立ちはだかる影達、立ち向かう戦士達








 スペースパイレーツの要塞は薄暗く、機械を交えた洞窟に近い場所だった。其処には虫の様な怪物達が住んでいて、マリオ達を見付ければ容赦無く襲う。だが彼等を前にすると、それは無力当然なのである。

「どけどけい! 雑魚に用は無いっての!」

 マリオは舌を出しながらあちこちに向けて拳を振る舞った。

「うわーん虫がいっぱいいるよお! 誰か一辺に駆除してよお!」

 半泣きで声を上げながらカッターで敵を倒して行くのはカービィである。

「我が儘言うなよ、カービィ。そう言う場所なんだから仕方無いだろ」
「うー、だって虫嫌いなんだもん!」

 呆れるフォックスにカービィは頬を膨らませていた。

「……」

 サムスは、フォックス達の会話に密かに耳を傾けていた。

(そう言う場所……か)
「前と比べて、更に薄気味悪い場所になったなぁ……おっと!」

 辺りを見回すクリーツを背後から襲おうとする怪物の攻撃をジャンプして避け、鋭い鞭で難無く切り裂く。

「奴らの事だ。メトロイドを使い、何か企んでいる」

 モークは言った。

「あの時の攻防戦で、奴らの事を多少は理解したな」

 メタナイトはギャラクシアを握りながらつぶやく。

「ギガ部隊に並ぶ、残忍な連中……ですね」

 怒りを抑えながらも眉間に皺を寄せ、メタナイトの隣に立つリンクは警戒心を緩めず、辺りを見回す。

「誉めてくれてありがとねん」

 何処からか声がした。それはカービィに似ているが、誰しもが予想出来る。
 マリオ達の前にその者が現れた。

「リズ!」
「ようこそ、愉快な海賊要塞へ。歓迎するよー」

 リズは明るい笑顔を作り両手を広げた。
 それに舌打ちしたファルコが口を開く。

「スペースパイレーツとギガ部隊が、グルだったとはな」
「此処の海賊達とは何かと気が合うからね。みーんな、マリオ達を殺したがってるよ?」
「金目になる話でもしたのか? 下心見え見えだぜ」

 頭に手を回し、クリーツは苦笑する。
 サムスがマリオ達の前に出ると、右手のキャノンをリズに向け構えた。

「其処を退け、今直ぐにだ」
「えー? 嫌って言ったら?」

 一端頬を膨らませたリズだが、後で口に手を当て、クスッと嗤いながら問う。すると、サムスは無言でキャノンからビームを発射した。リズに向かえば爆発したが、その後のリズの姿が無くなっていた。

「消えちゃった……」
「この辺りでは、リズの気配も無いね」

 カービィがぽかん口で言い、ネスは諦めの口調でマリオ達に言う。

「ギガ軍の挑発なんかには退かないよ! 行くぜっ!」

 マリオがそう言った後に、全員がダッシュした。
 そして大分奥まで来た時、緑に濁った洞窟へと到った。そしてマリオは、何と無しに天井を仰ぎ見た。天井には何やらカメラの様な丸い機械があり、彼等がその直下へ来た瞬間に開くと、彼等にライトを当てた。

「な、何だ?」

 ファルコの声を始め、マリオ達はそのカメラを見た。

「どうやらセンサーの様だ」

 サムスはカメラに目を細めて言った。
 ネスは其の時何かを感じ、スゥッと目を閉じた。そして悪い予感が伸し掛かると驚いて瞼を開き、声を上げた。

「……来る!」

 そしてマリオ達の前に現れたのは、ダイバンの時の宇宙海賊だ。可成の数でマリオ達の前に立ちはだかり、両手の巨大ハサミをぎらつかす。

「流石に多いですね……」

 その数に圧されたリンクは、武器を構えた儘一歩退る。

「俺達の力なら楽々だぜ!」
「うおお!」

 クリーツは長い爪状の武器を構え、モークは腕に力を込め、マリオ達の前に出ると海賊達へ攻撃を開始した。

「あ! おい、クリーツ! モーク!」

 マリオは見開きクリーツに手を伸ばすが、隣のサムスもクリーツに続いて前に出たのだ。マリオは伸ばしていた手を頭に置き、呆気に取られてしまうが、振り返れば、マリオに頷く仲間達がいた。マリオは山にしていた口を逆にし、片目を閉じた。
 そして彼等もサムス達に続き、次々と現れる海賊達を蹴散らかしていきながら先へ進んだ。
 その様子を、上から見下ろしているリドリーがいた。リドリーはマリオ達の動きを観察しつつ、目線を僅かに彷徨わしている。何かを探している様だ。そして其れが視界に映ると、鋭利な口を薄気味悪く歪めた。
 骨骼な紫の翼を広げ、軽く浮かび上がったと思えば、一気に急降下して来た。
 それをプリンが感知し、敏捷で振り向いた。だがその時は、

