悲しみを乗せた戦艦








 外から見た様子だと、グレートフォックスに変化は無いとみられる。だが、スマブラ達はそれでも彼等の事が気掛かりで、焦りを見せていた。リンクの声が通信妨害で消えてしまったのには、絶対に何かある。マリオ達はそう直感した。
 格納庫に戻り、スターフォックスもアーウィンから飛び下りて間も無く、マリオ達と走り出した。
 扉を開けた時、戦艦内が揺れた。そして奥から聞こえて来たのは、何かと必死で戦う残りの戦士達の声と、聞き覚えのある機械音であった。

「この音……!」

 マリオは驚き、フォックスは見開きながら耳を動かした。
 迷っている暇なんて無い。とにかく急いだ。
 その時、走ってる最中に前からいきなり虫の化け物が襲い掛かった。

「うわあ!?」

 マリオは怯んでしまったが、フォックスとファルコは彼の前に出るとブラスターを同時に撃ち放った。
 息が合わさってほぼ同じ時間に放たれたブラスターレーザーは、一瞬の内に空中で一つに合わさり、更に大きなレーザーとなって化け物を貫いた。

「ギャアッ!」

 化け物は悲鳴を上げ、やがて消滅した。

「サンキュー、二人とも!」

 マリオは言った。

「凄いな凄いなぁ! 二人の息がそこまでピッタリだなんてー!」

 カービィは、ちょっぴり悔しそうに言った。
 それを聞いたフォックスは微笑んだ。

「どうもっ。それより、今の化け物……」
「ああ。やっぱりアパロイドだなっ」

 ファルコは、化け物の倒れた方角を睨みながら呟いた。

「早く皆のもとへ行こう!」

 マリオは声を上げた。

「あぁ!」
「おうっ!」
「ええ、そうね!」
「うん!」




「くそっ。一体何処から入って来たんだ!」

 ブリッジ前の通路にて、武器を握るリンク達は、こちらへ来るアパロイドを次々と倒していった。
 だが、アパロイドは次から次へと現れ、スマブラも少し疲労を溜め始めた。

「それよりも、まだまだ現れる予感がしないでも無いな」

 武器を構えているスネークは言った。

「そうなれば、どこか近くにファクトリー、もしくは親玉がいるのかもな」

 アパロイドを真っ二つにし、消滅させたマーシスは言った。

「恐らくこの通路の向こうだろうが、アパロイドが壁になっていて進むことは困難だな……っ」
「それよりも心配なのは……!」

 リンクは叫んだ。

「子供達が通路の先にいることです。心配でなりません……っ」

 子供達、基ファンシーズは、マリオ達がスターウルフ戦に行った後、子供ならではの好奇心か、ブリッジから抜け出して行ったのだ。
 暫くしてから、グレートフォックスが何者に襲撃された。様子を見に行くと、通路の向こうからアパロイドがかなりの数でやって来た。今でもリンク達はアパロイドを追い出しているが、次々にアパロイドはこちらへ向かっている。
 ファンシーズはブリッジを出たきり戻って来ない。スマブラ戦士としての実力はそこそこだが、これだけの敵数だ。ファンシーズ少人数では戦うのは困難に近いかと思われる。

