アパロイド襲撃








 そこは未来系の都市だった。青空の下、ダイヤモンドシティに負けず劣らずに高いビルや建物が立ち並ぶ。だが今は平和な状況とは言い難いらしい。
 道路の上で欠片が光り、そして消えると、スマブラがそこに現れた。

「よっと……って、うわあ!?」

 着地した瞬間に彼等の側に黄色く巨大なビームが撃ち込まれた。スマブラはその衝撃で吹き飛んでしまう。全員道路から飛び出すが、その先の面は柔らかい芝生だったので、何とかダメージは最小限までに抑えられた。

「うう……大丈夫か、皆?」

 芝生でも頭を強く打ったマリオは、頭を抑えながら上半身を起こした。四方八方で倒れている仲間達だが、全員直ぐに起き上がれ、無事であった。

「い、いきなり何なんです、一体……」

 リンクは頭をクラクラさせていた。
 と、その時だ。突然上空から強い風が地面を襲う。

「うわっぷ! な、何だ!?」
「……どうやら虫の怪物の様だな」

 メタナイトは上を見上げながら言った。他のスマブラも上を向いた。
 そこには、低空飛行している巨大な怪物がいた。全部で八枚ある羽を大きく羽ばたかせてる紫の虫だ。だがそれは形だけなのか、まるで全体が機械で出来ている風にも見える。

「うわあぁ! 蛾だあぁ!」

 カービィは目を飛び出す程に驚いた。

「キイイィー!!」
「うわああぁーっ!」

 怪物は耳が痛くなる程の雄叫びを上げた。マリオ達は堪らず耳を塞ぎ込んだ。押さえている耳を少しでも開放すれば、鼓膜なんかあっさり破けそうである。
 マーシスは冷や汗を流しながら上を向いた。彼の目に入ったのは、怪物の虫な手から光を作り出している所だ。そこから強いエネルギーを感じ、即危機を察知した。

「皆、ここから離れるんだ! またあのビームが来る!」
「わ、分かってる……けど……っ」

 超音波並の鳴き声に皆は動きづらくなった状態になっていた。彼等は、このまま怪物の餌食にされてしまうのを待つしか無い。
 その時、怪物は後ろから青いレーザーの攻撃を受け、奴の作っていたビームがフッと消えた。

(今のレーザー、どこかで……)

 マリオは耳を押さえながらレーザーを見ていた。
 怪物は後ろを振り向いたが、その間にも青いレーザーの雨を思い切り受けている。みるみる内に体のあちこちから小爆発が発生し、道路へ墜落した。そのまま高い悲鳴と共に爆発をして破壊された。
 超音波攻撃がやみ、スマブラはやっと手を離せた。

「うー助かったぁ。全く、また変なとこへ連れて来やがって」

 マリオは手元の欠片を睨んだ。

「マリオしゃん、あれ!」

 プリンは小さな手を上へ掲げた。レーザーが発射されていたとこには、戦闘機が飛んでいた。マリオ達の視点だとそれはアルファベットのAに見え、全体的に銀色、一部青色である。
 その戦闘機はマリオ達の側に着陸し、中から誰かが現れた。

「皆! 大丈夫だったか?」

 それは戦闘服を着た狐人だ。

「フォックス!」

 マリオ達は大きな声で呼んだ。スマブラは、フォックス達の世界へ来たのである。
 フォックスは、戦闘機アーウィンから軽々と飛び降りた。

「フォックス! 久しぶりだなぁ!」
「わーい! フォックスー!」

 特に仲が良いリンクとカービィは笑顔で駆け寄った。カービィはフォックスの顔に抱きついてしまっている。
 フォックスはカービィを抱き止め、マリオ達を見て驚いていた。

「リンク、これは一体……」
「えっ、何が?」
「何でお前達がこの世界へ来れたんだ? 俺とファルコ以外のスマッシュブラザーズは、この世界には来れない筈だろ?」
「ああ、そうだったね」

 これに関してのスマブラの掟を、マリオ達は忘れ掛けていた。
 リンクは代表して、これまでの事を簡潔に話した。フォックスは目を閉じ、腰に片手を当てながら静かに耳を傾けていた。話し終えると、軽く頷きながら目を開けた。

