Eight memories〜後編〜 フォックスとネスは、周りから襲ってくる宇宙人を次々と倒しながら走っていった。フォックスはブラスターを駆使し、ネスはPSIを使って強行突破していく。 「ぽえーん」 「あ。どせいさんは危ないから、鞄の中に入ってて」 ネスの背負っている鞄の中からどせいさんが現れた。それに気付いたネスは注意する。 「いまはまだなにもいいません。いまのことをやったあと、わたしにはなしかけてください」 「? 分かった」 何か話すことでもあるのだろうか。そう思いながら、ネスはフォックスと走り続けた。 やがてある森の中で二人は立ち止まった。ここから最も強い気配を感じるのである。 「ネス、気を付けろ」 「うん」 暫くすると、リズムに合わせて地面が震える。明らかに巨大なものの足音だ。後ろから気配を感じたので振り返ると、フォックス達より巨大なありが歩いてきた。 「ギーグ様の為、お前達を排除する」 「っ……!」 ネスは今の言葉にドキッとした。ネスにとって、ギーグはどれ程のトラウマか。今でも思い出しただけで僅かながらも身震いしてしまう。 「ネス? 大丈夫か?」 「うん、大丈夫。倒そう、奴を!」 「……ああっ」 「でわ、行くぞ!」 巨大ありは二人を睨んだ後、高速でこちらへ向かってきた。二人は緊急回避をして素早く避け、背中を見せた巨大ありへ後ろから蹴りを入れた。相手は軽く吹っ飛び、地面を軽くバウンドした。 「PKファイヤーα!」 ネスは相手へ指を差すと、指先から炎を噴き出させた。巨大ありはこちらへ向いてそれを見ると、前面にシールドを貼った。PKファイヤーは、シールドに呆気なく吸収されてしまった。 (そうだ。あいつサイマグネットを使えるんだった) 今思い出したネスは焦った。 (射撃エネルギーを吸収しただって? ならブラスターは用無しか) フォックスは走って向かいながらブラスターをしまう。 「はあ!」 フォックスは素早い動きで相手をかくらんさせ、前面から思い切り蹴りをおみまいさせる。 「ぐおっ!」 「ふっ、は! てやぁ!」 隙を与えず、次々とあちこちに蹴りを入れる。 ラストは更にスピードを上げてフォックスの残像を作り上げていく。奴がうろたえている間、フォックスは、奴に大ダメージを与える程のスピードで巨大ありに衝撃を与えた。 「とーどめだっ!」 ネスは肩に力を入れ、堅い木製バットを振った。ブォン! と言う風の音と共に見事クリティカルヒットした。 「グアオォ!」 巨大ありはよろめき、その場に倒れ込んだ。 「やったね、お兄ちゃん!」 「おう」 二人は片手を出し、ハイタッチした。 「にしても呆気ないな」 フォックスは巨大ありを見て呟く。 「でも倒したから良いじゃん」 「そうだなって、あれ? 何だ、あれは!?」 「わわわ!」 いつの間にかフォックス達は黒い蟻達に囲まれていた。目がない(多分黒いから)黒い蟻は口元をニヤッとさせると、彼等に襲い掛かってきたのだ。フォックスとネスはいきなりに驚いたが、慌てつつ攻撃技を繰り出した。 「あっ、巨大ありまで!」 倒れていた巨大ありが、ムクリと立ち上がったのだ。ニヤリと笑み、彼等にある技を繰り出し、二人はくらってしまう。それは痛みはなかったのだが、黒蟻に攻撃されると今度は吹っ飛ばされてしまった。 「わあぁ!」 「うわっ!」 二人の背中が地面を叩き、その衝撃で暫く立ち上がれなかった。巨大ありは牙をむくとこちらへ近付いてくる。 「どせいさん! どせいさん大丈夫っ!?」 背中から倒れたネスは、どせいさんが入っているリュックを慌てて開いた。すると、中からピョコッと本人が現れる。 「ぽえーん。わたしはしんぱいいりません。いまのじょうきょうだと、こちらのせりふだといわざるをえません」 「まあ、そうだね」 こちらへ近付いてくる巨大ありを睨みながら二人は立ち上がった。 「でぃふぇんすをさげられたみたいですね。これいじょうこうげきされるときびしいです。ならばすきをあたえず、いっきにいくしかありません」 「隙を与えない様に、か」 フォックスはどせいさんの話を聞きながら呟き、やがてピンときた。 「ネス、俺の背中に乗れ!」 自分の背中に親指を向けて差し示す。ネスは見開いて彼に向いたが、意味を理解すると直ぐに頷いた。 「分かった!」 「遊びは終りだ。