ。分かっているわ」

 フォックスはクリスタルに振り向き、クリスタルは頷くとマリオを見つめた。

「! マリオは恐らく、誰かの声に止められているわ」
「誰かに止められているだとっ」

 スネークはマリオに目を細めた。

「フォックス!」

 ウルフは険しい目でフォックスを呼んだ。

「ウルフっ!」
「怯んでいるボスにとどめを刺すのは今しかねえっ。どんな状況であろうと、マリオの戦意を喪失させる訳にはいかない!」
「分かってるさ!」

 フォックスはリンクを下ろし、マリオのとこへアーウィンを向かわせた。
 マリオは攻撃することを忘れ掛けていた。クリスタルの言う通り、誰かの声に止められている為である。喋れない状態な彼等の声を聞いているからで。

(何故だ……子リン達の声で……体が戦いを拒んでいるっ……)

 マリオも、それに関しては不思議な感覚を抱いていた。止めている声に魔法が掛けられているんだと思ってしまう。

(くそ! 後少しだって言うのにっ! このまま、終わってしまうのだろうか……っ)

 仲間達の哀願な声に、マリオは目を閉じた。そしてうつ向き、握っていた拳から力が抜け掛ける。マリオは完全に戦意を失いそうになっていた。

「……ませ……」

 その時、彼のインカムに、別の声が聞こえて来た。それに気付いたマリオは、ハッと開眼した。不思議な空間の中で、聞いたことのない男性の声を聞く。

「赤帽子のスマッシュ戦士よ、目を覚ませ。彼等の声に騙されてはいけない!」
「! 誰だ?」

 様々な明るい色で鮮やかに彩られている捻れた空間に、一つの影を見付けた。それは、戦闘機アーウィンに極似している。もしかしたら、アーウィンそのものなのかも知れない。
 そして、その機体に乗っている者は、シルエットであるが、形はフォックスに似ていた。しかし、声からしてフォックスそのものでは無い。それに、あの僅かに欠けた片耳──マリオは、パペトゥーンの墓地で一瞬だけ見かけた男と同じだと分かった。

「戦士よ、アパロイドマザーに騙されてはいけない」
「アパロイドマザー? ど、どう言う意味だっ?」
「奴は、アパロイドの因子から情報を全て己の体内に取り込む能力を持っている。君の仲間達も、その因子に情報を盗まれたんだ」
「因子……あ!」

