影








「ピカ……」

 子リン達を見張っている時に少し艦内が響き、ピカチュウは何事だろうかとキョロキョロした。そこへ扉が開き、マリオが現れた。

「ピカチュウ、そろそろパペトゥーンだ。後のことはナウスやペッピーに任せれば大丈夫だって」
「! ピィカッ」

 耳を動かすとピカチュウは怒った様な顔をし、頷いた。そしてマリオの頭の上に飛び乗る。
 マリオは部屋から出る前に一度子リン達をチラッと見てから、部屋を出た。




 フォックスとファルコはブラスターを使った白兵戦、スリッピーはランドマスターと言う戦車で地上戦、そしてクリスタルは、アーウィンを使った空中戦を行うことにした。スマッシュブラザーズはフォックス達と同じ、白兵戦で本拠地へ行くことにした。
 緑の惑星と呼ばれていたパペトゥーンだが、宇宙から見れば殆んどがブラウンに染まり掛けていた。地上に立っても緑と言う面影が無くなり掛けている。恐らく敵軍に寄る汚染と焼き払いのせいだろう。
 都会もほぼ壊滅状態まで追い込まれていて、アパロイドがあちこちうようよと動き回っていた。まだ残っている住人もかなりいるらしく、逃げ惑う者、悲鳴を上げる声が絶えない。

「奴らもひでえことしやがるぜ」

 ファルコは歯をくいしばり、ブラスターをギュッと握り締めた。

「フォックス、このままじゃ本拠地が把握出来ない。一体どうすれば良いんだ?」

 リンクは少し困った顔をした。
 フォックスはインカムをいじった。

「……通信は直ったみたいだが、レーダーは何かに寄って妨害されているみたいだな。恐らくそれは妨害装置だ。確かにこのままじゃ本拠地が分からない」
「なら、妨害の原因を壊すまでだろうな」

 腕を組んだまま、スネークは口を開いた。フォックスは彼に首を縦に振った。

「でも、その肝心な妨害装置がどこにあるのか分からないんだよな」

 マリオは顎を持った。

「そうだな。手分けして妨害装置を探し、破壊して行こうっ。もし破壊したら、僕かフォックスに連絡してくれるか?」
「ああ、そうしよう」

 メタナイトは言った。
 マリオはよしっと言った後、

「じゃあ皆、解散!!」
「……どこのチーフですかっ」

 リンクが突っ込みながらも、その名の通り、スマブラ達はあちこちバラバラになって行った。

「それにしても、酷い有り様だな」
「ピィカ……」

 都内を駆けるマリオの言葉に、ピカチュウは耳を垂らした。
 その時、彼等の前にアパロイドが降り立った。クモの形をしたアパロイドよりも更に巨大なものである。

「ったくしつこい奴らだなぁ」

 何と無くうんざりしているマリオは片眉を上げては頭を掻いた。最初は今までの戦法を思い出せば楽勝だと思ったのである。

「ピカッ?」
「!」

 マリオ達はギョッとした。そのアパロイドの背中に誰かが乗っている様に見えたのである。彼等が最近見た者だ。半透明な紫人間。そう思うと、ハッと思い出した。

「お前っ……正か!!」
「ん? その声はスマッシュブラザーズかな?」
「!」

 その時頭上から声がし、とっさに見上げた。真上から巨大グモのアパロイドが落ちてきた。

「うわぁっ!」

 間一髪でマリオはアパロイドの落下攻撃から避けた。地面を転がるが、何とか体勢は整える。
 そしてしゃがみながらそのアパロイドを睨んでいると、奴の背中に何者かが立っていた。