「そうか、色々大変だな……協力はしたいけど、こっちは今それ所じゃないんだ」
「大体分かるよ」

 マリオは辺りを見回した。ビルや建物はほぼ壊滅状態である。遠くで、虫の怪物と戦闘機が激戦を繰り広げているのが、嫌でも目に入った。

「話は後にする。今はここにいるのはかなり危険だ」

 フォックスは言った。

「グレートフォックスまで案内するよ。すぐ近くの広場にあるから」
「よしっ。頼んだぞ、フォックス!」

 フォックスは身を翻し、ひらりとジャンプしてアーウィンに乗り込み、アーウィンを発進させた。アーウィンを速く飛ばすブーストの線が軌道となってスマブラを導く。
 ビルに隠れて見えなかったので、角を曲がれば直ぐに広場に出た。そこに巨大な白い母艦が顔を出す。

「うっわあ! 大きいでしゅねー!」
「でっけえ……」
「ピッカァ……」
「ピィチュ!」

 ファンシーズはかなり圧倒されていた。皆手を大きく広げている。

「ここが入り口だ。さあ入って」

 小さなハッチが開くと中からフォックスが顔を出した。彼は先程、グレートフォックス内へアーウィンを格納させたので、もう中にいたのである。
 スマブラはフォックスを先頭に入っていった。長い廊下を歩く中、ファンシーズは物珍しげにキョロキョロさせる目線を休ませない。

「何度も見てきましたが、やっぱりしゅごいでしゅよね」
「俺は外からしか見たことないから、入れて興奮してるよ」

 その興奮のあまりか、子リンはいきなり飛び跳ねた。隣を歩いているリンクはそれに驚いたが、そのかわいらしさにクスッと笑った。

「それにしても、ファンシーズまでギガ軍と戦ってる訳か?」

 フォックスは前を見ながら、隣を歩くマリオに尋ねた。マリオはフォックスをチラッと見た後、首を縦に振った。

「だけど、あいつらの強い意思があったからこそここまで来れたんだよ」

 と、笑顔で言った。それに吊られ、フォックスも笑った。

「そうだな。
 さっ、着いたぞっ」

 ある扉前でスマブラは立ち止まった。フォックスが扉の隣に設置されているボタンを押すと、直ぐに扉は開かれた。
 そこはグレートフォックスの頭の部分で、中々広い操縦室である。機械や画面があちこちにあり、それはハイテクさを物語っていた。
 そこには人型動物が数匹いたが、見覚えのある後ろ姿もあった。赤系の戦闘服を着た青い鳥である。こちらの気配に気付くとそちらを向いた。

「フォックス、やっと戻ってきたかっ」

 ファルコが言うと、他のメンバーも彼等に振り向いた。

「わあ。お帰り、フォックス! 無事に戻って来たんだね!」

 他の者より背の低い蛙が少年声で笑顔になる。彼は赤い帽子を被っていた。

「途中で通信が途絶えたから、もうダメかと思ってしまったわい」

 兎の姿をした眼鏡の男性が、回転椅子を回してこちらを向いた。

「フォックス……心配してたけど、無事ってことは分かってたわよ」

 クリスタル色の肌と髪を持ち、身軽な服を着た女狐がこちらへ歩み寄ってきた。

「……あら? この方達は?」

 彼女はフォックスの後にいるスマブラを見た。

「ああ。クリスタルは確か初対面だったっけ? 彼等がスマッシュブラザーズだ」
「まあ。彼等がフォックス達が良く話をしていた……」

 クリスタルは少し驚いた顔をして彼等を見た。マリオは軽く頭を下げた。
 グレートフォックスはスマッシュ王国にも来れるので、フォックスやファルコ以外のメンバーはスマブラと顔を合わせたことが屡々あったが、クリスタルだけは彼等と会ったことが無いのであった。

「にしても不思議なもんだ」

 ファルコはこちらへ歩みながら言った。

「マリオ達がここへ来れるだなんてな」
「ああ。その話はまた後でするよ。先ずは、俺達の任務を終わらせないと」

 フォックスが言うと、ファルコは直ぐに頷いた。

「だな」
「フォックス、あの虫の怪物は、一体何だったんだ?」

 リンクは訊いた。

「奴らはアパロイドと言うんだ」

 兎のペッピーは、キーボードを片手で叩きながら応えた。彼がエンターキーを押すと、上にある大きなパネルに映像が現れた。それは、先程の蛾の怪物の他、クモや幼虫の形をした機械の化け物が映っていた。