 マリオには心当たりがあった。子リン達を蝕んでいる、六角形の形をしたものを思い出した。

「スマッシュ戦士よ、戦友から私へ授けてくれた言葉だ。どうか忘れないで欲しい」
「戦友から?」
「……『いざって時には迷わず行動しろ』」
「……」

 マリオは黙ってアーウィンらしき影を見ていた。

「私は行くとしよう。息子を頼んだぞ」

 男はそう言い残し、アーウィンは向こうへ飛んで行った。

「マリオっ!」

 突然近くで声がし、マリオはハッとした。気が付くと現実の世界に戻っていて、隣にはアーウィンがあった。そのアーウィンに乗っているのは、フォックスである。

「どうしたんだ、マリオ? 目を覚ませ!」
「……」
 ──スマッシュ戦士よ、目を覚ませ。

 ふと、さっきの男の声が脳内に蘇った。

「マリオ?」
「あ、ああ。ゴメン、フォックス。僕はもう大丈夫だっ」
「! ほ、本当かっ?」
「突如、夢を見てたみたいだ……おし!」

 マリオは改めて、左の握り拳にギュッと力を入れた。そして再び光と炎にそれが包まれる。

「何!?」

 アパロイドマザーの目が、マリオの技を見つめていた。

「もう騙されないぞ、アパロイドマザー! 覚悟しろ!」

 マリオは、フォックスの翼に乗りながら、左拳を後ろへ引かせる。

「くらえぇ!」

 フォックスはハイパーレーザーを連射した。レーザーは外すこと無く、アパロイドマザーの目に当たった。

「グオオォ!」
「でやああああぁぁぁっ!!」

 エネルギーに包まれたマリオのパンチが、アパロイドマザーの目玉にぶち当たった。そこから強い光が放たれ、辺りは白と黒にくっきり分かれた世界になった。

「アアアアアァァァーッ!!」

 敗北するアパロイドマザーから女性の様な悲鳴が響き渡った。

「おのれえぇ! き、貴様らごときにいいいぃぃっ!!」

 アンドルフは雄叫びを上げ、アパロイドマザーから光の筋があちこち現れると、そのまま爆発した。




 その時、眠っている子リン達の体を蝕む、アパロイドの因子が綺麗さっぱり消えた。

「!」

 それを感じた子リンはパチッと目を覚まし、上半身を起こした。辺りを二、三度程見回すと、プリン達が目に入った。彼女達からもアパロイドの因子が跡形もなく消え、プリン達は今は気持ち良さそうにスヤスやと寝息を立てて眠っていた。子リンはアパロイドに襲われた直後から意識を飛ばしていたが、今は何だか心から安心した気がし、彼女達に優しく微笑んだ。




「はぁ! はぁ、はぁ……!」

 地面に仰向けで大の字を作り、マリオは息を整える。

「やったぁ! マリオはやっぱり凄いや!」

 スリッピーは笑いながら言った。

「もうアパロイドが復活することは無いでしょうね」

 クリスタルは言った。

「コーネリア軍も全滅は免れた。皆、本当に良くやってくれた」

 ペッピーはモニターを見ていた。

「ったく、敵に回せない隊長だぜ」

 ファルコは微笑んで肩をすくめた。

「やれやれ。死に恐怖しない詰まらん者共を相手にしてしまった」

 血が好きなレオンは、しんから溜め息をついていた。

「俺は中々スリルがあって楽しめたがね。可愛い手下達の仇も取れたんだしな」

 パンサーは言った。

「……フォックス」

 ウルフは密かに呟いた。無論、本人には聞こえてはいない。

「てめえも貴様の親父に大分似てきたな。次に会った時は、今度こそ決着をつけてやるぜ」

 そして、スターウルフは空の彼方へと飛んで行き、一瞬の小さな光を放って消えていった。

「ウルフ……」

 フォックスはスターウルフを、アーウィンの中から静かに見送った。

「マリオさん、大丈夫ですか?」

 リンクは彼の側で膝をついた。マリオは彼に向くと、口端を上げてみせた。

「ハハッ。やっぱりこの力を使うにゃ、まだまだ修行が足りないや」
「……!」

 フォックスは、アパロイドマザーが消滅した場所に小さな光が放たれたのを見た。その場に着陸し、ヒラリと飛び下りる。近付いてみると、それは小さな欠片だと言う事が分かった。
 フォックスはそれを拾い上げた。すると、

「わっ!」

 欠片から優しい光が放たれ、フォックスの体を包みながら、彼の体内へ入っていった。

「フォックスっ」

 彼の異変に気付いたマリオ達は、立ち上がると彼のもとへ向かった。

「マリオ、これが、欠片の力か?」
「ああ、そうだ」
「フォックスも選ばれた戦士なんだな」

 二人は嬉しそうにしていた。フォックスも欠片を見つめ、ギュッと握り締めた。

「さて」

 マリオは、ずれた帽子のつばをクイッと直した。

「これでライラット系は救われたんだね。無事に欠片も取り戻せたし」
「めでたしめでたしってか? スマブラは本当おめでたいねぇ」
「!!」

 聞こえた奴の声に、スマブラ達は酷く驚いた。
 上空に、ディバが見えない床にいる様に浮遊していた。おまけに、欠片を片手で軽く上に投げている。

「ディバ! やっぱり欠片を持っていたんだな!?」

 マリオが指を差し声を上げ、ディバはそんな彼に苦笑を零した。

「ひひっ! 僕達と君達は、欠片がある限り離れられない宿敵同士だからね」
「く……!!」
「無理にもう一つのそれを奪うつもりは無い。まだまだ君達と戦っていたいからねえ。じゃ、またな。あ・ば・よ!」

