Spirits








 彼と再会してしまうとは予想外で、ラフィットはそれはと言わんばかりに見開いてしまった。彼を見てると親近感を抱くと思っていたが、今の状況を見られるとその感情もとおのいてしまい、今や恐れるあまり敵視していた。それでも、自分のPSIなんて効かないと分かってると、これまた予想外な思考。
 それよりも、なぜあの人がここに来たのか分からず、今のラフィットは焦る一方だった。

「何でここへ来たの? スネーク」

 顔を合わせるのも嫌気がさして来て、反らしながら口を開いた。男は微動だにせず、そんな彼に話しかけた。

「態々目の変装するまでもない。そんな考えか?」

 スネークは懐から煙草を取り出し、口で挟みながら問うが、ラフィットの返事は無い。
 スネークがラフィットの姿をちゃんと見た時、彼の目が僅かに細くなる。

「──その血は?」

 ラフィットの体に少量で飛び散った赤。それを見たのに、ネスと違い、彼は冷静に驚いている様に感じた。

「スネークは何を考えてるの? 僕は君達の敵なんだよ? 人殺し……したんだよっ……!?」
「なら聞くが、なぜそれについて喋ってる時震えてる? 大体、君みたいなクローンに人殺しなんか出来るわけがないだろう」
「っ?」

 あっさり言い切ったスネークに、ラフィットは彼を怪訝そうに見つめた。煙草の煙を吐いた彼がその時目に映る。そう言える程に余裕があるからか、本人は殺気立たせることなく見つめ返していた。

「人殺しとか言うが、オネットを回ってみたら、被害者は多少出ていたものの、死亡者は一人もいなかったみたいだ。他の仲間も、テレポート先の情報に寄ると同じ意見だ。その血は、本来俺達の敵である宇宙人のもの。違うか?」
「なめないで!!」

 ラフィットは手に力を込めると、そこから赤い光を溜め、スネークに向かって放った。しかし、スネークが横へ一歩ずれると、それはあっさりとかわされてしまった。その時の彼は、余裕で煙草を口にくわえていた。

「!」
「隙だらけだな。そんな技じゃ、亀さえ捕まえられない」
「何ぃ!?」
「PSIを使うには常に特殊なエネルギーが要るみたいだな。それを溜める時間は、相手を逃がす時間に等しい」

 コンマさえも、スネークにとっては十分逃げられる数字らしい。

「くっ!」

 ラフィットは今度は連射した、ネスの時の様に。スネークはダッシュしてそれをかわしていく。

(バカだ)

 ラフィットはニヤリと笑い、今度はスネークの走る先めがけて発射した。スネークとラフィットの技がぶつかる。そしてその場は爆発した。手応えがあったと、ラフィットはにやける。

「ふん。当然の報いさ」
「何をそんなに怖がってる」
「!!」

 後ろから声がしたが、ラフィットは驚きのあまり、たちすくんでいた。彼の後ろにいるスネークは、煙草をふかしながら話し始める。

「俺が怖いのか? 恐怖のあまり、テレパシーをするのも忘れていたみたいだな。俺の心を読み取れば、さっきの技でも簡単に俺を殺せたのにな」

 ラフィットは、スネークの考えていることが理解出来なかった。否、もしかしたら理解したくないのかも知れない。
 テレパシーは出来るなら、戸惑ったって出来た筈だ。なのに何故……もしかしたら、体が拒んでいるのか? 彼を殺してはならないと──殺したくないと。

「なら、スネークはどうして僕を殺さないの? 凄い武器とか、いっぱいあるじゃない。今の僕だったら、簡単に殺れるでしょ!?」

 ラフィットは震えながら声を上げた。スネークが後ろに立ったまま何もして来ないのに妙な苛立ちを覚える。敵ならば殺すのは当然だと、ラフィットは信じ切っているのだ。
 スネークはラフィットを見ながら思う。死の覚悟は出来ているらしく、彼はその場を動かない。もしかしたら、殺してくれと言いたいのかも知れない。そう悟り、暫く考えた後、