死ねい!」 集団攻撃のつもりらしく、巨大ありは黒蟻達と共に走ってきた。 「それはこっちの台詞だぁ!」 ネスを背中に乗せたフォックスは、瞬時で足に最速パワーを溜めた。それの合図に、彼の体がキランと光った。ネスも、フォックスの背中に乗りながら、人差し指にパワーを溜めていた。二人の技を繰り出すタイミングが重要なのである。 「このスピードに追い付けるかな!?」 フォックスが素早く地面を蹴ると、フォックス達は残像を残して消えた。巨大あり達がギョッとした後は、二人は奴らの背後に背中を向けていた。 ネスはフォックスの背中にて、両手の人差し指を横に広げていた。その先からは、発動させたPKファイヤーの名残が僅かに溢れでていた。 小さな黒蟻達は、ネスの技に寄って消滅し、巨大ありはフォックスイリュージョンに寄って倒れ込んだ。 「やったー! 今度こそ倒したよー!」 ネスはフォックスの背中の上で、両手ブイサインをした。 「一発勝負だからヒヤヒヤしたよ」 ネスを下ろし、フォックスは服を叩いて埃を払った。 「! お兄ちゃん、見て」 あるものを見付けたネスは驚きながらそこに指を差した。フォックスも呼ばれてそちらを見た。 巨大ありがいた所に、大きな足跡が浮かび上がってきた。そこから流れる小さなメロディが、ネス達の心に染み込んでいく。 やがて彼等の目の前に、ある場面が表れる。ネスは、子犬だった頃の飼い犬を見掛けた。 フォックスは、誰かの腕に抱かれている子狐を見た。その子狐を抱いているのは、自分の母親……。 二人の意識はその場で戻った。ハッと気付くと、辺りはいつもの光景。 「狐のお兄ちゃん……」 「ネス、君も何かを見たのか?」 ネスは首を縦に振った。フォックスは少し考えた後、 「メロディも聞いたか?」 「うん」 「このめろでぃは、おぼえておくべきでしょう」 リュックからピョンッと現れ、ネスの肩に飛び移った。 「みなさんがあつまったときに、わたしのいいたいことをいいましょう。そのほうがわかりやすいでしょう。それに、うちゅうじんはまだたくさんいます」 「そうだよね。ゆっくり聞く時間は、今は無いもんね」 「じゃあネス、行くぞ!」 「うんっ」 二人はその場を後にし、街に戻っていった。 マリオ達はある場所へテレポートしてきた。そこは緑があるが、変な植物も生えていた。空は何故か灰色だ。と言うより、空と言えない感じがした。オマケに遠くは火山が沢山あり、小さく噴火して地面が時折大きく揺れると、近くの小山の穴からは湯が噴き出してきた。 「何だここ?」 マリオはポカンとしているが、一方のスネークは、ある所をジッと見つめていた。 「どうやら昔の時代にタイムスリップしたみたいだ」 そこを見ながら、マリオの肩を掴んだ。マリオはハテナを浮かべ、スネークの方向へ顔を向けた。そこであるものを見たマリオはギョッと見開いた。 ヨダレを垂らしながらこちらを見つめている、巨大な紫の生き物。 「恐竜だああああぁ!!」 マリオが叫ぶと同時に、その恐竜が大きく口を開いてきた。マリオは未だ見ているスネークを引っ張って恐竜から逃げる。 「恐竜か。一度味見をしてみたいと夢見ていた」 「幾等スネークでも歯が立たないでしょ!」 追い掛けてくる恐竜から走り逃げる二人は、何気にそんな会話を交えていた。 「スネーク、あそこに洞窟がある!」 「お、確かに。危険な香りはするがな」 「今はこっちの方が危険だよ!」 二人はある洞窟へ入っていき、身を隠した。恐竜も直ぐにここまで来たが、諦めたのか、どこかへ去っていった。振り切れたかと、マリオ達はホッと胸を撫で下ろした。 「でも、確かに危険な香りがするな……」 マリオ達が入り込んだ洞窟は、改めて考えてみれば溶岩だらけの火山内部だった。入り口へ入った時点で急に襲った熱に、マリオ達の顔が僅かに歪む。 「恐らく、火山だからか」 「洞窟は涼しいと思ったら、こんな場所だったとはね」 マリオ達は暫し歩いてみることにした。 この洞窟にも敵がいそうな殺気がある。それは全身を舐め回す様な……だがどこにもいないのは何故なのだろう。 その時だ。 「ワオォ!」 「わ!?」 マリオはジャンプ、スネークは横っ跳びをした。彼等の間に一匹の巨大な犬が通り過ぎた。奴はスライディングをしながら着地をし、今の攻撃は避けて正解だったと言えよう。 