故郷での戦い








 一度深く息を吸い込んだ後、ドガドンの巨大な口からは高温の火炎が噴き出される。サムスとC・ファルコンはその場を跳躍し、スネークはローリングをし、そしてチャンキーは小さな悲鳴を上げながら慌ててその場を離れた。避けられた炎は、代わりに緑の草木を容赦なく焼き払う。自分達が避けてしまうと、ドンキー達の故郷に更なる危険が及んでしまうことを、彼らは新たな炎を目に悔やむ。

「やめろ、ドガドン!」

 サムスはアームキャノンを構えては光弾を、チャンキーはパイナップル・ランチャーからパイナップルを発射するが、ドガドンはそれらを容易に回避し、新たな炎を作り出そうと身構える。

「させるものか!!」

 C・ファルコンは他より高めな木の上に飛び乗ると、そこから更にジャンプする。

「続いてくれ、スネーク!」
「了解だ」

 スネークも彼に続きスティンガーを構え、速やかにミサイルを発射した。スティンガーのミサイルは追尾能力を持つ為、そのままC・ファルコンと共にドガドンへ向かう。そしてC・ファルコンがドガドンの頬へ強烈なパンチを食らわし、彼が離れた直後にミサイルが追い討ちを掛ける。

「グオオォ!」
「今だ!」

 サムスは一旦スーツを解除すると素早く鞭を振るい、ドガドンの羽に巻きつけ動きを止める。ドガドンは空中でも暫くもがいていたが、少ししてからドシャッと音を立て、地面へ大きな体を落とした。

「やった!」

 チャンキーは彼らの勇気ある活躍ぶりに感動すると共に、難無くドガドンを倒した事に喜びの声を上げた。だがサムスら三人は、倒れているドガドンを真剣な表情で見詰める。その中のスネークが、チャンキーに口を開いた。

「今のは急遽、火炎放射を阻止しただけだ。この程度でやられるとは思っていない」
「え?」
「……ふふふ。このワタシの炎攻撃を、生身の貴様らが止めるとはな……」

 ドガドンはそう言った後、閉じていた瞼をカッと開いた。それにチャンキーは思わず見開き肩を上げる。
 両手を使いゆっくりと立ち上がった後、ドガドンは高々な咆哮を上げた。その声量と超音波は島の山を木霊す程で、その衝撃でサムスが巻きつけていた鞭もバチッと音を立てて外れる。スマメンは咆哮に顔を引き攣らせる中、負けじと再度武器や拳を構え直し、サムスもパワードスーツを身に纏った。

「面白い! 更なる本気を見せてやる!」

 ドガドンは吠えた後、体中から紫と黒のオーラを溢れ出させた。先程よりも殺気が尋常で無く、スマメンは神経をピリピリさせた。

「……さっきと大分雰囲気が変わったな」

 スネークは相手を睨み上げつつ言った。

「当然のことだが、完全に戦闘不能状態にすることも考えなければならないな」

 C・ファルコンは僅かに冷や汗を流して言う。

「だが今の私達では、アイツの炎攻撃を抑えるだけで精一杯だ。これ以上の事はどうすれば……」

 まだその方法を見つけ出せいないサムスは、キャノンを構えたまま考え込む。このまま続けば、今以上の猛攻撃を仕掛けて来るに違いない。おまけに周りは火の海だ。万が一の逃げ場が減る上、下がることの無い高温が確実にサムス達の体力と戦闘力を奪っている。
 チャンキーは、今の自分に出来る事は、パイナップル・ランチャーで応戦する事しか無い。そう思い、何か他にはと辺りを見回す。

(あ、あれは……!)

 チャンキーの目に映ったもの──それはレールである。それは直ぐ近くにある洞窟内へ続いており、その上、丁度彼らと自分が入る程の大きさを持つトロッコまであった。

「皆、あれに乗る!」

 チャンキーの声にサムス達は振り返り、彼が指し示したトロッコを見る。

「あれに乗って逃げると言うのか?」
「しかし、このままでは不利なのは確かだ。場所を移動した方が良い。それに洞窟内なら、炎攻撃に寄る島の被害を少しでも減らす事が出来る」

 顎を軽く擦りながら呟くスネークにC・ファルコンはそう言う。そんな彼らにチャンキーは頷き、自信に満ちた眼差しを向ける。

「ボクに任せて大丈夫。あの洞窟、ドンキー達で探検したことある。だがら、レールがどこへ続いているかも分かる」
「なるほど。この島の住人だからな、信用出来る」
「喰らうがいい、猿共め!」
「!」