「マリオさん……無事、俺の声が届いたでしょうか……」

 リンクは目を不安の色に染めた。

「お邪魔虫が入ったが、最後までは何とか通信は繋がってたな……」

 スネークはインカムに触れた。
 だが、今の言葉にはあまり自信は無い様だ。

「こっちに戻って来る間に、先に子供達を見付けられれば良いんだがな」
「そう願うしかないな」

 メタナイトは言った。




「?」

 マリオは何かの気配を感じると急に立ち止まった。彼が急ブレーキを掛けたので、後ろからフォックスが一気に向かって来た。

「うぉあ!」

 マリオは飛ばされ、床に顔面が突っ伏してしまった。

「わ! ごめん、マリオ!」
「どうした。忘れ物か」

 ファルコは腕を組んだ。
 だがマリオは只周りを見渡すだけで暫くは喋らない。

「今、誰かの声がしなかった?」
「声ー?」

 浮遊中のカービィは、手を耳の辺りにあて、ジーッと耳を凝らした。

「聞こえないなぁ」
「……聞こえる」

 今呟いたのはフォックスだ。

「しかも嫌な予感がするな」

 勘の鋭いファルコは顎に触れながら言った。

「そして……助けを感じる……」

 クリスタルは胸に手をそっとあて、目を閉じた。

「えぇっ。僕にはさっぱりだよぉ」

 カービィは自分だけが嫌なのか、手をパタパタさせて不機嫌になった。

「カービィ、そんなこと言ってる場合じゃないぞ」

 フォックスは眉間に皺を寄せた。

「どうして?」
「今の声は間違いなく子リンだっ」
「えええ!?」

 カービィは酷く驚いていた。
 マリオは前方を見ると、一つだけ扉があるのに気付いた。

「気配はあそこからだ。皆行こう!」

 その扉に向かって指を差した。全員躊躇無く頷き、その扉へ向かって走って行った。

「おい、子リン! 大丈夫か!」

 ロックされている扉を、マリオは必死で何度も叩きながら名前を呼んだ。

「子リン!!」
「……マリオさんっ?」

 遠くからだが微かに聞こえた声があった。マリオはそれは子リンであることが分かった。

「その声は、子リンだな!?」
「マリオしゃん? マリオしゃんなんでしゅね!? もうプリン達の手に負えないでしゅ! 助けてくだしゃい!」
「ピッチュー!!」
「プリンにピチューまで……待ってろ、直ぐに開けるからなっ」
「退け! マリオ!」

 ファルコは邪魔扱いする様にマリオを横から腕で退かせた。マリオは危うくまた倒れそうになったが、おっとと言いながら踏ん張った。
 ファルコは扉の横に設置されている機械のボタンを何度も押す。だが、何度試しても扉は開かず、ファルコは悔しくて扉を殴った。

「くそっ! 開かねえじゃねえか!」
「誰かが機械を開かない様にしたんだな?」

 次にフォックスが彼の前に出、その機械をブラスターで壊した。すると扉がガコンと鳴る。フォックスは扉の隙間に指を入れるとファルコを呼んだ。

「ファルコ、手を貸してくれ!」
「おう」

 ファルコももう片方の扉に指を掛け、二人は同時に扉を開いた。
 部屋内は、大会社の会議室程に広い。
 明かりもついていて、部屋内を直ぐに確認することが出来た。
 その光景にマリオ達が更に驚いたのは言うまでもない。子リン、プリン、ピチューが、巨大なアパロイド数体と激戦を繰り広げていた。三人は多少の怪我を負いながらも必死で敵と戦っている。だがアパロイドの方は何とも無く、まるで彼等をいじめて楽しんでいる様に体の武器で彼等の体力をジワジワと削っていた。

「うわあああぁぁっ!?」

 それは彼等が見た最初の瞬間で、ちゃんと見た時は、アパロイドの一撃で三人は壁へ叩き付けられ、遂に動かなくなってしまった。
 それらを眺めていたマリオの見開いた目に何かが込み上がっていた。握り拳は震え、歯はくいしばっている。クリスタルは彼を見てドキッとした。

(何、この気は……?)

 マリオは、アパロイド以外周りが見えなくなっていた。そして、思い切り敵を睨み付けた。

「お前ら……お前らよくもやりやがったなああああぁぁぁ!!」

 マリオは仲間を倒された怒りに、赤と虹色のオーラを体から吹き出させていた。アパロイドはそれに圧され、蹲ってしまう。
 マリオはその場から消えたと思い気や、アパロイドの目の前に即現れ、奴の頭に拳を思い切りめり込ませた。見事に奴の頭部にマリオの拳が埋まっている。そしてもう片手から炎を生み出す。

「な、何だあれ!?」

 敵だけでは無く、フォックス達もかなり驚いてしまっていた。彼等にとって、あの様な技は今まで見たことが無かったのである。

「これは三人の分だ! くらええええ!!」

 アパロイドは焦るが、彼に拳で抑えられているので身動きが取れない。青いファイアボールは、アパロイドを瞬時で燃やしてしまった。それだけでなく、周りの敵まで巻き込んでいった。その光景は凄まじく、スマブラは唖然とせざるを得なかった。

