母と子 「あんなに巨大化するだなんて……マザーブレインの野郎……!」 マリオはベビーメトロイドに見開いた後、マザーブレインを思い切り睨みつけた。先ずは奴をぶっ飛ばしたいものの、 「うわわ!」 ベビーが高速でマリオ達に襲って向かう為、マザーブレインを攻撃したくても、攻撃を避けるのが精一杯だった。 「畜生! やっぱり、ベビーメトロイドを攻撃するしかないのか!?」 「それしかないのなら──やるしかない」 「サムス!」 そう言ったのは、何とサムスである。 この状況の中、最も辛いのは恐らく彼女だ。サムスの大事なベビーが敵となってしまっているのだ。厳密に言えば、マザーブレインに操られているのだが。 「私がベビーの気を逸らす。マリオ達は、マザーブレインを……」 「けどサムスっ……!」 「元はと言えば、あの時消しておけば良かったんだ。なぜあの時、私はベビーを消すのに躊躇った? 一匹残らず消せば良かったものを……っ」 「サムス! 本当にそんなこと思ってるのか!?」 マリオは思わず怒鳴ってしまった。 「本心ではそんなこと思ってない筈だろう! サムスはメトロイドをそんな風にしたくないんじゃないのか!?」 マリオもその場を見たから、彼女の今の気持ちは嘘としか思えなかったのだ。 「それでも、だ」 サムスはキャノンをもう片手で握った。 「これがベビーを救う手立てなら、やらざるを得ないだろうっ……」 「サムス……」 やはりそう思っていても、サムスが一番辛いのだ。 そして、サムスはベビーメトロイドへ向けて駆けていき、光弾を連射した。ベビーメトロイドは素早く避け、サムスに牙を剥く。 「ピイイィ!」 「くっ!」 (……) マリオは握り拳を震わすほどに握り締め、目を瞑る。そして気持ちを引き締めながら瞼を開いた。 「僕等はマザーブレインを倒すぞ!」 「了解!」 とにかくマザーブレインを集中して狙い、攻撃して倒せば、ベビーも元に戻るかも知れない。マリオはそう睨んだのだ。 「小うるさい虫達が来ましたか……」 「とりゃああああっ!!」 マリオ達は相手へと狙いを定め、それぞれの必殺技を繰り出した。それらは全て相手へと命中した。 (ベビー、目を覚ませっ!) ベビーメトロイドの攻撃を避けるサムス。 「ベビー、私だ! サムスだっ。お前の母親だっ」 そのヘルメットから覗く表情は、悲しみに満ちていた。ベビーがこうなってから、サムスはこの様な感情を絶え間なく溢れさせているのである。 ベビーは容赦なくサムスを襲う。恐らく、誰を相手にしているのか解っていないのだろう。何も見えず、ただ獲物を狙うと言う本能でしか動いていないのだ。 「ピィカ!」 「く、駄目かっ!」 「何度私と戦おうが、既にスマッシュ戦士達の敗北は目に見えています」 マザーブレインは、先程よりパワーアップしている気がした。マリオ達が一斉攻撃を仕掛けても、最早掠り傷一つないのである。 「悪足掻きなど見苦しい。メトロイド!」 マザーブレインの呼び声に、ベビーは奴に振り向いた。 「スマッシュ戦士全員の生命を吸い尽くしなさい」 「なっ!」 「ベビー!!」 ベビーはサムスから離れると、マリオ達へと接近する。 「ベビー、行くな! お前の相手は私だ!」 サムスが幾ら呼んでも聞く耳持たず、今度はマリオ達へ牙を向いた。マリオ達が素早く避けると、ベビーの牙は機械をいとも簡単に咬み砕いた。 「何て力だ! 冗談じゃねえ……!」 ファルコは砕かれた機械を見て冷や汗を流した。 「あんなのに捕まったら、一巻の終わりですよ!」 リンクも鳥肌を立たせて言う。 「でも、これがあのベビーなのでしゅか? サムスしゃんに懐いていた、あの小さなベビーなのでしゅかっ……?」 「ピカ……っ」 「ピッチュ……」 ポケモン達も信じられないと言うより、今のサムスに近い心境だろう。それは恐らく、スマッシュ戦士誰もが抱いているに違いない。 ベビーは目の前の獲物が増えたからか、より目をぎらつかせている様に見えた。 