Death Match エンジンを掛けてスタンバイをすれば、レース開始前のカウントと同じタイミングで、スタートと同時に溶岩が巨大噴出をした。間髪入れず、二台のマシンは一気に加速した。煮えたぎる溶岩の音の中、マシンのスピード音が混ざり込む。 フォックスが前方を見張る一方、ジェームズは顔を一瞬だけ横へ動かした。彼の目線の先にあるのは、ブラックシャドーのマシンであるブラックブル。 (見た感じ、ボディ性能はトップクラスって感じだな) ブラックシャドーもこちらを見て、口元をニヤリとさせると、素早くハンドルを動かした。するとブラックブルはこちらへ向かい、リトルワイバーンヘ激突させた。 「うわ!?」 かなり強い衝撃に、ジェームズは危うくハンドルを取り損ねるとこだった。コースアウトすれば、その先は溶岩。命の保証は絶対に無いと言えよう。彼のマシンに押されるが、ジェームズも懸命に対抗する。 (くっ! 少しでも油断すれば即負ける!) 「ジェームズ!」 「フォックス!」 空中で映し出されているモニターを見て、リュウとマリオが声を上げる。 リトルワイバーンはどんどん傷付き、表面が少々へこみ始めたのは、マリオ達から見ても分かった。 「おんやあ? 意外に呆気ないのかなぁ、あの狐さんのマシンは?」 ディバは、嫌味たっぷりな笑顔を作る。 「くっ!」 マリオはディバを睨むが、今ではどうしようも出来ない。 ふと横にいるスチュワートが目に入った。彼は少しも動揺を見せず、モニターを見つめていた。 (ドクター……) スチュワートとジェームズは仲が良く、スチュワートの研究所にジェームズが遊びに来る程だと言う。彼等には、マリオ達の様な固い絆はある。 彼は強く信じているのだろう、ジェームズ達が勝つことを。ブラックシャドーを倒してくれることを。 マリオもモニターへ向き直し、内心から彼等を応援し続けようと決心した。 「フォックス、確りつかまってろよ!」 「ああ!」 するとジェームズはリトルワイバーンを加速させた。そして、 「オラッ!」 「! チッ」 リトルワイバーンの周りに、ほんの一瞬だけバリアがスピンの様に現れ、ブラックブルを吹き飛ばした。ブラックシャドーは舌打ちし、ブラックブルを離れさせた。 「い、今のは……!」 リュウが今の場面を見ると、C・ファルコンが口を開く。 「禁断と呼ばれている技、ドリドリ。ジェームズのマシンならばこなせる技だな。そして……」 ジェームズはそのままスピードを保持し、途中で現れた急カーブを難無くクリアした。無論、ブラックブルも楽にクリアした。 「グリップを利用したターンも、こなせば流石はプロのパイロットと言えよう」 「確かに。速さに無駄がないっ」 リュウは既に勝利の希望を見ている様で、拳を握り、口は笑んでいる。C・ファルコンは、リュウを無表情で見て、心の中で紡ぐ。 (リュウ、まだまだこれは序の口。オレも確かにジェームズ達には勝って貰いたいが……) 二台は岩のトンネルへと突入する。普通、岩で出来たトンネルは光を遮ってしまうものだが、周りの温度が異常なのか、燃える様に明るい。 そしてレースには溶岩が漏れ出しており、彼等の行く手を阻もうとしていた。 「! ジェームズ、溶岩が……」 「これくらい、俺のリトルワイバーンで乗り越えられるさっ」 不安にかられてしまうフォックスだが、ジェームズの方は真剣なまま変わらない。とにかくスピードを怠らすことはせず、そのまま走り抜ける。溶岩の床を一瞬越えれば、無論、ダメージは受ける。マシンのメーターが僅かに減っているのは、ジェームズも分かっていた。 一方、ブラックブルもリトルワイバーンと同じくダメージゾーンを通過しているが、黒いマシンにとっては大して痛みと言うものは感じていないみたいだ。下から多少の煙は出たものの、リトルワイバーン程では無い。 リトルワイバーンはブラックブル程の耐久力は無い。僅かな電気が弾けているのは、誰から見ても一目瞭然だった。 それは正に、ボディ性能の大きな差を物語っていた。 「リトルワイバーンは、溶岩風呂がお好みのようだな」 ブラックシャドーは隣のマシンを見て、ククッと喉の奥で笑い、何かを思い付くとマシンを大きく動かした。 「! ジェームズ、危ない!」 「っ!?」 ブラックブルの方向を向いているフォックスの突如開いた口と音量に、ジェームズは気付かされたように反射的に横へ顔を向けた。