「! あれっ……?」

 攻撃を終えたマリオからオーラが消えた途端、マリオは正気に戻った。また、炎を作ったばかりで煙が上がる自分の拳を見つめる。
 そして視界が渦を描いた様に感じ、そのまま気を失ってしまった。だが倒れる直前に、フォックスに支えられた。

「マリオっ……確りするんだ!」
「い、今のは一体何だったんだ? マリオの今の技、初めて見たぜ……」

 ファルコはポカンとしてしまっていた。
 まだ見慣れていないからか、同じくカービィも口を開けたままあんぐりしていたが、ハッと我に帰ると、急いでファンシーズのとこへ向かった。

「子リン、プリン、ピチュー、大丈夫?」

 各々を軽く揺さぶってみるが、彼等も気絶してしまったらしい。

「……ん?」

 カービィは子リンの肩を見た。そして眉をひそめるとファルコを呼んだ。

「ファルコ、これ、何だろう……?」
「あ? 何がだ」

 ファルコはカービィに呼ばれ、子リン達の側で膝を付いた。カービィが差した部分を見ると、心当たりがあるのか、冷や汗を流した。

「これは……っ!」
「えっ、何?」

 後にクリスタルも駆け寄る。

「大変っ! この子達を早く運ばなきゃ! カービィも手伝ってくれる?」
「え? う、うん分かった!」
「ファルコ、クリスタル、正かそれは……!」

 フォックスは顔を上げた。ファルコは躊躇ったものの、頷くしかできなかった。

「……アパロイドがまだいるかも知れない。なるべく安全な場所へ連れて行くんだ。マリオのことは任せてくれ」
「ああ。分かっているさっ」




「……ん?」

 マーシスはふと立ち止まった。

「マーシス、如何した?」

 メタナイトは、後ろにいるマーシスに振り向いた。

「マリオ殿達の気配を感じた」
「えっ。じゃあ、マリオさん達は……」

 リンクは表情を少し輝かせた。

「リンク殿の声をちゃんと聞けたみたいだな」
「ピッカ!」

 ピカチュウは前方を指差した。さっきまでピカチュウ達に襲い掛かって来ていたアパロイドが撤退していっているのだ。

「あれ、アパロイドが撤退してゆきます」
「ふむ。ワシの考えだと……」

 ブリッジからペッピーが現れた。

「今回のアパロイドのファクトリー、もしくはリーダーが倒されたからだと考えるな」
「……マリオ達が倒したのかも知れんな」

 メタナイトは言った。

「マリオさん達を探しましょう。探せばきっと見付かります!」




「うーん……」

 視界がボヤけていて、周りが良く見えない。瞼も重く、また眠りに落ちそうだった。
 自分は、一体どうしたのだろうか。何があったんだ?

「マリオ、マリオ!」

 声だけは良く聞こえた。この声はフォックスだってことも分かる。
 彼の為に目を覚ましたいが、脳が中々そうはさせない。今の自分、何か変だ。

「マリオ、確りしてくれっ……」

 凄く心配な声をしてくるている。彼の為にも頑張って目を覚まさねば。マリオはまだ薄れている意識を必死で呼び起こし、少しずつ瞼を開いていった。開いた先には、心配した表情をしているフォックスがこちらを見ていた。マリオが目を覚ましたことに、フォックスは心から嬉しい顔になった。

「マリオ、良かった」
「フォックス……もしかしたら、ずっとここにいてくれてたの?」
「当たり前だろう、スマブラのサブリーダーとして、仲間として、リーダーを心配するのは」
「ありがとう、フォックス」

 マリオは微笑むと、小さなベッドから上半身を起こした。
 暫くボーッとしていたが、あることを思い出すと直ぐにフォックスに訊いた。

「そういや、子リン達は大丈夫か? プリンにピチューはっ?」

 無事であることを祈りつつ、若干焦りながら問う。
 だがフォックスは、マリオから少しだけ目線を反らしてしまった。マリオはそれで、とてつもなく嫌な予感がした。フォックスはこちらを向くと、口を開いた。