 そしてディバは、瞬間移動する様に消え去った。

「ギガ軍の野郎……っ。油断出来ない連中だ」

 ファルコは歯をくいしばった。

(……ハイラルの女神達が言ってたけれど、本当にアイツ等は欠片を持っていたんだな……)

 マリオはディバ達が消えて行った場所を見ながら、握り拳を震わせた。

「……」
「んっ?」

 マーシスは気付いた、リンクが片手で自分の顔を覆っていることに。

「リンク殿、如何した?」
「あっ。マーシスさん」

 彼の声にハッとしたリンクはマーシスを見た。

「気分が優れないのなら、グレートフォックスに戻った方が良い」
「そうですね。実は本当に気分がよくないんです……インカムに使い慣れないからか、変な気分で……」
「そうか。では先に休んだ方が良いな」
「はい」

 リンクは元気無く返事をし、そしてグレートフォックスへ歩を進めていった。

「リンク」

 ファルコの声が聞こえ、リンクは足を止めた。直ぐ隣には、ファルコのアーウィンがあった。

「俺もグレートフォックスに戻る。乗ってくか?」
「え?……正かその翼に乗れと言うつもりじゃ……」
「んな訳ねーだろうが。ちゃんと二人乗りにもなっているんだぞ、こいつは」
「そうなんですか……ふふっ。じゃあ、遠慮なく。もしかするとファルコさんは、プリンの為に?」
「……ぬかせっ」

 顔を反らすファルコにリンクは笑みを浮かべ、アーウィンに乗った。

「フォックス」
「何?」

 マリオがこそっと呼んでみると、フォックスは直ぐに振り向いた。少しの間マリオは彼を見ていたが、後に軽く首を左右に振った。

「いやっ、やっぱ何でもないや……」

 『あの時』のことを話そうとしたが、やめることにした。正かな……と、心の中でも小声で溢した。

「何だよマリオ、ハッキリ言えよ」

 フォックスは吹き出した。

「ウルフもずっと前に言ってたんだ、『いざって時には迷わず行動しろ』ってな」
「えっ……」

 マリオがかなり驚いていたので、フォックスも一瞬ハテナが頭から出たが、直ぐに笑って頷いた。

「昔、父さんにも言っていた言葉みたいなんだけどね」
「そうなのか」

 矢張り、捻れた空間でマリオに会ったのは……。

「ごめん、フォックス。やっぱり本当に何でも無いから」
「……そうか。
 ──さて、そろそろ行こうか」

 フォックスは歩き出した。

「いつまでもこんな空気の薄い場所にいたら、俺達がもたないからな」
「……そうだな。じゃ、おさらばするか」

 マリオ達はグレートフォックスの方を向き、振り返ること無く歩き去った。




 グレートフォックスが、コーネリアへ向けて宇宙空間を飛行している時。

「ファルコしゃーん!」
「プリンッ! おわっと!」

 通路の途中で、プリンはファルコを見付けると、涙を溢しながら直ぐに飛び付いてきた。ファルコは慌てて抱き止めるが、風船ポケモンの彼女はとても軽く、容易に受け止めることが出来た。

「あっ! マリオしゃんにフォックスしゃん!」
「プリン……皆、元気になったんだね」
「ああ。この通り、ピンピンしているぜっ」
「ピィッチュ!」

 後に来たマリオ達は笑顔だった。仲間達がこうして元気になったから、どれだけ今は幸福だろう。
 そして次にこの場へ現れたのはスネークだった。

「あ、スネークっ」
「やれやれ。またあんなでかい化け物と今後対決するなら、俺はもうもたないかもな」

 スネークは歩きながら軽く肩をすくめた。

「まっ、直に慣れるんじゃね?」

 ファルコはニヤリと言った。

「欠片がバラバラになっている今、ギガ軍もそれを狙っているからな。どんな手口を使うんだか……」

 フォックスは腰に手を当てる。

「所でリンクは?」

 マリオはふとファルコに尋ねた。

「あ? 何がだ」
「何か凄く疲れていたみたいだから、心配でね……」
「ああ。あいつならちゃんと休ませてる。でも、普通に疲労を溜めてる様には見えねえな……」
「! どう言う事だ?」

