Ogre Game








「奴も動いたか」
「はい、デスボーン様」

 骨と岩で構成されている間。レースの様な床になっており、その下は溶岩が広がっている。その間には骨の椅子があり、そこに赤いロボットのような巨体が座っている。
 その玉座の前で、黒い男──ブラックシャドーが跪いていた。

「今はあのキャプテン・ファルコンの仲間になっているのか。あの後は自殺したと聞いたんだがな」
「今直ぐ捕えましょうか」
「まだだ。その時を待て」

 デスボーンは手を出し制す。

「今は楽しいゲームの最中だ。中断してはつまらん」

 ブラックシャドーは深々とこうべを垂れた。
 デスボーンが手を上げると、前方に数々のモニターが表示された。

「地獄のレース(ヘル・レース)はまだ開幕に過ぎない」

 各々に映し出される、パイロットとスマブラ戦士達。

「本当のパーティ(デス・レース)はこれからだ。フフフフフ……」

 デスボーンの不気味な笑い声は、空間を揺るがした。




 ミュートシティの建物から建物へ飛び移る、狼と人の影。
 獣リンクはプリンシアを乗せて走っていた。

「リンクが正か狼男だったなんて、ビックリだわ」
「これはリンクの闇の力よ」

 プリンシアの横を翔ぶナビィが言った。

「今までは闇の力を制御出来なかったんだけど、大分コントロール出来てるみたい」
「リンクは悪者だったの?」
「そうじゃないわ。一つの王国を救った勇者だし。ただ、時に闇の力で対抗せよと神が言ってるの」
「神様……ファンタジックな話ね」

 二人の女性が会話をしていると、二人の間を矢が通過した。二人は驚いて振り返り、獣リンクも目を横に向けた。

「逃がしませんよ」

 ミエールは色違いのブーツをはいており、弓矢を構えながら追ってきている。

「は、速い!」
「あのブーツは、ペガサスのくつ。速い足で追ってくるわね」
「キャッ!?」

 獣リンクは前方に向き直ると急に止まった。プリンシアはいきなりのブレーキに慌てて獣リンクにしがみついた。
 前を見ると、大勢のザコ敵が壁になって立ちはだかっていた。獣リンクは前足をちょくちょく動かすが、逃げ場を失ったと思っているらしい。

「もう鬼ごっこは終りですか?」

 彼女達の後ろでミエールが立ち止まり、弓を片手にゆっくりと歩み寄る。勝ち気に微笑み、筒から矢を抜き取る。

「ではさようなら」
「……」
「プリンシアっ?」

 プリンシアは何を思ったか、獣リンクから降りた。そしてザコ敵達の前に立つ。弓矢を構えていたミエールも眉をひそめていた。
 プリンシアは、何故かいきなり踊り始めた。腕を振り上げたり、横に回転したり、時に笑顔でウィンクなどをしてザコ敵達を魅力させる。うっかり魅力されたザコ敵達はどんどん倒れていった。

「! 何だこれは!」

 ミエールは体から力が抜けるのに気付き、手を目に当てながら跪いた。

「今よ、リンク!」

 踊りをやめたプリンシアは獣リンクに乗り、体を軽く叩く。獣リンクはザコ敵達をこえ、更に遠くへ行った。

「逃がしません」

 ミエールは膝をつきながら左手を前へ突き出す。手の甲に刻まれている黒いトライフォースが不気味に輝きだした。

「プリンシア、今の何?」

 ナビィは後ろを見ながら訊いた。

「ラモード家に伝わる甘夢の舞よ。あの踊りを見た人は良い夢を見れるの」
「アンタもファンタジックなとこがあるわね」

 得意気に話すプリンシアにナビィはそう呟いた。

「!」

 獣リンクは走りながらハッと後ろを振り返った。

「リンク、どうしたの?」
「グウゥ、ガウ!」
「え、何?」

 獣リンクはプリンシアに何かを言った。ナビィは彼に近付き、言葉を聞き取った。

「確りつかまってと言ってるわ」
「! キャ!」

 彼女の横を今度は黒い光がかすった。それは無数で撃ち放たれ、獣リンクはそれらを避けていく。

「ミエールも神の切りふだを得たと言うの!?」
「どういうこと?」
「話は後よ。リンク!」
「ガウッ」

 獣リンクはナビィについていった。

「あんな小細工で逃げ切れるとでも?」

 ミエールはニヤリと笑み、ペガサスの靴を使ってリンク達を追い掛ける。

「この技が当たれば貴方達の時は止まります。その間に八つ裂きにしてくれる!」

 その光は生き物以外には強い衝撃を与えた。
 彼等は黒い光を避けながらある建物を掛け上っていく。ミエールはその下にたどり着き、そこから光線を連射する。
 やがて獣リンク達は一番上の看板前まで着いた。三人でふと下を見てみると、下から黒い光線が無数で現れた。