 背後から、ドガドンの声と共に業火が彼らを襲う。サムス達は避ける様にジャンプやダッシュをし、そのままトロッコへ乗り込んだ。

「行くよ!」

 チャンキーは、大人三人が乗っているトロッコを軽々と押し出し、大分スピードが上がった所で自分もトロッコ内へ飛び移り、そのまま洞窟内へ突入して行った。

「フン。鬼ごっこでも始めるつもりか」

 余裕な笑みを浮かべた後、ドガドンも彼らを追う為に洞窟内へ入っていった。

「来たな!」

 サムスとスネークはそれぞれの武器を構えた。C・ファルコンも光線銃を取り出し、三人で攻撃を始める。ドガドンはそれらをかわすが、洞窟内だからか動ける範囲が限られ、何発か命中する。しかし多少の傷は付くものの、致命傷にまでは到っていない。

「ハハハ! どうした、その程度なのか!?」
「わわっ!」

 だが回避率が下がっているのはスマメンも同様。ドガドンの炎が彼らに襲い掛かる。チャンキーはトロッコのスピードを上げ、ギリギリで炎攻撃を振り切った。

「くっ……ダメージは確実に与えている筈だ! しかし……」
「いつになったら、HPを零に出来るか、だな」

 サムスはヘルメットの中で怒りの表情を浮かべ、言葉を濁したとこをスネークが繋げた。
 スネークはより強力な武器に変更しようとロケットランチャーを構える。そしてミサイルを発射すれば、見事ドガドンに命中する。続いてサムスもチャージショットを放った。確実にダメージ蓄積はされているのが、ドガドンの様子を見て分かる。

「グオオッ! おのれぇ……っ! こうなれば貴様らをさっさと噛み砕いてやる!」

 ドガドンを纏うオーラが更に増幅し、トンボの様な羽を更に速く動かす。すると、トロッコよりもスピードアップをし、そのままサムス達を喰らおうと大口を開く。

「っ……まずい……!」

 サムスが改めてアームキャノンを構えるも、次のチャージショットを放つまでに時間がかかってしまう。スネークのリロードも同様だった。

「こいつでどうだ!」

 C・ファルコンが彼らの代わりに光線銃を撃つが、何とドガドンはその光弾に噛み付き、消滅させてしまったのである。

「な、何だと!?」

 紫のオーラの所為なのか、パワーアップしたドガドンに彼らもたじろいだ。そして奴の大口は、彼らの目前まで迫って来た。
 その時、チャンキーが声を上げた。

「皆、伏せる!!」

 ずっと後ろを見ていたスマメンは彼の突然の声に彼に振り向いたが、今は迷っている暇は無い。 
 言われた通りに彼らが体を伏せると、チャンキーはパイナップル・ランチャーで目の前にあるレバーを撃った。大きなパイナップルはレバーに命中し、手前から奥へと動く。すると、分岐器が作動した。実はこのルート、このまま行けば、岩で壁が出来た行き止まりとなっていた。ルートを変更し、トロッコはもう片方のルートへ急カーブする。転倒しない様、チャンキーはトロッコを確りと掴みバランスを保った。

「な、何!?」

 彼らが突然右へ曲がったことに驚いたドガドンだが、スピードを上げた事で曲がり切れずそのまま真っ直ぐのルートを突っ切る。

「う、うわあああ! と、止まらなーい!?」

 そして、ドガドンの叫び声と大きな衝突音が、チャンキー達の耳に届いた。

「やるな、チャンキー。見直したぞ」
「流石、ドンキー達と探検しただけのことはあるな」
「えへへ」

 スネークは口端を上げ、小さな帽子共々チャンキーの頭に大きな手を置いた。その次にC・ファルコンが彼を褒める。褒められたチャンキーは照れながら頭を掻いていた。
 しかしその時だ。

「きぃさまらああああ!!」

 遠くから声が聞こえた。スマメンが全員振り返ると、体中ボロボロにしながらも、変わらぬ速さでドガドンが再び追い掛けて来たのが見えたのだ。

「許さん……貴様らを骨まで焼き尽くし、噛み砕くまで、ワタシは許さんぞおおお!!」

 大ダメージを受け、憎しみが増した所為で気でも狂ったか、目の焦点が合っていない。流石のサムス達も少々背筋を凍らせた。

「うわっ!? くっ……!」

 火炎弾を連発して来、幸い直撃を食らっていないものの、トロッコへ命中するのも時間の問題だ。

「くそっ、しつこい奴め!」
「このままじゃ埒が明かないな」
「うぅ……」
「チャンキー、どうした?」

 チャンキーは頭を両手で抱え、体を震わせていた。チャンキーは見た目大きく、ドンキーよりも力持ちだが、コングクルー一の臆病者と言う欠点がある。発狂したドガドンの姿に怯えてしまったのかも知れない。

