Eight memories〜中編〜 ネオンに輝くこのフォーサイド──いや、ムーンサイドは、人だけがおかしいのではない。多くの時計や消火器、絵画等がうようよと浮遊しているのだ。 そんな街を歩いているマリオとスネークの前に人が現れた。その人は、一本の太い骨を握り、マリオ達にそれを見せた。 「これ、何のほねか解ります?」 「は?」 「これは、あなたのほね、わたしのほね、ひとのほね、ほね、ほね、ほね、ほね、ほね……」 後はほねほねと呟きながら、相手は去っていった。 「うう、どうなってんだよ、この街は……」 流石のマリオも青筋を作ってしまっていた。 「この街の奴らは明らかに変だ!」 「うわっ!」 ある男が彼等の側でいきなり声を上げたので、マリオ達の肩も思い切り上がってしまった。 「君もそう思わないかい?」 スネークの服を掴んで問うてくる。彼の目は見開いていて、充血しているのが分かる。 「ま、まあ、確かに変だな」 スネークが彼の為に答えると、男の手が緩み、男はスネークから離れる。 「ムーン、ムーンサ、ムーンサイ、ムーンド、ムーンサイ……あははははははははは! いひひひひひひひひひ!!」 訳の分からない狂った笑いを上げながら男は歩いていった。 「スネーク、怖いよ……」 「……俺だって怖い」 マリオは、ゾーッと鳥肌を立たせながらスネークを見上げた。スネークも驚いた顔を浮かべてマリオを見下ろした。 「街がこんなになったのって、きっと何かあるんだよ」 マリオは辺りを見回す。スネークは同感だと頷いた。 「超能力のお嬢さんは確かに『フォーサイド』と言っていた。だが、ここの人は『ムーンサイド』だと言い張る。これは何かあるに違いない」 「とりあえず、その『何か』を見付けるべきだね」 マリオ達は歩き、原因を探す。 「? スネーク、あれは何だろう?」 「……見たところ、黄金像の様だな」 巨大なデパートの入り口前に、黄金に輝く像が立っていた。その像は角が生えていて、腕は胸元で×型に交差されている。おまけに異様な黄色い光を放っているので、マリオ達は何と無く気になり始めた。 歩いて近付いて見ると、見たところ普通の黄金像だ。だが、 「隊長、用心しろ」 「え?」 マリオが振り向くと、後ろから爆発音が聞こえ、驚いてまた振り返った。スネークが小型ミサイルを、黄金像に向けて発射したのである。 「ス、スネーク! 何してんの?」 「言っただろう、この黄金像には用心しろと。これが恐らく、このフォーサイドをおかしくした元凶だ」 「何だって!?」 驚いたマリオが黄金像を睨むと、 「よくぞ見破った、ソリッド・スネーク」 「! 何で俺の名前を……!」 「私はお前達の悪の心。お前達がここに来ることはとうに知っていた」 「僕達の悪の心だって? 笑わせるなよ!」 マリオは拳から炎を吹き出させ、ファイアボールを放った。すると、何と黄金像もファイアボールを発射させたのだ。 「な、何!?」 ファイアボールは相殺に終わった。 「……」 次にスネークは手榴弾のレバーを引き抜き、黄金像へ向かって投げた。すると、やはり黄金像からも手榴弾が飛び出し、ぶつかり合って爆発した。 「畜生! 大体僕達の悪の心って……何でそんな……」 「人は誰でも悪の心を持っているものだ。例え正義の味方であろうと。 ……相撃ちだけではつまらん。このまま地獄へ落ちるが良い!」 黄金像の目がキランと光った瞬間、二人が立っていた床が、大きな円を描いて綺麗に消え去ってしまった。 「な!?」 「ううわああぁ!!」 二人はまっ逆さまになって闇の底へ吸い込まれていってしまった。 そして水の中へ落ちてしまった。