海の奏者 スネーク、プリン、ピチューは、白い砂浜に足を踏み入れた。そこからは広い海を見渡せる。只、ここから見る限り、砂浜には人っ子一人おらず、殺風景と共に不吉な空気が流れているのをスネークは感じた。恐らくまだ昼間なのにも関わらず、不気味な顔をした月が空からこちらを睨み下ろしているからであろう。スネークは、そんな月を見上げた。 「さて、あの妖精が言っていた人が、ここにいるのかどうか……ん?」 「キャッ! 冷たいでしゅっ!」 「ピィ! ピッチュ!」 彼が前を見ると、いつの間にか二匹のポケモンが白波を踏んで水を浴び、はしゃいでいた。スネークはやれやれと息を吐き、そこへ歩く。 「遊んでいる時間は無い。世界滅亡まで後半分を過ぎたんだからな。寧ろ遊んでいられる程恐怖を抱かない生き物は珍しいな」 「ピィチュー……」 ピチューは涙目で耳を垂らし、落ち込みながら海を出る。 「てへ。プリン達、本物の海を見るの初めてなんでしゅよ」 プリンは頭を掻きながら舌をペロッと出した。スネークは腕を組み、見渡しながら息を吐く。 「俺は飽きる程見てきたな。お陰で散々な目に遭わされた。もうこりごりだと思ってたんだがなぁ」 「そうなんでしゅかぁ」 「海には危険が常に付きまとう。それだけは覚えて置くことだ。海の初心者に言って置いたからな」 「了解でしゅ」 「ピピッチュ!」 二匹は小さな手でピシッと敬礼をした。スネークは微笑する。 と、その時だった。 「!」 これは……殺気? 「ピチュ?」 「スネークしゃん? キャッ!」 「ピ!」 スネークは素早く二匹を抱き上げると走り出し、一番近くにある岩の裏へとっさに身を隠した。二匹を未だに抱き締めたまま、スネークは岩影からゆっくりと顔を出し、海を睨む。 「ど、どうしたんでしゅか?」 悪い予感がしたプリンは、スネークを見上げると静かに訊いた。ピチューは驚いたあまり体を震わせている。 「……何かがこっちへ近付いて来るな」 スネークは目を細めた。二匹は目を丸くして顔を見合わせる。 少し経つと、崖の後ろから大きな船が顔を出した。 「海賊船か?」 スネークが言い、ピチューは彼の腕から抜け出ると、岩影からそっと船を見る。 「! ピィ!」 ピチューは、ある方向へ指を差した。スネークがその指の先を追うと、船の下に何かがあるのが目に入った。否、正しく言えば、『ある』のでは無く『いた』だ。 「あれは、人か?」 ここからでは目を凝らしてもハッキリとは見えないが、白い人物が浮いているのが分かる。 「誰かが溺れてるでしゅ……!」 プリンは口を両手で押さえ、ピチューは驚いて耳をピンと立てた。 「スネークしゃん、早くたしゅけに行くでしゅ!」 「……お前達はここにいろ」 スネークは、巨大船が通り過ぎたのを確認すると、岩の裏からダッシュした。周りには敵の気配がなくなったので、周りには構わず、海に飛込んだ。白い人物は浅いとこで浮かんでいたので直ぐにたどり着いた。 「おい、確りしろ」 数回話し掛けるが、ぐったりしている。スネークはその人に肩を貸し、片手を使って泳ぐ。浜辺では、プリン達がハラハラしながら彼等を見ていた。 やっと浜辺へ戻り、スネークはその人をゆっくりと寝かせた。 見た姿は男の半魚人と言えるだろうか。全身が透き通った白で、手足には鋭いヒレが付いている。普通の人間から見ると初めは恐れるだろうが、スネークはもう慣れたので一々驚かなかった。 彼の胸に耳を寄せ、心臓が動いているのか確認する。そして顔を上げた。 「息はある。だが……もう助からないな」 「しょんな……っ!」 「ピィ……」 「この傷を見ろ」 スネークは、半魚人の胸から腹に掛けた深い切り傷を見せる。出血はあまり無いが、見ていて痛々しく、二匹は目を細めた。 「明らかに致命傷だ。おそらく、あの船の者にやられたのだろう」 一人と二匹が顔を下げた時、小さなうめき声がした。 「うっ……」 「! 大丈夫か、確りしろ」 半魚人は、魚の様な鋭い目を開けていった。 