「あれが、皆アパロイド?」

 マリオは映像を見ながら問う。

「数年前に既に絶滅した筈なんだがな。何者かがアパロイドのDNAを盗み、繁殖させた可能性がある」
「じゃあ、虫達はこの都市だけではなく、あちこちうようよいる訳なのか?」

 スネークが顎を擦りながら言うと、ペッピーは頷いた。

「そう言う訳だな」
「しかも、厄介だよ」

 蛙の少年──スリッピーは身を震わせながら言った。

「こいつら、知的生命体の細胞を侵食するんだ」
「知的生命体……って、つまり僕らことを言うのか?」

 マリオは自分の胸に手を当てた。

「しかも、最終的に自分たちの仲間にしてしまう。そして、完全にアパロイド化した生命体は二度と元に戻らないんだ!」
「きゃー! 怖いー!」

 スリッピーが両手を上げて化け物が襲う仕草をして見せると、ファンシーズはその話と共にかなり怯えてしまった。

「スリッピー、あまり刺激過ぎた話は控えよう」

 フォックスは微笑して腕を組んだ。スリッピーはハッとし、後頭部を掻いた。

「たははっ。ごめんよ、フォックス」
「だが、本当の話だぜ」

 ファルコは言った。

「油断してると、俺達もあいつらの仲間に嫌でもされちまうからな」

 マリオは後ろのスマブラに振り向いた。スマブラは頷き、マリオも頷いた。

「フォックス。僕達も協力するよっ」
「マリオっ……皆がいると心強いよ。ありがとう」

 フォックスは素直に微笑みを見せた。
 その時だ。

「っ!」
「! クリスタルっ?」

 フォックスは、クリスタルの様子に見開いた。彼女は何かを感じると胸に手を当て、静かに瞼を綴じる。クリスタルは不思議な能力を司り、テレパシーの力を持っているのだ。

「な、何だ? どうしたの?」

 マリオ達は戸惑っていた。そして、クリスタルは目を開くと言い放った。

「来る!」

 その時、グレートフォックス内に警報が鳴り響いた。内部はランプで赤色に点滅される。

「何だ!?」
「っ! ナウス、パネルチェンジしてくれ! 外部を映すんだ!」

 フォックスは、スリッピーの側にいる人型ロボットのナウスに言った。

「了解シマシタ」

 ナウスは近くのコンピュータを操作し、アパロイドの映像を映していたパネルを外部カメラに切り換えた。近くの道や建造物から、様々な形をした虫の怪物達がこちらへ迫って来ていた。

「正か、来る奴って言うのは……」

 スネークは静かに、だが声に力を入れて紡いだ。そして、フォックスが叫んだ。

「アパロイド!」

 アパロイドはグレートフォックスの存在に気付き、どんどん近付いて来ていた。

「ナウス! 直ぐにグレートフォックスを発進させるんだ!」
「了解」

 スマブラはハラハラした。
 ナウスやメカニックマンのスリッピーはあちこちのコンピュータを操作し、グレートフォックスを動かそうとした。だがその前に、内部が激しく揺れ出した。

「わぁっ!」

 全員踏ん張ったので倒れずに済んだが、一体何が起こったのか理解出来なかった。

「!」

 クリスタルは腕を抱き、また反応を示した。フォックスが逸早くそれに気付く。

「クリスタルっ?」
「変な感じがする……アパロイドが入って来るわ!」
「何だって!?」

 マリオは叫んだ。そしてフォックスと共にその部屋から一目散に飛び出した。
 廊下を駆けていると、奥から機械の音が聞こえる。それは巨大グモの形をしたアパロイドだった。アパロイドはギシギシと機械音を立ててこちらへ歩いてくる。