「プリイィ!!」

 疳高い独得な悲鳴が響き、マリオ達は振り向いた。そこには、地面を一度バウンドし、倒れてしまったプリンの姿があった。

「プリン!」

 ファルコはプリンの前で膝を付き、安否を見た。
 スネークはプリンを見ると、ある事に気付き、眉根を寄せた。

「カプセルが無いぞ」
「何だって!?」
「何!?」

 マリオ達は驚くが、それ以上に驚愕しているのはサムスだった。

「ギャハハハハ! わざわざ届けて来てくれてありがとよ!」

 無気味な笑い声にマリオ達は鳥膚を立たせつつも、気に成らない訳も無く素早く仰ぎ見た。

「リドリー!」

 そこを翼で空中浮游しているリドリーの手中には、ベビーメトロイドがいた。解放されたい一心で、奴の手の中で甲斐無くも仕切りに動いている。

「ベビー!!」
「あ、サムス!」

 マリオに呼ばれるも聞かず、サムスはリドリーに向かって跳躍した。サムスの目にはリドリーしか映っておらず、然もその翠の瞳には、憤怒の炎が浮かび上がっていた。

「貴様ぁ!」
「おっと」

 即座にミサイルを撃ち放ったが、余裕綽々とリドリーはあっさりと回避した。躱されたミサイルは、天井へ当たると爆破した。

「こんの野郎!」
「んー?」

 マリオも掩護してパンチを繰り出す。だがリドリーはギリギリで避け、尻尾を思いっ切り振りマリオの体にぶつけた。

「がは!」
「ピカ!」
「マリオ!」
「此処まで猛進して来る奴らとは、相当な気短か野郎共だなぁ」
「それはテメェもだろうが!」

 武器体勢を取りながら、クリーツを始め全員睨み上げる。

「フン、まぁ良い。念願のメトロイドを手に入れた。たっぷりと可愛がってやるぜ」

 未だにもがくベビーメトロイドを見ながらにたりと嗤い、翼を大きく動かすと其の場を飛び去った。

「ベビー!!」
「畜生! リドリーの奴め!」

 ベビーメトロイドを奪われてしまった事にマリオ達は非道く悔やんだ。
 しかし、悔しがっているのも束の間だった。地面が震え出したと思えば、地面の下から何やら巨体が現れ出たのだ。

「うわぁ!? な、何だコイツ!」
「クレイド!」

 目が飛び出す程に驚愕したマリオの隣でサムスが叫んだ。
 緑の巨大な体を持ち、赤い目を三つも持った、爬虫類みたいな奴である。

「で、でかい……!」
「グギャアアア!」

 クレイドは鋭い爪を振り上げては一気に振り下ろす。マリオ達はバラバラになって回避した。

「畜生! リドリーを、奴を早く追わないと!」

 着地しながら、マリオはクレイドを睨み上げて言う。

「……くっ!」
「! モーク!」

 マリオ達の前をモークが立つ。

「モーク、俺達も戦うよ!」

 そして、フォックス、ファルコ、C・ファルコン、そしてリンクと来、壁の様に並んだ。

「皆さんは早くリドリーを追ってください!」

 リンクは武器を構え、クレイドを睨みながら声を上げた。

「リンク!」
「奴はメトロイドを使って何かするに違いありません。こんなとこに留まってはいられませんよ!」

 リンクは振り向き更に怒鳴った。次にC・ファルコンが振り向いた。

「俺達のことは心配するな」
「こんな奴直ぐに片付けてやるぜ」
「だから、皆は早く!」

 余裕に肩を竦めて見せるファルコと真顔なフォックスも言う。
 マリオはサムス達に振り返ると、彼等への信用の為に頷き合った。

「絶対に後から来いよな!」

 そしてマリオ達は先へと向かった。

「モーク、ファルコン……皆、無事に来てくれ」

 サムスは名残惜し味を感じたが、マリオ達がいなくなる前に自分も彼等の後を追った。
 クレイドは赤い瞳をリンク達に向け、鋭い牙を剥き出した。

「行くぞ!」




 ──ノルフェア。

「な、何か熱くなって来てない、戦士のお姉ちゃん?」

 ネスは汗を流し出し、顎を手の甲で拭いながらとサムスに訊いた。サムスは前を見ながら話す。

「ここはノルフェアエリアだ。海賊の数は少ないが、溶岩地帯もある。溶岩に棲むモンスター共には呉々も気を付けた方が良い」
「そうこう言ってる内に、そのモンスターと対面らしいがな」
「!」

 スネークの放った一言に、彼等は其処で殺気の大きさに気付いた。
 天井が崩れ落ちて来たと共に、又しても巨大が現れた。クレイド程では無いが、幾つもの目が並んでいる様に見え、何とも不気味であった。