「やめろ、ベビーメトロイド!」 マリオは皆の前に出ると、何としてでも止めるべく、傷は覚悟の上、素早くパンチを繰り出した。 ベビーはこちらからも体当たりを繰り出す。 攻撃がぶつかり合った途端、爆発的な衝撃が走った。戦士達は何とか踏ん張ったが、マリオとベビーは耐えきれず、床を滑った。 「おわ!」 「マリオ!」 ベビーも床を僅かにバウンドしていくが、直ぐに立ち直った。 狙う獲物は、無論、マリオだ。 「僕は大丈夫っ……!」 だがマリオは立ち上がろうとするも、なぜか立ち上がれなかった。それと同時に顔をひきつらせる。打ち所が悪かったらしい、足を挫いてしまったのだ。 「!!」 ベビーがマリオの目の前まで急接近して来た。そして、思い切り口を開いたのだ。 「マリオ!」 「マリオさん!」 「隊長!」 「ピカピイィ!」 「うわああああ!!」 牙に捕まったら最期だ。ここまで来てしまうと、マリオはもう絶望的である。 すると、マリオの前に、庇う様にサムスが現れたのだ。そしてベビーの牙は、サムスのパワーを吸い上げた。 「うあああああぁぁ……!!」 パワードスーツからサムスの悲鳴が響いた。 「サムス!!」 「……!」 マリオがその時に叫んだ途端、ベビーの動きが止まったと思いきや、サムスから咄嗟に離れた。それは反射的と言ってもいい。 「サムス、大丈夫か!?」 「く、うぅ……」 サムスはその場でうずくまってしまい、ベビーは、そんな彼女をただただ見ていた。 「くそ! かかって来い、メトロイドっ! 今度は僕が相手だ!」 マリオは、悔やみながらも怒りを露わにした表情でサムスの前に立つと、拳を構えベビーを睨み上げた。 「けどどうしたんだ? メトロイドの様子がおかしい……」 リンクはベビーに目を細めた。 「恐らく──メトロイドは迷っている……?」 マーシスはそう言うが、自信なさげだった。 「くっ!」 襲って来るベビーを、マリオはマントで回避したり、パンチで防いだりした。足に僅かな痛みが生じるが、ハンデになる程負担が掛かる程度でもない。 「こっちだ!」 マリオは足を一度踏ん張らせた後、マントを使って一気に飛び立った。ベビーも、マリオを見ながら後を追う。 「マリオさん、一体何を……」 「見学してる場合ですか?」 「!」 マザーブレインが残りの戦士達を睨みながら言うと、全員が奴の方に振り向く。 「いずれメトロイドは、彼女達のパワーを吸い尽くすでしょう。その間、私はアナタ方の始末に取り掛かりましょうか」 「我々も負ける訳はいかないな!」 ギャラクシアを構えながらメタナイトは言った。それに続くスマブラ達も改めて戦闘準備に入った。 マリオはベビーと攻撃のぶつかり合いをしていた。互い一歩も譲らず。 だが彼は気付いていた、サムスのパワーを吸った直後の、ベビーの今の心情を。故に、実は手加減しているのである。相手を倒さない程度に。 「ベビー、目を覚ませ!」 マリオはベビーの攻撃を避けながら言う。 「──いや、既に覚めてる筈だ。こんなこと、本当は最初からしたくないんだろ!」 マリオは実は少し前に気付いていたのだ、ベビーが正気である事を。そう、敵が減って来たと思い始めた時から。 「敵を食べてくれたのは、ベビーのお陰なんだろ? 解るんだよ! そして、サムスもそれに勘付いてた筈だ──お前のママなんだから!」 「ピイィッ」 (動きが鈍くなってる……っ) 「思い出したんだろ? サムスを──お前の母親を!!」 今正にベビーがマリオに攻撃しようとしたとこでマリオがそう叫ぶ。だが、ベビーはその言葉には反応なしに見えた。 (ベビーっ……!!) マリオは駄目かと、その場で強く目を閉じた。 「これで終わりだ!!」 マザーブレインが顔を上げ、口先から光を出している。その光は、少しずつ膨らんでいく。 「な、何だ何だぁ!?」 「皆、気を付けろ!」 クリーツは目を丸くし、モークは皆に呼び掛けた。 「サムス!」 この儘ではサムスも巻き込まれてしまう。