それは下水道を流れる水である。 「うわ、酷い臭いだなぁ」 マリオは立ち上がり、下水で汚れた自分の姿を眺める。配管工でもある為、こう言う地下は何度か通っている。お陰で口で言っておきながらも汚れた服位しか気にしていなかった。 「まあ、ある意味地獄と言っても良いな」 スネークも平然として立っていた。 「でも、あいつの言うことだ。本当の地獄は……」 ──ここからだ……。 続きを言ったのは明らかにスネークではない。 マリオ達の近くから水しぶきが上がり、中から巨大なねずみが現れた。おまけに奴の背中には幾つかの小さなキノコが生えていて、何気に汚さを主張していた。 「これまた酷いな、色々と」 マリオは目を細めた。 スネークも武器を構え、戦闘準備を整えた。 巨大ねずみは鋭い牙を剥いて飛び掛かってきた。マリオとスネークは別々の方向へジャンプして避ける。 「ハッ!」 マリオはジャンプした後のスピードを利用し、巨大ねずみの背中に強烈なパンチを仕掛けた。 「ギュウ!」 巨大ねずみは唸り、下水の中へバシャリと沈む。 マリオは緑に汚れた自分の軍手を見て嫌そうに目を細めた。 「うえぇ」 と言いながら。 「グアアァ!」 倒れたかに見えた巨大ねずみは、油断したマリオに突如飛び掛かってきた。 「うわっ!」 奴の牙がマリオの腕をかする。 巨大ねずみは着地すると、体が大きいのにも関わらず、高速移動でスネークへ飛び掛かった。 「このねずみは、どうも食えそうにないな」 スネークは巨大ねずみの攻撃を避けると奴の頭に乗っかる。そして上から手榴弾を一個落とし、そこから素早く飛び下りた。 「ぎあぁ!」 爆発と共に巨大ねずみは悲鳴を上げる。 「ナイスだスネーク!」 マリオは走り出し、怯んだ巨大ねずみの尻尾を掴んだ。そして狭い中、マリオを軸に奴は横に回転しだす。 「どりゃああぁ!!」 高速回転の中、マリオは手を離した。巨大ねずみは下水道の奥へと吹き飛んでいった。 「そこまで力持ちとはな」 スネークは額に手を掲げた。 「クッパを投げ飛ばしたこともあるからね」 マリオは微笑した。 巨大ねずみがつけた腕の傷がズキリと痛み、悲痛な顔で押さえ込んだ。 「大丈夫か」 「何とかね。 ──さてと、巨大ねずみはやっつけたことだし、早いとこ此処から……」 「隊長!!」 「えっ?」 スネークは突然声を上げたと思いきやマリオを思い切り突き飛ばした。彼等の上をジャンプしてきた巨大ねずみが通る。 「くっそー、まだ倒れてなかったんだなっ……っ!?」 ──ドクン……。 「隊長? おい、隊長!」 マリオは突然顔を青ざめ、倒れ込んでしまった。スネークが慌てて彼を起こすと、腕の傷が僅かに変色しているのが目に入った。 「毒の牙か……っ」 毒の回りは早いらしく、マリオは呼吸困難だった。急いで解毒を行わないと手遅れになる。 横から強い殺気を抱き、スネークはゆっくりと振り向いた。巨大ねずみが、ヨダレを垂らした舌で口を舐めながらこちらへ迫ってくる。 だがスネークは、そこから逃げようとはしなかった。片手で何かを密かに握っていたスネークは巨大ねずみを睨み続けている。 「ガアアァ!」 巨大ねずみは大口を開いて襲ってきた。 「毒入り料理より、とっておきの料理を味わえ!」 スネークは持っているそれの先にあるスイッチをカチリと押した。 「! ギャアアアァ!」 巨大ねずみの背中が爆発し、相手は下水の中へ沈み込んだ。それはかなりのダメージだった様で、巨大ねずみはそれきり動かなかった。 スネークは巨大ねずみの背中に乗っていた時、手榴弾のついでに、C4爆弾と言う爆弾を奴の背中に設置しておいたのだ。