「死んで解放されたい奴は、君以外にもごまんといる。その者達の仲間入りになりたいのか」

 ラフィットはその呟きが耳に入ると、堰を切った音と共に、赤い瞳から涙を溢した。止まらない涙はどんどん流れ出、ラフィットの体から力か抜けてくる。

「もう、もうこんな……」

 ラフィットの声も弱まる。彼自身もうつ向き出し、体もやがて脱力しながら座り込んでしまった。

「こんな戦い、たくさんだよぉ」

 しまいにはしゃくり上げながら涙を溢し始めた。スネークは静かに彼を見下ろす。
 クローンに生まれなければ、こんな事にはならなかった。クローンじゃなければ、ネス達と仲良くなれただろうに。
 ラフィットは戦闘力もあるとは云え、元々は実験用として作られたもの。ギガへの忠誠心はあっても、ミエール達の様な戦闘用として鍛え上げられたクローンと比べ、精神も強くはない。その為、戦闘でもサポート役として回っていたことが多かった。
 その精神力の所為か、ネス達と出会ってから、ある筈の無い良心が、少しずつ生み出されてゆく。

 ──本当は、ネス達と友達になりたい──。

 木と木の間から、気配を消して彼等を見ている者がいた。その者──ディバは、無表情でラフィット達を見つめていた。

「なら、寝返るつもりか?」

 煙草の先を指で揉み消したスネークは、銃を取り出しながら言った。

「寝返ると言うなら、俺は別に構わない。違うと言うのなら、俺は敵視する」
「……」

 ラフィットは座り込みながら考える。仲間になると言ったらスネークは許してくれるのか。ダンスパーティの日、彼の話していたことが、脳内で再生される。ネス達を助けるか、ネス達を今までの様に敵として戦うか。後者を選べば、きっとスネークに射殺されるだろう。彼は銃を構え、待っているのだから。だけど心を読んでしまえば、彼の本心は丸見えだ。
 決心したラフィットは立ち上がり、スネークに振り返ると、銃を握る彼の手に手を置き、見上げた。

「……僕を殺して」
「……」

 スネークは目を少し細めた。

「こんな気持ちでも、僕はスネーク達の敵に変わりはない。寝返ったとしても、今のこの僕は正常じゃないだろうから、いつか仲間を裏切り皆殺し。いつ別の人格が出るか分からない。だから、ここで僕を撃って」
「……それがお前の選んだ、最後の選択だな?」

 静かに問うスネークに、ラフィットは首を縦に振った。
 ラフィットは逃げるのでは無い。自分への戒めと感じているのだろう。敵なのにも関わらず、敵へ自分の気持ちを打ち明けてしまった罪。
 ラフィットには分かっていた、ネス達はまだ生きていることを。確かに気を感じるのだから、嘘は無い。そしてその事実にどこか安心してしまっては、もう自分はこの世で戦う資格は無い。スネークが何と言おうと、ラフィットの意思は簡単には曲げられない。

「そう言うと思ってはいた」

 スネークは呟く。

「今の俺は、ラフィットを消すのが、僅かに辛いんだ」
「その辛さは僕もだよ。スネークみたいな人に会えたこと、忘れないから」
「ああ、俺もだ。一生忘れないと誓おう」

 スネークは、ジャキッと言う音を立てると、銃口をラフィットの額へ向けた。

「さよなら、スネーク」

 ラフィットは、ゆっくりと目を閉じた。

(ゴメンね、ネス……)

 そして、テレパシーではなく、心のみで呟いた。
 スネークの、銃を構える指に力が入ってゆく。




「な、何だこりゃ!?」

 マリオは驚きながら声を上げた。マジカントが消滅し、元の世界へ戻れると思いきや、周りの様子の異変に見開く。辺りは、赤や黒で歪まれた世界でしかなく、おまけに周りから舐められる様な視線を浴び、三人は鳥肌を立たせ、冷や汗を流した。

「ネス、これは一体……」

 初めて来たフォックスも流石に嫌な感覚はしていた。そしてネスまで顔色を悪くし、冷や汗を流すしまつだ。

「この感覚……覚えてる! 正か……!」

 やがてマリオ達は、渦巻く空間の中心へ吸い込まれていった。そして光の穴が見え、三人はそのまま外へ放り出された。

「わあ! たったったっ!」

 マリオは危うくこけそうになったが、何とか踏ん張り、お陰で転倒せずに済んだ。続いて現れたフォックスは地面にスライディングしながら足を着け、最後に飛び出したネスは反射的にPSIを使い、フワリと地面に着地した。
 マリオ達が来たのは、色無き世界。色無きと言うのはモノクロと言う意味で、まるで、まだ生き物のいない頃の大昔の世界だ。

