Eight memories〜前編〜








 巨大モグラは、地面に爪を立てると、猛スピードで体当たりをして来た。カービィとプリンは地面をバウンドして高々と飛び上がる。
 だが避けられても、モグラは直ぐに地面の下へ潜って行った。

「逃がさないでしゅ!」

 プリンは後を追って同じく穴の中へ突入した。そして中でクルクルと回り始め、スピードを一気に上げてモグラの後を追う。

「ぐお!?」

 穴を掘りながら後ろを向いた巨大モグラは、プリンの姿を見てギョッとした。

「これでもくらうでしゅ!」

 プリンは体当たりをくらわした。

「ぐああぁ!」

 後ろはまだ掘られてない土の壁で、巨大モグラはプリンと壁にサンドイッチにされた。プリンの技は腹にめり込み、相手は蹲る。

「どうでしゅ!」

 プリンは横に小さな手を当て、エッヘンと得意気になる。

「……」

 巨大モグラは震えながら立ち上がると、体から黄色い淡い光を放つ。すると、傷がみるみる回復していったのだ。

「プリッ!?」

 プリンは目を更に丸くして驚いた。彼もPSIを使えるとは思わなかったのだ。

「ガアァ!」
「プリイィ!」

 今度はこちらの番だと言わんばかりに、巨大モグラは思い切り体当たりをかましてきた。身軽なプリンは見事穴から飛び出してきた。
 カービィは慌ててプリンを空中でキャッチした。

「プリン! 大丈夫!?」
「プリィ……」

 相当なダメージを受けたか、プリンは目を回して気絶してしまった。

「……プリンはここで休んでて」

 民家の裏側へプリンを寝かせ、そして屋根へ飛び移り、穴から現れた巨大モグラを睨む。

「仲間を傷付ける奴は、許さないぞ!」

 カービィはジャンプし、クルクル回り始める。

「今まで温めてきたコピーを使う時だ!」

 そして、カービィはレーザーを繰り出した。巨大モグラはそれを見つめると、目の前に光の壁を作り出した。カービィのレーザーはあっさりと防がれてしまう。

「ええ! 正かネスと同じ力が使えるの!?」

 カービィが驚いているのを見て相手はニヤリと笑い、再び地面の下へ潜る。

「くう! ならばこれだっ!」

 今度は片手に爆弾を携えた。

「えい! えい! えーい!」

 どんどん爆弾を投げ、巨大モグラの作った全ての穴に投げ込んだ。だが巨大モグラはどんどん奥へ行ってしまい、爆弾から逃れていた。

「んもお、カービィだけにまかしぇておけないでしゅね」

 打った頭を撫でながらプリンがひょこっと現れた。

「あ、プリン!」
「カービィ、もしかしたら適当にコピー能力選んでないでしゅか?」

 浮遊しながらプリンは半目でカービィを見ていた。カービィは、えへへと頭を掻く。

「ここは相手に有効なコピー技を使うべきでしゅ」
「有効なコピーって言われてもなぁー」

 うーんと考えている間にも、地面の下から巨大モグラが飛び出してきた。

「わわっと!」
「プリィ!」

 二人は慌てて回避をした。巨大モグラは下へ降りると、またもや地面へと潜っていった。

(しょう言えば……)

 プリンは夜空を見上げた。今の時間は、満月が出ている綺麗な夜。その間に地上に現れるモグラ……。

「! 分かったでしゅ!」
「え? な、何が?」

 ピンと思い付いてピョンと跳ねるプリンにカービィはポカンとしている。

「カービィ、あのコピーありましゅ?」
「あのコピー?」

 プリンはそんな彼の耳元でコショコショと話し始めた。するとカービィも理解したらしく、口端を上げる。

「オッケー。その技なら任せてよっ」
「じゃあ行くでしゅ!」

 プリンは穴の中へ入り、奴を探す。
 そして、暗闇の中からギラリと赤く光る目があった。プリンはその殺気に鳥肌を立たせたが、やっと見付けたと微笑する。

「モグラしゃん、こっちまで来るでしゅっ! この引きこもり大将!」

 態と彼女がそう言ってみせると、巨大モグラはムカッと来た様だ。爪を使ってプリンに高速で向かう。
 プリンは穴から出る。続いて巨大モグラも飛び出してきた。

「今でしゅ、カービィ!」
「ライト!!」
「!? グウアアァ!!」

 巨大モグラの目の前には、光を片手に持ったカービィがいた。巨大モグラは光に目を強く撃たれ、堪らず悲鳴を上げた。
 いつも地面の下で生活しているモグラは、太陽の光が大の苦手なのである。つまり光が駄目で、カービィのライトはかなり応えた。

