時の悪戯 「……」 スマッシュ王国の城の玉座に座っているマスターハンド王は、額に曲げた指を軽く当て、一人悩んでいた。おまけに瞼も閉じられていて、その悩みは相当なものだと見て取れる。 (……亡き父のあの言葉が事実ならば……) それは、今まで悩んでいたことだった。マリオ達に伝えるべきかと言うことである。理由は、これは滅多に口にしてはいけないことで、特に魔物がうようよしている世界では、その情報を悪心の者に聞かれる訳にはいかないのだ。 (……言わぬ訳にはいかんな……) 賭けをしようと決心し、マスターハンドは杖を掲げた。 宝玉が無い上の窪みの部分から小さな光が一瞬だけ放たれる。すると、彼の前に二人の騎士が膝をつきながら現れた。 「ご用は何でしょう、王様」 「マルス、ロイ。スマッシュブラザーズに伝えて欲しいことがある。だが、今回は慎重にな」 「え?」 夕焼けの陽射しで輝く森の真ん中にて、欠片の光が放たれ、そして消える。同時に、マリオ達が空中にいる状態で現れた。 「わああぁ!」 マリオは久しぶりにファンシーズのクッションになってしまった。 「うぅ……もうクッションにはならないと思ってたのになぁ……」 マリオは地面に片肘をつき、もう片手の指で地面をトントン叩いた。 「これが最後だと願いたいものだな」 翼で浮遊しているメタナイトは言った。 「どうだかね……ってかお前ら! いい加減にどけーい!」 「わあぁ!」 マリオは一気に大の字を作りながら立ち上がり、ファンシーズは声を上げながら地面へ次々と倒れていった。 そして、カービィはフォックスの肩の上、プリンはファルコの側、ピチューは子リンの頭の上、そしてピカチュウはマリオの肩の上へと、各々持ち場に戻った。 「さて、ここは一体どこなのかな?」 腕を組むファルコは辺りを見回す。それに続き、残りのスマブラも首を動かした。 時刻は夕方頃らしい。そして、ここは背が若干高い木々が支配していた。 「森……だろうなぁ」 フォックスは呟いた。 「……」 「子リン?」 子リンが、マリオ達より反応が少し大きく見えた。そして彼は、静かに耳をすませ始める。マリオ達は、そんな彼を静かに見守る。 静まりかえっている間、遠くから何かが聞こえた。どうやら鐘の音であることが分かる。 「……間違い無い。俺が住んでいる世界だ。ここは、タルミナ!」 「タルミナ……か」 「良かった。やっと戻って来れたんだな……」 子リンは数歩か歩き、見上げている。そして振り向き、戻って来た。 「この森は朝は凄い霧に覆われているけど、それ以外の時間は晴れているんだ」 「かなり空気が澄んでいる森だな。中々心地が良い」 スネークは森の奥まで見つめる。 「この森はタルミナに保護されているんだよ。空気が綺麗なのもそうだけど、妖精が住んでいると言い伝えられているからね」 「妖精が住んでいるのは確かなのか?」 マリオは訊いてみる。 「ああ。小さな光の妖精が沢山住んでいるんだ」 「それにしては妙だな」 マーシスは言った。 「妖精が一匹も見当たらない」 「! あ、あれ? 言われてみれば確かに妙だな……」 子リンは戸惑った。 確かにここは空気が浄化されている美しい森だ。だが、子リンの言う妖精らしい生物は一匹も見当たらなかった。 「と、とにかく俺が案内するからついてきてっ。スタルキッドに訊けば何かが分かるかも知れない」 「スタルキッド……何だか懐かしい響きだな」 リンクは微笑んだ。 「スタルキッドは、森で迷った子供のなれの果てみたいなんだ」 子リンは、スマブラと歩きながら語る。 「スタルキッドは悪戯好きで、いつも森の皆を困らせていたんだ。