道 「フッ!」 ディバの剣の突きを、マーシスは横へ素早く体をずらして回避した。そこから剣を横へなぎはらうが、ディバはその場から消えて間を開けた。 「ハッ。本当に決着つかないね」 口端をイヤらしく上げてそう吐いた。 「ダイヤモンドシティとかでは、邪魔が入らなければ確実に仕留めていたのに」 「生憎だが、そうでなくても、我等の運命は変わらなかったのだ。いや、宿命とでも言うべきかな?」 喋りながらマーシスは剣を構え直した。苛々して来たディバはチッと舌打ちする。 「その言葉、気に入らないね。運命は自分達で作り上げるものなんだよ!」 力強く声を上げ、大地を思い切り後ろ蹴ると、かなりのスピードでマーシスへ向かった。彼の攻撃を読んだマーシスは防御体勢へ入ろうとした。 一瞬、互いの視界が歪んだ。二人はそれは気のせいでは無いと感じとり、その場に静止した。 月や星が、闇色の分厚い雲に覆われてゆく。やがて少しでも顔を出したが、赤色に輝いていた。空も、この空間も、薄い赤に彩られていく。それは決して幻覚ではない。幻覚ならばこれ程ハッキリしないだろう。 「明らかに何かが始まったね」 ディバは微笑んで武器をしまった。その余裕っぷりな表情は、何かを知っているに違いない。だが相手は相手。尋ねたとこで簡単に答えはしないだろう。赤く染まった一部空間の謎は、自分達であばいて見せる。 「さて、手下共を集めて一時抜け出そうかねえ。じゃ、あ・ば・よ!」 ディバは瞬間移動の様に瞬時に消え去った。 マーシスは、彼を追おうとはしなかった。追ったって無駄な時間を使うだけ。それよりも重大なことを今目にしているのだから。 「マーシスさん!」 そこへ、彼の隣に少女がテレポートして来た。 「ポーラ殿か」 「怪我はありませんか?」 「心配は要らない。あいつと相変わらず互角だった」 「そうなんですか。怪我はないみたいで安心しました」 一端ホッと息を吐いたポーラだが、その表情は直ぐに変わった。 「マーシスさん、直ぐにネスの家まで来てください。どせいさんが皆に話をしたいそうです」 「分かった、今直ぐ行こう」 ポーラの力を借り、二人はネス宅へテレポートして行った。 ネスの家の周りには、敵のダイヤがうようよしていたが、スマブラに寄って消滅させられた。 マリオがその最後の一体を消したとこで、彼と誰かが素早くすれちがった。マリオはそれは敵ではないと分かり、相手に振り向いた。 「マーシス! 無事で良かった」 「マリオ殿達も何よりだ」 周りの敵を一掃したスマブラはネスの家に戻った。 一階のテーブルの椅子にファンシーズが座り、後の大人達は立つ。そして、テーブルの真ん中にはどせいさんが座っていた。 因みにネスは彼等とは違ってうつ向いていた。どうしてか、僅かに身を震わせている。それに気付いているのはフォックス唯一であり、彼の後ろから心配そうに見守る。 「みなさん、みなさんがきいためろでぃ、おぼえているでしょうか?」 どせいさんは小さくジャンプして彼等を見回した。 「メロディ……ああ、大宇宙人を倒した時に聴いたあれか」 腕を組むファルコが言った。 「このようなじたいになったいじょう、おはなししなければならないことがあります。このめろでぃは、このせかいをすくう、さいだいのかぎなのです」 「あ! 思えばこのメロディ、どこかで聴いた覚えが……」 ハッと気付いたリンクだが、どこで聴いたかまでは思い出せなかった。 「ネスが歌ってたやつでしゅよっ」 プリンが手を上げた。本当はラフィットが歌っていたのだが、一部にしかそれは知られていない。 「いま、このせかいをわがものにしようとたくらんでいるうちゅうじんがいます。そのなは、ぎーぐ」 「ギーグ……」 マリオは静かに呟いた。 