谷の番人








 マーシスとメタナイトはナビィを連れて砂漠を歩いていた。酷い砂嵐が二人とナビィを襲う。

「キャッ!」

 ナビィは時折来る強風に危うく吹き飛ばされそうになった。

「ナビィ殿、大丈夫か」

 マーシスは見掛けに寄らず、マリオ達の中で最も身軽なのだが、それのせいで風を受ける苦労は多少している。だが、砂嵐攻撃は彼には通用していない。

「う、うん。平気よ。いきなりの強風にちょっとビックリしただけ」

 ナビィは少し離れてしまった彼等の側に戻って来た。

「メタナイト、何か見えたか?」

 メタナイトはマントにくるまって砂嵐を防ぐ中、彼に言われた通りに前方に目を凝らす。

「……あれは、町か?」
「何?」

 二人は立ち止まり、マーシスも前を見つめる。
 砂嵐で視界が悪いが、奥に何か影ある。そして、ここからでも少し広く見える村があると言うことが分かった。

「確かに町があるわね。蜃気楼じゃないと良いけど」

 ナビィは高くまで飛び、町を確りと確認するとそう言った。

「取り合えず行こう」

 そうマーシスは歩き出し、メタナイトとナビィも前へと進んだ。
 そこは蜃気楼では無い。クロックタウンに比べて乏しいが、人々で活気溢れる村だった。そこへ着いた時は砂嵐は止んでいた。

「中々良い町だ。クロックタウンとは違い、砂漠でも生き抜く知恵を持っている」

 マーシスは彼等と歩きながら言った。

「今の内に食糧調達をするか。少しでも多く食糧を増やした方が良い」

 メタナイトはカービィを思い出しながら言っていた。
 暫くし、そろそろ町を出ようとした時だ。

「お恵みを……」

 横から聞こえた声に、マーシス達は立ち止まると振り向いた。
 出口の近くにある壁に背中を寄せて座り込んでいる人物がいた。汚れた茶色い布で身を全て包み、妙に干からびた片手に乗せた茶色い小さな器を彼等に弱々しく突き付けていた。

「どうかお恵みを。お恵みを下されば良いことを教えます……」

 ヨボヨボの老婆の声だった。
 マーシス達は顔を見合わせた後、マーシスが前に出て老婆の側で膝を付き、懐から袋を取り出す。買ったばかりの食糧の中から数枚の干し肉を取り出し、器に入れる。

「干し肉は生肉とは違い、長持ちする。大切に食べるのだぞ」
「嗚呼……ありがたやありがたや……」

 マーシスは立ち上がると彼等のとこへ戻った。

「約束じゃ。お礼に良いことを教えますぞ」
「良いこと?」
「お前さん達、あの月を止める為にここへ来たのじゃろう?」

 少し顔を上げるが、影から僅に口くらいしか見えない。だが、その口は笑みながら語った。
 マーシス達は驚き、動揺してしまう。

「なぜそれが分かった」

 メタナイトが怪訝そうに尋ねると、老婆は笑いながら続ける。

「ワシには分かるんじゃよ、お前さん達の心がのう。お前さん達が求める道はここから真っ直ぐに行った方角にある。ロックビルへ行くのじゃ」
「ロックビル……」

 ナビィは呟いた。

「危険が待ち詫びているじゃろうが、それも修行になるじゃろう。頑張るのじゃぞ」
「かたじけない」

 マーシスはメタナイト達に頷き、そして町を出た。

「……あの者達が現れてから、やはりこの世界に僅かな変化が見られるのう」

 彼らをその場から見送った老婆は、手に持つ水晶玉を淡く光らせる。

「このタルミナの命運は、あの者達に任せるべきじゃな。頼むぞ、異世界の者達よ──」




「ねえ。ロックビルってあそこかな?」

 高い場所から辺りを見ていたナビィが声を上げた。マーシスとメタナイトも、砂漠の地平線に影があるのに気付いた。四角い形をした影がバランス悪く集まっているのも分かる。
 共に急な坂を感じ、どうやら向こうは谷となっている様だ。

「よし。急ごう」

 メタナイトはマントをコウモリの翼に変えて飛び立ち、マーシスも身軽な体を使って走り出した。

「あ! ち、一寸待ってよー!」

 二人に気付いたナビィは慌てて彼等を追い掛けていった。
 数分で彼等はもうそこへ着いた。
 そこはまるで廃墟だった。岩で作られた様な背の高いビル達が砂漠に埋もれていて、まるで砂漠からあちこちの方向へ生えてしまっている様に見えた。