「とどめでしゅ!」

 プリンは巨大モグラの体へピトッとくっつき、そして体内から強力なパワーを発揮した。

「プリュウウ!!」
「グアアアアァァ!!」

 巨大モグラは思い切り吹っ飛び、空の星となってしまった。

「やったぁ! 遂にモグラを倒したよぉ!」

 カービィは飛びながらはしゃぐ。
 だがプリンの喜ぶ気配はない。カービィは気になって彼女を見てみると、プリンは深い眠りについていた。

「そう言えばあの技、かなり体力を消耗するんだったっけ」

 プリンの必殺技の一つ『ねむる』は、その技を発揮する瞬間、体内から桁外れのパワーを放出するのだ。その技は相手に触れていてこその一撃必殺なのだが、直ぐに疲れがどっと溜るので、眠りについてしまう。それでこの技名が付けられたのだ。

「お疲れ様」

 カービィは眠るプリンに微笑みかけた。

「ん?」

 巨大モグラのいた場所から柔らかな光が放たれた。穴だらけの地面が何かに型どられていく。それは、まるで小さな足跡が、地面に沢山刻まれている様な光景だ。おまけにその足跡は、プリンやカービィの足より遥かに小さい。

「何だろうこれ?」

 カービィがそれらを見ていると、どこからか音が僅かに聞こえた気がし、そして──。

 ──ぽよ! ぽーよ!
「え……」

 光の世界の中、カービィの目に映ったのは、まだ生まれたての自分自身だ。その自分はやがて光の中へ姿を消した。

 ──!

 カービィがハッとすると、辺りはいつも通りの光景になっていた。
 丁度プリンも起き上がる。

「プリン、起きたんだね」
「……カービィ……」

 カービィに見せたのは、自分自身の僅かな涙だ。驚いたのも無理はない。

「ど、どうしたの、プリンっ?」
「……夢を見たんでしゅ……」
「夢?」
「プリンがまだププリンの頃の夢でしゅ。卵から孵ったばかりの自分がいて、それから何も覚えてましぇん」
「……」

 これは果たして偶然なのだろうか。正か彼女もそんな夢を見ていただなんて。

「何だかよく分かんないけど、まあ、とりあえずモグラは倒したから良かったよっ」
「そうでしゅね」

 カービィはプリンの小さな手を持ち、彼女を起こしてあげた。
 カービィの頭の中に残った僅かなメロディは、解放される時まで忘れることはない。




「暗いですね」
「暗闇は勘弁して欲しいなぁ。俺は鳥目なんだ」

 ファルコとリンクは、武器を片手に洞窟を進んでいる。洞窟が故に中に入ると、僅かな闇が広がる。

「ん?」
「……!」

 広いホールの様な場所へ来ると二人は立ち止まった。
 ホールの真ん中に、謎めいた土の巨大山があるのだ。二人は少し見上げ、驚きの声を出した。

「何だよこの土。洞窟掘るなら土をこんなとこで溜めるなよ」

 ファルコは腕を組んでやれやれと溜め息をついた。
 だがリンクは、土をジッと見つめていた。特に天辺である。

「これは、只の土じゃありません!」
「んなこと分かってるよ」

 慌てるリンクに対してファルコは冷静にブラスターを取り出し、素早く一発かました。赤い光線が土の山に当たる。

「グアオォ……」

 その土の山は突如動き出した。そして表面から目玉を出し、二人をギョロリと見下ろした。

「こんな奴にどせいさんがいじめられるとは、命がけだなぁ」
「早く倒しましょうっ」

 巨大な土の山の天辺に小さな芽を出している怪物──ちょうねんじゅのめは、目の前に光を放ち、二人に向けて発射した。二人は素早く離れて緊急回避する。

「でやあぁ!」

 リンクは爆弾を投げつけた。それは、ちょうねんじゅのめが大きく動いた為、端っこしか当たらなかったが、ダメージは受けている様に見えた。だがちょうねんじゅのめの土が一部動き、爆弾でできた焦げ目をあっさりと治してしまった。