「! お前は……お前はデーク!?」
「ピカッチュー!?」

 それはもう一人のマリオであるデークと、彼の肩に乗っているクルヴィだった。彼等はこちらを向くとニヤリと笑った。

「やあ。また会ったね」
「ピカッ」
「な、何でお前達がここに……!!」

 言い切る直前、マリオはハッとした。とんでもないことを考えてしまったのである。そう思うと段々顔色を悪くしてしまったが、そう思わざるを得なかった。

「正か、裏で糸を引いていたのは……ギガ軍、お前達だったのか!?」

 驚きに任せて叫ぶ。それに対し、デークは腕を組みながら目を細め、フッと笑った。

「さあ? 僕達は只隊長の命令に従って行動をしてるだけだからね。そこまでは何とも言えないさ」
「ピカピ」

 クルヴィも笑みながら首を横に小さく振った。
 そんな応えが帰って来たが、マリオ達はそれでも彼等を許せないでいた。

「それでも……それでもお前達にこの惑星を自由にはさせないっ!」
「ピッカァ!」
「ふん。ま、この街潰しが暇だったんだ。丁度良い」
「ピッカチュー」

 デークは口に二本の指をくわえて笛を鳴らすと、クモのアパロイドはガシンガシンと機械音を立てながらマリオ達を睨んだ。威嚇する様な目にマリオ達は一瞬だけ驚くが、直ぐに拳を構えた。

「さあアパロイドよ、餌の時間だ!」
「キシャアァ!」

 アパロイドは大ジャンプして一気に襲い掛かって来た。マリオとピカチュウはワイの字にジャンプして避けた。アパロイドの首が地面に突っ込むが、直ぐに元の体勢に戻った。

「ハァ!」
「ピカッチュ!」

 マリオは拳を構え、ピカチュウは頬から電流を流し、一気に突っ込んでいった。見事アパロイドにクリーンヒットし、パンチと電気ショックがデーク達諸ともダメージを与えた。

「うわあ!」
「よっしゃあっ。どうだまいったかっ!」
「ピッカチュー!」

 地面にスタッと降り立ち、ピカチュウはマリオの肩に飛び乗った。
 電流に寄る煙が晴れてゆく。そこで見たものは、マリオ達を驚かせた光景だった。
 アパロイド、デーク、そしてクルヴィが、平然としてこちらを見ていた。デークは目を細めてニヤリと笑った。

「なーんて、僕達がそう簡単にやられるとでも?」
「ピカピー」
「そんなっ……ノーダメージだなんて……っ……」
「ピッ……!」

 マリオは冷や汗を流し、一歩あとずさってしまった。

「そんなバラバラな戦法でやられる様な僕達じゃないぜ」

 デークは肩にクルヴィを乗せたまま高々とジャンプした。そしてクルヴィはその場で電流を流し始めた。

「なっ! 乗ったまま電流を流すなんて、それなのにどうして感電しないんだ!?」

 マリオとピカチュウは、デーク達から目を離せずにいた。

「良いか? 技ってのはなぁ、こうやって出すんだよ!」

 デークはこちらへ向かいながら拳を構えると、クルヴィの放電が拳へ流れる。

「うわああぁーっ!」
「ピィカアァ!」

 マリオ達はギリギリで避けたが、電気が地面にぶつかった反動で跳ね上がり、迂濶にも感電してしまった。それは一瞬だったが、かなりのダメージを受けてしまい、蹲ってしまった。

「うう、クルヴィの放電からサンダーハンドを作り出すなんて……いつの間にこんなにパワーアップしてるんだっ……」

 マリオは地面に手を付け、息を荒らしながら呟いた。

「ふふ、休まず行くぜ!」
「!」

 そう言った直後にデークがこちらへ急接近して来た。マリオは直ぐに立ち上がってその場から素早く離れた。デークはマリオの位置へ着地して足をバウンドさせ、マリオを追う。

「ピカッ!」
「! ピカッチュウ!」

 クルヴィもピカチュウへとびかかる。ピカチュウはクルヴィの振ってきた尻尾をしゃがんで避け、下から足を振り上げた。クルヴィは横へ素早く移動すると足払いを繰り出して来た。

「ピッカー……ッ!」

 ピカチュウは身を翻してちゅうを舞い、そしてクルヴィの頬を尻尾で殴り飛ばした。

「ビッ……!」

 クルヴィは吹っ飛ばされるが、ジャンプして来たアパロイドに支えられた。

「ピィカ……ピッ!?」

 一旦クルヴィはホッとしたが、それが命取りだと気付いた時は、ピカチュウはアパロイドに手を付けていた時だ。ピカチュウは、電流を発しながら少しだけ笑み、そして一気に放電をした。