だけど、それがきっかけで俺達は友達になったんだ。色々あったけど、今となっては良い思い出だ」 「そうだろうな」 マリオは言った。 「僕もピーチ姫を救う為に何度もクッパと戦って来たけど、今となっては、子リンと同じ気持ちだと思うな」 「ピッカ!」 マリオがピカチュウに振り向くと、ピカチュウは笑顔で一声放った。 「ところで、かなり広々とした森だよな」 ファルコが言う。どれくらい歩いたのかは分からないが、かなりの距離を歩いていると感じて取れる。 「子リン、まだなんでしゅか?」 「ピィチュー……」 プリンは苛立って来たのか、少し怒っていた。ピチューも耳を垂らしている。 「安心して、後少しだから」 子リンは、肩の上にいるピチューの頭をなでなでしながら言った。 「!」 ファルコはピタッと立ち止まった。 「あ……ファルコっ?」 フォックスは彼に気付き、他のスマブラも立ち止まった。 「……何か気配を感じるな」 ファルコは立ち止まったままの体勢で、森の奥に目を細めた。マーシスやメタナイトも、ファルコと同じ感じで前を見つめているが、武器を構える気は無いらしい。 「そんなに身構えるな、ファルコ。誤解を生むぞ」 と、メタナイトは前を見ながら言ってやると、ファルコはウッと唸り、プイッと顔を逸らした。 「よ、余計なお世話だっ!」 「まあまあ二人とも……」 リンクは慌ててファルコ達を言葉で抑えた。 だが彼等の言う通り、何かが来る予感はしている。だがそれはモンスターから漂う殺気ではない。 そう思っていると、それはヒュッと現れた。小さな光のりんぷんをまき散らしながら、四枚の虫の羽を持った黄色い光の玉がこちらへ向かって飛んでくる。 「あ、チャットじゃないか!」 子リンは笑顔でチャットを迎えた。 「チャット……」 マリオが何と無く呟くと、子リンは軽く説明をした。 「俺と一緒に旅をしていた妖精なんだ。生意気で我が儘だけど、良い妖精だよ」 「ふーん?」 (生意気で我が儘な妖精だなんてなんだかなぁ) と、何気にマリオは思ってしまった。 「チャットー!」 「ピッチュー」 子リンは手を振り、ピチューもつられて手を振った。 チャットと呼ばれた妖精は、彼等の側まで来たが、そのまま子リンの額に思い切り体当たりをぶちかました。子リンはピチューを巻き込んで後ろへひっくり返ってしまう。 「リンク! あんた今までどこに行っていたのよ!!」 あまり歓迎されていない様だ。寧ろ彼女はカンカンに怒っている。 「子リンー、何か話が違うよぉー?」 カービィは難しい顔で手をパタパタさせた。 「妖精と聞いたが、イメージ違うな」 スネークは肩をすくめる。 「これは一体、どう言うことなんだ?」 フォックスは眉をひそめた。 「ピィカ?」 「チャット、一体……」 「プリィ……どう言うことでしゅか?」 「チャット、取り合えず落ち着いて……!」 「ピ、ピィチュウー……」 誰一人、この妖精が気になったばかりに、子リンを一切心配していないと言う結果に終わった。 「ど、どうしたんだよ、チャットー……折角久しぶりに会えたのにぃ」 子リンは額を撫でながら立ち上がった。 「なーにを寝惚けたことぬかしてんのよ! 全く!」 チャットは頭からプンプンと湯気を吹き上がらせていた。 「一緒に旅に出ている間に急にいなくなるから怒るに決まっているでしょう!」 「え?『旅に出ている間に急にいなくなる』だって?」 マリオはピカチュウと共に見開いてしまった。 「チャット! それってどう言う意味だ!?」 問いたいあまりについ詰め寄ってしまい、チャットは羽をピンと伸ばしてビビった。 「な、何? 