「くっ、爆弾が駄目だなんて……!」

 リンクは歯をくいしばった。

「それなら、一発で仕留めるか、動きを抑えて体力を削るかだな」

 ファルコは相手を見上げて呟いた。

(一発で倒すか、動きを抑えるか、か)

 リンクは少し考え出す。
 そして思い付くと、今度は弓矢を取り出し、氷の矢を使う。

「くらえ!」

 矢先が水色に光る氷の矢は、真っ直ぐに相手めがけて放たれた。相手は見事に矢を受けたが、中々凍らなかった。

「駄目か……!」

 その時、ちょうねんじゅのめの土の表面から、いくつもの双葉がポンポン生え出した。

「あ?」
「何だ?」

 二人は身を少し退かせては見てしまっていた。
 表面の双葉達に足が生え、こちらへ高速で走ってきた。

「うわ!」
「ちっ、なんなんだこいつら!」

 ダメージはそれ程ではないものの、集団で攻撃されてはダメージも蓄積していく。ちょうねんじゅのめは、その間に黄色い電気玉を作り始める。
 ファルコはハッとし、リンクに叫んだ。

「しゃがめ!!」
「!?」

 リンクが反射的に身を屈めると、彼の上を巨大な電気玉が高速で通り過ぎた。その技は自分で生み出した双葉のモンスター達をも巻き込み、電気を放ちながら小爆発を起こした。
 リンクはファルコに口端を上げた。

「ありがとうございます、ファルコさん」
「感謝する余裕があるなら、早くあいつの倒し方を考えようぜ」
「グウゥ……」

 攻撃を外し、更に仲間を大量に攻撃してしまった相手は苛立っている様子だ。次の攻撃を受けたら、ファルコ達に勝ち目はないかも知れない。

「よしっ、リンク、良いことを思い付いたぜ」
「ファルコさん、俺に良い考えがあります」

 二人は、アレ? と目を丸くしてしまった。正か二人の考えは一緒だと言うのか? 二人は見合わせた後、クスッと微笑しあった。

「同じ考えなら話は早いんだかな」
「やってみましょうっ」

 ちょうねんじゅのめは光の玉を作り上げ、連続で発射させていった。二人は二手に走り出し、それらを避けていく。

「ファルコさん!」
「おう!」

 リンクは、足元へ来た光玉をジャンプして避けながらファルコに向かって氷の矢を射る。ファルコはそれを見きると、リフレクターを握り、角度を変えてバリアに蹴りを入れて飛ばした。飛ばされたバリアは矢をかすり、そのままちょうねんじゅのめに向かった。