「ピイィィカアアァチュウウゥッ!!」

 一方で、マリオとデークはビルを壁ジャンプしてゆきながら技をぶつけ合った。何度か技を交した後で再び壁に足を付け、そして技を繰り出すと、それが繰り返される。

「ふん、少しはそっちも成長してるんだね?」

 デークはビルに設置されているパイプを掴んで止まると、口端を上げた。それは、マリオも同じやり方だった。だが、マリオは無論怒っている。

「僕は──僕達は、絶対に負けてはならない理由がある」
「ほお。それは何だい?」
「僕達にはっ……帰る場所があるからだぁ!!」

 マリオは壁を思い切り蹴り、デークに高速で向かった。

「甘い!」

 デークも壁を蹴って技をぶつけようとした。
 だがデークはハッと気付いた。マリオの肩に、いつの間にかピカチュウが乗っている事を。しかも頬から電流を流している。

「ピカアアァ!」

 ピカチュウは叫びながら思い切り放電した。マリオはピカチュウの電気を全身で浴びながら拳を構える。

「うおおぉぉーっ!!」
「! 何!?」

 デークは、マリオ達から発せられる光に戸惑っていた。

「くらえ! メテオスマアァッシュ!!」

 そうしている間にマリオは拳を上に振り上げると、デークを上から殴り落とした。同時に電流がデークの体を流れる。

「うおあああぁぁぁ!!」

 デークは地面へ見事突き落とされた。マリオは少し離れたとこで無事着地し、拳が少し焦げて上がる煙を一息吹いて消した。




「マーシス、今、何か感じたか?」

 ファルコは、マーシスと一緒に都内を走りながら口を開いた。

「……そうだな。しかも、その気配は次第に大きくなっている」

 マーシスは前を見ながら言った。

「!!」

 そして二人は同時に強い殺気を抱いた。二人は地面を強く蹴り上げ、素早くその場を離れた。さっきまで彼等がいた場所に巨大なコンクリートの塊が落下し、砂埃を上げながら地面にめり込んだ。

「な、何なんだ、これは!」

 着地したファルコはコンクリートを見る。
 それとは違い、マーシスはふと見上げた。
 太陽の光を逆光に浴びながらこちらへ来る男が二人いた。その者達はコンクリートの塊の上に足を付け、こちらを見下ろして来た。

「また会っちゃったね、マーシスさん」
「……矢張りそなたであったか……」

 その中の一人に、最も強い殺気を漂わせている男のディバがいた。

「! てめぇは……っ!!」

 ファルコはギョッとしてディバに見開いた。彼を見た途端、あの記憶が蘇って来た。初めて出会い、好きなように叩きのめされたあの時が、まるで昨日のことの様に思い出す。
 ディバはファルコを見ると、何かを思い出した様にハッとし、クスッと笑った。

「おやぁ? 良く見たらあの時の鳥さんじゃないか。もう死んだと思ってたけど、正かぴんぴんしてたとはね」
「あの時は好きなようにされちまったが、今度はそうはいかねえぜ!」