「チャンキー、確りしろ。あんたが頼りなんだぞっ」
「スネーク、やめろ! ここは私達で何とかしよう!」

 サムスにそう言われ、スネークは舌打ちしながらも武器を持つ。だが、これ以上どうすれば良いのか。武器の弾さえ奴にとっては食べ物となってしまった。
 が、今のドガドンもボロボロな状態。後一回、奴にとって何か強力な一撃をお見舞いしてやれば……。

「!? おいおい冗談じゃないぞ……」

 スネークがふとチャンキーと同じ方を向くと、思わず見開いた。このレールの先は崖っぷちになっているのだが──何もない。そう、レールが少し上ったとこで途切れており、その続きのレールは大分奥にあったのだ。おまけに崖下は赤く燃えているに見えた。恐らく溶岩が広がっているのだろう。
 チャンキーが怯えている理由はこれだった。驚いた表情を乗せ、ガチガチと体を震わせながら漸く口を開く。

「ボ、ボク、知らなかった……いや、違う。前まで、確かにレール、続いてた……!」
「……この洞窟は見た感じ廃鉱だからな。レールも古い。いつ崩落してもおかしくなかったのだろう」

 冷静に言うC・ファルコンに対し、スネークは呆れる。

「暢気なこと言っている場合か。トロッコがあそこから飛び出して、向こうのレールに届かなければ、間違いなくお陀仏だ」
「それに、ここで止まればドガドンの餌食になる。最早運を天に任せるしかない……!」

 サムスは悪足掻きでも構わず、ドガドンへひたすら光弾を放ちながら言う。

「無駄だ! 何を考えようとも、お前達に逃げ場も勝ち目も無い!
 ──力持ちながらも臆病者の猿め。無理に戦いに参加せず、大人しくバナナでも食べて島の最期を見届けていれば良かったものを。フハハハハ!」

 既に勝った気でいるのか、ドガドンは言いたい放題だ。

「っ……!」

 チャンキーはバナナと聞いて、大事にしまってあるバナナを服越しに触れる。そして体を未だに震わせながらも、何かに決意した表情になり顔を素早く上げた。

「ボク、皆の為に、この力でアイツ、吹っ飛ばす!」
「チャンキー?」
「……まさか……!」
「……」

 サムスはチャンキーに振り向き、C・ファルコンは彼の言葉を聞いて何かを察し、スネークはそんな彼を黙って見詰める。
 その直後、レールからトロッコが勢い良く飛び出した。そしてチャンキーは声を上げながら、ドガドンへ向かってトロッコから飛び出した。

「な、何ぃ!?」
「うおおおおおおお!!」

 臆病者らしからぬ行動にドガドンも怯んだ。チャンキーは拳を作り、C・ファルコン達がパンチをぶち込んだとこと同じ頬を目掛け、思い切り殴りつけたのだ。

「ウグオオオオ!!」

 ダメージを受けた部分に、スピードに寄ってパワーアップしたチャンキーのパンチは一溜まりも無いだろう。頬に大きな拳が思い切り減り込み、ドガドンは洞窟の壁へ叩き付けられる。

「ク、クルール様あああああぁ……!!」

 そしてそのまま溶岩へ向かって落ちて行き、断末魔の声と共に沈んで行ったのだった。

「チャンキー!!」

 チャンキーもドガドンと同じ様に落ちて行きそうになったが、ゼロスーツに戻ったサムスが鞭を振るい、チャンキーの体に巻き付ける。

「確り捕まっていろ!」

 C・ファルコンとスネークがサムスを抑え、チャンキーをトロッコへと引っ張り戻した。チャンキーが無事戻った直後、トロッコは向こう側のレールへ着地し、出口へ向かって進んでいった。
 洞窟の表へ出た後、スネークがチャンキーの代わりにブレーキを掛ける。トロッコのスピードはゆっくりと落ちていき、やがてピタッと止まった。