「!?」
「シャーベットの出来上がりっ」

 そう言い放ったと同時、ちょうねんじゅのめは見事氷付けになった。

「これはオマケだ!」

 リンクは今度は矢先に爆弾を取り付け、その矢を放った。動けないちょうねんじゅのめにそれは当たり、爆発を起こした。

「ウオォォ……!」

 相手は氷付けと爆弾に寄り、粉々に砕け散った。同時に双葉のモンスター達も消滅した。

「俺のリフレクターは、射撃技を威力を上げて跳ね返すぜ」

 リフレクター装置を片手で何度も上に放りながらファルコは言った。

「やりましたね、ファルコさん」
「だが、薄暗い場所はもうこりごりだ」

 ファルコは目を擦っていた。
 広場の真ん中からぼやけた光が現れる。

「ん? 何だ?」
「……噴水?」

 そしてそこから、光輝くミルク色の小さな噴水が吹き出してきた。二人がそれを見ていると、どこからか奏でる音が聞こえた。

 ──ンク……リンクで良いんじゃないかしら?
 ──人の為になる、強い子に育って欲しいわ。ファルコ。
「……」
「こりゃあ一体……」

 二人は懐かしく温かな声を聞いた。
 やがていつもの広場に戻され、ハッと意識をはっきりさせた。

「ファルコさん、何か聞こえました?」
「記憶にねー言葉だった。だが、確かにお袋の様な声が聞こえたな」
「そうですか」

 ファルコは目線を下に降ろし、目を綴じている。

「俺も記憶にない言葉が聞こえました。でも、今の声は懐かしく思いました」
「お前の親は確か……あ、わりい」

 ファルコは気まずい顔をして謝ったが、リンクは微笑んで首を横に振った。

「行きましょう。残りの宇宙人を倒さなくては」
「……ああ、そうだな」
「ぽえーん」

 洞窟を出ようとしたが、出口には一匹のどせいさんが立っていた。

「わたしたちをいじめるやつ、やっつけてくれてありがとうございます」
「へっ。これ位、お安いごようだ」

 ファルコは鼻を鳴らして肩をすくめた。

「じつはここ、どせいさんのむらからいっぴきたびにでているものがいるのです」
「旅に?」

 リンクが言った。

「もしあったら、つれていってやってください。きっと、かれもよろこぶでしょう。よろしくおねがいします」
「ファルコさん、ネスが連れてきたあのどせいさんでしょうか?」
「恐らく、な」

 ヒソヒソと話していた二人だが、終えると前を向く。

「分かった。連れてってやるよ」

 リンクが優しく笑って了解すると、どせいさんは嬉しそうにぴょんっと跳ねた。




「PKファイアー!」

 巨大キノコの体当たりを避け、ポーラは相手に向かって火の光線を放った。相手にクリーンヒットし、周りの雪も高速で溶けていく。

「えい! えーい!」

 ジェフは片手にはめた砲から光弾をどんどん放っていった。巨大キノコに集中してそれは連続で当たる。

「やったか?」
「まだよ。奴はライフアップαを使えるわ」

 そう言い放ったと思いきや、ポーラはPSIでジェフを横へ吹き飛ばし、自分もその場を離れる。巨大キノコはそこを高速で通り過ぎ、ポーラを睨む。
 ポーラは走り、奴も後ろから追う。そこで彼女は軽くジャンプしながら振り返り、両手を突き出した。

「シールドβ!」
「ぐぅ!」

 彼女の前に薄色のシールドが貼られる。巨大キノコはそれにぶちあたり、そのひょうしで仰向けに倒れてしまう。

「よし。次は、壊れたハーモニカで作った武器を試す時っ」

 ジェフは砲を外して懐にしまい、新たな砲を取り出しては腕にはめた。そして敵に向け、こう叫びながら撃った。

「デスビーム!!」

 闇色に光るビールが放たれ、巨大キノコに命中した。

「ぐあおおぉ……!!」

 巨大キノコは声を上げながら、デスビームに寄って生まれた煙に巻き込まれていった。
 ポーラとジェフは隣同士に立ち、奴をジッと見つめる。
 未だ上がる煙から何かが現れた。

「ん、え?」

 煙の中から何かが現れた。光の柔らかな玉の様に見える。それは沢山降り注ぎ、その玉の一粒がジェフの頭の上に乗っかった。
 数秒経つと、なんと頭から茸がポンッと生えたのだ。

「わわっ、何だっ……な、何か良い気持ちになってきたぁー……」
「ち、ちょっとジェフ! どうしたのっ?」

 ジェフはヘラッと笑いながら体をフラフラさせていた。ポーラはきっとジェフの頭から生えている茸の仕業だと分かっていたが、これを取る方法が分からないのだ。体から生えた茸を取る方法は、専門家にしか分からないのである。