「うっわぁ、気持ちわりい!」
「そんなこと言ってる場合じゃない! 早く倒すぞ!」

 フォックスはブラスターを構え、マリオは拳を構えた。
 アパロイドは身構えると、一気に跳び掛かって来た。廊下はアパロイドと同じ位の幅なので、左右に避ける隙が無い。

「くっ」

 フォックスはブラスターを放った。赤い光線が連続してアパロイドにダメージを与えるが、それでも奴はこちらへ向かう。

「フォックス!」
「うぉっ!?」

 マリオはフォックスのスカーフを掴むと二人で床をスライディングした。さっき彼等がいたとこにアパロイドが着地した。マリオがいなければ、恐らくフォックスは危うかったであろう。

「ふう。危なかった」
「マリオ、と、取り敢えず助かったよ」

 首を引っ張られたフォックスは青い色で苦笑いした。それに対してマリオは笑顔を見せた。

「どういたしましてっ」
「ググ……ッ」

 アパロイドは大ダメージの体ながらもこちらへ方向転換をしてきた。

「懲りない奴だなっ」

 マリオは溜め息をつくと、手から火の玉を作り出した。

「ファイアボールを食らえ!」

 ファイアボールを放つと、アパロイドの付いた傷に命中した。

「ギイイィ……!」

 燃え盛るアパロイドはそのまま塵と化して消滅した。

「ふう。怖かったぁ」

 マリオは額の汗を袖で拭った。

「マリオさん! フォックス!」
「フォックスー。隊長ー。大丈夫ー?」

 リンクとカービィの声が聞こえたと思うと、スマブラが駆け付けた。

「大丈夫大丈夫っ」

 マリオは親指を立てた。
 だが、内部に侵入してきたアパロイドを倒したのにも関わらず、まだ警報が鳴っているのが気になった。それに、まだグレートフォックスが発進される気配は無い。

「フォックスー。大変だ!」

 スリッピーが慌てた様子で走ってきた。

「スリッピー、どうした?」
「それが……グレートフォックスが発進出来ないんだ!」
「何だって!?」

 それを聞いたマーシスは呟いた。

「アパロイドがグレートフォックスを抑えている可能性があるな」
「よしっ。急いで外に出るぞ!」

 スマブラ達は急いでグレートフォックスから外に出た。するとアパロイドが横切る。

「うわぁっと!」

 マリオはとっさにしゃがみ、ギリギリ回避した。

「くそっ、もうここまで来てしまったんですねっ……」

 リンクは武器を構えながら言った。

「それにしても、何で母艦をこんな目立つとこに?」

 何気に疑問を抱いたスネークはスリッピーに訊いた。
 スリッピーはなぜかギクリと肩を上げた。冷や汗を流し、頬を軽く掻きながら愛想笑いをする。

「え、えーと……実はグレートフォックスのエネルギー装置が若干腐敗してたんだよ」
「エネルギー装置?」
「グレートフォックスは大分老朽化してるからね。それでここに不時着しちゃったから、ここで速やかに修理したって訳」
「機械もネジ一本無くすと使えないな」

 と言った後、スネークはマシンガンを構えた。彼の言葉にフォックスは少し不機嫌な顔をしたが、彼の言うことは正しい為言い返せず、自分の今の表情を隠す様にサングラスを掛けた。

「さっ、皆で虫退治だ!」

 言ったマリオはマントを巻いてかなり気合いを入れており、その場から飛び出した。それを合図にスマブラは外へと走り出した。

「よしっ。スリッピー、ファルコ、クリスタルも聞こえるか? 俺達はアーウィンで援護だっ」

 腕に付けている通信機に向かって二人に言い、スリッピーとフォックスは格納庫へ走っていった。

「!」

 マリオは、再び蛾の形をしたアパロイドと対面した。

「さっきは手も足も出せなかったけど、今は違うぜっ」
「キイィ!」

 アパロイドは、口なのだろうが、顔の蓋の様なものを開き、中から白い球を四発放った。マリオはそれを避け、羽にある光のポイントに思い切りパンチを仕掛けた。

「キュウッ!」

 今のは効いたらしかった。アパロイドは体を丸め、痛みにもがいていた。

「お、ダメージ与えたか?」

 マリオは弱点を見付け、他の羽にもダメージを与えた。
 だが、アパロイドはその場を離れると、変形してミサイル型になる。そして、ミサイル先から発射されるレーザーで地面に円を何重も描いた。