何なのよ、おじさん! おまけに変なモンスター連れてっ」 「僕はマリオって名前で確かに髭はあるがまだ二十六歳だしこいつはピカチュウって言うネズミポケモンなのっ」 マリオは間を空けずに早口で言い切れた。 「チャット! 旅の途中で子リンがいなくなったのか? それって一体どう言う事なんだ!?」 「ままま待って、マリオさん!」 子リンはマリオの肩を抑えた。 「子リン?」 「今のチャットにそれを訊いてもきっと分からないよ」 「そうなのか?」 「マリオ、俺達も子リンに賛成だ。男として格好悪いぜっ」 ファルコは腕を組む。マリオは反省し、帽子に手を置いた。 「それは次元時空の歪みであろう。覚えているか、マリオ殿?」 マーシスはその場から伝えた。マリオは目線を上げて少し考えた後、ああ……と呟いた返事をした。 「確か宝玉がバラバラになっちゃった時、一部の時空に歪みが出ちゃったって聞いたな」 「そうだ」 続いてメタナイトが言う。 「子リンが別次元のリンク達の世界へ飛ばされる。子リンはあの世界にいた時は、その世界の住人と記憶してしまっていたからな」 「とりあえず大変な目に遭っているのは一緒だね」 マリオはそう言った。 「チャット!」 子リンが突如声を上げた。 「子リン?」 「今、後どれくらいだっ?」 「え? どうした、子リン?」 マリオ達にはさっぱりだったが、二人にはちゃんと分かっているらしい。 「今日を入れて後三日よ! 早く行かないと間に合わないわ!」 「そ、そうか……っ。畜生! 何てこった!」 「子リン! チャットしゃん! 二人だけでずるいでしゅよ!」 「ピカピィ!」 「ピチュッ」 ポケモンズはふてくされた顔になっていた。 「事情は話してくれるんだろうな、ヤングリンク」 スネークは言った。子リンは皆に振り向き、真顔で首を縦に振った。 「この世界へ戻って、やっと全てを思い出したよ。今から何が起こっているのか、話すね」 「リンク? あんた何言ってるの?」 「チャット、今は少し静かにしていてくれ」 「リンク……」 子リンはチャットに微笑んだ後、真剣な顔を皆に見せる。 「実はタルミナは、ある呪いの魔法に寄って滅亡の危機に陥っているんだ。その魔法を悪用しているのは、スタルキッド」 「ちょっと待って!」 マリオは手を少し前へ出した。 「スタルキッドって……君の友達なんじゃないのか?」 「そうなんだよ」 「マリオさん、今は落ち着いて話を聞きましょう」 また悩みの種を生み出しやしないかと悟ったリンクは、後ろから彼の肩を軽く掴むと、キリッとした顔をマリオに見せた。マリオはそのお陰で直ぐに冷静になった。 「分かってるよ」 「いい、続けて?」 子リンは言った。マリオは慌て、どうぞと手を差し出した。 「スタルキッドがどっからか盗み出した仮面──ムジュラの仮面──に封印されている力を使い、月をこの世界に落とそうとしているんだ。あれがそうだよっ」 子リンは空を指差し、全員は同時に見上げた。空高い所で、普通に見る月よりも一回り二回り大きな月が見えた。 おまけに月の表面には、かなり不気味な顔が深く刻み込まれていた。目も燃えるオレンジ色で、大地を見つめている。 「うわぁ! 大きくて、何か凄い不気味な月ぃ!」 カービィは目を真ん丸にし、顔色を青くしていた。 「あの月が落ちてくる、か。確かにあれだけの大きさだ。小さな国の一つや二つ、簡単にこっぱみじんになるだろうな」 腕を組んでいるスネークはそう言った。 「だからそれを俺達で止めに行くんだよっ」 子リンは拳を握り締めた。 「さっき言った様に、ムジュラの仮面を使ったスタルキッドが操るあの月は、今から三日後にこの世界へドカーンだ」 「ドカーンか。