「ったく、無茶苦茶なことをしてくれたな」

 スネークは苦笑を零した。C・ファルコンやサムスも、チャンキーに笑顔を向ける。
 少ししてから、チャンキーは俯いた。

「……ボク、小心者なの自覚してる。でも、皆命懸けで戦ってるのに、ボクだけ怯えてばかり、嫌だった。だから、勇気出した、命懸けの戦いで……」
「あれは勇気と言うより無謀と言えるが……ま、俺達も人の事言えないか」
「しかし、その無謀の勇気が俺達をも助けてくれたんだ。ありがとう、チャンキー」

 スネークは口端を上げたまま腕を組み、C・ファルコンはチャンキーの肩に手を置いた。

「──しかし、チャンキーが万が一いなくなってしまったら、仲間だけじゃなく、コイツもきっと悲しむってこと、忘れてはならないぞ」

 と、サムスはチャンキーのとある部分を指差した。それは、彼が今最も大事にしているバナナだ。チャンキーは蘇り立てのそれを取り出し暫し見つめてから、大きな両腕で優しく抱き締めた。

「ん?」

 鼻が濡れた気がし、C・ファルコンはふと顔を上げた。
 空を見上げれば、気付けば雨雲が広がっているのが分かった。

「あの雨で、炎に寄るこれ以上の被害を抑えられると良いのだが」
「うん……」

 最初の時より進行は遅くなったものの、未だに燃え続けている遠くの炎を、なす術も無い彼等はその場から見ていることしか出来なかった。




「アーミィ・ジロー、奴等を思い切り吹き飛ばしちゃいなよ、一欠片も残さずにね!」

 ジェイスはアーミィ・ジローの殻の上から、ディディー達を指差し命令を下す。紫のオーラを纏ったアーミィ・ジローは、影虫の影響なのか、一切喋らなくなっている。それでもジェイスの命令は確りと聞いており、殻の左右から砲塔を出し、彼等に標準を合わせた瞬間に何発か砲撃をした。

「くっ!」
「わわっと!」

 剣士達は砲弾から素早く離れ、ディディーも半ば慌てる様に避ける。避けられた砲弾は、木々を破壊して行く。

「畜生! オイラ達の島が……!」
「島をこれ以上壊されたく無かったら、大人しく弾の餌食になるしかないよね」

 そう言ってはアーミィ・ジローの上で笑い転げるジェイスを、ディディー達は思い切り睨む。

「他にも選択肢はある──ジェイス達を倒すことだよ!!」
「行くぞ、メタナイト!」
「ああ!」

 ピーナッツ・ポップガンを両手に握ったディディーはバレルジェットを背負うと飛び立つ。
 マーシスとメタナイトは剣を構え、アーミィ・ジローの本体を狙い切り掛かった。だが相手は砲塔と共に殻の中へ閉じこもった為、剣は殻に当たるだけに終わった。

「……っ! ドンキー殿達の言った通り、頑丈な殻だな……っ」

 剣を握った手を僅かに痺れさせながら、マーシスとメタナイトは相手から離れ、一端間合いをとる。

「なら、これでどうだ!」

 リンクは背中に手を回し、爆弾を取り出してはそれを思い切り投げつける。アーミィ・ジローはそれを見ると身構えた。爆弾が命中し、殻の中の振動で体がビリビリしたが、奴は怯んだ様子を見せない。

「くそ! 防御を更に固めたか……!」
「けど、奴は爆弾を喰らう直前に身構えたわね」

 悔やむリンクの帽子からナビィが顔を出した。

「そうさせる前に、爆弾を当てれば上手く行くと思うわ」
「……防御を固める前に……」

 リンクは顎に指を当て考える。

「作戦会議は試合前に終わらせて置いてくれないー?」

 ジェイスはその場で腕と足を組む。

「さっさとこの戦いを終わらせなきゃ。島を破壊する任務があるんだからさ」
「そうはさせないから!」

 ディディーはジェイスに向けてピーナッツの弾丸を連射した。ジェイスはそれらをチラリと見ると、足を組んだ儘同じく二丁のポップガンを構えては連射する。何とディディーが放った全ての弾丸は、ジェイスの全ての弾丸に寄って撃ち落とされたのである。