「ぎーぐがまだあかんぼうのころ、このちきゅうにふじちゃくしました。そこでかれをそだてようときめたくいーんまりーは、あるこもりうたをきかせました。それが、みなさんのおぼえてきためろでぃなのです」 「この歌は重要な意味を持っているとは感じていたが、正か、宇宙人の親玉が聴いた子守唄だったとはな」 スネークは言った。 「ぎーぐはいまでもかのじょをたいせつにおもっています」 「それなのにまだ世界征服を企んでいる訳?」 納得がいかないカービィは、思い切り不機嫌な顔をしてどせいさんを見た。 「ほんらいのもくてきはそれですからね。ぎーぐはよくぼうにまけたのです。それがおとろえないよう、こもりうたのちからを、だいうちゅうじんたちにふういんしたのでしょう」 「子守唄を忘れるのではなく、封印と来たか」 ファルコはフッと吹き出した。 「こもりうたのちからは、みなさんのおかげでかいほうされました。もういちどぎーぐにこのうたをきかせれば、かれのせんいはうしなうでしょう……それにしてもみょうですね」 「妙?」 マリオはハテナを浮かべて問う。 「ぎーぐはにどもたおされました。はじめはでんせつの、そしてにどめは……ねすさんたちによって」 「あっ! そう言えば……スマッシュ王国で話してくれたよね、ネス?」 その頃を思い出したマリオはネスに振り向いた。そこで彼の変わった様子に漸く気付いた。 「! ネス?」 ネスは怯えていた。少し距離があっても分かる位に震えていて、顔色も悪かった。 「ネス、大丈夫?」 隣に座っているポーラは心配そうにネスの肩に手を置いた。ネスは体を震わせながらも頭を縦に振っていた。 ポーラはネスの代わりになることにした。 「確かにどせいさんの言う通り、私達は一度ギーグを倒したわ。あの時の彼は精神がいかれてて、あのまま消滅したんだって思ってた」 「けどまた戻ってきてしまった」 ジェフが言った。 「そして再び、この世界を手にしようと企んでいる」 「じゃあ、ポーキーもいるのかな」 ポーラは言った。 「ポーキー?」 マリオは彼女に振り向いた。 「ギーグの味方だった子よ。普通の男の子だったんだけど、臆病者の癖して強い敵の側にいる様になっちゃって。呆れて溜め息も出なかったわ」 「ぎーぐのとこにいくには、やつのせいしんせかいにいくしかありません」 「精神世界?」 マリオ達は、今のどせいさんの言葉にピンと来れなかった。どせいさんは続ける。 「つまり、たたかいにいくものもせいしんじょうたいでいどむしかありません。もっというと、たましいのみのそんざいにならないとたたかえないのです」 「た、魂だけの存在!?」 マリオ達は目を丸くした。 「魂だけってことは、体は只の抜け殻ってことになるのか?」 リンクがそう言うと、どせいさんは躊躇いなく頷いた。 「けどそれにはどうしたら……」 「!!」 マリオがそう口を開き掛けたとこで、誰かがいきなり立ち上がった。その弾みか、椅子がガタンと倒れた音がした。 「ネ、ネスっ?」 急に立ち上がったのはネスで、やはり顔色はまだ悪かった。 「あいつだ……」 「え?」 「あいつが、僕を呼んでる!」 「ネ、ネス? 確りしてっ」 ポーラも立ち上がってネスを落ち着かせようとする。だがネスは周りが見えていない様子だ。 ──あいつが、呼んでる。あいつが、僕を……。 「ネスっ? 一体どうしたの?」 「お兄ちゃん!?」 彼の家族も彼のとこへ向かう。それでもネスは、『あいつ』の呼び声しか聞こえていなかった。 ──……サ……ネス……サン……。 (やめて、呼ばないで……) ──ネス……サン……イタイ……イタイ……ヨ……ネ……スサ……。 (やだっ、来ないで!) ──ネスサン……ウー……ウー……アー……。 