「犬?」 「どうやらその通りみたいだな」 マリオは疑問を抱いても、拳は確りと構えていた。スネークも銃を取り出し、巨大な犬──カーボンドッグへ向けた。カーボンドッグは、まるで燃えている様な姿をしていた。唾液を溢す口を舌で舐め回し、唸りながらマリオ達を睨み、構えた。 そして姿を消したと思いきや、物凄いスピードで彼等の目の前へ現れた。 「!」 「おっと!」 素早く噛みついてきたが、二人は危うく避けきれた。 カーボンドッグの目に手榴弾が映る。 「グオォ!」 爆発攻撃を受け、カーボンドッグはよろめく。 「でりゃあ!」 「ハァッ!」 マリオはカーボンドッグの横から蹴りを入れた。奴が横へ吹っ飛ぶと、スネークにも蹴りを入れられた。倒れたカーボンドッグはよろめきながら立ち上がるが、その表情はにやけている。 「何だ奴の笑顔?」 マリオは頭の上にハテナマークを出した。スネークも奴を見つめる。 「何か仕掛けてくるに違いない。用心した方が良いな」 「そうだね。行くぜ!」 二人はダッシュし、マリオは拳に力を込めると殴り掛かった。スネークも距離を置くと手榴弾を投げた。 その時、カーボンドッグの体が急に光り出したのだ。 「!?」 何だ!? と二人が見開いていると、カーボンドッグの体は、まるでダイヤモンドの様に固くなり、輝き始めたのだ。 「な! 固くなっただって!?」 マリオはその時は既にパンチを繰り出した瞬間で、カーボンドッグ──基、ダイアモンドドッグの体に打ち当たった。結果は、マリオの骨全体に衝撃が響き渡るだけに終わった。 「くうっ、痺れたぁ! うわっとと!」 素早い動きで噛みついてきたのでマリオは慌てて離れた。ダイアモンドドッグの牙もダイアモンドで出来ていて、噛みつかれたものはこっぱみじんになるだろう。 スネークの手榴弾が奴の体に当たるが、ガチンと言う音と共に弾き返され、スネークのとこへ戻ってきた。スネークは舌打ちしてからそれを避けた。 奴は彼を睨むと、スネークのとこまで瞬間移動してきた。 「!!」 ダイアモンドドッグは何度も噛みついてくるが、スネークはそれらをすれすれで避けていく、最初を除いては。 スネークは奴から離れるとマリオに会った。 「ダイアモンドになってから防御が強化されたな」 「くそ、あんなに燃えていた奴が、正かあんな姿になるだなんて……スネーク、怪我してるよ!?」 マリオはスネークをふと見て驚いた。スネークの腕から血が流れているのである。一度ダイアモンドドッグに噛みつかれたのだ。スネークは心配そうにしているマリオを見てクスッと笑う。 「これ位で戦闘不能にはならない。俺は兵器なんだからな」 「……スネークは休んでて」 「聞こえなかったのか? 俺は……」 「隊長命令だよ」 「……」 マリオのその目は変わらない。そのままダイアモンドドッグを見つめた。 「今の奴は恐らく、スネークの技は何も感じないよ。だからスネークは休んでて。それに……」 いったん言葉を濁すと、口端を上げてこちらを向いた。 「借りは返さなきゃならないからね」 「……格好付けのつもりか、それは?」 最初は少し苛立っていたスネークだが、次第に笑んだ。 「だが、隊長なら確り決まってるな」 ダイアモンドドッグはマリオ達に向かって走った。素早い動きだが、マリオ達は避けきった。 「大宇宙人だか何だか分かんないけどな……」 マリオの体から、燃えるオーラが放たれる。拳には炎が溢れていて、増幅されてゆく。 ダイアモンドドッグはそんな彼にハッと気付いた。今度は攻撃する体勢にならない。 「仲間を傷付けるんじゃなあぁい!!」 マリオの両手から赤色のエネルギーの弾が生まれる。そして両手を合わせると、巨大なエネルギーと化した。 ダイアモンドドッグは怯んでいたが、首を左右に振ると牙を剥いて襲いに跳び掛かった。 「いっけえぇ!!」 両手を前へ突き出すと、掌から巨大な炎が噴出された。ダイアモンドドッグが気付いた時は遅かった。あっさりと炎に飲み込まれ、消滅したのだった。 マリオは地面に跪き、浅い息を繰り返していた。 「俺はネズミを倒す時は、そこまで派手な演出はしなかった」 マリオへ歩み寄り、そう話しながら手を差し出した。マリオは、ハハッとはにかみ、彼の手を掴んで体を起こして貰った。 