そしてスネーク達を見ると、震えながら手をそっと上げた。 「た、卵が……」 「卵?」 「あの卵を取り戻さなければ……っ」 半魚人は、そのまま起き上がろうとしたが、傷の痛みでまた倒れ込んだ。 「やめろ、半魚人。傷に響くだろう」 スネークは慌てて彼を抱き起こした。プリン達は悲しい目で見つめる。 「止めないで欲しい。あの卵を早く取り戻さないと。あれは……ルルの……」 「ルルしゃん?」 プリンが言った。 そして半魚人は説明を始めた。 「俺達はゾーラ族。海に住む種族だ……俺もその一人で、ミカウって言うんだ。数人でバンドをやっててな、ルルがボーカルをやっている……」 「そうなんでしゅか」 「ルルの歌声は、それはそれは素晴らしいものなんだ……だけど、卵を産んだ時から……声を失ったんだ」 「声だと?」 彼等は見開いた。ミカウは、砂浜に沈んでいる握り拳を震わせた。 「そんな時、彼女の卵を狙いに現れたのが、あの海賊達だ」 「スネークしゃんの見たあの船は、やっぱり海賊しぇんだったんでしゅよ!」 プリンはキリッとした表情になったが、 「と言うか、海賊のバカでかい旗を見れば誰でも分かるだろう」 と、スネークは軽くツッコンでみる。 ミカウはスネークの腕をガシッと掴んだ。スネークは彼に呼ばれたかと素早く顔を向けた。 ミカウは、さっきよりも息がたえだえとしていて、もう虫の息だった。 「頼む……俺の代わりに、どうかあの卵を、取り戻して欲しい……お願いだ」 「……」 スネークは返答に困った。彼の力にはなりたいが、それよりも重要な任務を受けている。どちらを優先させれば良いのか、頭を悩ました。 「まかしぇてくだしゃい!」 「ピッチュウ!」 迷っていたスネークとは逆に、プリンは声を張り上げて即答した。ピチューも頷く。スネークはフッと息を吐いたが、そちらを先ずクリアしてからにしようと決めた。 「解った。俺達で何とかしよう」 「あ……ありがとう……君達は、良い人達だ……」 ミカウは、背負っていたギターを取り出した。それは全て巨大な魚の骨で作られたものだった。 「お礼に……一曲送るよ」 「無茶しないでくだしゃい……っ。本当に死んじゃいましゅ!」 プリンはミカウを止めようとしたが、ピチューに止められた。見ると、涙目で首を横に振っていた。ピチューは、スネークの言葉を確りと覚えているのだ。 ミカウは弱々しくなった体で、静かにギターを弾き始めた。バラードな曲で、哀愁な音色が彼女達の胸に響いた。スネークも、少し辛そうに目を閉じていた。 「ありがとう。最期までこのギターを弾けて……良かった……」 弾き終えたミカウはギターを抱いたまま倒れ、もう動くことは無かった。その時の彼は、安らかな表情をしていた。 スネークは、プリン達と作った墓に骨のギターを供えた。 「じゃあ行くか……彼の恋人の為に」 スネークは歩きながら口を開く。プリン達は少し驚いて振り向いた。 「スネークしゃん、何で恋人って分かるんでしゅか!?」 「ん? いや、俺が勝手にそう思っただけだ。気にするな」 スネークは後ろを向きながら言うが、口端は少し上がっていた。 運が良いのか、少し歩くと、船が止まっていた。その船の向こうには大きな岩山がある。 「何でしゅか、ここ」 「入ってみるか。俺に確りつかまってろ」 スネークは二匹を肩に乗せると、足音立てず速やかに岩山のトンネルへ入って行った。 「!」 曲がり角を曲がる直前でスネークは立ち止まった。向こうから何者かが来る足音が響く。 「誰かがきましゅ……」 「しっ」 プリンはなるべく小さく言うが、スネークはそれでも黙らせた。 顔を少しだけ出すと、歩いて来る人物がいた。確認すると、スネークは目を丸くする。 (……女?) 盗賊な姿をした女性が目に入った。剣を肩に乗せて歩いている。 (……あまり女は相手にしたく無いが……) やむを得まい、と、懐から銃を取り出した。プリンは焦ったが、彼にポンポン頭を撫でられると大人しくなった。 