何度もネスの心に呼び掛ける声は不気味な色を持ち、ノイズを交えて響いてくる。 (やめて、やめて、やめて!) ──ネスサン……ネスサン……。 (お願いだから……もう……!) ──ネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサ……。 「うわあああああああ!!」 ネスは叫び声を上げるとマリオ達をかきわけ、大きな音を立ててドアを開いて家を飛び出してしまった。 「ネス!」 「ネス、待て!」 「ネスー!」 マリオとフォックス、そしてポーラ達は逸早く動き出し、ネスを追う為、家を出ていった。後の者はポカンとしてしまうばかりだった。 「ネス、一体どうしちゃったんだろ」 カービィは冷や汗を流し、開いたままのドアの向こうを見ていた。どせいさんも相変わらずの表情だが、内心は驚いているだろう。 赤い夜空の下、ネスは呼び掛けを取り払いたいが為に必死で走り続けていた。無意味なのかも分からないが、だからと言ってジッとしていると壊れてしまいそうで怖かった。暴れたい衝動にかられたが、マリオ達を巻き込みたくないから、外へ飛び出したのだ。 やがて疲れが溜まり、膝に手をつき、肩で必死に乱した呼吸を整えた。もう『あいつ』の声は聞こえない。それに安心し、落ち着いた所で顔を上げた。 そこでネスは発見した、向こうの道路を誰かが歩いているのだ。 「ラフィット?」 同じ容姿をしている者と言えば彼しかいない。 ネスはラフィットを呼びに行こうと、落ち着いたばかりの呼吸は気にせず、駆け出した。ラフィットは意外にも足が速く、ネスの息も少し上がってきた。そしてやっと追い付く頃、ラフィット達は再びあの場所へ来ていた。ラフィットとネスの間に炎が舞った、あの場所へ。 「何て不気味な空なんだ」 走りながらマリオは空を見上げた。空は血の色をしていて、気味が悪かった。 「ギーグと戦ってる時も、奴はこんな色だった」 そう呟いたジェフに、マリオはそうかと返事をした。 「ネスにテレパシーを送ってもダメだわ、何かに寄って妨害されてる」 ポーラは今にも泣きそうで、走りながらうつ向いてしまう。 「マリオ、手分けして探すか?」 フォックスが言った。 「そうだね。あまり敵は出なくなったし、万が一のことがあっても、今の僕達ならきっと大丈夫だ」 「うん」 「そうだな」 「よ、よし! が、頑張るぞ」 そこへ丁度見通しの良い十字路に出たので、マリオ達はそこでバラバラになって行った。 (ネス、どうか無事でいてくれ!) フォックスは胸騒ぎがした。早く見付けないと、ネスが消えてしまうのではないか。そんな気がしてならないのだ。一刻も早く、早く──! 「ラフィット!」 「!! ネス……」 名前を呼ばれて肩を上げたラフィットは素早くこちらを向いた。何故か慌てて手を後ろに隠したが、ネスはその奇妙な行動に気付いていない。今は彼を見付けたことで安心しているのだ。 ネスは、ラフィットに裏切られてしまったのにも関わらず、変わらず優しい笑顔を見せていた。ラフィットはそれが気にくわないのか、少し嫌そうな顔をし、目を反らした。 「ラフィット、君は間違ったことをしてるんだよ? こんなことしたらダメなんだよ!」 「僕は正しいことをしてる。間違ったことをしてるのは、ネス達の方なんだよ。ギガ様は神様なんだ。神様に背くなんてどうかしてるよ」 「何言って……!」 少しずつ近付いて漸く気付いた。ラフィットが後ろに手を回しているが、隠し切れていない腕に何かがこびりついていた。それは、飛び散って掛かった赤だ。それでラフィットがどんな過ちを犯したのか、一目瞭然だった。 「ラフィット、正か……人を?」 予想通りの答えを聞きたくはないが、聞かない訳にはいかなかった。