 ファルコはディバにブラスターを突き付けた。だが、ディバはクスッと笑い、こう言った。

「相手が違うよ、鳥さん」
「何?」

 そして、ディバの隣に立つもう一人の人物がいた。それはファルコに極似している、いや、同じ形をしていた。ただ違うのは、目の色だけだ。

「! 正かてめぇは……!」
「よお、初めましてとでも言うべきか?」

 その男は、ファルコのクローンだった。

「ジビンダーと呼んでくれ、ファルコ・ランバルディ」
「っへ。良いだろう。精々楽しませるこったな」

 ファルコはブラスターの銃口をジビンダーに向け、ディバを睨む。

「ジビンダーを倒したら、次はてめえの番だ!」

 二本の長い剣を構えながらディバはこちらを向いた。

「ヒヒッ、それも良いねぇ。じゃあ……」

 そして、剣を構えるマーシスに振り向いた

「僕がマーシスを細切れにしたら、今度は鳥さんの番だからね」
「私はそなたには負けんっ」

 マーシスは声を上げた。ディバはそれでも余裕に笑っている。

「だから僕達も今から強くならなきゃ駄目なんだよね」
「どう言うことだ」
「……ラフィット!」

 ディバは突如名前を叫んだ。すると、ディバ達の頭上に闇の光が出現し、そこから一人の少年が現れた。

「ネスか……?」

 ファルコは最初はそう思ったが、後にネスのクローンだと言うことが分かった。
 ラフィットは、ディバとジビンダーの間に降り立ち、確りと立ち上がると両手を掲げた。

「シールドβ!」

 彼がそう叫ぶと、手の間から紫色の光が現れ、二人の体も紫のボヤけた光に包まれた。

「ご苦労、もう下がって良い」

 ディバは前を見ながら言った。ラフィットは気弱な顔をして手を下ろすと、闇色の光と共に姿を消した。

「さあ、楽しいゲームをおっぱじめようか、お二人さん」

 ディバは剣先に舌を這わせた。その前に、小さなアパロイドの集団が立ちはだかった。

「しつけえよ、雑魚野郎が!」

 二人は襲い掛かるアパロイドを次々と倒していった。
 そしてファルコはジビンダーへ蹴りを繰り出した。ジビンダーは腕でファルコの蹴りを防いだが、衝撃で吹き飛んだ。

「く……っ!」
「けっ! それがてめえの実力か?」

 と、ファルコは余裕で身構えた。
 しかし、ジビンダーは地面に足を付けた後、ファルコを見ては不適な笑みを浮かべた。

「! 何がおかしい!」
「そのぶっこいてる余裕がおかしいんだよ」
「何を……っ……うぐっ!!」

 その瞬間、誰も近くにいないのにファルコも何かの打撃を受け、ジビンダーと同じ様に吹き飛ばされてしまった。いきなりに何があったのか理解できないファルコはそのまま地面に体を叩き付けられた。

「ゲホッ……な、何だっ?」

 ダメージは小さかったが、ファルコは戸惑っていた。ジビンダーは立ち上がり、人指し指をちょいちょい動かして挑発した。

「舐めた真似しやがって!」

 ファルコは気にせずジビンダーへ向かって走る。そして高々とジャンプし、ドリルキックな連続攻撃を出す。

「ふんっ!」

 ジビンダーは腕をクロスしてダメージを最小限に抑え、そして地面を蹴ると体を回転させたキックを出す。

「ぐはっ!」

 足がファルコの腹部へめり込み、ファルコは蹴りを入れられたまま地面へ体を沈ませてしまう。

(な、何だ? 只の蹴りの癖に、多大のダメージをくらっているみてぇだ……)