「何だ?」

 マリオは何もしようとせずそれを見守ってしまう。アパロイドが描き終えると、赤い円から沢山の岩が飛び出し、マリオに向かって落ちてきた。

「わっ! 危ないっ!」

 マリオは慌てて岩落とし攻撃を避ける。どの岩もマリオより何倍も巨大で、当たったらひとたまりも無いだろう。
 ファンシーズは雑魚レベルの小さなアパロイドを次々と倒していると、彼等の目の前に巨大なアパロイドが現れた。白いカタツムリな甲羅を付けているが、本体は黒いアパロイドだった。身長は十メートルは軽いと思われる。

「何だありゃ!?」
「ピッカチュー!」

 ピカチュウは電撃を放った。だが、アパロイドは本体ごと甲羅を閉じてそれを塞いだ。

「効かない!?」
「ピカッ!?」

 そのアパロイドは閉じたまま、甲羅の側面から緑の電気を帯びたミサイルを何発か発射させた。

「うわーととと!」

 ファンシーズはバラバラになってあちこちに避けた。

「! これは……っ!」

 リンクが見たのは、グレートフォックスの後ろの部分に張り付いている数匹のアパロイドだった。アパロイドは彼に気付き、一斉に睨んだ。

「こいつらがいたから動かなかったんだなっ」
「キシャアァッ!」
「はぁっ!」

 自分と同じ位の大きさであるアパロイドの攻撃を避け、リンクはそいつを真っ二つに切り裂いた。だがそれに気を取られたリンクは、後ろから襲う敵の存在に気付かなかった。

(しまっ……!)

 リンクが振り向いた時、アパロイドは何故か銃に寄る蜂の巣状態になって倒れていた。そいつの後ろには、マシンガンを両手で構えたスネークが立っていた。

「助かりました、スネークさん」

 リンクはホッとした笑顔になったが、スネークの真剣な表情は変わらない。

「礼は良い。にしても、どんどん増えてないか?」

 リンクと背中を合わせたスネークは言った。確かに周りを見れば、アパロイドはどんどん増えていて、リンク達は囲まれそうな状況であった。
 後にマーシスとメタナイトが彼等の側に着地した。

「スネークの言葉は正しいかも知れん」

 メタナイトは目線をキョロキョロさせて言った。

「何か元があると私は考えるな」

 次にマーシスが言った。

「それを破壊すれば、恐らくアパロイドの増殖を食い止められるかも知れん」
「……の前に、こいつらを一掃しないとな」

 スネークはマシンガンを構え直した。
 アパロイドは身構え、そして彼等を襲おうとしたその時である。
 上からレーザーの雨が降り注ぎ、周りのアパロイドが全滅した。リンク達が上を見ると、アーウィンが頭上にいた。

「皆、大丈夫?」
「その声は、確かクリスタルさん?」

 クリスタルが乗っているアーウィンが彼等の前に着陸すると、クリスタルはアーウィンからひらりと飛び降りた。そして何かを持ちながら彼等のもとへ行き、それを手渡した。

「はい。これからはこれを付けて」
「これは?」
「無線インカムよ。通信の時に使うの。これは貴方達専用だから、これからの戦いに、きっと必要になるわ」
「通信か。懐かしいな」

 そうスネークはインカムを装着した。機械が分からないリンクは、それを見習って自分も装着した。

「おそらくこのままだときりがないと思うの」

 クリスタルが言った直後、彼等の近くに爆弾が落ちてきた。飛行しているアパロイドの仕業である。

「くっ! 空中戦は、今の我々には不利だ」

 メタナイトは言った。そしてクリスタルは、アーウィンに向かいながら彼等に言う。

「空中戦は私達スターフォックスに任せてっ。リンク達は地上の敵をお願いっ」
「分かりましたっ」
「最低でも、母艦をうろちょろする虫達を追っ払わなきゃな」
「そうだな。このままではグレートフォックスを動かせないからな」