「僕はダイアモンドドッグを倒す為に、一寸した懸けをしただけだよ」 「恐れ入った」 やがて、ダイアモンドドッグが消えた場所から何かが現れた。それは炎である。 「正か火山のお怒りか?」 「……いや、違う。これは、明らかに違うよ」 マリオ達は炎を見つめる。その炎は、周りとは違う感覚を持たせた。心まで温かい様な……。 その炎からメロディが流れ、二人の視界が、白く優しい光に覆われる。 スネークはとある場所で誰かに見つめられている気配がした。だが殺気ではないと分かると、ゆっくりと振り向いた。そこには、武器を両手に携えた、一人の少年がいた。頭には自分のと同じのを巻いていて、その目は、今の自分と同じ強いブルーアイを持っていた。 マリオは、ある場所にいた。そこは島で、辺り一面花畑だ。 そして見下ろすと、白い布に座っているベビィマリオがいた。サイズが合わない大きな帽子を被り、つぶらな瞳でこちらを見ていた。 (これは、僕……?) 二人は立ったまま意識を取り戻した。 体の傷も、すっかり元通りである。 「隊長、泣いてるのか?」 「!」 スネークに言われて漸く気付いた。自分の頬に濡れた感触が僅かにあると思いきや、それは涙だったのだ。あまりにも懐かしかった幻だったのだろうか。あの時の自分自身は、確かにああだった。無理にでも堪えることは、不可能だった。 だが今は現実を見なければならない。ネス達の世界は、今危機に陥っているのだから。マリオは慌ててそれを袖で拭い、自分の頬を両手で叩いた。 「もう大丈夫だよ、スネーク」 心配掛けさせまいと、ニッと笑って見せた。 「……分かった」 スネークは彼を目を見て、これ以上は言わなかった。折角彼は漸く前を見始めたのだから、引き戻してはならない。自分もあんな幻でも、彼と同じ様になり掛けたのだから、彼の気持ちは分からないでも無かった。 「よしっ、行こうか」 「と言っても、ここからどうやって脱け出すんだ?」 「そうだよねぇ……」 洞窟、基、火山から出た二人の最初の会話だった。自分達は、タイムスリップをしてしまったと思っていて仕方がなかった。 スネークはふと空を見上げた。そのままジッと見ているのに、マリオは気付いた。 「どうしたの?」 「前から変だと思ってたんだ。あの空は、ずっと曇りっぱなし。隊長は今でもそう思っているか?」 マリオは、そんなこと言うスネークを凝視していたが、言われてみれば……と感じ始めた。彼と同じ上を見上げる。 空は、ずっと闇色に雲っている。それは一般人の目だとそう言ってしまうだろう。しかし、今のマリオ達の目では、それにしては違和感を覚えてしまうのだ。 「曇りにしては変だよね? 雲なんか全く動いてないし」 「てことは、考えることは只一つ」 二人は顔を見合わせると、同時に同じ言葉を発した。 「ここは地底大陸だったんだ」 あの空は空ではなく、地面なのだ。更に地下に眠る大地を自分達は踏んでいるのである。 そもそも自分達はテレポートして来たのだ。タイムスリップした訳ではない。スネークは最初はああ言っていたが、あれは故意だと言う。あの時、うっかり信じ掛けてしまったマリオは、それを聞いて自分に肩を落としたのだった。 「ん」 「スネーク?」 何かを感じたスネークはピクッと顔を上げた。 「誰かが来るな」 「恐竜……にしちゃあ、明らかに気配が小さいね」 この地底大陸の恐竜は巨大なのしかいない。恐竜の子供とも考えられるが、それにしては波長が合う感覚がする。そう、その気配は、自分達の仲間の気配なのだ。 「ピッカピー!」 「ピチュ!」 そして向こうから笑顔で走ってきたのは、二匹の黄色いねずみポケモンだ。 「ピカチュウ! ピチュー!」 「ねずみさん達もここへ来ていた訳か」 ──マリオさん! みんな! 私の声が聞こえる? ──どうやら全員無事みたいで何よりだな。 マリオ達の心に、ポーラとプーの声が響いた。 ──みんな地底大陸にいるみたいね。そこはテレポートしないと脱出出来ないわ。 ──俺が迎えに行くから、そこで待っていてくれ。どせいさんから話したいことがあるみたいだ。 「どせいさんが?」 マリオが呟いた後、彼等の目の前にプーが現れた。 「ああ。至急、皆を集めて欲しいみたいだ。早く行こう」 「おうっ」 マリオ達はプーの力に寄り、皆がいる場所へテレポートしていった。 ──to be continued── |