「見ただけで、ロックビルだと分かるな」

 マーシスは見上げながら言った。

「ここへ踏み入った途端に、強い殺気を感じるな……」

 メタナイトはギャラクシアを片手に構えた。

「……油断禁物ね」

 ナビィは二人のとこまで下りていった。
 彼等はロックビルの砂漠の道を歩く。風がロックビルの壁に反響し、悲しく泣いている。

「……ん?」
「メタナイト?」
「どうしたの?」

 今度はメタナイトが立ち止まった。

「マーシスは感じないか?」
「……ああ。先程よりも殺気が強くなっている」

 彼等が辺りを警戒していると、砂の下から突然茶色い手が現れ、マーシスの足を掴んだ。

「何!? 下か!」

 気付いたマーシスはとっさに下へ剣を払い、茶色い手を切り裂いた。

「マーシス! メタナイト!」

 ナビィは叫んだ。
 辺りの砂から次々とゾンビ──リーデットやギブドが現れ、こちらへゆっくりと近付いて来るのだ。

「こいつらは、リンク達の世界でもいたな」

 メタナイトはリーデット達を睨み回した。

「! ねえマーシス」

 ナビィはマーシスの側へ来た。

「リンクやこの世界で、貴方あの光る技を使ったわよね? 何とか出来ないの?」
「……いちかばちかやってみるか」

 そしてマーシスは高く飛び上がり、剣を空へ掲げた。

「はぁ!!」

 剣から強い光が放たれ、リーデット達を包み込む。光を浴びたリーデット達は見事に固まり、動かなくなった。

「やったわね!」
「今の内に一掃をしよう」

 メタナイトは一体目のリーデットへ向かった。そして斬り掛かる直前だった。
 リーデットの動きを封じる呪縛が、パンッと言う音を立てて解かれてしまったのだ。

「な! 何だと!?」

 一番に驚いたのはマーシスだった。彼が繰り出した技はアンデット系のモンスターの動きを一定時間止めることが出来るが、その力が直ぐ解かれたケースは今まで無かったのだ。
 メタナイトはリーデットに睨まれると、体が動かなくなってしまった。

(し、しまっ……!)
「うぉあ!」

 メタナイトはリーデットに手を噛みつかれ、ギャラクシアを落としてしまう。

「メタナイト!」

 マーシスは倒れたメタナイトを助けに向かうが、その油断が命取りだった。周りのリーデット達も直ぐに呪縛から解き放たれ、マーシス達に襲い掛かる。

「くそ! 何故だ!」

 マーシスは剣をなぎ払って奴らを倒していくが、その数はあまりにも多すぎた。

「うぐあぁ……っ!」

 マーシスの背中にギブスが飛び掛かり、マーシスは肩を噛みつかれてしまう。

「メタナイト! マーシス!」

 奴らの一度の攻撃で何故か気を失ってしまった二人。ナビィは彼等に呼び掛けるが、彼等が目を覚ます気配は無い。そうしている間にも、リーデットやギブド達はどんどん近付いて来たのだった──。




「うっ……!」

 闇と寒さが漂うある場所で、最初にメタナイトが目を覚ました。ズキッと手の痛みが走ったので、そこで目を覚ましたのだ。
 起き上がると人工的に作られた、正確に平な壁と床が見える。そして横を見ると、ここはろうやだと言うことが分かった。
 メタナイトは辺りを見ると、マーシスやナビィが床に倒れ込んでいるのを見た。二人の安否が先に心配なので直ぐに起こしに行く。右手を負傷したので、左手でマーシスの背中を揺さぶった。