「明らかにオネットじゃないな」

 マリオは警戒して見回した。

「僕達の魂は、ここへ来ちゃった訳なんだね」

 ネスは何故か息を飲んで呟いた。そんな彼に、フォックスは不思議そうに首を少し傾げた。

「ネス、何か心当たりでもあるのか?」
「そう聞かれたら、無いとは言えないかも……」

 何かを思い出したのか、ネスは自分の肩をギュッと抱き締める。僅かに震えるその姿は、警戒と言うよりも、何者かに寄って恐怖心を植え付けられている様だ。

「ネス、大丈夫? 行ける?」

 マリオも彼の姿に気付き、心配そうに尋ねる。少しするとネスは落ち着いて来たらしく、力無く息をゆっくりと吐いた後、肩から手をスッと解放した。

「大丈夫、行けるよ……」

 一瞬だけ唇をキュッと閉じたが、一人軽く首を縦に動かすと、マリオ達を確りと見上げた。

「ここは前にも来たことがある。ギーグを倒しに行くには過去の世界へ行くしかなかったから。その時は、僕達は魂だけ込められたロボットの姿をしていたけどね」
「やはり、今の僕達はさ迷える魂ってか?」

 マリオは腕を組んだ。が、マリオの考えにネスは首を振って否定する。

「恐らくギーグが僕達を連れてきたんだ、この世界に」
「俺達が邪魔な存在だから、自らの手で消すと言うことだろうか」
「きっとそうだね」

 フォックスが言うと、ネスは頷いた。

「この姿で戦えるかどうかは分からないし、元の世界へ帰れる方法も僕には分からない。多分、ギーグを倒さない限り、その方法は無いと思う」
「そか。よし分かった!」

 マリオはペロッと舌を出し、手に拳をパンッと当てた。

「どっちにしろ、奴を倒さない限り、帰る気はないからな──行くぞ!」
「あ。ち、ちょっとマリオ!」

 マリオは後先考えず、奥を目指して駆けていった。フォックスとネスは呆れて顔を見合わせたが、二人も真剣な顔をして頷くと、マリオの後を追った。




「マリオさん達の気配が消えたって!?」

 ポーラに呼び出されたジェフ達は、悲しい顔をしている彼女の言葉に驚く。

「それと一緒に、何か憎悪を感じたの……前にも感じた様な……」

 その間に、彼等の周りの空気に謎の赤い霧が現れ始めた。

「それってもしかして……っ、!!」

 プーは何かを言い掛けたが、急に頭を抱えた直後その場に倒れてしまった。

「プ、プー!?」
「プー、確りして!」

 ポーラ達は慌てて彼を起こそうとしたが、後に彼女達にも酷い頭痛が襲い、プーと同じく倒れてしまった。




「……なんだこの霧……」
「え……?」

 撃たれる覚悟を決め、目を強く閉じているラフィットだが、何も起こらないのにハテナを浮かべ、恐る恐る瞼を開いていく。スネークは銃を構えたまま、突如現れた赤い霧を見ていた。そして、突如自分の頭をもう片手で辛そうに抑え込んだのだ。

「くっ、何だこれは! ただの……頭痛にして……は……おかしい……」
「ス、スネーク? スネーク!」

 そのまま倒れ、動かなくなってしまったスネークを慌てて揺さぶるが、彼にも体の異変が襲う。

「いたっ……!」

 激しい頭痛と同時に何かを体から抜き取られた感覚。それを感じなくなった時は既に意識は失われ、ラフィットも倒れてしまった。
 その様子には、流石のディバも少し見開いた。そして彼にも頭の痛みが生じ始める。

(っ……巻き込まれるのはゴメンだな……)