 リンク達は武器を握り、アパロイドへ向かった。

「せいやっ!」

 マリオはファイアボールを放つが、アパロイドはそれを避け、一気に体当たりしてきた。

「ぐおはっ!」

 マリオは吹っ飛ばされてしまうが、何かの機械の翼に乗せられた気がした。気付くとそれはアーウィンで、アーウィンを操作しているのはフォックスだった。

「大丈夫か、マリオっ?」
「あ、ああっ。ありがとう、フォックス!」
「援護する。クリスタルが言っていた。奴の弱点は赤く光る玉だ」
「赤い玉?」

 マリオはさっきまでのことを思い出した。蓋の様な顔の中から覗いたもの。あれがきっとそうだと確信した。

「オーケー。そいつには心当たりがある!」
「よし。行くぞっ」

 フォックスはアーウィンを方向転換させ、アパロイドに近付いた。アパロイドは攻撃しようと、顔の蓋を開いた。すると、赤く光る玉が見えた。

「あれか!」

 声を上げたマリオはとっさに翼から飛び立ち、拳を構えながらアパロイドに高速で向かう。アパロイドは巨大な弾丸を撃ち放つが、マリオはそれを難無く避けた。

「くぅらえぇーっ!」

 アパロイドの中に突っ込み、赤い玉に拳をめり込ませた。赤い玉にヒビが入り、ガラスの如く砕け散った。

「キイイィ……!」

 アパロイドは暫く暴れていたが、やがて地面へ落下して小爆発した。

「ふう」

 マリオは息を吐いた。

「マリオ、これを受け取れ!」

 彼の近くに顔を出したフォックスはマリオに何かを投げた。マリオは、慌ててそれを落としそうになりながらもキャッチした。それを見てからフォックスを見る。

「これ何? インカム?」

 フォックスは頷いた。

「それは通信機だ。今後の戦いに恐らく必要になる」
「おう、分かったっ」

 マリオは躊躇うこと無くインカムを装着した。

「げっ! まだ来るのかよ!」

 再び蛾のアパロイドの他、飛行するアパロイドが多数現れた。

「何だか変だよ、フォックス。さっきまでこんなに多かったか?」

 マリオは後ろのフォックスに尋ねた。そしてフォックスは答えた。

「こうなると、どっかにファクトリーがある筈だ」
「ファクトリー?」
「ああ。でも、それは工場や製造所とかじゃない。場所を問わず設置できるタイプで、アパロイドを無限に作り出す増殖元なんだ」

 フォックスはナウスと通信を繋いだ。

「ナウス。ファクトリーは?」
「北西ニ反応ガアリマス」
「確かスリッピーがそっちに向かっているな。スリッピー! ファクトリーを見付けたら直ちに破壊してくれ」
「オッケー。任せてよ!」
「フォックスー、隊長ー」

 呼ばれたマリオ達が振り返ると、ワープスターに乗ったカービィが飛んで来た。

「援護しに来たよ!」
「……お前はフォックスについてたいだけだろう」
「違うもん! 星の戦士としてぇ……!」

 やけになるカービィだが、マリオはハイハイと言った。フォックスも呆れて笑顔になった。

「よし、行くぞっ」
「ラジャー!」
「畜生、何て固いんだ!」

 ファンシーズはカタツムリ型のアパロイドに苦戦していた。

「けっ! 雑魚相手に本気になってちゃ、きりがねえぜっ」

 上空から声がし、ファンシーズは上を向いた。一機のアーウィンが現れ、甲羅を開いたアパロイドを迎撃した。

「凄いっ。あんなにあっさり倒すなんて……!」

 子リンは見開いた。
 ファンシーズが驚いている間にアーウィンが彼等の前に降り立つ。そしてファルコが現れ、回転しながら飛び降りた。

「わーい。ファルコしゃーん!」
「おわっと!」

 プリンは目を輝かせ、ファルコに抱きついた。ファルコはやれやれとプリンをポンポン叩いた。

「助けてくれてありがとう、ファルコ!」
「ピィカ!」
「ピッチュ!」
「ったくヒヤヒヤさせるな。ま、無事で良かった。取り合えずこれを付けてくれ」

 と、ファルコは彼等にあるものを差し出した。

「これは何?」
「一寸古いが、インカムって奴だ。通信する時に使う。こっちの世界に来たからには、環境に合わせねえとな」
「そうでしゅね。ありがとうでしゅ、ファルコしゃん」