 マリオ達が一斉にこっちを見るとは思わず、ファルコは若干驚いてしまった。

「ま、まあ、ただの勘だけどな。俺にはそう見えるだけだ」
「でも、ファルコの勘は良く当たるからな。後で様子を見に行くよ」
「マリオ、俺も行って良いか?」
「ああ。全然構わないよ、フォックス」

 マリオとフォックスはリンクのもとへ向かった。




 その頃、スマッシュ王国では……。

「……」

 城内の図書室の奥で、マルスがある本に、真剣に目を通していた。その本はとても古く、彼が取り出した時は埃まみれになっていた。
 そこへ、彼を探していたロイが図書室へ入る。

「マルス王子」
「! ああ、ロイ。どうしたんだい?」

 一人で静かだったので、突然の声にマルスは肩を上げた。

「王子の姿を見かけないなと思いまして……何をしているんです、こんなとこで?」
「いや、ね。空間神の宝玉のことを僕なりに調べてみようかなって思って」
「そうですか……それで、何か分かりました?」

 ロイは歩み寄りながら訊いた。マルスは少し難しい顔をしながら本へ目線を戻す。

「うん……何かね、ちょっと気になる内容を見付けたんだ」
「気になる内容を?」
「この本に寄ると、宝玉は光と闇の力を秘めているみたいなんだ」
「え!? 光だけでなく、闇の力も……ですか」
「戦士達の心の中には光と闇、もしくはどちらかの力がある。だから宝玉でその力を目覚めさせるんだ」
「もし、闇の力が目覚めてしまったら……」

 ロイは恐る恐る聞いた。マルスは少しの間黙っていたが、話す前に本をパタンッと閉じた。

「闇の戦士なら多分問題は無いね。けど、光の戦士の中にある闇の力が目覚めたら、体と心が相反し、制御出来なくなるかも知れない」
「そんなっ! 僕は闇の力がいかなるものか理解し尽してる。そんな事態になったら、周りの人々を巻き込むかも知れないじゃないか……!」

 悔やむロイをマルスは見守る。そして、顔を上げた。

「……恐らく、空間神は望んでいるんじゃないかな」
「えっ?」

 励ます様に、マルスは優しく微笑み掛けた。

「僕の考えだけど、光は善者が持つことが多い。僕達の世界を守るには、光の戦士が持つ闇の力も必要としているんだよ、きっと」
「……だけど」

 ロイは表情を変えぬまま目線を反らす。

「それを制御するには、きっとかなりの時間を必要としています。それまでに、犠牲者が増えないことを祈りたい……」
「……ロイは本当に優しいんだね。僕もそれを祈っているよ」

 マルスの言葉を聞き、ロイは顔を上げると笑んだ。

「王子、僕も調べてみますよ」
「ロイ……」
「きっとマリオ隊長達に役立つ情報を得られるかも知れませんしね。二人で調べた方が手っ取り早いですよ」
「……そうだね。ありがとう、ロイ」