そこには巨大な影が現れており、直後に激しい振動が発生した。 「うわぁ!?」 「くっ!!」 リトルワイバーンにぶつかってくるブラックブル。そして反対側には、岩の壁がある。リトルワイバーンは挟まれた状態になってしまった。ブラックブルがリトルワイバーンの方へ寄れば寄る程、岩はそのマシンに大きな負担を蓄積させていく。おまけに床はダメージゾーンばかりで、このままでは短時間でマシンは破壊されてしまう。 「フフフ、今直ぐ地獄へ送ってやる」 ブラックシャドーの闇の笑顔は、見えなくとも気だけでジェームズ達に恐怖心を植え付けた。 しかし、ジェームズとフォックスは今はそれどころでは無い。マシンの損傷は酷くなる一方で、軈てマシンからサイレンが鳴り出す。リトルワイバーンに、限界が近付いていた。 「くそっ、このままじゃ……」 「大丈夫だ、何とか耐え抜けば、回復ゾーンまでいける」 苦しい声を振り絞るジェームズの話を聞いて、フォックスはコースの全体図を見た。この全体図には、マシンの位置やトラップ等をも確認出来る。フォックスは回復ゾーンを見ると、思い切り眉をひそめてしまった。 「回復ゾーンまでまだ二千メートルはあるじゃないか! それまでに持ち堪えられるだなんて……」 「信じるんだ」 「えっ?」 フォックスは、唐突に口を開いたジェームズに目をパチクリさせた。ジェームズは只前を見つめるので精一杯だが。 「勝つ事を信じるんだ。誰でも、勝ちたい気持ちはある。勝たなきゃならない時がある。どんな時でも、決して諦めちゃならないんだっ」 (!) フォックスはそれを聞いた途端、頭の中で何か光のような光景が広がった。 この光景は、まだ欠片が壊れる前の時で、アンドルフとの一対一での最終決戦。巨大なブレインを打ち砕き、大爆発に巻き込まれるかと思った瞬間、もう一機のアーウィンが現れたんだ。そのアーウィンから、自分の父の声が聞こえた。 ──どんな時でも、決して諦めるな。フォックス。 ──どんな時でも、決して諦めちゃならないんだっ。 同じ魂を持つ二人の言葉が脳内で重なる。 (そうだ。何諦めかけてるんだ、俺) フォックスは歯をギリッとくいしばる。 ジェームズを助けたい。そう言ったのは自分の筈だ。何で諦めようとしているんだ。それじゃあ何も意味が無いし、ジェームズに何も返せないじゃないか。 (俺は、諦めない。諦めてたまるか!) 「フォックスっ?」 ジェームズはサングラスの向こうから見開いた目でフォックスを見た。ジェームズの握る操縦レバーをフォックスも握っているのである。そんな風に見てくるジェームズに、フォックスは微笑んだ。 「言ったよな、ジェームズを助けたいって。その言葉は、必ず果たす!」 操縦レバーを横へ倒そうと引っ張るフォックスを見て、ジェームズも少しずつ口端を上げる。そして改めて握り、自分も再開させる。 「! こしゃくな真似を」 ブラックシャドーは面白くないと言った感じで顔をしかめる。そして自分も改めて操縦レバーを握り直し、更なる体当たりをくらわせ、リトルワイバーンをこのまま圧し潰そうとする。 「うおおお!!」 マクラウドの二人は声を上げながら対抗した。限界が近付くリトルワイバーンはサイレンと言う名の悲鳴を上げ続ける。フォックスは歯をくいしばった。 (すまない、リトルワイバーン。苦しいのは分かってる。けど、諦めるな。俺達が諦めない限りは、決して!) その時、リトルワイバーンから何かが放たれ始めた。 「なっ!」 流石のブラックシャドーもそれは予想外だったようで見開く。 それは誰にも予想出来なかったであろう、リトルワイバーンから、紫のオーラが放たれ始めたと言うことを。 「あ、あれは……!」 リンクは驚きのあまり声を上げる。 「あの力……間違いない、空間神の宝玉の力が応えたのだ」 マーシスは一歩前に出るとそう言った。 「フォックスの、神の切りふだ……」 マリオは、ジェームズ達のマシンから目を離さず呟く。 「……」 ディバは無表情になり、それを見詰め続ける。 「フォックス!?」 ジェームズは、フォックスの体からも現れたオーラに驚かない訳が無かった。だがフォックスは気にせず前を見る。そして、 「ローリングだ!!」 そしてレバーを素早く操作する。すると、何とリトルワイバーンは横へローリングしたのである。