「マーシス、マーシス!」
「……っ」

 マーシスはメタナイトに声を掛けられ、脱力していた手をギュッと握る。そして体をゆっくりと起こした。

「メタナイト、無事で何よりだ……うっ!」

 肩がズキリと痛み、反射的にそこを押さえ付ける。メタナイトはそこで彼が負傷していることに漸く気付いたのだった。

「マーシス、怪我をしているのか!」
「これしきのこと。メタナイトこそ怪我をしているではないか」
「そなたの方が酷いであろう」

 メタナイトは怪我した自分の手を見、そしてマーシスの怪我を見ながら言った。

「うーん……」

 床に伏していたナビィは気が付き、フワフワと浮遊し始めた。

「ナビィ殿も気が付いたか」
「あ、あれ? 何であたしも気を失ってたのかしら……」

 力無いのか、低空飛行をしつつこちらへ来た。

「全員気絶させられていたのだな」

 マーシスは座りながら言った。メタナイトもマントにくるまり、檻を見ながら口を開く。

「そして、牢屋に閉じ込められたと言う訳だ」

 そんな時、暗闇から何かが聞こえてきた。ひたり……ひたり……と裸足で歩いて来る様な音。しかもゆっくりである。マーシス達はそちらを見つめていると、闇の中からは、あの時のリーデットが一体こちらへ歩いて来るのが分かった。

「あやつは……!」
「待て、メタナイト。アイツからは殺気を感じない」

 マーシスはメタナイトの前に手を出して制した。そして三人はリーデットを見つめる。
 リーデットは牢屋の前まで来ると独特な悲鳴を上げる。すると、鉄格子が下へ下がって行った。

「?」

 三人は顔を見合わせた。
 リーデットはこちらをジッと見ているが、殺気は未だに感じない。まるで、彼等が来るのを待っている様だ。
 マーシス達は頷き、立ち上がって奴に近付いた。すると案の定、リーデットは後ろを向き、ひたひたと歩き始めた。

「ねぇ、二人共本当に行くの? きっと罠よ!」

 ナビィは焦りの色で二人に言った。それでも二人はお構い無しに歩き続ける。

「ここにいても無意味であろう」

 そこでマーシスが口を開いた。

「それならば、動いていった方が良い」
「時間も無いからな」
「そ、それもそうだけど……」

 それでも不安がっているナビィを見たマーシスは微笑みを溢した。彼を見たナビィはハッとした。

「リンクの為でもあるのだ。迷惑を掛けぬ様に努力は尽すと、最初に申したであろう?」
「……う、うん」

 ナビィの光や溢れるりんぷんが少し赤い様に見えた。
 リーデットはやがて外へ出た。マーシス達は大人しくついてゆく。
 そして、ロックビルに囲まれた広々とした場所へ出た。砂漠とは違い、砂は平だ。風に触れると、少量の砂埃が綺麗に吹き上がっている。只、ここには何かがあると、そんな雰囲気が漂っていた。
 マーシス達がその広場に足を踏み入れると、後ろで立っていたリーデットは地面へ消えていった。その音に彼等は振り向いたが、もうそこには誰もいなかった。
 そして、その場に大きな岩が幾つか落ちてきた。近くなので振動が大きく、彼等は顔を腕で覆う。岩は、恐らく逃亡防止になっているのであろう。

「逃げたりはせん。用心深いモンスターだ」

 メタナイトは呆れた声で言った。
 そしてまた振動が襲って来た。今度は別の場所からである。広場を見ると、平な砂から二つの巨大な山が盛り上がって来ている。
 そして山が崩れ落ちたと同時に、中から怪物が二頭も飛び出して来た。その怪物は長いムカデで、赤と青の二頭に分かれている。奴らは各々あちこちへ飛び出し、そして砂の海へ潜っていくの繰り返しな行動を行っていた。

「何なんだ奴らはっ!」

 二人の騎士は剣を引き抜き、マーシスは声を上げた。

「あいつは……ツインモルドよ!」

 ナビィはとっさに叫んだ。

「奴らの好物は生きている物よ! 弱点は尻尾。それさえ切り落とせば倒せる筈だわ!」
「心得た。尻尾だな?」

 メタナイトはチャキッとギャラクシアを横に構え、翼を使って飛び立った。

「ナビィ殿、あいつらの弱点が分かるのか?」
「うん。あたし、生まれつき敵の弱点を見抜く能力を持っているの」
「そうか。頼りになるな!」

 マーシスはそう言った後、高速なスピードで走っていった。

(あーもー。何であたしったらこんなにドキドキしてるのかしら)