 ディバは、頭の痛みが激しくなる前にその場からテレポートした。




「っ?」
「どうしました、マーシスさん?」

 ネスの家で待機しているスマブラ達の中、マーシスが何かを感じ、顔をサッと上げた。それに最初に気付いたリンクが問う。

「……マリオ殿達の気配が急に消えたのだ」
「え!? た、大変だ!」

 カービィはそれを聞くと慌て出し、テーブルから降りる。

「早く助けに行かなきゃ!」
「待つんだ、カービィ!」

 外に出ようとしたカービィの手をメタナイトがとっさに掴んだ。だがカービィは外に出るのに必死だ。

「離して、メタナイト! 早く助けに行かないと、フォックス達が!」
「まってください、かーびぃさん!」

 テーブルの上にいるどせいさんがピョンピョン跳ねる。

「むやみにそとにでるときけんです!」

 カービィはピタリと慌てるのを止めた。どせいさんの言葉に疑問を抱いたのである。

「どう言うこと、どせいさん?」
「……まどのそとをみるのです」

 どせいさんは理由を言う前に窓の方へ体を向けた。トレーシーは、窓を覆うカーテンをサッと開いた。

「!」
「何、これ……?」

 トレーシーは恐怖のあまり鳥肌を立たせ、顔を青ざめる。外は、真っ赤な霧が充満していて、目を凝らしても全く外が見えなかった。

「一体何なの、あれは?」

 ネスの母も驚いた表情をし、どせいさんに聞く。

「あれは、ぎーぐがはっせいさせているきりです。あのきりにまきこまれたものは、たましいをぬきとられてしまうのです」
「何ですって!?」

 リンクの帽子の中から妖精のナビィが現れた。

「マリオ達は外にいるのよ? アンタは、ネス達の世界を救おうとしている彼等を見殺しにするつもりなの!?」
「ナ、ナビィ、落ち着いて……」
「これが落ち着いていられる!?」

 リンクが抑えようとしても今のナビィは聞かない。

「リンクが戻ってきてくれて凄く嬉しいのに、今度はマリオ達が危険な目に遭っているのかも知れないのよ? なのに、私達は何も出来ないの? こんなのって無いじゃない……っ」
「ピ……ピィ、カァ……ッ」

 ピカチュウは耳を垂らし、流れる涙を必死で拭っている。

「お兄ちゃん……」
「ネス……皆……」

 ネスの母も彼等を凄く心配していた。トレーシーや皆も同じである。
 静まる空間の中に響くのは、ピカチュウのすすり泣きだけだった。

「わたしは、みごろしにするとはいってません」

 どせいさんが最初に静かな空間を破った。

「ぎーぐのきりは、ぎーぐのいちぶ。ということは、まりおさんたちはぎーぐにあっているにちがいありません」
「ギーグに?」

 呟いたカービィにどせいさんは振り向く。

「だからといって、あなたたちはそとにでてはいけません。ぎーぐのきりのしんこうはすごくはやいので、どあをあけたじてんで、ねすさんのおかあさんたちもまきこんでしまいます」
「んじゃあ、どーすれば良いんだよ」

 ファルコは腕を組むと軽く息を吐いた。

「わたしにいいかんがえがあります。もっとも、このほうほうはむこうがわにもてつだっていただかないといけないのですが」
「隊長達の為になるなら、是非話してっ」

 カービィは言った。他の人達も同じ気持ちでどせいさんを見ている。どせいさんは彼らを見回した後、小さいつぶらな目を一端瞑ってから、

「いいでしょう」

 と、目を開いた。




「こ、ここは何だ?」

 赤く歪んだ空間。その空間には、人の様か骸骨の様な顔がボンヤリと浮かび上がっていた。その顔は空間にビッシリとあり、影になっている目がこちらを向いている気配がした。

「正かこいつらが……って、ネスっ!?」

 マリオとフォックスは、しゃがみ込んで自分の体を抱き締めているネスにハッと気付いた。

「ネス! 大丈夫かっ? ネス!」
「あ、あ、あいつだ……あいつが……っ」
「けっけっけっ!」
「!? 誰だ!」

 フォックスはブラスターを即座に構えた。マリオもネスをかばう様な体勢でファイアボールをスタンバイさせる。
 彼等の上空に、奇妙な乗り物が現れた。それを操縦しているのは、金の短髪だが、目が隠れている、小太り少年である。

「お前達か、ギーグ様の邪魔をしている奴らとは!」
「貴様は誰だ!」

 フォックスは怒りの目で睨む。逆にマリオは彼を見て少し驚いていた。

(アイツ、どっかで……)