そう、スピンでは無く、転がる様に横へ回転したのだ。そうしたことに寄り、ブラックブルを押し退けることに成功した。 「!? 何だと! そんな馬鹿な!」 ブラックシャドーは、マシンが横へ滑る中でも、リトルワイバーンを見るばかりだった。あんな動きを見たのは前代未聞だったからである。 そして数秒後、リトルワイバーン達は回復ゾーンに入り、リトルワイバーンのサイレンも止んだ。 「まだまだ負けられない!」 フォックスはそれでも油断を見せずにリトルワイバーンを動かす。一方のジェームズは、ただただポカンとしてしまっていた。 「ジェームズ! 何ボーッとしてんだ!」 いつの間にか上の空になっているジェームズにフォックスは今気付き、こちらの世界へ引き戻そうと声を上げて名前を呼び掛ける。 ジェームズは彼の声で文字通り引き戻され、呼んだフォックスへ慌てて顔を向けた。フォックスは先程から同じく、リトルワイバーンに何かパワーを与えていた。ジェームズは未だにそれを理解出来ず、見た目冷静だが密かな焦りを見せていた。 「本当はジェームズがパイロットなんだ。リトルワイバーンだって、乱暴に扱う俺じゃなく、自分の本当のパイロットに従いたいと思ってる筈だろ」 と、フォックスは自分が握る操縦管を辛そうに見つめた。ジェームズはいつからだろう、操縦管を握っていなかった。 「まだ戦いは終わっちゃいない。最後まで走り抜こう!」 「! ああ!」 やっとパイロットの魂が熱い程に燃え出したジェームズは、フォックスの握る操縦管を強く握る。 「何を無駄話しているんだ。そろそろ遊びは終りだぞ!」 ブラックシャドーはいつもの悪魔の笑みを浮かべ、リトルワイバーンへもう一度体当たりを仕掛けようとブラックブルを横へ動かす。 (ドリドリに続いて……) 「もう一つの禁忌技、見せてやる」 ブラックブルがこちらへ来ようと動く直前、ジェームズは隣のフォックスにも聞こえない位に呟き、目を閉じると、一時精神統一させる。そしてパッと目を開き、心の底から何かを発動させるかのように発声した。 「行くぞ!!」 加速レバーを確りと掴み、思い切り引いた。すると、リトルワイバーンからブーストの為の光が発生した。 「ふん、何をするとかと思えば」 ギリギリで避けられたブラックシャドーだが、まだ余裕はたっぷりとある感じに口端をニタリと上げる。 「所詮、一般パイロットは一般止まりに過ぎない!」 ブラックブルもブーストモードに入り、電流を連れて一気に加速した。 「いけえええええ!!」 ジェームズは大口開いて叫ぶと、操縦管を素早く動かした。──すると何と、リトルワイバーンはブーストを続けながらスピンを始めたのだ。 「なっ! あれは正か……」 あのブラックシャドーも僅かながらも驚きを隠せない。そして彼も、あの禁忌技を知っていた。 「こざかしい真似を!」 ブラックシャドーは軽く舌打ちすると、彼もブラックブルをブーストさせ、スピンを開始した。 「あ、あれは!」 リュウもそれを知っている──寧ろ自分でも良く使っているのか、その場面に食い付いていた。 「何だありゃ!? 何か無茶苦茶速いぞ!」 「ピピッカチュウ!?」 マリオやピカチュウは、正に目にも止まらない──否、止まれないと言う感覚を知り、ポカンとしてしまっていた。それは他の仲間も同じくで、殆んどもメンバーはあいた口がふさがっていなかった。 C・ファルコンはマリオ達とは違い、腕を組んだまま静かにモニターを見守るのみ。今は、ジェームズ達の勝利だけを望み、信じていた。 「あれは見た目通りの技だよ」 スチュワートも冷静だった。パイロットは皆知っているのか?──否、余程の経歴を持たない限り、知る事は出来ない。昔は普通に使うマシンはかなりいたが、事故が絶えず、軈て禁忌技と言う名が刻まれ、グランプリさえ使う人は多くは無いらしい。 だが今はグランプリでも何でもない。死をかけたレースと言っても過言では無いレースを、今、二台のマシンが有り得ない程のスピードで駆け抜けている。 「ブーストスピン。今や長年パイロットをつとめてきたプロにしか使いこなせない技だ」 スチュワートは言った。 「ピィッカ!」 「おっ!」 そしてモニターでなくても、実際のマシン達が顔を出した。マリオ達のヒートは、益々熱くなるばかりである。 「うおおおおお!!」 「おおおおお!!」 