分かりやすい表現だ」 ファルコは呟いた。 「今夕方だからそろそろ夜の鐘が鳴るかも知れない。時間は早く過ぎ去るものだと、訴え掛ける様に、な」 「僕もそんな気持ちだよ。多分、ここにいる仲間全員そうなんじゃないかな」 マリオは振り返ってみた。仲間達は縦に首を振った。 「子リン、一体その鐘はどこから鳴るのだ?」 メタナイトが問う。 「クロックタウンてとこにある鐘から鳴ってるよ。この森を抜ければ直ぐだ」 「よしっ! 欠片が導いてくれたんだ。もしかしたら、この世界にも何か手掛かりがあるのかも知れない」 「そうと決まれば、行きましょう」 リンクは言った。 「その前に、この森はかなり広いと見られるぞ」 フォックスはヘルメットからモノクルを出し、この森を調べていた。 「うん、まあね。出るのに早くても半日位は掛かる」 子リンはきっぱりと言い放った。 「ははは半日ぃ!?」 マリオとカービィ以外は驚いた表情をし、二人は同時に目を大きく見開いて声を上げた。 「……ってどれ位なの?」 と、カービィが思い切りボケをかまして来たので、マリオ達は思い切りずっこけてしまった。 「まあつまり! ここから出た時には翌日になっちゃうってことなんだな?」 マリオはカービィを無視して子リンに言った。 「そうなんだよ……けど、森から抜ければクロックタウンは目の前だからさ。只、夜は危険だからその時はなるべく動かない方が良いと思うよ」 「OKだっ」 マリオは笑顔で頷いた。 「それじゃあ皆!」 マリオが皆に呼び掛ける間、リンクだけ様子が変になっていた。フォックス達の世界にいた時と同じ位の疲労を溜めている様に見える。 「この森を早く出て、クロックタウンを目指そう!」 「おーっ!」 彼以外全員声を上げ、腕を掲げた。 「……」 「リンク? どうした」 スネークは彼の様子に漸く気付いた。 「スネークさん……何か俺……」 「おい!」 リンクはグラリとよろめき、倒れそうになったところをスネークに抱き止められたが、そのまま脱力しきってしまった。 「!? どうした、スネーク!?」 マリオは叫び、彼等の側へ駆け寄る。スマブラ達も慌てて振り向いた。 リンクが何故か倒れてしまった上、かなりぐったりしていた。汗もびっしょりかいていて、息苦しそうにしていた。 「おい、隊長っ。医者なら診てくれるか?」 「あ……お、おう!」 「リンク!」 フォックスはリンクの隣で膝をついた。悲しい目でリンクを見つめる。 マリオはフォックスとは反対側に膝をついた。リンクの額に手を当てたり、脈をはかったり、うーんと考えながらあちこちを診る。 「マリオ、何か分かったか?」 「……今まで見たことない病状だなぁ……熱はそんなに無いし……只、脈が速いな」 「ピカ……」 「どうすれば良いの、隊長?」 ピカチュウは耳を垂らし、カービィは不安な声で言った。 「とにかく、リンクがこんな状態では、このまま進むのは危険だ」 マリオは言った。 「ここで野宿をするってのはどうかな? 次の日の朝に出発しよう。森から出ても三日経っていることは無いだろう。良い、皆?」 「だよねー! 仲間が病気になっちゃったら、ちゃんと治さなきゃねー!」 カービィは小さな手をピシッと上げた。 「俺も賛成だっ」 フォックスは首を大きく縦に振った。 「! マーシスっ?」 メタナイトはマーシスの様子に気付いた。マーシスはリンクを見つめたまま、なぜか少量の冷や汗を流している。 「これは……正かこれは……」 「っ? マ、マーシス……」 静かに呟いていて上手く聞き取れないが、聞き取れたとしても話の内容が分からなければ無意味だった。 