 ゆっくりと立ち上がり、切れた口を手の甲で拭いながらペッと血を吐き出した。

「むんっ!」

 マーシスはディバと剣を何度も交わした。微笑んでいるディバに対し、マーシスは無表情で挑んでいた。

「相変わらず互角と言ったとこか」

 ディバは剣を何度も弾き合いながら呟いた。

「はっ!」

 マーシスは交わった剣を弾き上げると、ディバの胸に蹴りを入れた。ディバの肺から大量の空気が一辺に吐き出され、ディバは片膝を付きながら地面を引きずっていった。

「……そのままだと厄介なんじゃないの?」

 胸を押さえながらゆっくりと顔を上げたディバは、マーシスに笑んだ。

「何? ぐふっ!」

 誰もいないのにマーシスは胸を独りでに蹴り飛ばされ。何とか倒れず着地出来たが、胸は押さえたままだった。

(これはもしや……)
「ファルコ殿! 打撃攻撃はしてはならぬ!」

 一旦ジビンダーと離れたファルコに言った。

「どう言う意味だ?」
「先程の少年が仕掛けた技は、打撃攻撃を跳ね返すバリアだったのだ」
「チッ、通りでおかしいと思ったぜ──マーシス、危ない!!」
「!」

 そこでディバが猛スピードで斬り掛かってきた。マーシスはサッと剣を構えてそれを抑える。
 そして剣の押し合いをしている時、ディバの剣がマーシスの目にふと入った。

「っ!」

 マーシスはハッとした。ディバの持つ剣には、僅かな赤がこびりついていたのである。遠くからでは薄すぎて気付かなかった。

「そなた、ここでも無実の者達を斬っていったのか?」

 マーシスは静かに怒りを露にしてゆく。

「ん? 何か言ったか?」

 ディバは態とらしい笑顔を作ってみせた。

「まあ、僕らを邪魔する者は、女や子供でも容赦はしないからな。ヒヒヒッ!」
「!」

 ディバはゾッとする笑い声を発した。それを聞いたマーシスは、鼓動を高く鳴らした。心底から怒りの炎が沸々と沸いて行く。

「そなたの過ちに、私が罰を与えよう!」
「フン、やれるものならやってご覧よ!」




「あれはっ……」

 リンクが上空を見上げ、そこで見た物は、何か電波を発している機械だ。それは黒いトゲトゲした様な虫で、リンクに気付くと、ゆっくりと黄色い目を開き、目からピンク色のビームを発射した。

「くっ!」

 弓矢を取り出したとこでリンクは横っ跳びをしてビームをかわし、跳びながら矢を放った。矢はアパロイドの目にヒットし、アパロイドは瞬時で消滅した。

「確かあの形、フォックスが言っていたな」

 リンクは大分使い慣れて来たインカムでフォックスへ通信を繋げた。

「こちらリンク。フォックス、聞こえるか?」
『こちらフォックス。聞こえてるよ』
「今、フォックスが言ってた妨害装置を破壊した」
『ああ、良くやった。けど、まだレーダーは回復してない。どうやら妨害装置は一つだけじゃないみたいだな』
「そうなのか? じゃあ、もっとあちこち探してみるよ」
『こっちも何とか見付けだしてみせる。全部破壊するまで無事でいろよ』
「フォックスもな」
「果たしてそうかな?」
「!」

 もう一人の自分の声がし、リンクは通信を切ると振り返った。
 そこには、後ろにアパロイドを何匹か連れているミエールが立っていた。

「ミエール!!」
「あの時はやられましたが、今度は負けない」

 ミエールは口端を上げ、マスターソードをゆっくり構えた。
 リンクは少し後退り、そしてその場から去ろうとした。しかし、彼の前にアパロイドが上から現れ、行く手を阻む。
 首筋にマスターソードの刃が当てられ、リンクは目線を横にしてミエールを見た。

「俺からは逃がさない。今度こそ血祭りにしてやろう」
「……敬語じゃなくなって来たな。俺が憎いからか?」

 振り向かずに問掛けた。ミエールはそれを聞くと、フッと笑い、マスターソードを首筋から離した。

「更なる敵意を抱く者に対する敬語は要らない」
「ダイヤモンドシティの時を根に持っているみたいだな」

 盾と剣を構え、ミエールに振り返るや否や攻撃に掛かった。ミエールは縦ぎりを繰り出し、ガキィンと火花が散った。
 ミエールは彼の剣を抑えたままサッとしゃがむと足払いを仕掛けた。

「!」

 リンクはそれをくらってしまい、宙に浮いてしまった。ミエールは下から切り上げようとして来る。

「うおぉ!」

 リンクは気合いを入れた。すると、体を横へ一回転させ、ミエールの剣を危ういところでかわした。

「おわっ!」

 だが着地のバランスを崩し、うっかり尻餅をついてしまった。

「まだまだ休むのは早い!」

 ミエールが次の行動に移ろうとした時、リンクは体勢を崩したままだった。

(く、ヤバい!)

 だがその時だった。

「ちょっとお! 追い掛けて来ないでよお!」

 上からの突然の声にリンクとミエールは思わず見上げてしまった。
 上空に小さな光がキラリと現れた途端、何かがこちらへ向かってくる。何やら落ちてきている様にも見えた。見覚えのあるピンクボールが段々大きくなっている。

「わああぁぁっ!」
「カ、カービィ!? うわぁっと!」

 リンクは慌てて立ち上がっては落ちてくるカービィを慌ててキャッチした。見事リンクの腕の中に、カービィがスッポリと入っていた。

「えへへ、ナイスキャッチ、リンク」
「ど、どうしたんだよ、カービィっ」

 こちらに笑うカービィだが、リンクは焦っていた。

「カービィ、攻撃を避ける為に、態々落ちること無かろう」

 彼等の側にメタナイトが瞬間移動して現れた。カービィはテヘッと自分の頭を軽く叩く。
 そんな時、僅かな地響きが起きたと思いきや、気付けば小さなドーム並の大きな影が彼等の前に現れた。
 全員そっちを見ると、巨大な円盤を巨大な足で支えているアパロイドだった。円盤に小さな顔が張り付いていると見る。