「リンク!」
「!」

 ナビィが上へ向かうと獣リンクも高々とジャンプした。光線は看板の足を直撃し、やがて爆発しては崩れ落ちる。

「し、しまった!」

 ミエールはそこで彼等の考えを読んだ。巨大な看板がこちらへ落ちてくる。その場から離れると、彼のいた場所を看板が叩き付けた。電気がバチバチと弾く音を聞きながら、ミエールは再び上を向く。獣リンク達の姿は既に消えており、舌打ちした。




「漸く振り切ったようね」

 路地裏から街に戻り、ナビィは言う。
 プリンシアが降りると、獣リンクは人の形へと戻っていった。

「ふう……て、うわ!?」
「ありがとう、リンク! ナビィ! 助けてくれて!」

 プリンシアはリンクに抱きつき、ナビィを見ながら感謝した。

「エフゼロよりも熱かったわっ」
「何言ってるのよ!」
「こっちは大変だったんですよ?」

 呆れて溜め息を吐く二人に、プリンシアは笑顔の中、舌を小さく出した。そして体を離す。

「それと、今までごめんなさい。突然護衛しろだなんて言っちゃって。それでも、私を命懸けで護ってくれたこの恩は、一生忘れません」
「……謝る必要なんてありません。姫君を護るのは、当然の使命ですから」

 少し悲し気な表情をしている彼女に対し、リンクは優しい笑顔を見せては紳士なお辞儀をした。

「そうだ。今度良かったらデザート王国に遊びに来て。沢山のお礼をしたいから!」
「いえ、お礼はいいですよ」

 目を輝かすプリンシアだが、リンクはやんわりと断った。

「ええ? どうして?」
「お礼はもう十分ですよ」
「そうよ。プリンシアも私達のこと、助けてくれたじゃない。お礼を言いたいのはこっちの方よ」
「それに、俺達急いでるんで」
「……ホントは欲しい癖に」

 膨れっ面でプイッとすねたプリンシアに、リンクとナビィは顔を見合わせ、笑い合った。
 そして、リンク達の直ぐ近くの家の中から、発電所に関する事件が流れ始めた。




「ジョディー! どこー!?」

 カービィは悲しい目をしながら必死で彼女の名前を呼ぶ。しかし、幾ら叫んでも返事は聞こえず、激しい炎の音が響くばかりだ。メタナイトも顔をキョロキョロさせるが、人影はどこにも見当たらない。

「ここら辺にはいなさそうだな」
「もっと奥かな?」

 ワープスターは更なる奥を目指した。しかしその時である。

「おわ!?」
「む!」

 ワープスターの側に光弾が当たり、爆発する。カービィ達は危うく落ちるところだった。後ろから黒いワープスターがこちらへ向かって飛んでくる。

「もおぉ、しつこいなあ」
「流石は我々のクローンだな」
「メタナイトが感心してどうすんの!」

 ボケ専とも呼ばれるカービィがついつっこんでしまった。メタナイトも、すまないとカービィに謝罪していた。

「どこまで逃げたって無駄だよ!」
「ここで発電所共々焼き尽されるが良い!」

 フビルはギャラクシアを構えると翼を使ってこちらへ向かってきた。

「……!」
「メタナイト!!」

 メタナイトも剣を抜き、翼で飛び立つ。カービィ達を狙うフビルを剣で抑えつけた。

「カービィ、先に行け!」
「駄目だよ、メタナイト! いつ発電所が爆発しちゃうか分からないんだよ!?」
「だから時間が無いのだろう! 安心しろ、直ぐに行く!」

 カービィはメタナイトを見た後、キッと表情を変え、ワープスターを動かした。

「もし来なかったら、とれたてのマキシムトマトをお供えしてあげるからねー!」
「あ、ああ」

 それを聞いたメタナイトは、どっか嫌な汗を流していた。

「爆発したとて、そなたを道連れ出来れば本望だ」

 剣を弾いた後にフビルが言った。

「……それは私の台詞だ」

 メタナイトはギャラクシアを前に構え、一声叫んだ。

「来い!」




「くう、しつこいピンクボールだなぁ」
「待てー!」

 カービィが後ろを見れば、リズは黒ワープスターに乗りながら笑っている。この事態なのにも関わらず、明らかに楽しんでるとしか思えない。

「何か良いコピー能力無いかなぁ」

 とカービィが考えていると、後ろからレーザーが連射された。

「うわ! わわぁっと!」
「このままお料理してあげるよ!」

 リズは次にファイアリズになり、口から炎を放射した。

「あちあちあち!」

 カービィはワープスターからジャンプしたり、しゃがんだりして攻撃を避けていく。

「こんなに時間が掛かるとヤバいっ……そうだ!」
「ふふ。あのメタナイトと言う騎士も、今頃フビルに八つ裂きにされてるだろうね」
「!」

 それを聞いたカービィはリズに見開いた。カッターモードのリズはニヤニヤして言う。

「ジョディって人も助からないんじゃないの? こんなに燃えてるんだし、きっと焼け死んだか窒息死してるよ。カービィも早く逃げなきゃ。あと数分で爆発しちゃうんだって、ここ」
「……」
「ま、その前に僕にやられるのがおちだけどね。死んじゃいな!!」
「……口が過ぎたみたいだね、リズくん」
「え?」