「どうした、マーシス?」 「! いや、いずれ分かるであろう。私の口からは……恐ろしくて言えぬ……」 「?」 マーシスは一旦メタナイトを見たが、直ぐに顔を反らした。 「マリオさん、皆さん……すみません……」 リンクは薄目でマリオを見ながら、小声で謝罪した。マリオは口端を上げ、 「大丈夫。必ず何とかしてやるからなっ。医者を信じるんだっ」 と、自分の張った胸をドンッと叩き、自信満々な自分を見せた。リンクはクスッと笑い、頷いた。 「はい」 「じゃあ、今日はここで野宿だな。良いかな、チャット?」 子リンは顔をクルッとチャットに向けた。 「……仕方ないわね」 「じゃあ、暗くなった時の為に焚き火の準備しなきゃならないでしゅね!」 「火事にならない様に広い場所も見付けないとなっ」 プリンと子リンは言った。 「じゃあファンシーズ、枝を集めてきてくれるか?」 サブリーダーのフォックスは言った。 「了解でしゅ!」 「うん、分かった!」 「オッケー」 「ピカッ」 「ピィッチュ!」 ファンシーズはあちこちへ各々行った。 マリオ達がリンクの介抱の続きをしている間、珍しく落ち着きの無いマーシスは、何故か太陽を気にしていた。少しずつ沈んで行く夕陽の光をジッと見つめている。メタナイトは、相変わらずマーシスの様子を見守っていた。 「これくらいで大丈夫かな?」 ほぼ同じ時間に戻ってきたファンシーズの腕には、沢山の木の枝が抱きかかえられていた。残りのスマブラが見付けておいた広場の真ん中にそれらを次々と置いてゆく。 「十分だ」 マリオがリンクを看ている為、フォックスが代わりに指導していた。 「おい、晩飯とかはあるのか?」 木に背中を預け、腕を組んでいるファルコはフォックスに尋ねた。 「食料はグレートフォックスから持ってきたものがいくつかあるけど……」 「それなら心配無いよ」 子リンが前に出た。 「この森の木を見てごらん? 木の実がなってる木とかもあるんだ」 「あ! 本当だ!」 上を向いて林檎の木を見付けたカービィは、涎を垂らすとそれらを吸い込もうとした。だがチャットが飛んで来てカービィの頭に体当たりをかました。 「あいった!」 「何一人で勝手に全部食べようとしてるのよっ!」 「ち、違うよぉ。皆に食べさせる為に……」 「ピンク丸、それは流石の俺にも通らないぞ」 スネークは笑って息を吐いた。カービィはムウッと頬を膨らまし、スマブラに笑いが響いた。 夕陽が完全に沈み、夕焼け空が闇に覆われようとしている。 マリオはリンクの側から離れず、ずっと看ていた。リンクはどうやら眠りにおちたみたいで、マリオは取り合えずホッとした。だがまだ安心しきっていない。 (一体これは、どう言った病なんだろう……) その謎は、未だに解けないままなのだから。 「キャンプファイヤーだあ。わーい!」 焚き火でカービィはオーバーにはしゃぎ回る。それは周りのムードを自然と盛り上げてくれていた。 メタナイトと会話をしているマーシスはふと空を見上げ、心の中で呟いた。 (そろそろか) その時、マリオはリンクの帽子の中が光ったのに気付いた。帽子の中からヒュッと妖精が現れ、焚き火をしているスマブラのもとまで飛んで行った。 「あれ? あれは……」 子リンが妖精を見てそう言うと、 「皆、声聞こえてる?」 妖精からロイの声が発された。 「ロイ? ロイなのかっ」 マリオも妖精を見る。 「皆、ここにいるんだね?」 「あ! マルスしゃんの声も聞こえましゅっ」 木の実を頬張ったばかりのプリンが言った。 「皆、周りに敵はいないだろうか?」 「どう言うこと?」 