スネークは女盗賊にサイレンサーを備えた銃を向け、そして撃った。静かな銃声と共に彼女は倒れ込んだ。 「心配いらない。暫し眠って貰うだけだ」 二匹を安心させ、そこを通り抜けた。 (どうやら彼女達が海賊みたいだな) 女海賊に気を付けつつ奥を目指す。 進んで行くと、ある一室へ来た。話声が聞こえ、スネークは積み重ねられた木箱の裏へ素早く隠れた。 女海賊と、今まで見た女海賊とは違った格好をしている者が話し合っていた。恐らく彼女が頭なのだろう。周りには数人の見張りがいる。 「やっと卵を手に入れたねぇ」 頭は瓶を片手に高笑いをしていた。スネークは目を凝らすと、瓶の中に白い玉が入ってるのが見えた。 「ゾーラの卵はそりゃあもう高く売れるって話だからねぇ。今日の夜はパーティだ。皆にも言っておきなっ」 「ハッ!」 女海賊は敬礼すると、その場を去った。 「あの卵を取り戻せば良いんだな」 スネークはキョロキョロさせ、何か手は無いかと探った。プリン達も一緒に探す。すると、ピチューがスネークをトントン叩き、天井を指差した。 「……中々良いものを見付けたな」 スネークはニッと笑んだ。 床に転がっている小石を拾い上げると、上へ向かって思い切り投げた。石は、天井にぶら下がっている蜂の巣に当たった。蜂の巣は床で壊れ、中から何匹もの蜂が一斉に飛び出して来た。 「な! は、蜂いぃ!?」 頭の目は飛び出していた。怒った蜂は女海賊へ容赦無く襲い掛かる。 「いやあああ! 助けてえ!」 「キャアアァ!」 部屋内にいる海賊は、蜂と共に皆向こうへと消えていった。 「海賊でも、やっぱり女は女……か」 スネークは何と無くそう呟いた後、サッと部屋内へ突入した。 頭がいたとこに瓶が転がっていて、ピチューとプリンがそれを拾い上げた。 「凄い綺麗でしゅ……っ」 「ピィチュー……」 二匹のポケモンは目をキラキラと輝かせ、暫く卵に心を奪われていた。 「うふふ。ご苦労様」 その時、上から声を聞いたスネークはハッと気付き、即プリン達を強く押した。 「キャッ!!」 「ピ!?」 それと同時に卵入りの瓶に、一本の矢が命中した。見事に卵を貫き、瓶もろともこっぱみじんになった。 「ピィ!」 「プリィ! 卵があぁ!」 「ここまで来たとは中々度胸があるねえ」 天井からスタッと降りてきた女海賊。彼女は、さっきの頭だ。 「流石だな。女は勘が鋭い」 「ホホホッ。女だと思って、舐めちゃいけないよ」 頭は二本の剣を引き抜いては構える。 スネークは落ち着いて立ち上がり、フゥッと息を吐いた。そして、割れた瓶を見た後、 「卵を壊されてそんなに冷静だとは……やはり……」 「そう。その卵は偽物。本物は、あの水槽の中よ」 頭は彼等に体を向けたまま、剣先を後ろへ差した。大きな水槽の中には、骨で出来た狂暴な魚達に囲まれた卵が一個沈んでいた。 「! 何てことしゅるんでしゅか!」 プリンは怒りを露にした。ピチューも怒りの表情を乗せたまま前に出、頬から放電するスタンバイをする。 「ホホホッ! 安心なさいな。あんた達をずっと暗い箱で保護してあげるわ。有り難く思いな!」 「!」 スネークは見回した。どうやら女海賊に囲まれてしまった様だ。プリン達も丸い目で彼女達を見る。 「さあ、タップリと可愛がってあげるわ」 合図を出そうと、頭は剣を振り上げる。スネーク達は各々の方向を向いて戦闘準備に入る。勝つ見込みは保証されないが。 「やりな!」 頭が剣を振り下ろした時だった。 急にアジトが揺れ出した。 「キャア! じ、地震!?」 (これは、月が? いや、違う……) スネークは揺れを感じながら冷静に考える。 女海賊が悲鳴を上げながら逃げ惑う中、部屋の床の真ん中から巨大噴水が現れた。 「な! アジトが崩壊していく!?」 頭は叫び、その部屋から逃げるが、天井に突然穴が開くと、竜巻並の強風が襲い掛かる。スネークは二匹を担ぎ上げて急いでその部屋から脱出出来たが、女海賊達は風に巻き込まれ、天井の外へ吹き飛ばされた。 