 カービィの体から紫と赤色の炎オーラが溢れ出す。リズは何だとそれを見ていた。

「正か……!」




「我々がここに残っても無意味だったようだな。リズも止めれば良かろうに」

 メタナイトとフビルは間をとり、するとフビルが言う。メタナイトは剣を構えながら暫し考えると、

「フビルは明らかにカービィを狙っていた。ワープスターを唯一操れる星の使者を消そうと企んでいたであろう」
「流石は私のオリジナル」

 フビルの赤い目が僅かに細められた。

「ならばさっさと貴様を消し、リズの加勢に向かわねばな!」
「くっ!」

 フビルとメタナイトの剣が音を立てて何度も交わされる。
 その間、彼等のいる部屋がガラ……と音を立てた。その音を耳にしたメタナイトは、彼の攻撃をかわしながらあることを思い付いた。

「すまないが、私は行かねばならぬ」
「逃げるのか、クローンから!」
「……今回はな!」

 メタナイトの体が光り、メタナイトはマントを広げた。すると、フビルの周りが闇に包まれる。

「なっ……これは!?」
「見るが良い!!」

 メタナイトは叫ぶと、ギャラクシアで巨大な一直線を描いた。だがその技はフビルには当てていない。
 闇が晴れたと同時、フビルの目の前で様々なパイプや機械類が崩れ落ちた。フビルはマントで自分を包み、跳んでくる物達から身を守る。
 轟音が止み、マントを解放すると、メタナイトの気配は無くなった。フビルの油断と壁を作っている間にその場から去ったと考えられる。

「おのれ……」

 フビルは怒りを込めて呟き、ギャラクシアをしまった。




 カービィは顔を上げると叫んだ。

「人の死を笑う奴は、この僕が許さなぁい!!」

 カービィはコックの帽子を頭に被り、フライパンとおたまを両手に持つ。そして彼の目の前に大きな鍋が現れた。

「な、何あれ!? コック!?」

 リズは思わず声を上げた。

「今度はこっちがお料理してあげるよ!」

 カービィは舌をペロッと出した。

(神の切りふだを使えること、すっかり忘れてた。僕の切りふだは、正にふさわしい技!)
「お料理のお時間でーす!」

 カービィはフライパンをおたまでカンカン叩いた。

「!? か、体が……うぅわあああ!!」

 リズとブラックワープスターが、カービィの鍋に吸い込まれていく。そして中に入り、鍋に火がつけられた。ぐつぐつ煮たっている鍋の中身を、カービィは調味料を少々まぶしながらおたまでかきまぜる。

「はい、お料理のかんせーい!」

 すると中身から様々な料理の他、熱にやられたリズとブラックワープスターが飛び出した。

「そ、そんな……力が入らな……」

 リズとブラックワープスターは力無いまま床へ倒れてしまった。
 カービィは切りふだの力が解除されると、疲れがどっと溜ってしまい、ワープスターに身を預けていた。

「はぁ、はぁ、凄い疲れた……」
「──ビィ! カービィ!」

 メタナイトは翼で彼等に追い付いた。

「あ、メタナイト。無事だったんだねっ」
「カービィ、先に言っておく」
「え?」
「……勝手に殺さないでくれ」
「あ、聞いてたんだぁ」

 カービィは舌を出して頭をコツンと叩いた。

「……」

 それを言ったきり、メタナイトは少し体を傾け、手をついた。先程の神の切りふだで疲労が溜っていたのだ。

「メタナイト? 大丈夫?」
「ああ、私なら心配要らん。それより早く彼女を探さねば」
「あ! あれ!」

 カービィは声を上げて手を突き出した。広々とした場所に出ると、見覚えのある白いマシンがあった。そしてすぐ近くで女性が倒れているのだ。ワープスターは広場に下り、カービィ達は直ぐ様彼女の側まで駆け寄る。

「間違いない。ジョディだ」
「ジョディ! ジョディ! 確りして!」

 ジョディを揺すりながら、カービィは何度も呼び掛ける。するとジョディは声を少し漏らし、瞼を少し開いた。

「うっ……あ、貴方達は……」
「良かった。死んじゃったかと思ったよ、ジョディ……」
「また、貴方達に会えるなんて……幻かと、思ったわ……」

 ジョディは微笑みを浮かべるが、目を閉じるとまた脱力していった。

「! ジョディ!!」
「気を失ってしまった様だ」

 その時、発電所が小刻に振動を始めた。カービィ達が顔を上げた時は、先程よりも大きく揺れていた。

「いかん、発電所が爆発する!」
「ええぇ!?」
「カービィ、急いで彼女を」
「うん。ワープスター、大きくなって!」

 カービィがワープスターにそう叫ぶと、ワープスターはジョディも乗せれる位に直ぐに大きくなった。
 カービィとメタナイトでジョディをワープスターに運び、自分達も乗ると直ぐに発進させた。
 辺りから警報が高鳴り始める。それと同時に、巨大なシャッターが次々と閉まろうとしていた。カービィ達が来たとこは既に完全封鎖されていた。