「あージェフ、どうしましょう」

 その間、僅かな光を横から感じ、ポーラは振り向く。光の正体は、ライフアップαと言う回復技で、体力を回復させた巨大キノコがいた。

「早く倒さないと、きっと戦いは終わらないわ」

 ポーラは敵を睨みながらジェフに手を掲げ、彼にシールドを張った。

「ぐぅあ!」
「くっ!」

 異様な声を発し、巨大キノコはこちらへ走ってきた。ポーラは次の技を出そうと手を前へ伸ばした。

「敵だ、敵だぁ。やっつけろお」
「ジ、ジェフっ?」

 後ろから声がした。ジェフがヨロヨロとしながらこちらへ歩いてくる。勿論、ホラー風な訳ではない。

「!」

 それよりも巨大キノコを何とかしなければならない。ポーラはもう一度PKファイアーを試みた。

「PKファイアー!」

 ポーラの手から熱い光線が放たれた。
 すると巨大キノコはそれを避け、突進してきた。

「きゃっ!」

 何とかシールドで防げたが、衝撃が強く、思わず倒れてしまった。

「はははぁー、ペンシルロケットをくらえー!」

 ジェフは茸のせいか、何故か彼女に背中を見せ、奥へペンシルロケットをポケットから何本も発射させる。明らかに狙う場所が違うのにと、上半身を起こしたポーラは、溜め息をつき、顔を手で覆った。

「ギーグ様の為、ギーグ様の為」

 やがて巨大キノコは、何回もそれを繰り返していた。

「お前達には死んで貰う。それが嫌なら服従するのだ」
「っ……い、嫌よっ、そんなの!」

 ポーラは首を横に何度も振った。

「ならばここで氷付いてしまうが良い!」

 巨大キノコは高々とジャンプし、ポーラめがけて落下してくる。ポーラは立ち上がろうとしたが、中々起き上がれない。先程の攻撃で足をくじいてしまったらしい。
 シールドの効果は続いているが、強化しても無意味だと、キノコの大きさで分かる。

「キャアア!!」

 悲鳴を上げたポーラはもうダメだと目を強く閉じた。

「ポーラ! 今助けるよ!」
「ジェフっ!」

 頭に茸を生やしているジェフがポーラの隣に立つと、もう一度ポケットの中を探る。すると、中からペンシルロケットが何本か飛び出した。

「いぃけえぇ」

 何とも間抜けな声だが、何本かのロケットは奴の体にさりげなく命中し、相手は声を荒げた。

「グアアアアアアアァ!!」

 破壊力があるペンシルロケットで巨大キノコの体力は一気に削られ、やがて光に包まれると消滅したのだった。

「……ペンシルロケットの威力は相変わらず半端ないわね」

 ポーラはジェフを細い目で見ていた。

「使い方を間違えると命取りだけどね」

 ジェフは頭に手を置き、そして彼女に手を差し延べる。

「ジェフ、私はこっちだけど」

 ポーラに背中を向けているジェフに彼女は突っ込んだ。ジェフはアッとし、ごめんごめんと微笑しながら振り返った。

「ありがとう、ジェフ……あ、そうだわ、あの技が確か使えるかも」
「え?」

 ポーラは彼の頭にある茸へ手を掲げた。

「ヒーリングβ!」

 手から柔らかな白い光が現れ、茸とジェフを包む。その光が消えると、ジェフはハッとした様になり、ちゃんと立てた。茸はやはり相変わらずだが。

「やっぱり茸は専門家に取って貰うべきね」

 ポーラはそれを見ながら口に指を当てて呟いた。

「でも大分楽になったよ。ありがとう、ポーラ」
「うん」

 巨大キノコがいた場所から音が聞こえる。二人が見ると、そこにだけ小さな雨が降っていたのだ。

「何でここだけ雨が……」

 やがて短いメロディがそこから流れだした。
 その時、ポーラとジェフは、何か良い香りをした様に思えた。小さい頃の好きな匂い。今では大好物になった、あの──。

「ジェフ、何か感じたかしら?」
「うん、確かに感じた……急にどうしたんだろう……あ、茸が取れてるっ」

 ジェフは目を輝かせながら自分の頭を撫でていた。ポーラも、良かったねと微笑んだ。

「行きましょう、ジェフ」

 小雨を暫く見てから二人はテレポートしていった。










 ──to be continued──