ラフィットの返事は、無言で無表情のまま、血の色をした瞳でこちらを見つめてくるだけだった。それだけでも、十分な答えとなった。 「どうして、どうしてそんなことしちゃったの!? 僕は君がこんなことしたくない子だって、知ってるのに……!」 ネスは拳を強く震わせ、怒りを必死で抑えながら話した。良く見ると、彼の顔にも血が飛び散っているのが目に入った。ラフィットはそんな風に見てくるネスをジッと見ている。そして静かに口を開いた。 「みんな、神様を信じないのがいけないんだよ。ギガ様は、僕達の為に楽園を作ろうとして下さっているお方だ。なのに、それを信じない、落ちぶれた住民達がいる。そんな人達は、この世に必要ない。消えて当然なんだよ」 「ギガは神様でも何でもないよ! 奴は僕達の世界を支配しようと……」 「確か君もその一人なんだよね。と言うよりも、スマブラ自体僕達に歯向かう。ギガ様を信じない者を、僕は最初から信じるつもりはないから」 目を鋭く細め、ネスを見下す程に睨む。ネスはそれに背筋をゾクリとさせたが、足は一歩も退こうとはしなかった。 彼の心には孤独の闇が広がっている。彼は誰かが側にいないと動けない存在なんだ。仲間の力を必要としている。まるであの時の僕だ。 あの夢での彼の泣き声は本物だ。あの夢は、忘れない。 「ラフィット、君は歩む道を誤ったんだよ」 「道?」 「ギガは神。そして楽園を作り出す。その言葉を誰かに吹き込まれたから、そう信じきっちゃってるんでしょ? でもね、それは逆なんだよ」 「逆?」 「楽園を築くのは優しい心を持つ人々なんだよ。そんな人々が今苦しい思いをしてるのは何でだと思う? みんな、ギガの闇の力に苦しんでいるからだよ。闇の力だけで楽園なんか出来る筈ない。ギガは僕達の世界を滅ぼそうとしているんだよっ」 「嘘だね」 ネスが説得をしても、ラフィットの短い返事で、それは全くの無意味だったと分かる。 「ギガ様は偉大なお方だよ。あの方はスマブラを消せば、僕達が暮らしやすくなる素晴らしい楽園を作ってれると仰った。だから、君達には消えて貰う」 「違う! ラフィット、目を覚まして! ラフィットはあいつに利用されてるだけなんだよっ。君もその内消されるよ!!」 ラフィットの肩を掴んで声を出すが、ラフィットは微動だにしない。そして、自分の肩を掴む彼の手を手で弾き飛ばした。 「やっぱり君は僕の敵だ。死んで貰うよ」 ネスを力一杯押し退けると、ラフィットは人差し指から赤い力を溢れ出させた。 (ラフィット……) ネスはテレパシーで彼の心を読もうと試みるが、彼の心は暗闇に閉ざされてしまい、読むことが出来ない。 どうしてそこまでギガに尽すのか。このままだとラフィットは自分自身を見失ってしまうかも知れない。そしたら、本当に彼は悪魔と化してしまうかも知れない。そんなこと、絶対にさせたくない。絶対にさせない! ラフィットの指先から小さな赤い弾が何発も放たれる。ネスは走りながらそれを避けていく。その弾は地面に当たると一端炎を吹き出させ、そして消滅する。当たった部分は、小さな煙を上げて真っ黒焦げになっていた。 「うわ!」 一発だけ彼のすぐ側で爆発し、ネスは吹っ飛ばされて地面を軽くスライディングしてしまった。 「とどめだ。PKキアイΩ!!」 ラフィットは両手を上に上げる。手と手の間から光が生まれ、一気に大きくなる。 ネスの体は一時怯んだが、こんなとこで倒れている場合じゃないと、地面に手を付け、震わせながらも体をゆっくりと起こした。 このままだと彼の強力な技を諸にくらってしまうし、彼を止められなくなる。早く彼を何とかしないと手遅れになる。 完全に立ち上がるのに少し時間が掛かり、それでは間に合わないと、足に微力ながらもパワーを溜めた。