「ワープスター! 急いで!」

 ワープスターはカービィの命令に従うように更にスピードを上げる。
 広い通路を飛行していると、視界の横に巨大なシャッターが映る。ここも閉まり始めたのである。次々と閉まってゆき、ワープスターはギリギリですり抜けていくこともあった。

「はああああぁ!!」

 少しした後に奥から風を感じ始めた。それに希望を抱き、カービィは叫ぶ。そして出口が見えて来たが、既に閉まり始めようとしていた。

「いかん、このままのスピードでは間に合わん!」
「任せて!」

 カービィは先程料理した食べ物を取り出し、口に頬張った。すると先程消耗していた体力が回復し、カービィは元気を取り戻した。
 そしてあるコピー能力を呼び出す。

(リズの格好で思い出した。それに同じ技を掛けて……)
「カッターカッター!」

 カービィが自ら巨大カッターになり、ワープスターより先に閉まり掛かるシャッターへ向かって飛んでいった。スパン! と爽快な音が鳴り、カッターは戻ってくるとまたもや良い音を発した。シャッターは見事バラバラに切り裂かれた。

「おぉっとと!」
「カービィ!」

 戻ってきた反動で落下しそうなとこでカービィはメタナイトに手を掴まれた。




 発電所は大爆発を起こし、その光景は巨大な爆弾が落とされた直後の様だった。
 さっきカービィ達が見付けた男──ジョン・タナカは、ここまで届く爆風から顔を背け、腕で覆っていた。
 そして前を見ると、発電所から光が見え、星がこちらへ飛んでくるのが分かった。星はジョンの横を通り過ぎてから止まり、そこから例の丸い生き物二人と一人の女性が下りた。ジョンは驚いた顔を乗せてそちらへ向かう。メタナイトに支えられて歩いている彼女の側まで来ると、メタナイトは彼女を離した。

「ああジョディ、無事で良かった!」
「ジョン……」

 ジョンに抱き締められ、ジョディは僅かながらも力無く微笑んだ。彼女達をカービィ達は見守る。
 メタナイトはハッと何かを感じると、発電所とは反対側の方へと顔を向けた。

「メタナイト?」
「もしかしたらだが、マリオ達もこちらへ来るかも知れないな」
「えっ、本当?」
「ああ。ただ……」
「ただ?」
「無事に来られるか分からないな。そんな予感がする」
「……だ、大丈夫だよ! だって隊長達なんだからっ!」
「そうだな」

 カービィが無邪気に言うものだから、そのお陰でメタナイトは心配するだけ無駄に思った。

(しかし、この胸騒ぎは一体……)

 そう思っても、嫌な予感が消えることはない。マリオ達の誰か、もしくは他のパイロットの誰かが何かの犠牲になる。そんな不安があった。




「ピィチュー!」
「ピッチュウゥ!!」

 ジッティのロケット頭突きが炸裂し、ピチューの胴体を直撃した。吹き飛ばされたピチューはキュースリーの、戦車の形をしたマシン──ローリングタートルの上に叩き付けられた。

