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オソヘ城の人達 「ありがとう」 城へ入る前に、ドラゴ達から下りたリュカ達。リュカがそう言うと、ドラゴの親子は来た道へ振り返り、地響きを起こしながら去って行った。 マリオは目の前にある、ボロボロの大きな扉を押す。ギギィ……と、軋みを上げながらそれはゆっくりと開かれてゆく。 外はまだ晴れた昼間なのにも関わらず、城内はかなり仄暗い。大昔ではいかにも豪華な暮らしをしていたであろうと思わせるアンティークや壁には、ヒビや埃、中には蜘蛛の巣までが貼り巡らされている。 「何か、寒気がする……」 半袖であるネスは、寒気がするらしく、腕をさすりながら辺りを見回す。 「外と城内の温度差だろ?」 平然な顔をファルコは肩を竦めた。 「まさか幽霊が出るとでも思ってんのか?」 「そうじゃないけど……」 「ま、出る世界もあった訳だし、可能性はなくは無い、かもな?」 フォックスはネスに振り返り、片目を閉じて見せた。ネスは若干嫌な顔をしているが、内心恐れている訳でも無さそうだ。 「俺がいたとこにも出たしな」 スネークは辺りを見回しながら言った。 「そうなんでしゅか!?」 プリンは、信じられないと言った顔をスネークに向けていた。皿の目が一回り大きくなっている。 「写真を撮る任務の時に、何枚か幽霊が写っていたからな──見るか?」 「け、結構でしゅっ!」 と、プリンはピチューと共にマリオのとこへ駆けて行ってしまった。 「スネーク、からかうのも大概にしろ」 隣を歩くサムスは前を見ながら歩いているが、その冷めた台詞は、スネークに真っ直ぐと突き立てていた。 スネークはそれにも微動だにせず、サムスを一瞥してから前を向き微笑した。 「すまないな」 「へ! 本当だとしてもだ、出て来たってビビるかよっ」 と、ファルコは強気な態度を見せた。 「任せて。オソヘ城のことなら何でも知ってるから」 クラウスは振り返り、自身へと親指を向けた。 「よく探検してるもん。ね、リュカ?」 「うんっ」 クラウスの問いに、リュカは笑顔で頷いた。 (仲良い双子なんだな) マリオは、そんなやりとりをしているリュカ達を見て微笑ましくなった。 「あ、あれ? おかしいな……」 リュカが辺りを見回しながら突如、そんな言葉を漏らした。しかも不安そうな表情である。 「もう直ぐ中庭に着く筈なのに……」 「うん。何だか着く気配がない。同じ場所を廻ってるにしか……」 「ふ、二人ともやめてくだしゃいよお」 「ピィチュー……」 プリンとピチューは、双子の話に身を震わせていた。プリン達は、かなり怯えている様だ。 「何かの現象なのか?」 フォックスは見回しながら調べるが、情報は不能と出てしまうばかりだ。 「まさか本物の幽霊が?」 ファルコはそう言っているが、全くその存在を信じていない様子だ。溜め息を吐きながら、わざとらしく言って見せている。 と、その時だ。 「!?」 ファルコの右肩に突如ヒヤリとした感触が襲った。それは、後ろから誰かに、肩に氷の様な手を置かれたかの様。 油断していたファルコはそれに心臓を跳ねらせたが、反射的に素早くブラスターを引き抜き、振り返り構えた。が、そこに怪しいものは何一つ見えなかった。 「ファルコ?」 彼の行為にいち早く気付いたフォックスがファルコに振り向いた。 相手は彼の声に見向きもしない様子で、唯々辺りを警戒するばかりである。そして暫くすると、首を傾げながらも肩の力を抜き、ブラスターをしまった。 (疲れてんのか?) 幽霊の存在を信じないファルコはそう思った。そして今更、心配して見ているフォックスに振り向き、肩を竦めて見せた。 「いや、何でもねぇ。ちょっと疲れてんのかもな」 「大丈夫か?」 