 肩に乗っているプリンはファルコからインカムを受け取り、早速装着した。
 一方、スリッピーのアーウィンは北西を飛行していた。飛んでいると、地面に設置されている機械を見付けた。その機械から新しいアパロイドが現れており、どうやらこれがファクトリーの様である。

「こいつだなっ」

 アーウィンからレーザーを放ち、ファクトリーを破壊した。

「こちらスリッピー。ファクトリーを破壊したよっ」
「わっ! な、何かインカムから聞こえますよ!」

 リンクはインカムからの声に驚きワタワタしていた。それに対して残りの大人達は冷静だった。

「今の声は、確か蛙の少年のだったな」

 マーシスはインカムに手を当てながら言った。

「ファクトリーと言うと、つまりあの虫達を生み出していた奴か」

 スネークが言った。

「皆、聞こえるか?」

 次にペッピーのメッセージが全員の通信機へ行き渡る。機械なんか自分達の世界に無いメンバーは、半ばビビりながらインカムに耳を傾けていた。

「グレートフォックスを漸く動かせる。直ぐに母艦内へ戻ってきてくれ」

 その後、さっきマリオ達が出たハッチが再び開いた。

「ファクトリーって奴が壊れたお陰で、敵の数が大分減ったな」

 子リンは辺りを見回した。

「と言うよりは、撤退したと言った方が正しいかもな」

 ファルコが言った。

「とにかくグレートフォックスへ戻るぞ」
「うん!」
「了解でしゅっ」
「マリオっ、聞こえたか?」
「ああ。ちゃんと聞こえてたぜ」

 マリオは親指を立ててみせた。カービィも側で同じ仕草をした。
 フォックスは彼等を見た後、少しうつ向いた。マリオ達は彼を見てギョッとした。

「フォックス?」
「……ごめんな、マリオ、カービィ。こんな危険な戦いに巻き込んでしまって……」

 それを聞いた二人は顔を見合わせたが、柔らかく微笑んだ。

「何でフォックスが謝るの? 悪いのはアパロイドって奴らでしょ?」

 カービィはフォックスの目の前でニコッと笑った。

「カービィ……」
「それに、仲間達が大変な目に遭ってるんだ。放っておけるかってのっ」

 マリオは鼻をすすった。二人を見、悲しげだったフォックスの口端が少し上がる。

「ありがとう、二人共」
「さ、早いとこグレートフォックスへ戻ろうぜっ」
「ああっ」




 スマブラとスターフォックスはブリッジに戻った。
 そしてスターフォックスは前に出、各々の席に着いた。

「ナウス、準備に異常は無いか?」
「システムオールグリーン。異常ハアリマセン。イツデモ発進可能デス」
「よしっ。グレートフォックス、発進っ」

 グレートフォックスの噴射口からエネルギーが発され、そして地面からゆっくりと離れて行った。

「わっ、凄い揺れますね!」

 リンク達はその気でないとしてもかなり大袈裟に驚いていた。

「こいつら、見ていて飽きないな」

 腕を組んでいるスネークは、未だに慌てふためくダブルリンクを興味ありげに眺めていた。

「ま、まあ、機械の無い世界で暮らしていたからね」

 マリオは愛想笑いをして見せた。

「アパロイド反応が無くなったみたいだな」

 レーダーを見ているペッピーは言った。彼を見たフォックスは言った。

「そうだな。ペパー将軍に報告しよう。もうこの惑星は安全だ」
「えっ。じゃあ、プリン達は宇宙空間へ行くんでしゅか?」

 プリンはキラキラさせて言った。フォックスは椅子を回し、微笑んだ。

「宇宙空間へ行くのは初めてか? なら、是非とも楽しみにしててな」

 ウィンクすると、ファンシーズは黄色い声を上げてはしゃいでいた。

「コラッ。言っておくが、遊びで行くんじゃないんだからなっ」

 マリオは腰に手を当て、彼女達に注意した。ファンシーズはそれに膨れっ面になった。

「分かってましゅよー」
「……」

 そんな中、マーシスは浮かない顔をしていた。壁に背中を付け、腕を組んでうつ向いていた。

(マーシス……)

 メタナイトも彼を見ると、何か胸騒ぎを覚えた気がした。










 ──to be continued──