「クロコマイヤーだっ!」
「こいつもリドリーのペットか!?」

 マリオ達はまた未知なる生き物の姿に見開いた(ただ、マリオの今の発言は狙いなのか素なのかは定かでは無い)。

「何度来ようが同じ事お!」
「クリーツ!」

 今度はクリーツが前に出、鋭利な爪形の武器を構える。
 続く様に、ネス、ピチュー、プリン、そしてカービィが並んだ。その目は僅かな怯えが見えるとも、クロコマイヤーに対する打倒心は燃えていた。

「ネス! 皆!」
「ここは僕達が抑えるから、隊長達は早くリドリーを!」
「……解った。絶対に勝てよ!」
「負ける訳無いじゃん!」

 不安と心配に駆られるマリオ達を励ますかの様に、カービィは元気の良い声の後に、星を散らしながらウィンクした。マリオは、そんなカービィにウィンクを返した後、残りのメンバーでリドリーを追いに走って行った。

「カービィにクリーツ達、どうか勝つんだぞ」

 最後尾のメタナイトが最後にそう言い、そして翼を広げマリオ達を追った。
 クロコマイヤーが鳴き声を上げると、クリーツ達は奴を向いた。クロコマイヤーは、鋭利な爪で地面を引っ掻きながらこちらへ近付いて来る。
 周りは、気付けば溶岩に囲まれた足場となっていた。

「おしくらまんじゅう開始ってとこかな? こう言うの嫌いじゃないけどな!」
「行くでしゅ!」
 ──早いね、君達。
「!?」




 ──マリーディア。

「またジメジメして来たな……」
「ここら辺りも奴らはいるかも知れない。注意が必要だな」

 案の定、宇宙海賊がぞろぞろと其の場に現れる。奴らはマリオ達を見つけると、目を光らせた。

「ああ? アイツらはダイバンの邪魔者共!!」
「俺達ゃ今すんげえ苛々してんだ。ちょっくら付き合えや」
「生憎、そんな時間は無くてねっ!」

 マリオ達はそれぞれの技や武器を駆使し、海賊達を蹴散らしていく。
 そしてそこを抜けると、マリオ達は砂地を踏んだ。

「ん? 砂?」

 マリオはピカチュウと共に足場を見下ろした。

「! マリオ殿! サムス殿!」

 突如マーシスの声が響き、マリオ達は振り返った。サムス達は其処で、宇宙海賊よりも遥かに巨大な、しかも複数たる殺気に気が付くが、其の時はマーシスとメタナイトに体当たりされていた。

「うわ!」

 マリオ達はかなりの距離で吹き飛び、砂埃を上げながら地面を滑った。

「マーシス! メタナイト!」

 スネークは叫んだ。彼の声にマリオ達は直ぐに立ち上がる。
 マーシス達の足を、何やら虫の様な足が絡み付いていた。然も何匹もくっついている様に見える。

「マリオ達! 先に行け!」
「此処は我々に任せろ。早く、リドリーを追うのだ!」
「く……!」

 マリオ達よりも、サムスの方が何故かより悔やんでいた。それに気付いたのはピカチュウで、思わずハテナを浮かべてしまっていた。

「奴らは銀河征服を企んでいる。メトロイドは生命エネルギーを奪う生命体だ。何に利用するかは目に見えている」
「だからこそ、ぐずぐずしてはいられない! マリオ達、早く行くんだ!」
「マーシス、メタナイト……お前達が負ける訳が無いよな。此処は頼んだぜ!」
「さ、行くぞ、お嬢さん」

 マリオはピカチュウと共に駆け出し、スネークはサムスの肩を軽く叩く。

 ──鳥のおじいちゃん、ここ、お友達がどこにもいないよ。
 ──パパやママはどこへ行ったの? ねえ、皆、どこ行っちゃったの?

 サムスの、あの時の記憶が、僅かに蘇る。

「ピチッ!」
「!」

 サムスはピョンチーの声で我に返った。顔を伏せ、拳を握り締める。

「……くっ」
「どんなに犠牲を払ってでも、時には前に進まなきゃならないんだ」

 サムスの感情を見たスネークは言う。

「仲間の気持ちを無駄にするな。心配はいらない。あいつらは誰にも負けない。それを信じて、俺達はボスのとこへ向かうんだ」
「……」

 暫くしてから、サムスも漸く動いた。追う様にスネークも走って行った。
 彼等が消えて行ったと同時、メタナイト達を捕らえている虫達が、砂の中から蠢きながら顔を出し始めた。

「……行くぞ、マーシス」
「ああ、メタナイト」

 仲間達は戦う、マリオ達の為に……。










 ──to be continued──