 また赤くなったナビィは、そう思わざるを得なかった。そして首を振って我に帰り、自分も飛んで行った。

「二手に分かれて倒そう」
「ああ」

 メタナイトは赤いモルド、マーシスは青いモルドへ向かった。

「それにしても、かなり大きいな」

 メタナイトは翼を使い、上空からモルドを見下ろす。
 モルドはこちらに気付くと、砂へ沈む直前、体の向きを変えて飛行して来たのだ。

「何!? 奴も飛べると言うのか!」

 メタナイトはモルドの体当たりを何とか避けようとしたが、モルドの胴体は大きい上長く、おまけにメタナイトも怪我をしている為、避けきることは出来なかった。

「うお!」

 胴体をかすっただけでメタナイトは叩き落とされる程の衝撃を受けてしまう。砂漠へ叩き付かれ、メタナイトはよろめきながら立ち上がろうとするが、傷が痛んでしまい中々動けない。

「くっ……あの時、リーデット達ごときにてこずらなければ……!」
「あ! メタナイト!」

 ナビィはメタナイトへ飛んで向かった。
 マーシスはこちらへ落ちる様に向かってくるモルドを横っ飛びで避けた。だが奴が砂に飛び込む瞬間、そこから砂の衝撃派が放たれた。

「うっく!」

 マーシスはとっさに剣を構えてシールドを張るが、モルドの攻撃は凄まじく、敢えなく吹き飛ばされてしまった。

「うぁ!」

 空中回転をして空気抵抗をし、着地は出来た。

「胴体が大きいが故の力か。だが私は負けん!」

 立ち上がってそう言った後、高くジャンプした。彼が落ちるその下からはモルドが現れ、こちらへ向かって来た。

「ハッ!」

 マーシスは今度は体を横へ一回転して攻撃を避け、モルドの背中へ足を付けた。

「グア……!?」

 モルドは驚いて首を捻り、背中を見る。

「うおお!」

 マーシスは背中を走りながら剣を握った。

「メタナイト! 来るわよ!」

 ナビィはメタナイトの側で声を上げた。メタナイトは顔を上げ、牙を向くモルドと目が合った。二人は別々の方向へ飛び、モルドは砂の海へ沈んだ。

「奴らにとって、砂漠はプールと言ったとこか」

 メタナイトはギャラクシアを改めて構えるが、手や体の痛みは相変わらず響いていた。

「メタナイト、あまり動くと傷口が……」
「だが止まっている訳にもいかぬ。奴の動きは素早い。それに、早く倒さねば、時間が無い」

 空は既に夕闇に包まれていた。恐ろしい顔をした月もいつの間にかでかい。タルミナ滅亡まで、後一日と半分しか無いのだ。

「それに、私達は負けん。負ければあの隊長に叱られるからな」

 仮面の下でメタナイトはフッと笑った。ナビィはそれを聞いて暫くし、彼に近付いた。

「……だよね。そうだよねっ。負けてられないわ!」

 その時、彼等の前から突然モルドが顔を出した。だがモルドはメタナイト達では無く、別の方向へ向かって飛んで行った。最初は何故、奴は自分達をターゲットにしていないのか、メタナイト達は理解出来なかった。だがその疑問は、一瞬で消え去った。

「はああぁ!」

 マーシスは、モルドの尻尾まで近付いて来ると、剣を高く掲げた。

「マーシス!!」

 ビル達で反響する程に大声で呼んだメタナイトにマーシスは振り向いた。彼の目線の先には、もう一匹のモルドがこちらへ向かって来ていた。マーシスはそれに気付くと、素早くモルドから飛び下りた。

「うおお!」

 マーシスは砂漠へ落下する。
 赤いモルドの攻撃をマーシスは避け、赤いモルドの攻撃は青いモルドの尻尾に当たった。

「グゥアアァァ……!!」

 青いモルドは悲鳴を上げながら空を飛行している。そして、尻尾から一段ずつ爆発して行き、最後に頭だけが残って砂場へドスンと落下した。

「……愚かだな……」

 無事着地したマーシスは、自然とそう言っていた。

「マーシスー! 危なかったぁ!」

 ナビィからすすり泣きが聞こえてくる。それに気付いたマーシスはクスッと笑った。

「ナビィ殿達も危うかっただろう。お互い様だ」
「マーシス……」
「感動場面はお預けだ。マーシス、ナビィ、戦いはまだ終わっていない」

 メタナイトは二人から顔を反らして、まだ生きているモルドを見上げる。

「そうだったな」

 マーシスは笑みを止めないまま剣を構えた。

「よーし、行くわよ!」

 ナビィはそう言うと、モルドのとこへ向かった。モルドはナビィに気付く。

「ホラホラ、こっちへ来なさいな」

 挑発した口調はモルドに通じた様だ。今までよりも声を荒げ、ナビィへ向かってかなりのスピードで飛行する。ナビィは、奴の意外な反応に少し驚いたが、直ぐにその場を飛び立つ。