「実は彼等、アパロイドのあの一撃で、細胞の一部を侵食されていたんだ」
「えっ。それってもしかして……」

 ふと、スリッピーの言葉を思い出した。そしてフォックスは頷いた。
 とても辛い色に染めた目を伏せる。

「さっき医療班を呼んだんだ。進行は幸い遅いけど……完全に侵食されるのは時間の問題らしいんだ」
「! そんな……っ」

 マリオは愕然とした。顔色を青ざめながら下を向く。
 スリッピーが確か言っていた。アパロイドに細胞を完全に侵食されたら、二度と元には戻らず、自分もアパロイドになってしまう、と。その話が脳裏に熱く蘇ってきた。
 悔しくて悔しくて、強く握り締めた拳で壁を思い切り殴った。その大きな音にフォックスは肩を上げ、マリオを見た。

「僕が……僕が悪いんだ……っ! もう少し、もう少し早く来てたら……!」
「マリオッ……」

 何回やっても気が済まない程に何度も何度も壁を叩いた。その間には涙が溢れている。フォックスは暫く驚いていたが、何度も叩く彼の拳からは僅かに赤い染みが出来ているのに気付く。

「マリオ、やめろ!」
「仲間を救えなかった! 仲間を守れなかった!」
「マリオ……!」
「こんなことさえ出来なかった僕は、リーダー失格だ!」
「マリオ!!」

 フォックスは叫び、薄い赤に染まったマリオの手をガシッと握った。マリオは我に帰り、一瞬だけ時が止まる。顔を向けると、そこには、悲しい顔をしたフォックスがこちらを見ていた。

「悔しいのは俺も一緒だ。いや、俺達も一緒なんだ。マリオだけじゃない。自分だけを責めるなっ!」
「……フォックス……」

 マリオの目から、雫が一筋溢れ落ちた。フォックスも泣きそうになったが、グッと堪えた。

「仲間の危機は放っておけないんだろ? なら、子リン達を助けることを優先するんだ。仲間として、仲間を救わなきゃ駄目じゃないかっ。そう教えてくれたのはマリオだろ? そんなマリオが弱音吐いてどうするんだっ……!」
「っ……ごめん、フォックス……」

 そう呟くと、フォックスはマリオから手を放した。

「……そうだよな。泣き言吐いたって、仕方がないよな」

 マリオは鼻をすすり、笑顔になる。

「本当にごめんな、フォックス。逸そフォックスがスマブラのリーダーにふさわしいんじゃないか?」

 ニッとして言ってみると、フォックスは焦って首を横に振った。

「い、いやっ……マリオ程仲間想いで強いリーダーはいないよ」
(あの技は半端じゃ無かったからな……)

 フォックスは、あの時のマリオの大技を思い出していた。

「そんなこと無いよ。フォックスに言われなかったら、僕、まだ壁をぶったたいてたかも知れないし」
「ハハッ。一応80年もローンがあるんだぞ、この母艦」
「あっ。そうだったっけ?」
「傷が付いたら弁償して貰うからな」
「それはどうもすみませんでした……」

 マリオが頭を掻いて言った後、二人は笑い合った。

「マリオさんっ」

 部屋の扉がガーッと開くとリンクが顔を出した。

「リンクっ! うわ!」
「ピカピー!」

 ピカチュウはマリオの胸へ飛び付く。その表情はとても嬉しそうだった。マリオは微笑み、ピカチュウの背中を優しく叩いた。

「リンク達、無事だったんだなっ」
「フォックス達も、良く戻って来てくれたなっ」

 フォックスとリンクは、顔まで挙げた手をパシッと握り合った。

「……だけど……」

 そうした後にリンクは顔を伏せてしまった。彼の気持ちは、恐らくフォックス達も一緒であろう。

「なあ、フォックス」

 マリオはフォックスを呼んだ。

「何、マリオ?」
「アパロイドに侵食されたのって……治す方法とか無いのか?」
「俺も同じことを思ってた……フォックス、どうなんだ?」
「そうだな……」

 二人と一匹に見守られる中、フォックスは腕を組み、目を閉じた。暫くして、フッと瞼を開き、顔を上げた。

「方法は……無くは無いかも知れない」
「えっ、本当かっ?」
「そ、それは……!」
「ピカ……」

 マリオ達は乗り出してフォックスを見つめた。フォックスは少し見開いて彼等を見るが、落ち着いてから話した。

「アパロイドはアパロイドマザーと言う本体から産まれているんだ。マザーは全てのアパロイドの統率を行っている。奴を倒せば恐らく、侵食しているアパロイドの元も消滅するかも知れない」
「アパロイド……マザー……」