「ピチュー!」
「ジッティのオリジナルは大した実力じゃないでしゅね」

 ニヤリと笑いながら、クーシーは腕を組んだ。ジッティも口端を上げて彼女の隣に着地する。

「ピチュー、大丈夫!?」
「ピチュ……」

 プリンに揺さぶられてピチューは頑張って体を起こそうとする。だが相当なダメージをくらったらしく、中々起き上がれない。

「キュースリー! スピードを上げるでしゅ!」
「了解シマシタ」

 ローリングタートルはスピードを上げて彼女達から離れようとする。

「逃がしましぇんよ。PJ! クルービータクシーの実力を見せるでしゅ!」

 クーシーは下を向くと、このマシン──クルービータクシーの持ち主であるPJに言う。

「それよりお客さん、マシンの上に乗ると危険ッスよ」
「つべこべ言わない! 早く追うんでしゅ!」

 溜め息をついて紡いだPJにクーシーは切れ、マシンをバシバシ叩く。

「やれやれ、仕方ないッスね」

 PJはマシンをスピードアップさせ、再びローリングタートルの隣まで追い付いた、しかも簡単に。

「プリッ!?」
「くらうでしゅ!」

 クーシーは丸まるとローリングさせ、ジッティに蹴られるとプリン達に向かって勢いよく跳ぶ。

「プリッ!」

 プリンもピチューの前で丸まり、自ら体を跳ばした。二匹の体がガツンッとぶつかり合い、また互いのマシンへ立つ。

「技のぶつかり合いなら負けないでしゅ!」

 プリンはクーシー達に向かってジャンプし、クーシー達に大量のビンタをくらわす。

「プリリリリリ!」
「キャア!」
「ピッチュ!」
「ピチュー、今でしゅ!」
「ピ!」

 ピチューも隣のクルービータクシーに飛び移り、雷を呼び出した。

「ピチュー!!」

 そして自分の技を食らわぬ様にと、プリン共々素早く隣へ移動した。

「プリィ!」
「ピチュウゥ!」
「わあ!」

 雷はクーシーとジッティだけでなく、PJのクルービータクシーまでも巻き込んだ。

「! 今ノ声ハ……」

 キュースリーはクルービータクシーに振り向いた。

「知ってるんでしゅか?」
「ハイ。彼ノ名ハPJ。えふぜろぱいろっとノ一人デス。普段ハたくしーノ運転手ヲシテイルノデスガ……」
「PJしゃん!」

 キュースリーの話を最後まで聞かずプリンはPJを呼んだ。PJは服にこびりついた煤を軽く払っていたが、プリンに呼ばれると上を向いた。

「何スか?」
「こっちでしゅ!」
「あ、ああ、あちら側の風船さんッスか」
「PJしゃん、貴方が今乗せているのは、この世界の平和を乱す悪者なんでしゅよ!」
「ピチュ!」
「早く彼女達を降ろすでしゅ!」

 PJは一旦上の彼女達を見た後、

「それは出来ないッス」
「な、何ででしゅか!?」
「味方だろうと敵だろうと、目的地まで送り届けるのが僕のモットーッス。例え危険な目に遭っても、それだけはねじ曲げられないッス」
「しょんな……」
「ピチュ……」
「しょう言う訳でしゅ」

 クーシーとジッティはクスクス笑っていた。

「あんた達がさっさと降りるでしゅよ!!」
「ピチュ!!」

 クーシーは丸まり、ジッティはロケット頭突きを繰り出してきた。

「プリィ!!」
「ピ!!」

 二匹の技はプリン達に命中した。プリン達はマシンの外へ吹き飛ばされてしまった。

「プリイィ!」
「ピチュウゥ!」
「ぷりんサン! ぴちゅーサン!」

 道の外まで飛び出してしまい、二匹のポケモンは姿を消してしまった。

「わあ、大変なことになったッス!」

 PJは今更ながら慌てていた。

「やったあ! 勝ったでしゅ!」
「ピッチュ!」

 ローリングタートルの上で喜びのあまり踊るクーシー達。キュースリーは落ち込み、PJは丸い黒目で彼女達を凝視していた。

「さあ、キュースリーもクーシー達のしもべになるでしゅ!」
「シモベ……」
「僕、いつの間にか彼女達のしもべだったんスね」

 PJは相変わらず呑気に呟いている。
 キュースリーは困っていると、何かに気付いた。そうだと分かると、改めてクーシー達を見上げた。いつもと違う雰囲気にクーシー達は不振な顔をした。

「スミマセンガ、ボクハアナタ達ノシモベニハナリマセン」
「な、何でしゅって!?」
「何故ナラ、ボクハ既ニアノ方ノシモベダカラデス!」

 その時、公道の外から何かが飛び出してきた。そこから現れたのは、赤い鳥の形をしたマシンだ。

「な、何でしゅか、あの赤い彗星みたいなのは!?」
「ピィッチュ!」
「あれは、レインボーフェニックスッスねっ」

 PJは声を上げた。
 レインボーフェニックスは道路に着地し、中からパイロットとプリン達が顔を出した。

「クーシー、ジッティ、君達を逮捕する!」
「フェニックスサンッ」

 キュースリーにフェニックスと呼ばれたその男は、白いヘルメットに白黒で構成されたパイロットスーツを着ていた。

「クーシー、覚悟するでしゅ!」
「ピチュ!」

 プリン達は指を差した。クーシー達はくうっと唸り、

「覚えとくでしゅよ!」

 と一歩下がると公道から外へとジャンプしていった。

「しまった! 逃がしたか……」

 フェニックスは悔やんだ。
 プリン達は彼を見上げ、感謝する。

「助けてくれてありがとうございましゅ、フェニックスしゃん」
「ピッチュ!」
「間に合って良かった。キュースリーを探していたとこを偶然見付けたのが幸いだった」

 そしてフェニックスがPJに振り向くと、PJは何故か肩を上げた。乾いた笑いを浮かべつつ小さな帽子を軽く上げるが、フェニックスは息を吐く。

「PJ、スピード違反で前にも取り締まった筈だ。なのにまだ懲りないのか」
「コレくらいが快適なんスし、それにお客さんも喜んでるッスよ?」
「そんなことは関係ない。この事件が片付いたら、後で取り調べを行うからな。覚悟しておく事だ」
「ひえぇ」