スネークがスイッチを押せば爆発する仕掛けになっているのだ。 「隊長、確りしろ」 そうは呼び掛けてみても、マリオは目を覚まさない。それどころか、次第に体力を失っていく。 「解毒剤は……」 スネークは解毒剤があるかどうか手探りを始めようとした。 その時、巨大ねずみが倒れた場所から光が放たれるのが目に入った。スネークが顔を上げると、妙にボヤけた映像らしきものが見えた。三角形で輝いている。あれは何だろう。 脳へ僅かなメロディが流れ込み、スネークは何かを見た。誰だか分からない、見知らぬ大きな女性が自分に何かを渡してきた。これは……小型拳銃? 「……!」 ハッと我に帰ったスネークは改めて見渡した。 場所が違う? さっきまでは下水道にいた筈が、ここは積み荷が沢山重なっている薄暗い部屋だ。 「うーん……」 マリオは意識を取り戻し、目をそっと開いていった。 「大丈夫か、隊長。具合は?」 「うん、良くなったみたい。毒をくらってた筈なのに」 「……世の中には不思議なことが沢山あるな」 心配していた自分がアホらしく思え、スネークは溜め息をつくと立ち上がった。マリオは少し笑みを浮かべ、心配してくれてありがとうと言いながら、スネークに手を引かれて立ち上がった。 「あれ? 僕達、下水道にいなかったっけ?」 キョロキョロするマリオもスネークと同じ疑問を抱いていた。 「とりあえずここを出てみるか」 スネークが言い、二人でこの部屋を後にし、階段を上がり、表に出た。 すると、ここは黄金像のいたデパート前だと言うのが分かった。夜が故、相変わらずネオンが眩しいが、色々な物が浮遊していたり、見た感じおかしな住民はおらず、ワイワイ騒いでいた。 「……これが本当のフォーサイドなんだな?」 「元に戻った訳か」 そしてマリオは、自分の服を確認してみた。 「服が直ってる。腕も良い感じに回復してきたぞ」 張り切って腕をブンブン振るマリオにスネークは微笑した。 黄金像に巨大ねずみ……あれは幻だったのだろうか? 良く分からないが、元の街に戻れたのだから良しとしよう。 「そう言えばスネーク、僕、夢を見てたんだ」 「夢?」 スネークは煙草をくわえて返事をした。 「うん。目を覚ますと、ヨッシーがそこにいたんだ。ヨッシーが持っていたのはスーパーキノコで……僕、なんか嬉しそうにして受け取ってたよ」 「……そうか」 「? どうしたの、スネーク?」 「いや」 これは偶然なのか。マリオも、スネークと同じ様な夢を見ていたと言うのか……念のため、これについても触れてみるか。 「隊長、その夢を見る前に、何か聞かなかったか?」 マリオは少し考え、そして首を縦に振った。 「短いメロディが聞こえた気がする」 「ほう」 恐らくこれは偶然ではない。あの光は何かを伝えようとしていたのだ。大宇宙人を倒してから現れた光だから、他の連中もきっと聞くのかも知れない。 「隊長、そのメロディ、覚えておいた方が良いな」 「そうだね。きっと何かの鍵なんだよ、これ。 じゃあ、次の場所へ行こう」 「ああ」 二人がそう言うと、彼等の体に光の粉が降り注ぐ。二人はそれらに包まれると、シュンッと消えてテレポートしていった。 天空の国の更に上の空中で、分厚い曇り空と共に巨大な雷鳴が轟く。それはランマ王国を覆い尽してしまう程の大きさだ。 プーとメタナイトは、雷攻撃を避けながら高速で敵に向かった。二人とも当たるか当たらないかのスレスレでそれらをかわしている。 雷攻撃をしているのは、雷と風の霊が絡み合っている様な形をしている奴だ。その名もいなずま・あらし。 「プー、行くぞ!」 「ああ!」 