スネークは彼女の元へ向かい、盾になろうとした。 「スネークっ……駄目だ、逃げろっ……!」 辛うじて顔を上げたサムスは、目の前の彼に驚き、そう言った。 「何を言っている。サムスがいなくなったら、誰があいつ(マザーブレイン)を倒すんだっ」 「だがスネーク……!」 「安心しなさい。全員あの世へ送ってあげましょう!!」 マザーブレインの口から何かビームなものが吐き出されるその刹那、サムス達の横を誰かが通り過ぎた。 「ぐあああああぁぁ!?」 「ピィ!」 「ベビー!!」 ビームが発射される瞬間に、巨大ベビーメトロイドはマザーブレインの頭全体を覆ったのだ。ベビーは、相手のパワーの他、そのビームエネルギーも吸収していた。 そして、マザーブレインはまるで枯れた様な姿となり、動かなくなってしまった。 「ベビー……まさか……」 サムスは体を半分程起こし、ベビーを見上げる。 「やっぱり……」 「マリオっ! 無事だったのか!」 床へと降りたマリオにサムス達は驚く。 「あいつは、最初から僕達に気付いていたんだよっ」 「やはり……そうだったのか……っ。しかし……!」 「ピイィっ……」 ベビーはマザーブレインから離れ、その儘サムスの方へと向かった。そして、サムスを優しく包むかの様に覆い、エネルギーを送り始めたのだ。 「な、ぜ……だっ……!」 倒したと思っていたマザーブレインはまた起き上がり、彼女達へ近付く。 それでも、ベビーはサムスから離れようとはしない。 「どきなさい、メトロイド。さもなくば、貴方であろうと、その身を滅ぼしますよ!」 マザーブレインは、ベビーにビームで攻撃していた。 「やめろ、マザーブレイン!」 マリオ達は奴を止めに向かうが、相手の突如起こした巨大な暴風で、ベビーとサムス以外吹き飛ばされてしまった。 「小賢しい!!」 「うわあああ!!」 「ベビー、やめろっ……逃げろ、ベビー!!」 サムスが幾ら叫ぼうとも、ベビーは聞く耳持たず、ただ小さく鳴くだけ。 (ベビー……) サムスの脳内に、ベビーとサムスが過ごしてきた時が映し出された。 (これはっ……この子の記憶……?) ベビーがサムスにエネルギーを送る間に、ベビーの記憶も移されたのかも知れない。 優しく笑うサムスと、そんな彼女にすり寄るベビー。まるでその光景は、温かな親子であった。 「ピィ……」 既にボロボロな状態だが、エネルギーを与え終えたベビーは、漸くサムスからゆっくりと離れた。サムスは、そんなベビーを見詰める。 「ベビー……」 「……」 サムスは優しい目になり、撫でようとベビーに手を伸ばした。 「サムスウウウゥ!!」 「!!」 マザーブレインの声が響くと共に、サムスに向けて奴の巨大なビームが発射されたのだ。 「ピイイィ!!」 だがその時、ベビーがサムスを庇う様に前に出た。そのビームがベビーを包んだのだ。 その様子が、サムスの目に焼き付いた。それはまるでスローモーションの様に、そしてそれは彼女の脳内に時間を掛けて刻まれた。 「ベビーメトロイドオオォ!!」 マリオは思わず見開きながら叫んだ。 「しょんなっ……!」 「ピカピイィッ……」 信じたく無かった光景だったが、ベビーはそのまま爆発し、消滅してしまったのである。 「サムス・アラン……アナタも同じ目に遭わせてやりましょうっ!」 マザーブレインは、次に狙うサムスに目を向けた。 「……同じ目……?」 その言葉も、サムスの脳内へ時間を掛けて流れ込んだ。そしてサムスは立ち上がると、いつの間にか虹色に輝いているキャノンを握りながら、マザーブレインを睨み上げた。 「それは、ベビーメトロイドのことかっ……?」 「な、何だっ? サムスが輝いてる!?」 クリーツは彼女の状態に見開く。 「欠片か?」 同じくスネークも静かに驚いていた。 「いや、あの輝き方は違う」 マーシスは彼女を見ながらそう言った。 