ジェームズ達は声を上げた。勝つ、きっと。それだけを信じて。 そして──遂に二台のマシンが線を越えた。 結果は、ジェームズ達のリトルワイバーンが勝利をおさめた。 「よっしゃああ!!」 マリオ達は歓声を上げた、グランプリで熱くなっている観戦客達の様に。 「そ、そんな……馬鹿な!」 ブラックシャドーは歯をくいしばり、悔やみまくっていたが、それが油断を呼んでしまい、レースの端にマシンがクラッシュし、コースアウトしてしまう。 「ぐあああああ!!」 ブラックブルは溶岩へまっさかさまに落ちていく。そして溶岩へ当たった瞬間、マシンは大爆発した。 「やったな、フォックス!」 「おうっ」 マシンを止め、ダブルマクラウドは、勇ましい笑顔で手をパシッと握り合った。 「……」 「! フォックス!?」 その直後、フォックスは汗を大量に流し、目を重くしていた。そして体をふらつかせ、そして倒れそうになった所をジェームズが慌てて抱き止めた。 「フォックス!」 リンクやファルコ達は彼の容態に気付き、駆けて行った。 フォックスは彼等に任せるとして、マリオはディバに振り返り、ビシッと指を差した。ディバは動じず、フンッと鼻を鳴らして笑った。 「さあ、ブラックシャドーは倒したぞ! ドクターを解放するんだ!」 「ふふ、中々やるねえ。まあ、良いよ」 ディバが指をパチンと鳴らすと、ディバは煙の様に消え去り、スチュワートを捕えていた硝子らしき檻も消滅した。 「ドクター! 怪我は!?」 リュウが一目散に駆け寄った。マリオ達も彼の後を走る。 「ありがとう。私のことは心配要らない……すまなかった、私があの時……」 「もう過去のことは良い。無事で何よりだ」 「リュウ……」 「そうだよ、ドクター! ブラックシャドーも倒せたんだしなっ」 マリオが拳を作ってみせると、スチュワートは苦い顔で、フッと笑いを溢した。 「フォックス、大丈夫か?」 「こんなとこでくたばるなよ、フォックス」 「フォックス!」 フォックスは瞼をそっと開き、彼等を順番に見る。 「お、俺は……」 「大丈夫か、フォックス?」 「ああ。酷く疲れてしまったけど、何とか……」 「──ありがとう、フォックス。このレースで勝利したのも、フォックスのお陰だ」 ジェームズは口端を上げて見せた。フォックスも彼を見て、笑みを浮かべた。 「エフゼロマシンには、Gディフューザーシステムが搭載されてるって聞いたんだ。このマシンは確か、ジェームズの戦闘機を改造したんだってな。だからか、操作してた時、懐かしく思ったよ」 「……そうか」 ジェームズはフォックスの話に少し目を丸くしたが、フッと笑った。 「マリオ」 C・ファルコンはマリオをこちらへ向かせた。 「決着はまだ終わらない。何かが来る気配がするんだ」 「! 正かそれって……」 ──フフフフ。今の内に喜んでいるが良い。 マリオ達の頭上から、空気が振動する程の声が響き渡り、マリオ達はゾクッと鳥肌を立たせた。そして全員上を向くと、赤い巨体が空中に現れた。映像のようである。 「デスボーン!!」 C・ファルコンとフェニックスは同時に名を叫んだ。 「あいつがデスボーンか!」 マリオは言った。 「うあぁ、脳味噌見えてて気持ち悪いー」 カービィは何気にもっともな発言をした。 「フフフ、そうだ、我に恐れるが良い。そして我に平伏すのだ。そうすればお前達を配下に加えてやろう」 「誰がお前なんかの!」 リンクは盾と剣を構えた。だがデスボーンは笑うばかりだ。 「どの道、お前達は消滅する運命なのだ。それを今から教えてやる」 そしてある物を取り出した。見た感じはベルトの様に見える。 「これが何だか、そこの白いパイロットなら分かるかも知れんな」 「! あれは……!」 「フェニックス、分かるのかっ」 反応したフェニックスが気になり、C・ファルコンは振り返った。 「この世でたった一つしかない、リアクターマイトの核を使って作られたベルトだ。陽と陰の力が込められていて、あれがあれば何でも可能にしてしまうんだ。グランプリの会場から盗まれたと聞いたが、やはり貴様が……!」 「あんな物が悪の自由にされたら、どうしようも出来ん」 メタナイトは言った。 (その前にあれを賞品にするのはどうかと思うけど……) 殆んどのメンバーはそう思わざるをえなかった。 「皆、エフゼロは何でもありなレースなんだって、知ってた?」 