ロイの言葉に子リンが疑問を抱いた。 「今から話すことは極秘内容なんだ。敵に知られたらまずいことになりかねない」 スネークは辺りを見回した。森は暗くなってゆき、視界が妙になる。が、鋭いスネークは直ぐに応えた。 「心配するな、敵の気配は無い」 「じゃあ皆、良く聞いてくれ」 マルスの声がし、そこからは彼が話し始めた。 「光の者に闇の力……か」 フォックスは顎に指を当てて呟いた。 そしてマルスは続ける。 「宝玉は選ばれし光の者から光の力、選ばれし闇の者から闇の力を目覚めさせる。けど、中には光の者から闇の力を目覚めさせる、とのことなんだ」 「何とも矛盾した言葉だろうな」 丸太に腰を下ろしているファルコは、足と腕を各々組んだ。 「人には許容範囲と言うものがあるからな」 マントで身を包んでいるメタナイトはそう言う。その言葉にスマブラは振り向いた。 「光の者は光に、闇の者は闇に守られている。相反する力をコントロールするのは、難しいことだ」 「それに慣れるまではその時の記憶が無いだなんて……どうしたら良いんだろうな……」 マリオはうつ向いた。 「……スマブラの中に、そう言う人がいてもおかしくないそうなんだ」 「! そうなんだ……」 マルスの言葉に、スマブラ達が驚きを隠せないのも無理は無かった。選ばれし戦士が目覚める力。スマブラの誰かに含まれてもおかしくはないのを改めて知ったのである。 「王様はこれを語るのに恐れている。今まで以上に気を引き締めて欲しいとのことだ」 「分かった。いつもありがとうな、マルス、ロイ」 マリオは微笑んだ。 「また何かあったら連絡するから。それじゃ」 声が途切れ、妖精がリンクの帽子へ向かう。 「……ん?」 マリオは何かに気付いた。 「どうしたの、隊長?」 カービィは振り向いた。 「どうした、妖精?」 いつもならリンクの帽子に直ぐ戻るのだが、何故か今はそうするのを躊躇っているのである。 「……」 リンクは眠りから覚め、そっと瞼を開いた。 空は完全に闇に落ち、星々が煌めき始める。星に囲まれた満月が黄色く輝いていた。 リンクはその満月を見ていた。胸の中が次第に熱を帯びて行く。 「っ!?」 見開いたリンクはガバッと起き上がった。 「リ、リンク!?」 マリオと妖精は驚き、妖精は一目散にチャットの隣まで飛んでいった。 「どうしたんだ!」 メタナイトが声を上げ、スマブラもリンク達を見る。 リンクの表情が今以上に悪く、胸を必死で押さえ付けながら呼吸を乱していた。そして、彼の鼓動が大きく速く動き出す。 「リンク、だいじょう……」 マリオが伸ばそうとした手をリンクにバシッと弾き返される。 「み……皆さん……っ……から……」 「リンク?」 リンクは座り込みながら地面に手を付いている。顔はうつ向いたままで、さっきよりも激しく息を荒らしていた。 「皆……俺から……てください……!」 「リンク! 一体どうしたんだ!?」 フォックスは顔を青ざめては立ち上がった。 「……」 マーシスもフォックスと同じ位に顔色が悪くなっていた。 「皆……俺から逃げろおおおおおおおぉぉっ!!」 リンクは顔を振り上げた。体から黄色い光が放たれる。同時に彼の体に変化がいきなり現れた。体から動物並の毛が生え、まるで獲物を狙う狼の様な体勢にもなりだしていた。 「な、何だあぁっ!?」 マリオは立ち上がり、直ぐに一歩後ろに退いた。驚いたスマブラも立ち上がり、リンクの様子を見ている。 「っうぅ……うおおおおぉぉ!!」 そしてリンクは、何と黒い狼に変身したのである。 「う、うわあああああぁっ!?」 ──to be continued── |