 リンクは呟いた。

「そのマザーを倒せば子リン達も……」
「只、これは賭けだ」

 フォックスはリンクの言葉を遮った。

「医療法が見付からない以上、これしか方法は無い。だけど、倒せば治ると言う保証は無いかも知れない……」
「なーにネガティブなことを言ってるんだっ」

 マリオはフォックスの肩を軽く叩いた。フォックスは肩を上げ、マリオに振り向く。

「それしか方法が無いなら、とことん突っ走らなきゃ始まらないっ。だろ?」

 その言葉に、リンクとピカチュウも頷いて見せた。

「……そうだな」

 フォックスは頷いた。

「ところでマリオ。さっきのは一体何だったんだ?」
「えっ。さっきのって?」
「覚えて無いのか? マリオがさっき、アパロイドを倒す際に繰り出した技だよ」
「ああ。何だかとにかく無我夢中だったから、あまり覚えてないんだよね」

 マリオは頭を掻いた。

「フォックス」

 リンクはフォックスに言った。

「それはもしかして……」




「神の切りふだだって?」
「ああ。その色のオーラが出たなら、まず間違いはない」

 子リン達が眠っている側で、ファルコとクリスタルは、マーシス達から話を聞いていた。

「あの技は正しく神の力。選ばれた戦士に与えられる奥義だ。だが未熟な戦士は、神の力を上手く制御仕切れずに暴走を起こすことがある。優秀な戦士も酷く疲労を溜めるだろう」
「神並の力が備えられてるから、その分リスクが大きいのね」

 クリスタルは考えながら紡いだ。

「そろそろ隊長が元気になってると良いけど」

 と、カービィが扉の方を向いた時だ。

「ぶごは!!」

 突如扉が開いて誰かが突っ込んで来て、カービィを思い切り蹴飛ばしてしまった。吹っ飛ばされたカービィは壁に激突してしまう。

「あー! わりい、カービィ!」

 マリオは目を皿の様にしながら慌てて謝罪した。マリオ達が入って来たのである。
 ファルコ達はマリオ達の前まで詰め寄ると、口に指を当てて静かに! と言う仕草をした。

「バカ、静かにしろよ」

 ファルコは静かに声を出した。マリオは慌てて口を手で抑えた。

「ご、ごめんっ」
「いったぁー……」

 床にいるカービィは涙を滲ませ、頭を必死で抑えた。

「……あっ!」

 だがフォックスを見付けるとそんな事も綺麗に忘れ、直ぐにフォックスの頭の上へ飛び乗った。フォックスは頭の上のカービィに笑んだ。

「切り換え早いなぁ、カービィは」
「エヘヘー」
「ところで、子リン達の様子は?」

 マリオはメタナイト達に訊いた。メタナイトとマーシスはマリオに一旦振り向いたものの、後に無言で子リン達を見守る。
 静かに眠っている子リン達だが、顔色も悪い上、体の一部にいくつかの紫色をした六角形因子を組み合わせたものがシールの様に貼り付いていた。子リンは肩に、プリンは片頬に、ピチューは片耳についている。