「あれは恐らく、あのメトロイドから受けたエネルギーを全開にし、新たなビームを生み出したのだっ」 (そして、これまでに無かった、彼女のこの威圧感……!) 「その言葉、貴様にそっくり返す──私の手で……私の手で貴様を潰す!!」 サムスは床を蹴り、キャノンから、最強とも呼ばれているハイパービームを放っていった。それは巨大且つ虹色に輝くビームで、全てマザーブレインへと命中させていく。 「ぐあ! がはっ! な、何だこのビームは! 今まで見たことが……!」 「ああああああああぁぁぁ!!」 彼女は、無我夢中だった。大切なベビーを喪った悲しみと怒り、憎しみ等の感情が、サムスをより強くしていた。相手が逃げ回ろうと、そして息絶えようとも、その攻撃を続けるに違いない。 「サムス!!」 スネークとC・ファルコンはサムスに向かって駆けていく。 「うおおおおおおおっ!!」 一方のマリオは両手に炎をたぎらせながら、マザーブレインへ向かってマントで飛び立った。そんな彼を見てマザーブレインは見開く。 「なっ!?」 「てんめえええええ! 仲間を何だと思ってるんだああああ!! 自分の勝利の為なら、仲間の犠牲はどうでもいいってことかああああああああああ!!」 マリオの体から光が放たれ、手から炎のパワーを更に上昇させた。 彼も実は、サムスと同じ位の怒りを抱いていたのだ。 「うわああああああああ!!」 ハイパービームを最大までチャージしたサムス。 「くらえええええええ!!」 マリオは神の切りふだの技を、サムスはチャージしたハイパービームをぶっ放した。余りにも強力な二つの技を思い切り食らい、マザーブレインは一溜まりもなかった。 「ぐおあああああああああ!!」 その儘相手は爆発し、全て塵と化して消滅した。 「はぁ……はぁ……」 「くっ……」 マリオとサムスは膝をつき、息苦しそうに荒呼吸をしていた。 「大丈夫か、サムスっ」 「隊長! しっかり!」 C・ファルコンとスネークはサムスの様子を伺い、クリーツやモーク、ピョンチーも後に向かう。後のスマメンは、マリオへと駆け寄った。 「くそ……くそ……ちっくしょおおおお……!!」 「隊長……」 マリオは何度も床を握り拳で叩きながら悔やんだ、僅かに涙を零して。 「マリオ殿、落ち着くのだ。そなたとサムス殿の気持ちは、皆解っている」 「……」 暫く黙った壗のマリオだったが、漸く顔を上げ、マーシスに小さく頷いたのだった。どう言う訳か、マーシスにそう言われて、不思議と落ち着いたのである。 マザーブレインが消滅した場所から小さな光が放たれた──欠片である。その欠片はサムスの元へと転がり、彼女がそれを手に取ると、柔らかな光が放たれ、彼女の体の中へと吸い込まれていった。 サムスはそれを、両手でギュッと握り締めたのだ。 「ベビー……ごめん……っ……ごめんね……」 パワードスーツからは彼女の顔は見えないが、体が震えてるのが解る。スネークとC・ファルコンは無言で顔を見合わせた。マリオ達も、ただ静かに彼女を見守るしか出来なかった。 「ピチッ?」 ピョンチーは突如耳を動かし、辺りを見回し始めた──と同時に、床や機械類が揺れ始めた。 「!! マズい! ゼーベスが爆発するぞ!!」 異変に素早く気付いたフォックスが直ぐ様その場から辺りを分析するとそう言った。 「時限爆弾が仕掛けられている!? それが作動したんだ!」 「ええ!?」 「わわわ! 早く逃げなきゃあ!」 ファンシーズが特に慌てていた。 「ネス、テレポートは使えないのか?」 「……ごめん、隊長……あのテレポートは、長く走る為に距離が必要なんだよ。ここじゃ狭過ぎる……っ」 「そうか……やっぱり急いで脱出するしか……」 「ピチッ!!」 ピョンチーは皆より先に駆け、少し遠くで立ち止まってはこちらを振り返った。ネスはピョンチーをテレパスすると、皆に振り向いて口を開いた。 「脱出の道が解るって!」 「よし、ついていこう!」 フォックスは頷いた。 「マリオ殿、立てるか?」 