「な、何だ!?」

 それはパペトゥーンの都市のどこを回っても見える程だった。

「何だあれはっ」

 丁度妨害装置を破壊したスネークはそれに気付いた。

「あれは……!」

 同じく妨害装置を壊したフォックスもそいつに気付く。

「わあ! 今度のはやけにでかいよお!」

 別の場所でスリッピーも恐々に言った。

「……今までよりかなりの違和感を感じるわ……」

 上空からクリスタルもそいつを見る。

「何だあれ!」
「ピカッ……!」

 マリオとピカチュウも驚いていた。
 立ち上がっているデークやクルヴィもアパロイドを見る。

「来ちまったか」
「何っ?」
「悪いけど今日はここまでだ。今度はもっと本格的にいきたいねっ。じゃあな!」

 デークはクルヴィを肩に乗せるとその場から消えた。

「あ、待て!」
「ピッピカチュウ!」
「……仕方がない。あのアパロイドを撃破だっ」

 マリオはマントを巻き、そこから飛び立った。

「あれもアパロイドかっ!」

 カービィが離れ、リンクは剣を構えた。

「実はあいつらに追われてたんだよ、僕達……」

 カービィは恐る恐る紡いだ。
 そこへ、巨大アパロイドの円盤の上から顔を出した者が二人。

「逃げ足早いねぇ、カービィ?」

 それはリズとフビルの姿だった。

「待たせたな、ギガ軍よ」
「チッ、確かディバ隊長の命令と言ってましたね、『力を試す為、こいつが現れたら撤退する様に』と」

 舌打ちしたミエールは剣をしまった。

「それまでに、こいつを俺の力で殺してやりたかった」
「ま、リンクに死んで貰うならそれで良いんでしょ?」

 クスクス笑うリズから、ミエールはそっぽを向いた。

「何だあの化け物はっ……」
「くそ、あいつかよ!」

 マーシスとファルコも手を止めた。

「……早かったね、リズにフビル」

 多少の怪我を負ったディバだが、剣をしまう。

「また戦いは中断だ。今度は第二段階バトルで会おうな!」
「チィッ。やっとしぶといファルコにとどめをさせるとこだったのにな」

 ジビンダーはアパロイドを見ながらブラスターをしまい、二人はその場から消えようとしていた。

「てめえら、尻尾を巻いて逃げるのか!?」

 ファルコは肩を抑えながら叫んだ。

「待て、ディバにジビンダー! 戦いはまだ終わっていないぞ!」

 マーシスは止めようと走り出した。
 それにも構わず、ディバとジビンダーの姿が薄くなっていく。ディバは最後に、彼を一瞥してから消え去った。

「くそっ! マーシス」
「ああ。今はあのアパロイドを止めよう」

 遠くだが、それでも見える程にでかいアパロイド目指して駆け出した。

「……」
(あの技を受けても、中々の耐性を持っているな。やはりアイツは……)

 マーシスはそう思いながら走る。

「大変だ。奴が暴れたら大変なことになる!」

 フォックスは焦り、直ぐに向かおうとした。
 ところが、何かの気配を感じたフォックスは足を止めた。ブラスターを構えながら横を向くと、少し距離がある所に、誰かが後ろ姿で立っていた。

「!」

 初めは分からなかったが、今はハッとした。

(父……さん……?)