 ロイは頷き、別の棚から本を沢山引っ張り出した。マルスは笑んだ後、他の場所を当たった。
 暫くしていると、

「マルス、ロイ」
「!」
「!!」

 二人は別の人の声にさらに肩を上げてしまった。ロイが驚いたあまり本が数冊頭上から落ちてくる。

「いてててっ……!」

 マルスは慌てて振り向き、ロイは頭を擦りながら振り向くと、入り口にはクレイジーが立っていた。

「だ、大臣!」

 二人は直ぐ様彼の前まで駆け寄り、少し下を向いて、片腕を胸で横にした。
 クレイジーは二人を見た後上を見、軽く息をついてから顎に指で触れた。

「必要書類が中々来ないと思ってな。随分と探したぞ」
「! あ……」

 ギクッとしたロイにマルスは、え? と思った。側に置いてある机を見てみると、そこには何冊かの本や紙が積み重ねられていた。

「す、すみません!!」

 深々と頭を下げるロイに、マルスはポカンとしてしまった。

「マルスよ」
「は、はいっ」
「そなたもなぜここにおるのだ? 別に構わんが、マルスが図書室を使うとは珍しいな」
「それは……」

 マルスは最初は言うべきか迷ったが、正直に述べた。

「なるほど。そう言うことだったのか」
「勝手なことをしてしまい、本当に申し訳ありません。このお詫びは、必ず」
「取り敢えず、顔を上げよ」

 二人はゆっくりと顔を上げた。

「ただ、そなた達に宝玉を知り尽されては困ると思っておる。行動派のそなた達だ。マリオ達にうっかり喋ると思うと、心配でな」
「それは、例えるなら恐ろしい力……でしょうか」
「そう考えても過言ではない。くれぐれも慎む様にな」
「はっ!」

 二人は頭を下げた。

「まあ、調べるだけでも構わんが、今はそんな時間では無いだろう?」

 フッとクレイジーは笑顔になった。ロイはハッとし、書類を素早く腕に抱きかかえた。

「まずは私の手伝いを頼む。図書室はそれから使って良い」
「ありがとうございます」

 こうして三人は図書室を後にした。




「すみません、ご心配をお掛けしました」

 リンク達は部屋から出る。まだリンクは少し疲れ顔をしていたが。

「あまり無理はするなよ?」
「はい。ありがとうございます」

 マリオは心配した顔でリンクの顔を覗き込んだ。フォックスと、いつの間にか彼の肩に乗っているカービィも同じ気持ちだった。

「おーい、マリオ達いー」

 スリッピーが手を振りながらこちらへ駆け付けて来る。だが途中でこけたので、マリオ達は新たな心配を生み出す羽目になった。

「だ、大丈夫か、スリッピー!」
「いたたた……だ、大丈夫だよ……」

 とは言いつつも、打った頭を涙目で押さえながら立ち上がるスリッピーであった。だが思い出した様にハッとすると、

「そうそう。皆ブリッジまで集まってよ! 将軍から通信が入ってるから!」
「将軍って……あ。あの犬の将軍か」
「そう、あの犬の将軍……って、良いから急いで来てくれよ!」
「わわわ分かったよっ!」

 スリッピーが詰め寄る様に顔を近付けてくるので、マリオも流石にからかえなかった。フォックスとリンクは互いを見ると密かに吹き出した。
 漸く彼等もブリッジへ到着すると、既に他のスマブラもブリッジにいたのに気付いた。

「遅いでしゅよー!」

 プリンは小さな手を横に当て、プリプリと怒っていた。

「皆揃ったな」

 振り向いていたペッピーは前を向き、巨大なモニター画面を開いた。画面にはぺパー将軍の姿が映し出され、言葉を放つと敬礼をした。

『スターフォックス、そしてスマッシュブラザーズよ、本当に良くやってくれた。感謝の言葉を述べても言い足りん』
「将軍……」
『スマッシュブラザーズの諸君。君達で良ければ、是非とも我が軍に入って貰いたい』
「えっ、僕達がですか?」

 驚いたマリオは胸に手を当てた。

「わーい! 面白そー!」

 カービィはピョンピョン飛び跳ねた。

「カ、カービィっ」

 マリオが軽く叱る口調で呼ぶと、カービィは笑顔でこちらを見た。

「だって軍隊に入って偉い人になったら、美味しい食べ物いーっぱい食べれそうじゃんっ」
「……ハァ……」

 ペロッと舌を出すカービィに、マリオは顔に手を当てて呆れてしまった。

「えー、駄目なのぉ?」

 カービィは頬を膨らませた。

「……」

 マリオは決心すると、モニター画面の将軍を真っ直ぐに見た。

「将軍、有難いお言葉に感謝しています。しかし……それは受け入れられません」
「えーっ! 何でなのぉ!?」

 カービィがブーイングを放つが、フォックスはカービィに向かい、自分の口に人差し指を当てた。それを見たカービィは、ピタッと黙り込んだ。

「僕達はスマッシュブラザーズとして、スマッシュ王国、そして、僕達の故郷の為に戦っているのです。その思いだけは、どうしても曲げることは出来ません。どうか分かって頂きたいです、将軍」
『……そうか。スマッシュブラザーズは、その為に結成されたのだったな。無理を言ってすまなかった』
「将軍の軍隊は十分強いよー!」