「キャアアアアァ!!」 「スネークしゃん、卵が……!」 「解っている。お前達は先に行け」 スネークは二匹を降ろし、さっきの部屋へ向かって走っていった。 「スネークしゃん!」 「ピピッチュウ!」 そして部屋へ入ろうとしたが、部屋はかなり浸水している。スネークの胸辺りまで水位が来ていた。オマケに水槽が水圧で割れそうになっている。 「間に合うか……?」 スネークは息を思い切り吸い、息を止めると水の中へと潜った。 水槽を目指すが、水槽のガラスがガシャーンと割れてしまい、中から骨魚が牙を向いて襲って来た。 (くっ! 水中戦なんて慣れてない……!) 噛みついてくるモンスターを何とか避けながら、卵へ、瓶を掴んだ手を伸ばした。何とか卵は瓶へ摘められ、スネークは一安心した。 その時、更なる殺気が彼の背中を突き刺す。流石のスネークもゾクッとさせ、後ろを見た。骨魚のモンスターは既にいなくなっていた。恐らく、今漂う殺気の所為だろう。 すると壁が一気に壊れ、中から更に巨大な魚の牙が、大口開いてこちらへ向かって来た。 (くそっ!) スネークは水の抵抗で動きが鈍くなったが、巨大な魚の攻撃はギリギリで避けれた。魚の頭に足を付け、一気に上へ上がる。 「ぷっはあぁ!」 少し久しぶりの酸素にスネークは何度も肩で息をした。そこはアジトの屋根の部分だった。 「大丈夫でしゅか、スネークしゃん!」 「ピィチュー!」 屋根にはプリンとピチューがいたことにスネークは目を丸くしたが、大丈夫だと返事をしながら水から上がった。 「気を付けろ。どうやら海の神様がお怒りの様だ」 スネークが言い終わったと同時、穴を突き破って巨大な魚がジャンプして来た。 「キャアァ!」 「ピ……ピッチュウ!?」 スネーク達は急いでその場を離れ、巨大魚はバクンッと空気に噛みつき、そしてまた海の中へと行く。 「だから言ったろう? 海には常に危険が付きまとうってな」 「で、でも海は普通、こんなんじゃないんでしゅよねっ?」 「お喋りする暇があったら、早くあの魚を何とかしよう」 彼等の周りを泳いでいるのは、先程の巨大魚だ。 「町で聞いた話に寄ると、奴はグヨーグって怪物みたいだな」 「ピチュー、きっとピチューの電撃で一発KOでしゅよ!」 「……」 「ピチュー?」 それを言われた途端、ピチューはガタガタと怯え出した。海の危険とはいかなるものかを思い知ってる最中なのかも知れないが、プリンは慌ててピチューを揺さぶった。 「ピチュー、大丈夫? 確りしゅるでしゅ!」 「仮に電撃を食らわすとしても、どうやってやるか。あんなに動き回ってちゃ、鼠で電撃を食らわすのは厳しい。それに、水は電気を通すから、俺達も危険だ」 「た、確かに……」 プリンが悩むのをよそに、スネークは考えた。 (──なら、あれが使えるか?) あることを思い付くと、懐から銃を引き抜いた。 「一寸の間、奴には……!」 スネークが言い終わらない内に再びグヨーグが飛び掛かる。スネークは横っ跳びをしながら銃撃をした。足を鋭い牙がかすめる。 「うっぐ!」 「スネークしゃん!」 膝を付いたスネークの後ろへグヨーグは飛込んだ。 「心配するな、転んだ程度の傷だ」 と言うにも関わらずよろめいて立ち上がる。 「さっき麻酔銃を撃ち込んでみたが、中々しぶといな……プリン、ピチュー、これから俺の言うことを確りと聞け」 「? 何でしゅ?」 「ピィチュ……?」 一人と二匹は、女海賊の時と同じ、別々の方向を睨み続けた。 「言っておくが、ピチュー、お前だけが頼りなんだからな」 ピチューは耳を動かし、また体を少し震わせていた。かなりのプレッシャーが掛かっているのだろう。 「自分の力を信じるでしゅよ、ピチュー! ミカウしゃんと、ルルしゃんの為にも!」 プリンの励ましの言葉にピチューはハッとした。頷く彼女に、ピチューも首を縦に大きく振った。 巨大魚が来る気配がする。スネーク達は警戒心を更に強めた。 「来るぞ!」 