「な、何とか……」 マーシスはマリオの手を引き、立ち上がらせた。 「さぁ、サムスっ!」 上手く立ち上がれないサムスはC・ファルコンに肩を借りながら立ち上がった。 ピョンチーが崩れ行く壁や機械を駆け上がり、皆を導く。ピョンチーに続いているネスはPSIを使い、揺れで崩れる瓦礫を破壊したり、仲間をシールドで守ったりした。 「中々やる超能力だなっ」 ネスの帽子をクリーツはポンッと撫でた。ネスは肩を上げたが、自信に満ちた笑みで片目を瞑って見せた。 「……」 脱出するマリオ達を──特にサムスを遠くから見つめる、サムスのクローンであるヴェンテ。ヴェンテは、彼女の悲しむ背中に目を細めている。そして、その場から姿を消した。 全員、漸くスターシップとファルコンフライヤーのある所へ辿り着いた。マリオ達は急いでファルコンフライヤーへと乗り込む。 「サムス! 早く!」 「解っているっ……」 サムスはスターシップへ乗り込む前に、一度来た道を一瞥してから、自分の船へと乗り込んだ。 二機はほぼ同時に離陸し、惑星ゼーベスから脱出した。 そして──惑星ゼーベスは大爆発を起こした。 広がる光と爆風。ファルコンフライヤーとスターシップは、爆発に巻き込まれない為にスピードを上げていく。それは巻き込まれるギリギリだが、何とか逃げ切れたのだった。 銀河の首都ダイバン。 サムス達は連邦本部へ向かい、キートン議長に惑星ゼーベスのことを報告した。 「そうか。その様なことが……」 「しかし、これで宇宙海賊は滅びました」 「うむ。本当によくやってくれた。報酬は後に……」 フォックスがそう伝えると、キートン議長は何度も頷いた。 「……メトロイドもな」 クリーツは、サムスの表情をチラリと窺いながら呟いた。サムスは目を影で覆いながら、ただ俯いていた。 キートン議長も彼女を見てから、夕空が広がる窓の外を眺めた。 「メトロイドはまだ全てが解明された訳ではない。だが、これだけは分かる──メトロイドは全てが危険では無いと言うことを」 「議長……」 「部屋を用意させよう。ここで暫く体を休めて行くといい」 キートン議長は部屋を後にした。 「皆、疲れただろう。議長の言う通り、次の世界へ旅立つ前に、ゆっくり休んでった方が良い」 顔を上げ、皆へ口端を上げながら言うサムス。最初はどう反応すればいいか戸惑ってしまったスマブラだが、彼女の言葉に甘えようと、静かに笑顔になった。 そしてサムスが歩き出そうとした時、突然彼女は倒れたのだ。 「!? サムス!?」 「お、おい! どうした!?」 スマブラは酷く驚き、サムスの元へ駆け寄った。 ただ疲労で倒れた訳では無い。なぜなら、サムスの体を何かがまとわりついてるのが見えたからだ。 「な、な、な、何これっ!?」 カービィはそれを見ると思わず声を上げた。 サムスに付いている、アメーバの様な物体。その蠢きに驚いたのだ。恐らく彼女が倒れたのはこれが原因だ。 (これは……っ。やっぱりあの時の!?) マリオは最初に彼女に会った時を思い出していた。 ボロボロになったパワードスーツ状態のサムス。その時にもついていた、アメーバな様なもの。それと全く同じものだったのだ。 (こいつ……侵食するのかっ……!) 「クリーツ、救護班呼べる?」 「ああ! 解った!」 クリーツはマリオが言い終わる前に返事をし、急いで部屋を出ようとした。 「待って!」 だが扉前で彼に呼び止められる。振り返ると同時にマリオが何かを投げて来、クリーツはそれを片手で受け取った。それは、緑の液体の入った小さなカプセルである。 「救護班にそれを渡して!」 「何だよこれっ?」 「いいから!」 「……りょーかいっ!」 真剣な目を向けるマリオに、クリーツは一刻を争うことを思い出され、口端を上げながら親指を立てると部屋を飛び出していった。 「サムスっ……」 フォックス達は、心配と不安な目で、息を荒らして苦しむ彼女を、ただ見守るしか出来なかった。 ──to be continued── |