テレパシーを使ったのか、ネスは皆に口を開いた。その言葉にマリオは反論しようとした。 「けど、幾ら何でも……!」 「フ……この世界とは違う世界から来た者には分からないのも無理はない」 デスボーンは言った。 「この世界は、我々の世界達と別の世界達の狭間にある、正に二つを繋ぐ橋且つ中途半端に出来ている世界だ。悪だろうが正義だろうが、未だにどちらが上かなど定かではないのだ。エフゼロレースこそがその象徴。何があっても勝手なのだ」 「! もしかして、ファルコンさんが前に話してた大事故は……」 「デスボーンの仕業だったんだな!?」 リンクは驚き、マリオは怒りながら、言葉を順番に放った。 「そんな事より、お前達は我々の計画を邪魔する存在だ。お前達を抹殺する為に未来の時代から来、我に従う者共に力を与えてきたが──ブラックシャドーは役に立たなかったな。今度は我が相手になってやろう」 デスボーンは機械で出来た腹の蓋を開き、内部のスイッチを押した。すると、辺りの空間がぐんにゃりと歪み始めたのだ。 「うわあ! な、なんだあ!?」 マリオ達が慌てている間に、ここは溶岩のステージから、様々な色に変わる怪しげな空間に出た。そして彼等の周りには、レースの様なボヤけた光が放たれている。 「な、何だこの空間!?」 「……ここは異次元の時空だ!」 フェニックスは言った。 「永遠の地獄へようこそ、愚かな生き物達よ」 「!」 映像の時とは違ってやけにリアルな声が近くで響いた。マリオ達の前でデスボーンが、マシンを後ろに腕を組んでいた。 「ここは我にとっては宇宙のゴミ箱だ。邪魔なパイロット達は全てここへ葬ってきた」 「スチュワートをも葬ろうとした場所だ。以前、来たことあるからな」 ジェームズは言った。 「これは全員に参加して貰う」 「何だって!」 すると、マリオ達の横にマシン達が現れた。見た目は、まるで生きているかの様な色とりどりの模様があり、半透明に見えた。 「さあ、ベルトをかけた勝負だ。じっくりと料理してやる」 マリオはやむをえないと思い、全員に振り向いた。 「皆、乗って!」 「で、でも、乗り方何て分かりませんよ」 リンクが言うことは当然である。エフゼロマシンは危険なマシンだ。素人が乗るのは自殺行為である。マリオは確かにと思い、どうすれば良いか悩んだ。 ──オレ達がいるぜ! どこからか何者かの声が聞こえた。すると、半透明のマシンが次々と現れたマシン達に寄り、煙の如く簡単に壊れてしまった。 「今の声……」 ネスは驚愕した顔で隣を見る。 そしてリュックの中からどせいさんが顔を出した。 「わたしにもわかりました。このこえは……だいごろーさんです」 「ああ! 来てやったぜ!」 ネスの側に現れたのはダイゴローだけでなく、デジボーイにサムライゴローまでいた。 「ダイゴロー! デジボーイ! 刀のおじちゃん!」 「ま、来てやったと言うより、連れて来られたって言うべきだね」 デジボーイは肩をすくめた。 「連れて来られた?」 「その通りだぜ、相棒」 そう呟いたスネークの横に現れたのは、ワイルドグースだ。 「ピコ!」 「どうやらスネーク達との深い関わりを持った者は、全員ここで葬るつもりだろうな、奴(デスボーン)は」 そして次々と彼等の側に現れるマシン達。そして中には……、 「よ、リュウ!」 リュウの横に現れたのは、アストロロビン。そして顔を出したパイロットは、片手を軽く上げてはウィンクをした。リュウは目を丸くしながら嬉しそうに笑った。 「ジャック! 生きていたのか!!」 「ああ。オレ達の背負ってた爆弾は、ここへ引きずり込む為の時空爆弾だったみたいだな」 「……そうか。スチュワートとゴールデンフォックスも爆発と共に姿を消したのは、こう言うことだったのか」 C・ファルコンは言った。 「フフフ」 デスボーンはマントをバサッと広げてからマシンに乗った。マリオ達は、各々のマシンへと乗った、エフゼロパイロットに操縦を任せて。 「さあ、最期のレースだ。とくと地獄の苦しみを味わうが良い」 「それはこっちの台詞だ、死骨さん。僕達で、必ずお前を倒してやる!」 マリオはデスボーンを思い切り睨んだ。 全員のマシンがスタンバイを始める。そして合図も何も無いのに、マシンはほぼ同時にスタートされた。 ──to be continued── |