グヨーグは高く跳ね、プリン達に大口を開いた。だがその時、グヨーグの様子が変わった。麻酔が、今更グヨーグの体に回り始めたのだ。 ピチューはその瞬間を狙い、高くジャンプするとバチバチと電気を放ち始めた。 プリンは手で口を押さえながら自分自身に息を吹き込んだ。すると、プリンの体が風船の様に大きく膨らんだ。スネークは、フワリと浮かんだ彼女の足を掴み、一気にジャンプした。 「今だ、ピチュー!」 「ピイィチュウウウ!!」 ピチューの頬袋から巨大な電撃が放たれた。その電撃は周辺の海を巻き込み、グヨーグはその海へ飛込んでしまった。 「グアアアァァ……!!」 グヨーグの体は電気に寄って弾け、電気を良く通すことで大ダメージを与えることが出来た。 攻撃が終わると、辺りの海から湯気が立つ。 グヨーグも黒焦げになり、沈んで行くと共に消滅した。そして消えた場所から光が放たれ、グヨーグの顔を型どった面が水面に浮かんだ。 スネークはプリンの足から手を放しては屋根へ着地し、落下して来るピチューを腕で受け止めた。プリンも口から空気を抜くと、ゆっくりと降り立った。 「流石ピチューでしゅ! 頼りになるでしゅっ」 「まぁ、自分の電撃に感電するのが、今のこいつの悩みの種だろうな」 ピチューの実力は確かだが、まだ自分の電撃に驚いてしまう癖がある。今もピチューは、スネークの腕の中で伸びてしまっていた。 「ん?」 プリンは、海に浮かぶ面を見付けるとそこへ向かい、面を拾い上げた。 「プリッ?」 触った途端、そのお面は光り出し、空へと昇って行った。そして、いつの間にか覆っていた厚い雲が薄れて行く。そこから、巨大な足が現れた。 「な、何でしゅか、あの人? で、でかいでしゅ……!」 「あれは正か、妖精の言っていた奴か……」 「ピィィチュゥー……」 目を覚ましたピチューは、今度は目を丸くしていた。 そして巨大は、何かを歌いながら、白い闇に紛れて消えて行った。 「顔は拝めなかったが、あいつらが月を何とかしてくれるのを祈るしかないな」 「そうでしゅね」 話を交した後、スネークは懐から瓶を取り出した。 「無事ゆで卵にならずに済んだな」 「しょんなこと言うもんじゃないでしゅよっ」 プリンは頬を膨らませ、スネークをペシッと叩く。叩かれたスネークはフッと笑んだ。 「それは悪かった」 その時、アジトから離れた場所から、数人の声が聞こえた。スネーク達はそちらを見ると、ミカウの様な姿をした者達がいる。彼等もゾーラ族らしい。 「君達が卵を取り戻してくれたんだね? 礼を言うよ」 一番背の高い男が言った。 「ああ」 そうスネークは瓶を彼に渡した。ゾーラは頭を下げた後、後ろにいる女性のゾーラに振り向いた。 「さぁ、ルル。卵が戻って来たよ」 「……」 ルルは、恐る恐る瓶を受取り、そっと抱き締めた。 「……あ!」 プリンが唐突に声を上げた。 瓶の中にある卵がブルブルと震え出したのである。全員、それをジッと見ていた。 それは段々膨らみ、形になっていく。そして、中から小さな魚が誕生した。 「おぉ! ゾーラの子供が生まれたぞ!」 「……あ……私……」 それと同時に、ルルの口から声が出てきた。皆はそれに更に驚いた。 「どうやら、彼女の声も戻ったみたいだな」 スネークは微笑んだ。 ルルは涙を溢して笑顔になり、スネーク達に頭を下げた。 「ありがとうございます。本当に感謝しています。ミカウも、きっと天国で喜んでいます」 「ルルしゃん……」 ルルの笑顔は、次第に悲しみに染まるが、それでも彼女は耐えていた。 「私達、バンドを組んでいるのです。近々ライブを開くので、良かったらあなた方も聴きに来て下さると嬉しいです」 「……ああ。是非とも」 少し躊躇ったが、スネークはそう言った。 「そろそろクロックタウンに戻るでしゅ……」 「そうだな。それじゃあ、行くか」 感謝の言葉を言いながら手を振るルル達に見送られ、スネーク達は海を後にした。 ──to be continued── |