そして地面を思い切り蹴り、ダッシュする。彼の倒れていた所に、ラフィットの巨大な技が直撃した。その技のレベルΩはあまりにも凄まじく、辺りの木々はその衝撃に寄ってかなりの角度で傾いてしまう。ネスもすぐそこにいたので簡単に吹き飛ばされてしまい、木に背中をぶつけた。 「がっは!」 力が抜けてしまい、ズルズルと地面へ崩れていった。頭を垂らし、意識が朦朧としてしまう。 ラフィットは彼を見、クスッと笑って歩み寄る。歩きながら口を開いた。 「このままあの世に送るのもつまらないから、冥土の土産に教えてあげるよ。あの時、君の技にやられて気絶したのは、僕をそんな風に思ってる君に更なる油断を作らせる為の芝居だったんだよ。テレパシーなんて、僕は君の思考そのものだけど、偽の思考を作ってみせれば簡単に騙せるさ。そして僕と友達になろうと考えてる馬鹿に攻撃を仕掛ける。そして近付いたスマブラを消す。これが僕の今回の任務なんだよ」 相当なダメージを受け、体が動けないネスの前で立ち止まる。 「クローンだってね、オリジナルと完全思考なのは最初だけなんだよ。後は特訓次第で、化け物に生まれ変わるのさ」 「に、偽の……し、こう……だって?」 ネスのクローンだから、彼もテレパシーを使える。テレパシーを使える人物同士だから、偽の思考も生み出せる。だとすると、あの夢も、彼が作り上げた嘘の世界だと言うのか? 「正直しんどい任務だったよ。ネスみたいな、馬鹿なお人好しがいるんだし、ね!」 「ぅぐっ!?」 最後の一文字を強く言い放ち、ネスの腹を力任せに蹴り上げた。息が一時出来なくなったネスは、腹を抑え込んで咳き込んだ。 「くっ……ゲホ! ゴホ、ゴホ……ッ! うぐぁ!」 ラフィットは更に彼の顔を横からキックした。ネスは呆気無く横へ倒される。腹へのダメージが強く、さっきよりも立ち上がることが困難になった。 「すぐには殺さない。今、かなり苛立ってるんだ、君みたいな奴がいるからね。だから、苦しみながら死んで貰うよっ」 ラフィットはネスの体に蹴りを入れ続ける。顔や胸、肩、腹、腕、足……あちこちに容赦なくダメージを与える。 「ぐ、あぅっ! けほっ! う、ぐっ……!」 立ち上がれないネスのダメージは蓄積されていく。普通ならこれでも、残りのパワーを凝固させ、一気に放出すれば、ラフィットの動きを抑えられる可能性はある。だが、今のネスは無理だった。相手はラフィット。例え偽物の心を作り上げたとしても、彼から感じる悲しみと孤独は消えていない。お人好しと呼ばれようが構わない。彼の本当の気持ちを解放出来るまで、彼を傷付けたくない。 でもこのままだと、本当に殺される。自分が死んだら、誰が彼の心を解放してあげられる? 彼を知るのは自分しかいない。ここで、死ぬ訳には……。 「ネス、どうしちゃったのかな……ねえ、メタナイト……」 カービィは心配そうな目をし、メタナイトを見た。 「彼の今の様子は普通ではない。何者かがネスの心を支配しようとしているのかも知れん」 「支配っ……?」 彼らはメタナイトの言葉に驚いた。 「どせいさん、もしやネスは……」 どせいさんはそう聞かれて少し黙っていたが、メタナイトに顔を上げると、こう言った。 「そのしはいをしようとしているものこそ、ぎーぐのしわざといえるでしょう」 ガタンッと、誰かが椅子から立ち上がる音が突然聞こえ、スマブラは驚いた。スネークが彼等と同じ少し驚いて立ち上がっていた。 「スネークしゃん、どうしたんでしゅか?」 「……」 「スネークしゃん!?」 彼は彼等が呼び止める前に家を飛び出してしまった。その時のスネークは、誰かに呼び寄せられている感覚がした。