二人は剣を掲げ、メタナイトは風の精、プーは雷の精へ攻撃しながら擦れ違った。 奴らは彼等を向くとすかさず体当たりをしてきたので、二人は剣を前に出してそれを防御する。勢いできたので急降下しているが、メタナイトは翼、プーはPSIの力で踏ん張る。 だが風の精が口から強風を吹き出してきたので、二人はその力に押されるが、ランマ王国の地面に何とか着地した。 「中々やるな」 「ギーグの為にあれ程必死だとはな」 二人は空の者達を見上げ、そして上へと戻っていく。 いなずま・あらしは彼等を見下ろすと、上から落雷攻撃をした。 「プー! 下に回れ!」 言われた通り、プーはサッとメタナイトの下へ回った。メタナイトが剣を上にし、体を回転させると、ギャラクシアはドリル状の衝撃派を放ち始めた。雷は衝撃派に操られ、彼等を避けている。 「何ぃ!?」 いなずま・あらしは怒りの目で彼等を睨む。 プーはメタナイトの体を足場に更に高々とジャンプした。 「ハァ!」 ──ズバン!! 王家に代々伝わる剣を振り、相手に大ダメージを与えた。 「ぐあぁ!」 「おのれ、ランマ王国の王子め」 プーは一旦離れ、飛んできたメタナイトの隣まで来ると、剣先をサッと彼等に向ける。 「そろそろ遊びは終りだ。素直に降参した方が身のためだぞ」 「……」 相手は黙り込んでいた。何も答える気がしない。 良く見ると、相手は静かに精神を整えている様に見える。すると、風が急に強く吹き始めた。辺りが暗くなったと思いきや、黒い雲が彼等の真上に集まっているのである。 「な、何だあれは……!」 「強いパワーを感じる」 見開くプーと見上げるメタナイト。何かが起こることは感じていた二人だが、一体何が始まるのか。 精神統一の為に目を閉じていたしていたいなずま・あらしは、目をカッと開いた。 すると、強風と共に黒い雲から無数の雷が襲い掛かってきた。 「な!」 「うわわ!」 二人は雷攻撃を、あちこち動き回って避けていく。その攻撃はとても速く、当たれば恐らくひとたまりもない。 「ふふふ、いい眺めだな」 「さっさと当たって黒焦げになってしまうが良い!」 いなずま・あらしは愉快な表情を浮かべて彼等を見ていた。 「このまま避けていても時間が過ぎていくだけだ」 メタナイトは避けながら言う。 プーはPSIを駆使してそれらから逃れていた。だがそのMPも無くなり、今まさに落下しそうになったとこをメタナイトが背中に乗せて助けた。 「例え俺の命尽きようと、ランマ王国は守ってみせる!」 メタナイトの上で立ち上がったプーは、剣を前へ出して叫んだ。メタナイトはそれを見て、ハッと何かを思い付いた。 「プー、奴らに悟られぬ様、私の心を読むんだ」 「え? わ、分かった」 メタナイトは雷攻撃を避けながら彼に心を読ませた。 「それは良い考えだ」 プーが口端を上げると、メタナイトは頷いた。 「では行くぞ!」 改めて翼をバサッと広げ、更にスピードを上げた。 「この攻撃から逃げれると思うなよ?」 「この攻撃は、お前達を黒焦げにするまで止まることは無いのだ」 いなずま・あらしはニヤニヤしながら彼等を見守る。見ていると、彼等は明らかにこちらへ向かってきているのに気付いた。 「んっ?」 「貴様達にも、暗闇の恐怖を味わわせてくれる!」 メタナイトが虹色と炎色のオーラに輝き出す。 「な、何だ、あの光は!?」 「いけ、プー!」 「ハァ!」 プーは高々とジャンプすると、剣を天に向かって投げた。 「思い知れ!」 メタナイトがいなずま・あらしの目の前まで来て、翼をマントに切り替えると、奴らにマントを覆わせた。すると、いなずま・あらしの目の前が暗闇と化したのだ。 