 PJは頭を下げるとマシンをUターンさせ、走り去ってしまった。

「やれやれ……ギガ軍は本当に、他人にも迷惑を掛ける困り者の集団でしゅね」
「ギガ軍?」

 そう言ったのはフェニックスだ。

「プリンくん達、良かったらその軍について詳しく教えてくれないか?」
「フェニックスしゃん?」
「オレはこれでも時空警察なんだ。歴史を変えようとする凶悪犯を捕まえるのが、今回の任務。その為に二十九世紀から来たんだ」
「ボクモ気ニナリマス。是非教エテクダサイ」

 キュースリーも言った。
 プリンとピチューは顔を見合わせ、そしてもう一度フェニックスを見上げた。

「分かったでしゅ」




「あまり戦いに夢中になるとまっ逆さま。レース上でも同じだが、気を付けるんだな」
「忠告、感謝する」

 ザ・スカルもマーシス達に便乗していて他人事では無いが、目の前に裂かれたゾーンが現れると足を使ってハンドルを動かしていた。マーシスはそれを見て、自分も足でハンドルに軽く触れると剣を構えた。

「ちゃんと自動操縦になってるかい?」

 ディバは肩にナイフを軽く置き、マーシスに笑い掛ける。

「無論だ。そなたとここで会うのは、予め分かっていたからな」

 マーシスの返事にディバは軽く口笛を吹いた。

「じゃ、行かせて貰うよ!」

 ディバはマシンからジャンプした。マーシスに向かって真っ直ぐに跳び、それはコンマ以下と言える程のスピードだった。だがマーシスは見切っており、素早く剣で二本のナイフを切り開かす前に防いだ。

「甘い!」
「ぐっ!?」

 ディバはその直後にマーシスの腹に膝蹴りを入れた。マーシスは空気を一気に吐き出し、剣を握る力も弱まった。

「そら!」

 ディバはナイフを翻すと今度は突きの体勢に入る。マーシスはそれに気付くと体を回し、突きをギリギリ回避する。ディバは舌打ちするが、それが隙となり、ジャンプしたマーシスの踏み台になる。

「うわっ!」

 ディバは落ちそうになったが、体を素早く回転させることで免れた。そして振り返ると、マーシスはディバの乗っていたマシンに移っていた。

「大分強くなったね? 僕の調子、見ていてどう思う?」
「ああ、中々上達している。私と同じ位にな」
「……相変わらず負けず嫌いだね。だから僕は君が嫌いなんだよ」

 ディバは笑っているが、赤い目からは強い殺気が漂っていた。

(どんなに腕が上達しても、私との差には変わり無い)

 マーシスは煽らすと考え、心で呟いた。

「反射神経、二人とも合格なんだな」

 観戦しているザ・スカルは顎を擦り呟く。

「!」
「!」
「!」

 その時、彼等の目の前に映ったのは、ハーフパイプが回転する様に続くコースだ。

「普通の運転に戻るとでも?」
「む!」

 いつもの運転に戻ろうとしたマーシスをディバはナイフを構えて襲ってくる。マーシスもジャンプし、空中で二人は数回攻撃を交えた。そして素早く互いのマシンへ戻る。

(慣性の法則に身を任せたのだな。中々あぶなっかしいことしてくれるんだな)

 ザ・スカルは実に楽しそうに見ていた。今まででこんなレースは見た事が無い為にかなり興奮している様子だった。

「くるんだな!」

 コースの真ん中が綺麗に裂かれてゆく。それはどんどん大きくなり、それは左右にコースが分かれてゆく感じだ。

「くっ」

 マーシスはやむをえず足でハンドルを動かした。自動コントロールと言っても、パイロットの命令には従えず、自ら減速や加速をしていた。今回のゾーンはさっきよりも加速しており、下手するとコースから飛び出してしまう。
 ディバは笑みを浮かべながらハンドルを操作した。随分離れているが、ディバの攻撃は一端止まったとは限らない。

「一時休戦してたら、敵に隙を作っちゃうよ!」
「な、何!?」

 マーシスに向け、ディバはナイフを投げた。それはブーメランの如く軌道を描く。マーシスはコントロールを怠らず体を傾けて攻撃を避けようとするが、一度だけ腕を少し裂かれてしまう。

「うぁっ! くっ!」

 血が流れる腕を押さえ付けるマーシスにディバは満足気にイヤらしい笑みを浮かべ、戻ってきたナイフを手に持つ。

「マーシス、君の血は本当綺麗だね。健康に気を遣っている人よりずっと綺麗な赤をしてる」

 そしてナイフに付いた血を一舐めした。

「味も……どんな極上なワインよりも数倍も良い味してる。性格は固い故に余計に腹立つ!!」

 怒りに任せ、ガツンとナイフをマシンにぶつけた。その時のディバは、恐ろしい形相に変わっていた。

「……」

 マーシスは腕を抑えながらディバを静かに睨んだ。
 ザ・スカルは二人の戦いも見ていたいが、特にディバを見ていると、シャレコウベな目を僅かに動かす。そして指を鳴らすと、ザ・スカルのマシン──ソニック・ファントムを横に動かした。勿論そのまま行けば──マーシスのマシンに体当たりする。