 カービィは自信満々に言い放った。

「そうですよ。アパロイド一掃も、ぺパー将軍達がいなければ無理でしたもの」

 リンクも言った。

「ピカッチュウ!」

 ピカチュウは笑顔で言った。
 ぺパー将軍は彼等を見て、帽子のつばをそっと摘んだ。

『……フォックス』
「! ハイ」
『君も大分、ジェームズに似てきたな』
「……」
(ジェームズ・マクラウドって、そんなに有名で強かったんだ)

 マリオは少し驚いていた。

『その力を、マリオ達の為に尽してくれないか?』
「えっ?」

 フォックスは目を丸くした。ぺパー将軍は彼を見て微笑む。
 ペッピーも椅子を回し、少し戸惑っているフォックスに振り向いた。

「ワシにも分かるぞ。フォックス、マリオ達と一緒に戦いたいと思っているだろう。色々な世界へ行けば、良い経験となるだろう。大丈夫だ、後のことは、ワシらに任せれば良い」

ペッピーの笑顔に、フォックスも笑顔になった。そして、ペパー将軍を見上げる。

「……分かりました。俺は、スマッシュブラザーズの為に力を尽します」

 キリッと言った後、腕をグッと立てた。

「わーい! フォックスも来てくれるだなんて、うっれしー!」

 カービィは心から喜び、フォックスをギュッと抱き締めた。

「オイ。俺も行かせて貰うぜ、将軍」

 ファルコは立ち上がった。

「! ファルコっ!」

「俺もスマッシュブラザーズなんだ。お前らだけで行くだなんて、狡いったらねーぜ?」
「ファルコしゃんっ!」

 プリンは目をキラキラさせ、ファルコにギュッと抱きついた。

「じゃあオイラも!」

 と、スリッピーが手を上げて立ち上がるが、

「お前は駄目だ、スリッピー。こっちでやるべきことがあるだろう」

 ペッピーにあっさりと止められてしまった。

「チェー。何でいつもオイラばっかり……」

 スリッピーは頬を膨らませ、椅子にドカッと座り込んだ。

「スリッピーまでいなくなっちゃったら、スターフォックスはどうなるのよ?」

 クリスタルは腕を組んで軽く息を吐いた。

「そうだよ、スリッピー。スリッピーは優秀なメカニックマンなんだ。グレートフォックスの管理は任せたよ。ナウスと一緒に頑張ってくれ」

 フォックスはスリッピーの前まで歩み、彼の肩にポンッと手を置いた。スリッピーはフォックスを見つめていたが、少しだけ目線を下げ、頷いた。

「分かったよ。フォックス、ファルコ、気を付けてねっ」
「二人とも、どうか無事に戻って来てね」
「ちゃんと任務を果たさなかったら、また叱り飛ばすからな」
『武運を祈る、スマッシュブラザーズの諸君』
「はい!」

 マリオは微笑み、そして懐から欠片を取り出した。フォックスもポケットの中をあさり、小さな欠片を取り出す。二つの欠片が合わされ、そして優しい光でマリオ達を包み込む。

「じゃあ皆、後は頼んだ!」
「任務があったらちゃんとやれよ、スリッピー」

 ファルコがからかう様に言うと、手を振っていたスリッピーがカチンとなった。

「分かってるよ!」
「じゃあねー、皆ー!」

 マリオがそう言った直後に、彼等は次の世界へ向かい、消え去った。










 ──to be continued──