「これがアパロイドの……」

 マリオは悔しそうに呟いた。
 汗をかいている子リンの額をそっと撫でながら、プリンにピチューを見つめた。

「皆、頑張ってな。必ず僕らが何とかしてみせるからっ」
「……」

 固く誓うマリオを、周りの者は優しく見守った。

「あ。皆ここにいたんだねっ」

 扉が開き、顔を出したのはスリッピーだった。

「お、スリッピー。どうした?」

 ファルコは顔だけを彼に向けた。

「もうすぐパペトゥーンへ着くよ。皆準備をしてっ」
「もうここまで来たんだねー! 早いなぁー」

 カービィは少しビックリした顔をしていた。フォックスは、そんなカービィに一寸した説明をした。

「カービィ? コロニーを通れば、パペトゥーンはすぐなんだよ」
「そうなの? もっと遠いと思ってたよっ」
「よしっ。行こうっ! さっさと虫達をブッ飛ばすぞ!」

 マリオが張り切って通路に出ようとした時だ。

「待って、マリオ!」
「ぐえっ!?」

 スリッピーはマリオの服を慌てて掴んだ。その拍子で首をしめられたマリオはうっかり変な声を出し、反動で仰向けに倒れてしまった。

「出撃するのはまだもう少し待ってっ」
「?」

 フォックス達は彼の言葉に首を傾げた。フォックスが代表して問う。

「スリッピー、それは一体どう言うことだ?」
「うん、それはブリッジで言うよ。さっきペパー将軍からメッセージが来てたんだ」
「ぺ、ペパー将軍って、あの犬の将軍?」

 首を抑えながらマリオは立ち上がった。無事で良かったものの、首を一瞬しめられてしまったからか、喉の調子が少し悪くなっていた。

「そうだよっ。あの犬の将軍だよ」
「オーケー。じゃあ集合しようかっ……ゲホッ。
 そうそう。念のためにピカチュウ、子リン達をみていてくれないか?」
「ピィーカッ」

 ピカチュウは胸に小さな拳をトンッと当て、任せてよ! と叫ぶ様に言った。マリオはそんなピカチュウによしっと微笑んだ。




 ピカチュウ達を除き、他のスマブラとスターフォックスはなるべく急いでブリッジへ駆け付けた。扉の音に気付いたペッピーは椅子を回転させてこちらを見た。

「ペパー将軍からのメッセージだ。心して聞くんだぞ」
「は、はい。分かりました」
(何だこの感じ。嫌な予感がする)

 マリオは何故か変な胸騒ぎを覚えてしまっていた。
 ペッピーはキーボードを叩き、そしてエンターを押した。目の前の全員用モニターにペパー将軍の姿が現れた。

「皆、心して聞いてくれ」

 ペパー将軍は、何故か辛そうな表情をしていた。マリオ達は息を飲む。

「コーネリア軍がアパロイドのコアメモリーを調べた結果、奴らの本拠地が分かった……どうやら本拠地はパペトゥーンにあると言う」
「な! 何ですって!?」

 フォックス達は見開いてしまった。共にリンクも酷く驚いていた。

「えっ。リンク?」

 まだ何も分かっていないマリオ達。マリオはリンクを見ると、リンクは焦って説明した。

「パペトゥーンはフォックスの故郷の星なんですっ」
「ええ!?」

 漸く理解したマリオ達は、矢張りフォックス達と同じ程に驚かざるを得なかった。

「君達にとっては辛いだろうが、コーネリア軍の正式な報告なのだ。どうか受け止めて欲しい」
「……正か……そんな……」

 フォックスは茫然としてしまった。
 本拠地と言うことは、パペトゥーンは完全に支配されたと言ってもおかしくない。予想外な事実に言葉が出なくなってしまった。

「だが、まだ遅くはない」

 今の言葉にマリオ達はペパー将軍を見た。

「アパロイドマザーはどうやら何者かに寄って復活させられようとしているのだ。他のアパロイドは遺伝子を元に人工的に作り出されたものだと言う。我々の軍もパペトゥーンへたどり着く。アパロイド達の撃墜は我々に任せろ。スターフォックス、そしてスマッシュブラザーズの諸君、本拠地に侵入し、その責任者を捕えるのが、今回の私からの依頼だ。頼んだぞ」

 そこでメッセージが終わった。

「……」
「フォックス……」

 目に影を作ってうつ向くフォックスに、リンクは心配そうに見つめた。
 まだ悲しんでいると誰もが思ったが、顔を上げたフォックスはキリッとしていた。

「これより、パペトゥーンの大気圏へ突入する!」
「……!」

 まだ心配な目をしているマリオ達だが、フォックスは笑顔で言った。

「悲しんでる場合じゃないぞ、皆。俺達の故郷を、仲間を助ける為に、本拠地を潰しにいこう!」

 元気で真っ直ぐな言葉に、マリオ達もその反動で元気になった気がした。

「! そ、そうだなっ。皆で力を合わせ、アパロイドを全滅させようっ」
「おう!」

 マリオとフォックスはガシッと腕を組み合った。
 戦闘準備に入り、グレートフォックスは吸い込まれる様に、緑の惑星パペトゥーンへ向かって行った。









 ──to be continued──