「うわ!?」

 マーシスは予想外な展開にザ・スカルに慌てて振り向いた。

「ザ・スカル殿! 一体何の真似を……」

 この時から雨が激しく降り注ぎ、雷も酷くなる。雷が落ちると、その光に寄り、ザ・スカルの姿が一層不気味に映し出される。

「面白くない戦いには直ぐ飽きるんだな。やっぱりマーシスを選んだオレが馬鹿だったんだな」
「ザ・スカル殿……!?」
「?」

 焦るマーシスに対し、ザ・スカルはニヤッと笑っている。ディバは何があったのか、無表情でハテナを浮かべていた。

「お休みなんだな!」

 ソニック・ファントムはもう一度、今度は更に強く体当たりをしてきた。マーシスのマシンは更に動き、裂かれたゾーンに向かう。そして逃れようとマーシスが体勢をとる直前、マシンは滑るようにコースアウトしてしまう。

「うわああああぁ!!」

 マシンはマーシスと共にまっ逆さまに落ちていく。軈てマーシスの声共々、闇の中へ飲み込まれていった。

「……」

 にっくきマーシスが消えても、ディバは表情を変えずに闇を見下ろす。自らの手で消さなかったことに更に腹を立てていたのだ。
 ザ・スカルは落ちたのを確認してから彼を見上げた。ディバの顔を見ると数回瞬きし、不思議そうに首を傾げた。

「何で喜ばないんだ? アイツが憎かったんじゃないのか?」

 ディバは顔を上げ、ザ・スカルを睨んだ。

「……ザ・スカルって言ったね。何で仲間を殺しちゃったの?」
「仲間?」

 その言葉にザ・スカルはカカカッと笑った。

「オレは奴とは仲間だと言った覚えは無いんだな。只の勝負相手だったんだな」
「ふーん? なら、今度は僕が君の相手をしてやる、よ!」

 最後の一文字を強調するとナイフを投げた。戦いの邪魔をしたお礼とでも言う様に、それは目にも止まらぬ速さでザ・スカルに向かう。
 だがザ・スカルに当たったと思いきや、それは回転しながら弾き返された。

「!」

 ディバは更に不機嫌な表情になり、返されたナイフを受け止めた。
 ザ・スカルの体からは黒いオーラが僅かに放たれている。

「オレはこの時代によみがえる時から黒魔術を自ら使える様になったんだな。お前にはまだまだ敵わない力だが、防御位は容易いんだな」
「へえ? 久々に楽しめる相手を見付けたよ」

 ディバにいつもの笑みが戻るともう一度ナイフを構える。

「あの仮面の男に苛々してたんだ。たっぷり楽しませてくれよ?」
「良いんだな。但し」

 ザ・スカルは黒いオーラでソニック・ファントムを包んだ。

「オレに追い付けたらなんだな!」

 ソニック・ファントムはブーストを使い、物凄いスピードで彼との距離をあけた。

「! 凄いスピードだ」

 ディバは呟き、自分も手から黒い光を溢れさせる。そしてマシンに手を向けると、マシンは黒く光り、こちらもかなりのスピードを出しては彼を追い掛ける。
 二人は魔法を使い、トラップ等を避けながら追い掛けっこをしていた。パイプは複雑にあちこちくねらせており、時折大きく捻れた場所もあるが、二人にはそんなのは無関係に等しく、スイスイと進んでいく。
 軈てディバはザ・スカルと横に並ぶ。ディバは勝ち気に微笑み、彼を見つめる。

「漸く追い付いたよ。さあ、覚悟しな」

 ザ・スカルもこちらを向くと負けじと笑みを返した。

「嘗て伝説レーサーと呼ばれていたこのオレのスピードについて来れるとは、中々骨のある男なんだな」

 そして前を一端見てからもう一度こちらを向いた。

「残念ながら、お前の相手をする暇はもう無いんだな」
「な、何ぃ!?」

 いきなりそう言われてディバは怒らない筈が無く、さっきの笑みはすっかり消え、思い切り睨んでいた。しかしザ・スカルは表情を一つ変えない。

「お前の本当の相手が戻ってきたからなんだな!」

 ディバは横から強い気を感じ、前を見た。奥の闇から鋭い巨大ブーメランが飛んできたのだ。

「くっ!」

 ディバはナイフをクロスさせてから素早く開いた。ブーメランがガキィンと弾き返され。再び奥へ行く。

(今のブーメランは、正か……)