「う、嘘!?」
「ウキャキャキャ! オイラの動体視力、驚いたかい?」
「わっ!」

 ジェイスは立ち上がると、長い尻尾でディディーの体を捕らえ、リンク達に向かって投げつけた。

「うわあぁ!!」
「ディディー! うわっ!」
「キャア!?」

 飛んできたディディーに驚きつつもリンクは彼を何とか受け止めたが、勢いが強く、ナビィも巻き添えを受けては仲良く倒れ込んでしまった。

「ディディー殿! リンク殿! ナビィ殿!」
「そろそろコイツの本気を見せてやるよ──アーミィ・ジロー、アレを出すんだ!」

 ジェイスが下の殻を一度叩くと、アーミィ・ジローを纏う紫色のオーラが更に強まる。殻の上の部分の蓋が開き、新たな砲台が現れた。

「何だ、いつもの奴と一緒じゃん」

 少しだけ安堵したディディーの言う通りだが、相手の強まる悪しきオーラを見てから、一方のリンク達は警戒心を緩めずに見やる。すると案の定の事態──何とその砲台は、通常の五倍程に巨大化したのだ。

「え、ええぇ!?」
「何て大きさだっ!」
「あの虫の力、侮れんな……」

 ディディーは目を飛び出させ、リンクは一歩後ずさった。マーシスとメタナイトも僅かな冷や汗を流す。そんな彼等に、ジェイスは愉快と言わんばかりに目元を弛めた。

「さぁ、最高のショーを見せてよね……森と一緒に木っ端微塵になっちゃいな──スマッシュブラザーズ!!」

 巨大砲台から、それと同じサイズの巨大ミサイルが発射された。

「先ずはオイラのオリジナルからだ!」
「う、うわああ!?」
「ディディー殿!」

 ミサイルはディディーを標的にしていた。ディディーはバレルジェットで飛び立つが、ミサイルも休まず追いかけて来る。

「あのミサイルは標的に命中するまでずーっと追い掛け続ける。おまけにどんな攻撃を当てても効かない程頑丈なんだよ!」
「み、皆! オイラに構わず、アイツらをやっつけてよ!」
「ディディー……!」

 ディディーはミサイルに追い掛け回されているが、足手纏いになりたく無いと、涙目ながらもリンク達に声を上げる。
 三人の剣士と妖精は見合わせた後、同時に頷いた。

「ナビィ、マーシスさん、メタナイトさん、俺の作戦を聞いてください」
「……うん、良い考えだわ」
「なるほど、分かった」
「ディディー殿達や島の為……そして欠片の為に、必ず勝とう」
「何度来ようが同じことだよ」

 完全要塞なアーミィ・ジローであることに、自信に満ちたジェイスは余裕ある笑みを浮かべた。
 そんな彼に聞く耳は持たず、リンクは二人の後ろに立つと、相手に気付かれない様そのまま木の裏へと隠れる。そしてメタナイトとマーシスは剣を構えると地面を蹴り、アーミィ・ジローへ向かって駆け出した。

(オイラに構わず……って言ったけど、あのミサイルは喰らいたくないよ! どうすれば……!)

 ディディーはバレルジェットで必死にミサイルから逃げ続ける。だが、バレルジェットも飛ぶのに燃料が要る為、いつ飛べなくなるかも分からない。

(考えるんだ、ディディー!)
「はぁっ!」
「ふっ! とぁ!」
「偉大なる剣士様方らしいけど、学習能力は劣ってるのかな?」

 殻にこもっては防御を固めているアーミィ・ジローに、集中的に剣を当てているマーシスとメタナイト。ジェイスの言葉など聞いていないかの様に、がむしゃらに攻撃している様にも見える。
 ジェイスはそんな二人を暫く眺めていたが、無意味な攻撃を一切止める気が無い彼等に、気付けば苛立ちを覚えた。

「何度やっても無駄だって!」

 そして遂にポップガンを構え、ピーナッツの弾丸を放った。マーシス達は攻撃を止め、反射的に飛び退く。

「もう良いよ! よっぽどこの子と遊んで欲しいみたいだね。お望み通り相手してやるよ!」

 そして、アーミィ・ジローの本体が殻から現れたその時だ。

「リンク、今よ!」
「くらえ!!」

 ナビィが送った合図と同時のタイミングで、アーミィ・ジローの背後の茂みから、リンクの矢が物凄いスピードで放たれた。その矢の先には、爆弾が取り付けられていた。

「なっ!?」
「ギャアウアァァ!!」

 爆弾はアーミィ・ジローに命中し、ダメージにプラスして殻に強烈な振動が与えられた為、相手は体を痙攣させ暫く動くことが出来なくなった。リンク達は、固めた防御を解除した瞬間を狙ったのだ。