それは誰もが感じたことで、スマブラ達は顔を見合わせるしか出来なかった。 (──ぎーぐ、そして『かれ』をとめられるのは、おそらくかれらしかいないでしょう) どせいさんは心の中で呟いた。 ‥ 「気絶しちゃったか」 ラフィットに抵抗せず攻撃を受けてきたネスは、遂に気を失ってしまった。身体中を蹴られていたので全身かなりダメージが酷かった。 ラフィットは詰まらなさそうに見下ろし、彼に人差し指を向けた。すると衝撃派が放たれ、気絶しているネスを少しずつ吹き飛ばす。その先は崖になっていて、落ちれば闇の底だった。 (──ゴミはさっさと排除しないとね) ラフィットはそれしか考えていなかった。 そして後一回でネスは崖から落とされる。躊躇いも無くラフィットは彼に指を向け、パワーを溜め始めた。 「ネス!!」 そこでフォックスが現れた。だが誰か来ると予め分かっていたラフィットは、止まらず衝撃派を撃ち放ったのだ。ネスは──崖から飛び出してしまう。 「ネスー!!」 フォックスはラフィットよりネスの方へ行った。そこでラフィットも予想外な展開を見せる。 (バカなことを……) フォックスも崖から落ち、ネスを追い掛け始めたのだ。ネスは未だに気を失ったままどんどん落下していく。フォックスは崖の壁に時折蹴りを入れつつ追い掛ける。 「フォックス! ネス!」 後にマリオも現れた。そこでここの状況に見開くことになる。植物が殆んど焼けていて、未だに火がくすぶっている部分もあった。 そしてそこにはラフィットがいた。彼はもう何も考えていない、ロボットの様な人物になっていた。マリオは彼のその赤い目にゾクリと鳥肌を立たせた。 「……彼等に何をした」 相手はまだ子供なのに、どうしてか、恐々と尋ねてしまっている自分がいた。それを見るラフィットは、微笑すると肩をすくめた。 「フォックスは自分で崖から飛び下りていったよ、哀れな少年を助ける為にね」 「!」 面白おかしく笑うラフィットに、マリオは怒りを覚えた。だが、仲間を見殺しすることは出来ない。今ならまだ間に合うかも知れない。 「くっ!」 ラフィットを横切り、崖から飛び下りる。先程の戦いで殆んどマントは使い物にならないが、最後の力を振り絞り、それに寄って落下速度を上げていった。 大分追い付いてきたフォックスは、まだ気を失ったまま落下してゆくネスに手を伸ばす。やっと彼をとらえ、ギュッと抱き締めた。 (くそ、このままじゃ、本当に……!) 底無しの闇へ吸い込まれてゆく二人。この下には一体何が待っていると言うのだろう。大きな水? ごつごつした岩の床? それとも──。 (どうか……どうかネスだけでも……!) 助かって欲しい。そう祈り、ネスを更に強く抱き締めた。 (頼む、どうか間に合ってくれ……!) マリオは小さく見える二人の影に手を伸ばし続けた。今の状況だとほぼ絶望的だが、それでも助かるかも知れないと言う、救いのない考えが浮かんでしまう。でも、それでも奇跡があるのなら──奇跡があるなら。 (神様、どうか!) 手を伸ばしながら、強く目を閉じた。そして彼も闇へ呑み込まれていった。 「本当、良心なんて理解出来ないよ」 風の音が鳴る闇を見下ろしながらラフィットは呟き、軽く溜め息をついた。 「良い人は早死にする。本当にその通りなんだなぁ」 それと同時に感心もしていた。 「それじゃ、そろそろ隊長のとこへ行かなくちゃね」 そして竜巻テレポートを使ってその場から立ち去ろうとした。 また何者かが現れた。 「……!!」 それはラフィット自身も思いも寄らなかった相手で、彼はその者を見ると思わずテレポートを止めてしまった。 果たして、スマブラ達の運命は、世界の未来はどうなってしまうのか……。 ──to be continued── |