 弾き返した瞬間にディバの目に入ったのは、回転しているブーメラン。良く考えれば、あれは剣に間違い無かった。
 そして闇から現れたのは、剣を構え、さっきと同じ、マシンのハンドルに足をけている仮面の男だ。彼はこちらへ逆走していたのだ。

「どう言う訳よ、ホラーマン!?」
「このハーフパイプは凄く複雑な構成で、とっても難易度が高いレースなんだな。左右に分かれたり捻れたり……はたまた上から下へ降りるパイプまで」

 最後の言葉にザ・スカルは更なる笑みを作る。ディバはやっと理解した。

「あの時、マーシスが落ちた先にはレースが続いていたってことか!」
「その通りなんだな。お前は気付いていなかったんだな?」
「覚悟するが良い、ディバ!」

 マーシスは剣を握り、攻撃体勢に入った。

「しつこい奴だ、不死身野郎!」

 そしてマーシスが近付いて来たのを見計らい、ディバは水平にナイフをブーメラン風に投げた。一本をマーシスの前方に、もう一本を後方に回り込ませて。

「このまま上下真っ二つにしてやるよ!!」

 マーシスは挟み撃ちされる様子を感じとる。位置とスピードを読み取り、体で見きった。

「ハァ!!」

 マーシスは体を横に回して前からのブーメランをかわし、次に深く屈んで後ろのブーメランをギリギリかわした。
 その間に、マーシスは剣を横に構えていた。剣は光を放ち、ディバは見開く。

(握っている剣が光っている……だがあんなオーラの形は、初めて見る!)
「この聖剣、ルーメン=デーウスの裁きを受けるが良い!!」

 そしてマーシスの光る剣が長くなり、その瞬間にディバのマシンとすれ違った。数秒経った後、ディバの乗っているマシンに横線が入り、マーシスでは無く、彼のマシンが上下に切断された。

「馬鹿な! マシンをこんな簡単に、真っ二つに出来ちゃうなんて」

 マシンが破壊される様子をザ・スカルは見る。まるでその目は哀れむ様に。

「お前にはマシンの声が聞こえないんだな」
「声?」
「オレ達パイロットはマシンと運命を共にするんだな。その為なら相手と幾等ぶつかりあっても、それは誇りなんだな」

 マーシスはマシンをUターンさせ、彼等のとこへ戻る。

「だが、お前が怒り任せにマシンを傷付けてから分かったんだな。お前にマシンを操縦する資格は無いんだな!」

 ザ・スカルは彼に思い切り指を差した。差されても、ディバは空中でニッと笑う。
 そして、バラバラになったマシンと一緒に、大きな切目に出る。

「その下は闇の底なんだな。レースは無いんだな」
「……闇は僕の友達さ。じゃ、あの仮面野郎にもよろしくね」

 ディバはそう言った後、闇の底へ消えていった。不気味な笑みを浮かべながら……。
 そこへ丁度マーシスが戻ってきた。

「ザ・スカル殿、もしやあの時に私を落としたのは、計算の内だったと言うのか」

 マーシスの質問を聞いた後、ザ・スカルは操縦席に戻ってから口を開いた。

「同じスピードじゃ決着が着かない以上、こうするしか無かったんだな」
「……否、寧ろ礼を言う」

 マーシスも操縦席に戻り、彼にお礼を言った。ザ・スカルは軽く首を振る。

「オレはお前を気に入っただけなんだな。でなければ、あんな真似はしないんだな」

 マーシスは彼を見た。ザ・スカルもこちらを向く。

「オレより、あいつより物凄い力を、案外持ってるかも知れないんだな。その力が発揮されると……」
「ザ・スカル殿?」
「何でも無いんだな。さあ、レースを続けるんだな、兄弟!」

 ザ・スカルは話を反らし、ハンドルを握ると加速していった。マーシスは彼を少し考えた後、自分もハンドルを握り、彼とのレースを再開した。

(このレースが終わったら、私は行かなければならないな、マリオ殿達のもとへ)

 ディバが現れたと言うことは、マリオ達も危機に陥っている。ディバが消えた後も、マーシスにはそう感じてしまっていた。




「残りのレースは、キャプテン・ファルコン達となったか」

 レースが終わると、そのレース用のモニターが消されてゆく。後はマリオ達の爆弾付きマシンのレースになった。
 デスボーンはそれを暫く見た後、椅子から立ち上がり、腕を外に向けて横に振った。

「ブラックシャドー!」

 モニターを観ていたブラックシャドーはデスボーンに振り向き、立て膝をついた。

「奴らのとこへ行け。そして『彼』を捕えるのだ」
「はっ」

 ブラックシャドーは立ち上がり、彼の黒いマシン──ブラックブルに乗り、走り去っていった。
 デスボーンはもう一度モニターを見る。そしてある人物を見ていた。

「貴様だけは生かす訳にはいかん。我々の計画を失敗させる邪魔な存在だ……」










 ──to be continued──