「な、何だこれは!?」 「前が見えないぞ!」 暗闇に視界を奪われた彼等は、メタナイト達がどこにいるのか分からなかった。 「いけえ!」 プーが叫ぶと、雷は、避雷針となった彼の剣に集中した。溜め込まれた電流が突き落とされると、いなずまは電気属性なので何も感じなかったが、あらしの方は大ダメージを受けた。 「グアアアァァ!!」 「!? ど、どうした!」 あらしの方は気絶し、それきり動かない。いなずまは、彼に何があったのか、未だに分からずじまいである。 「見るがいい!!」 メタナイトの声が闇の中で響き渡ると、ギャラクシアのとどめの一撃がいなずまに命中した。 「グオオアアァァ……!」 二体は遂に敗れ、光になると消滅した。 暗闇が晴れ、夜空が広がる。 二人はランマ王国まで落下するが、プーは何とか着地できた。メタナイトも着地はできたが、神の切りふだを使ったせいか、上手くはいかず、ガクッと倒れ掛けた。 「メタナイト! 大丈夫か?」 「……何とかな」 そうは言うものの、やはり苦しそうだった。 「少し休んでいくと良い」 「ああ」 その時、空がぱあっと明るくなった。若干眩しいので、何だと二人は見上げた。晴れてゆく雲の中に、唯一ピンク色をした雲が現れた。 その雲から僅かなメロディが流れ、二人の脳内に刻み込まれる。 やがて二人は幻を見た気がした。 ──あ、あの方は……母上? プーは、若い頃の自分の母親を見た様な気がした。 メタナイトも、強き剣士だった頃の彼女が見えた気がした。 そこで幻は終わり、二人は夢から覚めた感覚で我に帰った。 「メタナイト、今の……」 「どうやら私だけの幻覚ではない様だな」 「……不思議だ。体力が回復したぞ!」 「私もだ。あの奥義を使った直後だと言うのに、疲れが全く無い」 二人は頷き、プーはテレポートを試みようとした──時だった。 「プー王子! 流石ですわ!」 「メタナイト様も素敵でした!」 「二人ともかっこいいです、本当に!」 さっきの女性陣に捕まり、暫く行かせて貰えなかった二人だった。 穴へ入ったピカチュウとピチューは、洞窟内へと到着した。中は不思議な感覚がする。恐らく、これは宇宙人の気配なのだろう。 二匹は顔を見合わせ、コクッと頷くと、気配を最も感じる場所へと走り出した。彼等の感じる気配とは、自分達と同じ電気属性だからであり、ピカチュウ達はそれにはかなり敏感だった。 大分洞窟の奥へやって来た。そこで何かへの入り口を見付けたが、その前に何者かが立ちふさがる。ピカチュウ達は即座に電気技をスタンバイさせた。 相手は、まるでアルミで簡単に作られたロボットの姿をしていた。そこから妙な音波を感じる。ピカチュウ達が感じた気配とはそれだろう。 「誰も通させぬ。ギーグ様の為」 相手──でんげきバチバチは、手から電気玉を作り出し、ピカチュウ達へ放った。 「ピイィカァアアチュウウウ!!」 頬袋に溜った電気を一気に解き放つ。繰り出された十万ボルトと電気玉は激しく電気を繰り出しながらぶつかり合い、消滅した。 「ピチュ!」 ピチューはその隙を狙い、でんげきバチバチの目の前へ来ると電気ショックを発動させた。確実に命中したと思わせた。 「ピチュウウゥ!!」 「ピカッ!?」 電撃を受ける直前、でんげきバチバチの体が一瞬だけ光を放つ。奴の体に当たった電気が跳ね返ってきたのだ。すぐ近くなのでピチューは避けれる筈もなく、自分の電撃を諸にくらうことになってしまった。 「ピカピー!」 吹き飛ばされ、地面へ崩れ落ちたピチューへピカチュウが慌てて駆け寄る。そしてでんげきバチバチを思い切り睨んだ。 