 ──俺は、本当はネスを友達だって思いたい。
 ──ネスは皆に愛されてて、羨ましいよ……俺なんかダメな奴さ……。

「俺は強い者の味方のポーキーさ! お前達喜べよ、偉大なるギーグ様が態々お前達を呼んで下さったんだからなっ」
「そいつは光栄だね」

 マリオはニッと笑んだ。

「僕達も、丁度ギーグを倒すつもりだったからね。お目にかかれて嬉しいよ」
「けーっけっけっ!」

 ポーキーは不気味な笑い声を上げた。

「こんなギーグ様を倒せると思ってるのか?」
「! どう言う意味だ!」
「ギーグ様は──否、ギーグは! もう誰にも手に負えない程精神がいかれちゃってるんだ。お陰で壮大な力が少しずつ漏れ出している。いつそれが暴走するか、俺さえ分からないのさ! どうだ、怖いだろ!? 俺だって怖いけどな!」
「へっ、それが何だって言うんだよ」

 マリオはニヤリと口端を吊り上げた。

「僕達は常に危険の真っ只中だ。それくらいの程度でビビるかよ!」
「……ふーん? なら、そこにしゃがんでいるネスは何なんだろうね?」
「!」

 ネスはまだ何かに怯えて身を震わせていた。マリオ達はネス達の様子を見る。

「ネス、大丈夫かっ?」
「……」

 ネスは何も答えなかった。

「けけけっ! 俺は失望したぜ! ネスがこんなに弱虫だったなんてさ!」
「! 貴様ぁ!」

 フォックスはブラスターをポーキーに向けた。その前に、ポーキーを乗せた乗り物が急にこちらへ突進して来た。

「うわっ!」
「危ない!」

 フォックスは横っ飛びをし、マリオはネスを体当たりする勢いで抱き締め、突進攻撃をギリギリかわした。

「けけっ。俺がこの手で消すのも良いが、折角のギーグの犠だ。さあ、餌になれよ……ギーグの!!」
 ──ネスサン……。

 ギーグの心の声はマリオ達にも響き、マリオ達は鳥肌を立たせた。

「やっぱり流石の僕も、これにはちょっとビビるかな」

 マリオは冷や汗の中、笑みを浮かべ、拳を構えた。フォックスはマリオの隣に立ち、改めてブラスターを構えた。

「負けちゃいけない。俺達の力を信じるんだ!」
「そうだよ……」
「! ネスっ?」

 立ち上がったネスにマリオ達は振り向いた。

「ネス、もう大丈夫なのか?」
「うん。心配掛けさせてごめん、隊長、狐のお兄ちゃん。もう僕は怖がらない……自分達の悪魔に勝ったんだから、負ける訳にはいかないっ」
「……ああ、そうだな! これ以上やつらを自由になんかさせないぜ!」
「良い友情話だね。どこまでギーグと戦えるか、楽しみだ!」

 ポーキーはスイッチを押すと、機体から大量のガスを撒き散らした。

「うわっ、何だこれ!?」
「くっせえー!」

 マリオ達はその酷い異臭のあまり、涙目で鼻と口を抑えていた。

「けーっけっけっ! どうだ、堪らないだろう? ギーグと戦う前のご挨拶さ!」
「こ、こんな挨拶正直いらないし!」

 マリオは薄目でポーキーを睨み上げた。

「さあ今だ、ギーグ! ネス達を食べてしまえ!」

 ギーグの空間が大きく歪み、中心からブラックホールの様な黒い穴が現れる。吸引力が少しずつ増し、明らかにマリオ達を吸い込もうとしていた。

(くそっ。こんなとこで、負ける訳にはいかないのに……!)

 マリオが何としてでも技を繰り出そうとした、その時である。

「PKフリーズΩ!!」

 後ろから少女の声が聞こえたと同時、その方向から冷気の巨大な弾が発射された。ギーグにそれが当たると、ブラックホールは消えていった。

「ネス! マリオさん! フォックスさん! 大丈夫!?」

 三人が振り返ると、そこにいたのは、ネスの仲間三人だ。

「ポーラ! ジェフ! プー!」

 ネスはパッと笑顔になった。

「ふん、お仲間が増えたか」

 ポーキーはつまらなさそうに息を吐いた。が、直ぐに不気味な笑みを作る。

「だけど逆に考えれば、ギーグの餌が増えたってことになるな──覚悟でもして置きなよ!」
「……僕達は負けない、絶対に!」

 六人の魂達は、力を合わせ、ギーグ達へ攻撃を開始した。










 ──to be continued──