 フォックスはそれが自分の父の姿に見えた。フォックスと多少違う服装から、間違い無い。片耳が少し欠けているのも彼の特徴だ。

「……」

 彼が少しだけこちらを向くと、フォックスは更に見開いた。彼が愛用していたサングラスが目に入ったのだ。
 脱力しかけてブラスターを下ろしてしまう。何故、死んだ彼が……いや、死んだと思わせる彼、ジェームズがここにいるのかが分からなかった。

「父さん、どうして?」

 フォックスは静かに問掛けるが、ジェームズは何も応えずまた前を向き、そしていきなり走り出したのだ。

「! 父さん!」

 反射的にフォックスも走り出した。何度呼んでもジェームズは振り返らず、只走り続けていた。

「待ってよ、父さん!」

 フォックスは無我夢中で彼を追い掛けていった。ジェームズが、パペトゥーンに存在する筈のない研究所へ入ってゆくのに気付きもせず。




「今回は最高傑作だねっ」

 リズはにやにやしながらアパロイドを見下ろした。

「『彼』にしては、中々の上出来と言えよう」
「……彼?」

 続いてフビルが言うと、マリオは何かに引っ掛かった気がした。

「フビル! 彼とは一体どう言う意味だ!」
「おっと、お喋りが過ぎたか」

 フビルはマリオを見る。

「フッ。じきに分かるさ。そなたの大切な友達が消えてからな」
「なっ……!」
「じゃーね、皆」

 リズは陽気に手を振った。

「早くこいつを倒さないと、とっても綺麗なこの惑星が終わっちゃうからねー」

 空からブラックワープスターが現れるとリズ達を乗せ、直ぐに飛び去ってしまった。

「……」

 ミエールはうつ向きながら、スマブラを目線だけで見つめる。

「……闇の力さえ生まれれば……貴様は俺らのものだ」

 聞こえない程度にミエールは呟き、密かに笑みを浮かべながら、そこから霧の様に消え去った。

「畜生、何てことだ!」

 巨大アパロイドがこちらへ歩み寄り、マリオ達はサッと身構えた。

「……」
「? リンク、どうした?」

 リンクはさっきから落ち着きが無い。それに気付いたマリオは問掛けた。リンクはどうやらインカムをいじっているみたいだ。

「……変なんです」

 リンクは顔色を多少悪くしながらこちらを向いた。

「フォックスと通信をとろうとも……出来なくなっているんです!」
「なっ……何だって!?」

 それは今の戦い以来初めてのことだった。
 しかもスターフォックスのリーダーであるフォックスと話せないと言うのは、ほぼ失望だと感じても過言では無かった。

「フォックスがいなきゃ、この戦いは不利かも知れないよ!?」

 カービィはわたわたしていた。

「どうする、隊長?」
「くっ……」

 腕を組んでスネークは訊くが、マリオは口ごもった。

「皆!」

 インカムから流れ込んで来た声があった。

「その声は、ペッピー?」
「まずは奴を倒すことが優先だ」
「このままだとパペトゥーンが滅茶苦茶になっちゃうからねっ」

 その声と共に、彼等の横に一台の未来型戦車ランドマスターが現れた。ランドマスターに乗っているのは、確かスリッピーだ。

「スリッピーっ」
「フォックスのことも心配だけど……」

 上空ではクリスタルを乗せたアーウィンが旋回していた。

「アパロイド達から一刻も早くこの星を救う。それは、フォックスもきっと何より望んでいることよ」
「……そう。そうだな」

 マリオは前を向くとニッと笑った。

「だけど、仲間としてフォックスを見捨てる訳にはいかないさっ。それに、一秒でも早く、敵の本拠地を突き止めなきゃっ。ピカチュウとスネークは妨害装置の破壊を続けて」
「ピカッチュ!」
「了解。そっちの仕事の方がやりやすい」

 スネークは銃を構え、その場を去る。ピカチュウもマリオの肩から降り、彼の後をついていった。

「そして、リンクとカービィはフォックスの行方を追ってくれ」
「分かりました」
「任せてっ」

 リンクは了解すると、彼が心配でならないのか、直ぐに走っていった。カービィは、飛んで来たワープスターに飛び乗り、風をサーフィンしていった。

「後の皆で、こいつを叩くぞ!」
「マリオ殿……」
「ああ。心得た」
「空の仕事の方がより捗るが、たまには運動しねえとなっ」
「オイラ達の仲間に手を出したことを後悔させてやるっ!」
「相手はかなり興奮してるわ。気を付けてっ」
「どんな強敵にだって勝ってやるさ! 掛かって来い!」

 マリオは空中パンチをした。
 アパロイドは彼等を睨み、攻撃体勢に入った。










 ──to be continued──