「ピッカァ!」 ピカチュウはさっきよりも大きめの電撃を撃ち放った。だがでんげきバチバチの体はシールドらしき光に守られていて、呆気なく弾き返される。ピカチュウはそれを素早く避けた。 相手から電撃光線が放たれた。ピカチュウはスマブラ特有の防御技──シールドを作り出し、身を守る。 「……」 それを見た相手は、今度はある光線を放った。ピカチュウは何かを感じつつ防御を続行しようとした。 「ピッカ!?」 だがその技は防御を無視した技であり、ピカチュウへ簡単に命中した。 「ビッ!」 吹き飛ばされたピカチュウは岩の壁にぶつかり、蹲ってしまった。 電撃技を繰り出しても弾き返され、防御しても無駄で、ピカチュウは倒れたまま、どうしたら良いか悩んだ。 「! ピカッ」 ピカチュウは、いちかばちか賭けをすることにした。ダメージを受けて体が多少重いが、このままでも相手は容赦しないだろう。震わせつつ立ち上がり、でんげきバチバチを睨む。でんげきバチバチはそんなピカチュウを見ていたが、更なる攻撃を与えようと新たな電撃を作り出す。 「ピィチュ……!」 意識を取り戻したピチューは、体を起こすとピカチュウの隣へ来た。ピカチュウは最初はピチューの体力を心配したが、戦士の怒りの表情を見ると、頷いたのだった。 「ピッカ!」 二匹は別々の方向へジャンプしていった。でんげきバチバチは、最初は何だと目をパチクリさせたが、電撃戦法は変わらないだろうと思い、サイコシールドを強化した。 「ピカアァ!」 「ピチュウゥ!」 「!!」 気付いた時は、自分は二匹にやられ、倒れてしまった。奴の更に奥へ着地したピカチュウとピチューは、微笑み合うと、互いの手を合わせた。 彼等は電撃ではなく、直接の打撃をくらわせたのである。彼等は、電光石火で素早く近付いただけではなく、そのスピードを利用してロケット頭突きをくらわせたのだ。サイコシールドしか貼っていないでんげきバチバチは、物理攻撃にはかなわなかった様である。 二匹は、奴が通させなかった入り口を通っていった。 そこにはまた穴が。二匹は躊躇いなくそこから飛び降りる。 そして、不思議な空間へやって来た。青く光る洞窟に光り輝く苔が出来ていた。それはそれはライトに等しい光で、ピカチュウ達は驚きと感動で目を輝かせていた。 少し進むと、青く綺麗な岩壁へ出た。だがこれは何の為にあるのか良く分からず、ピカチュウ達はポカンと見上げては小首を傾げた。 その時、何やら文字らしき光苔が、横から現れた。 「?」 横スクロールで流れるので、ピカチュウ達は読んでみる。 ──ぼくは、ピカチュウ。マリオたちといっしょにぼうけんしているポケモンだ。これはいったいなんなのだろう? 「……ピィカ?」 ──あれ? どうしてぼくのおもっていることがあのもじになってるの!? そう、光苔は、ピカチュウ達の思っていることを文字にしているのだ。 ──ふしぎなこともあるもんだなあ。 ぼくたち、これからいったいどうなるんだろ。みんなといっしょに、このせかいをすくえるのだろうか。それとも……。 ピカチュウは、これ以上は考えないことにし、フッと目を閉じた。 その時、僅かなメロディが二匹を包み込んだ。そして二匹は幻を見た。生まれたての自分を優しく抱き締めてくれる……。 ──パパ……。 二匹はハッと目を開いた。いつもの洞窟に戻っている。 「……ピカッ!」 ピカチュウは、タッと走り出した。 「ピチュッ」 ピチューも慌ててピカチュウを追い掛けた。 ──行こうっ、ピチュー! ──うんっ。 二匹は出口を目指し、洞窟の奥へと入っていった。 ──to be continued── |