「我々に気をとられ、背後を許してしまった己を呪うが良い」

 剣先をジェイスに向け、マーシスは声を上げた。ジェイスは悔しさの余り歯を食いしばる。

「く……っ! こうなりゃあオイラが相手してや……!?」
「相手を間違えてるよ、ジェイス!!」

 バレルジェットのスピードを最大にし、ミサイルから距離を離している間に、ディディーはジェイスに掴み掛かった。その瞬間にバレルジェットの燃料が完全に切れてしまったが、彼等が今いる位置は丁度巨大砲台の目の前で、それを計算した上で相手をしっかり固定する。

「ディ、ディディー!?」

 リンク達も予想外だったらしく見開いていた。

「なっ! は、離せよ!」
「嫌だねっ。ジェイスはミサイルとかが好きみたいだから、それをプレゼントしてやるまで離さないよ!」

 ディディーは相手を掴みながら、引っかきや噛みつき攻撃を繰り返した。ジェイスは相手に抑えられている為に動くに動けず、なすがままにされる。
 その間にミサイルはディディー達を狙い、そして牙を剥いた。

「ディディー!」
「うわっ!?」

 ミサイルが当たる直前、リンクはフックショットの先をディディーのバレルジェットに突き刺し、ディディーだけを素早く引き寄せ抱き留めた。正に間一髪である。

「うぎゃあああぁっ!?」

 ジェイスだけが、巨大ミサイルと巨大砲台に挟まれた。そして引っ掛かってしまったらしく、ミサイルはターゲットでは無いジェイスから離れるどころか、砲台の中へどんどんめり込ませて行く。ディディーやリンク達は、思わず目を背けたくなった。

「うぎぎぎ……っ! オ、オイラが消えても……どの道……この島は滅ぶ、よ……っ……し、島諸共、吹き飛んじゃい……な……っ……!」
(……島諸共……!?)

 マーシスは、今の彼の言葉に眉根を寄せた。
 防御力が高いミサイルも、これ以上は限界の様だ。

「ディバ、隊長……ギ、ガ様……っ……ばんざあああぁぁい!!」

 ジェイスはそう放った直後、ミサイルとアーミィ・ジローの大爆発に巻き込まれ、消滅したのだった。アーミィ・ジローも、黒焦げとなりその場に倒れた。

「やったー! 倒したよー!」

 ディディーはリンクの腕から降りるとピョンピョンとジャンプし、ギリギリ収めた勝利に喜んだ。

「やれやれ。俺がフックショットを使わなかったら、ディディーもやられてたかも知れないんだぞ?」
「見掛けに寄らず命知らずなんだからっ」
「エヘヘ。でも、リンク達が何とかしてくれるって、オイラ信じてたからさ!」

 頭を掻くディディーに呆れるリンク達だが、リンクの表情には微笑みがあり、メタナイトの口からは、フッと笑みが零れていた。

「……」

 唯一喜んでいないのはマーシスだ。喜ばないと言うよりかは、ジェイスがやられる直前に言った言葉が気になっていたのだ。

(島ごと──ま、まさか……!)

 その時、遠くから誰かの声がし、スマメンはその方向を向いた。

「今の声は、マリオ達よ!」
「誰かと戦っているのかも知れませんね」
「行くぞ!」
「……」

 マーシスは考えながら、走って行くリンク達の後を追って行った。




「島が酷い有り様じゃ……」

 クランキー、ファンキー、そしてキャンディーは、避難場所である岩の高台から、あちこち燃えている島を見ていた。

「今までもクルールは何度かやって来たが、今回はちょっと過激だ。ドンキーのそっくり野郎も現れたしな」

 ファンキーは顔をしかめながら額に手を当て、辺りを眺めている。

「! 二匹共、あれを見て!」

 キャンディーが指を差した先にあるもの。大海原の大きな岩山の後ろに潜む影。それは、クルールの船だった。普通では見えない場所にあったが、高台にいる彼等は見つける事が出来た。

「あれは、クルールのアホ船だぜ!」
「ふむ。島にクルールの手下しかおらんのは、どうもおかしいと思ったんじゃ」
「でも、何だか静かね、怖い位に……」

 激戦を繰り広げているDKアイランドとは逆に、海に浮くクルールの船は静か過ぎるのだ。まるで、時が来るのを待っているかの様に……。
 やがて雨雲がDKアイランドを覆うと、雷鳴と共に雨が降り出した。










 ──to be continued──