「こっちよこっち!」
「ナビィ、一体何を考えているのだ……」

 ナビィはあちこちに飛び回ってモルドと鬼ごっこをしていた。彼女達の行動を静かに見守る二人の騎士だが、彼女の考えてることが微妙に読めなかった。
 だがそれは直ぐに分かった。ナビィは最後にモルドが描いたわっかの中を通り抜けた。そこへモルドの首が入ると、何とモルドは自分で自分の体を、結んだ紐の様になってしまったのだ。今更気付いたモルドはほどこうと必死でもがくが、確り結んでしまったので無理だった。

「流石、敵に詳しいだけのことはあるな」

 メタナイトは感心して呟いた。

「メタナイト! マーシス! 今よ!」

 ナビィはその場から二人へ叫んだ。

「ああ。では、行くぞ!」

 マーシスが言うと二人は剣をバツに交わしてから、モルドへ向かってジャンプして行った。

「くらうが良い、モルド!」

 同時に同じ言葉を放った二人は空中で剣を交わす。すると、二本の剣から黄色く光るオーラが放たれた。

「クロス=スラッシュ!!」

 二人は息を合わせ、剣で大きなクロスを描いた。辺りの時が止まる間、二人は地面へ着地し、剣を鞘にそっとおさめる。そして、キンッと言う音が二つ同時に鳴った時、モルドの尻尾は、綺麗にクロス型にスライスされた。

「グオオォォォ……!!」

 結ばれたモルドは、空中で暴れもがく。そして尻尾の方から爆発して消滅していき、やがて頭だけが残った。
 頭は、地面に落ちているもう一頭のモルドの頭へ向かって落下し、ぶつかると、煙を上げて消え、後にモルドの顔を型どった小さな仮面が砂の地へポトリと落とされた。

「やれやれ。ハンデと言うのにも限度があるな」

 マーシスは溜め息を吐いた。メタナイトはフッと笑う。

「だがナビィのお陰で助かった。礼を言うぞ、ナビィ」

 こちらへ来たナビィにメタナイトは顔を上げた。

「あ、あたしは、二人が怪我してたから、二人の為になることをしたまでよ」

 ナビィは少し赤くしながら言った。

「普段は、リンクの為に助言をしてあげてるだけだから」
「なら今後、リンク殿の為に色々手助けしてやるべきだ」

 メタナイトは仮面を拾いに向かい、マーシスはその場でナビィに言った。

「……そうね」

 暫し間が空いた後、ナビィはそう言った。

「いつもあいつ、強敵と戦う時はギリギリの位置までいて、見てるこっちがハラハラしちゃってたわ。手助けするって、こんなにも人の為になるのね」
「ああ。相手が無理をしていたり、危機に陥っているのならば、手を貸してやるのだ。リンク殿が戻って来たら、言ってやるべきだ」
「うん。二人共、本当にありがとう!」

 ナビィがキラキラとりんぷんを降らし、マーシスは笑みを綻ばした。メタナイトも仮面を手に持ちながら頷いた。

「……むっ」

 すると仮面は光だし、空へと昇っていった。霧の様な雲が空を覆い尽し、遠くで巨大な両足が現れた。

「あれは、巨人か」

 呟いたメタナイトの横へマーシス達が歩いて来た。

「きっと、トレイルの言っていた四人の人達ね」
「あの巨人ならば、月を止められる程の力があるだろう」

 巨人は、まるで遠くからホラ貝を鳴らす様な声で何かを奏でながら、遠くへ歩いてゆき、やがて霧に包まれながら消えていった。
 それと同時、霧は綺麗に消え去った。
 マーシスは辺りを見回した。

「あの仮面……呪いの力を感じたな」
「と言うことは、あのツインモルドは何者かに操られていたってこと?」
「ああ。それで、ここへ来た者達は、あの谷の番人に食われていったと言うことか」
「あのリーデット達ね……」

 ナビィはそれを聞くと羽をしゅんとさせた。

「彼等の為にも、あのスタルキッドを止めねばな」
「ああ。ナビィ殿、メタナイト、では行こう」

 そしてマーシス達は、ロックビルから出ていった。










 ──to be continued──