「正か幽霊に肩を叩かれたとか、なんじゃないのお?」 心配するフォックスとは逆に、カービィが皮肉たっぷりな笑みでそう言ってきた。正にその通り(かは定かでもない)だが、ファルコはわざとらしく溜め息を吐くと、カービィの頭にポコリと良い音を立てながら叩いて行った。叩かれた部分から小さな星が飛ぶ。 「いったぁ!」 「カービィ、余りファルコをからかうなよな?」 「ぶぅ。聞いてみただけなのにぃ」 微笑むフォックスに頭を撫でられながら、カービィは頬を膨らませていた。 数分後──。 「あ、やっと階段が見えてきたっ」 クラウスがそう言うと、確かに二階と地下と言う、二通りの階段が見えてきた。ずっと同じ景色ばかりだった為、マリオ達は違った光景を目にするとどこかホッと出来た。 階段の前で、彼等は一体立ち止まる。 「それで、クラウス、リュカ。どっちの階段に行けば良いの?」 マリオが二人にそう問うた。 すると、双子は顔を見合わせ、暫く無言になってしまう。 「リュカ、覚えてるか?」 「ううん、クラウスが覚えてると思ってたんだけど……」 「え、まさか二人共忘れちゃったのか? ふーむ……」 マリオはどうしたものかと、顎を軽く擦りながら二つの階段を目線だけで交互に見た。 「マリオさん、二つのグループに分かれるってのはどうですか?」 マリオの隣に立つリンクがそう言った。 「それしか無いかな。よしっ、こうなったら……」 「誰だっ!!」 「!!」 突如階段の上の方から大声が反響し、マリオ達は忽ち身構えた。 それと同時にその暗い場所から青い光弾がこちらへ向けて放たれる。マリオやリュカ達が素早くその場からジャンプすると、その光弾は当たった床を一部凍らせた。 (──PSI?) ネスはその光弾を見て直ぐに見抜いた。自分達と同じPSIを持つ者──まさか宇宙からの侵略者? 「ネスっ!」 「隊長達は危ないから離れてて!」 ネスは素早くマリオ達の前に立ち、光弾が放たれた方向へ向けて指を差すと同時にPKファイヤーを放った。すると、暗闇からも同じ技が放たれ、ぶつかり合うと小爆発を起こし、相打ちと言う名の消滅に終わった。 「ネスと同じ技っ?」 フォックスは驚き声を上げた。 「何者なんだ奴ぁ」 続けてファルコが言った。 その時、その暗闇から人影が跳躍しながら現れた。ネスに向けて、空中で足を後ろへ振り上げて来たのだ。 「ネス!」 驚いているネスの前にマリオが立ち、繰り出す足技を腕で何とか抑えた。だが思ったより強烈な足技故に、マリオの抑えた腕がじーんと痺れてしまった。 「痛ぅっ! はっ!」 だが間髪入れずにパンチを繰り出した。人影は再びジャンプしてそれを避け、彼等の目の前に着地した──が、突然跪いたのだ。 「っ……!」 「っ?」 (足を怪我してるのか?) マリオ達が相手の様子に少し動揺すると、 「大丈夫か、ダスターっ!?」 上の階段からもう一人の人影が駆け下りて来た。 「え、ダスター?」 「ん?」 その名前に反応したのはリュカとクラウスだ。そして警戒心の無い儘、跪いた相手の元へと向かったのだ。 「一体どうなってるんでしゅか?」 「ピカピィ?」 プリン達はハテナを浮かべるしかない。マリオ達も同様だった。 やがて、太陽の変わる位置に寄り、ヒビの隙間から日が差し込み、僅かながらも内部を照らし出した。マリオ達に攻撃した人影──跪いている長身な男と、青い服に紫に近いピンクの髪をした少女がそこにいた。 「見た所、俺には敵とは思えません」 リンクは彼等を見ながら言った。マリオ達も、それには同感だった。 「それより、足の具合は……」 最早敵だと思わなくなり、警戒心を解いたマリオ達。先程の跪いた男の様子が気になり、全員で駆け寄った。 「マリオさん、彼等は僕達と同じ村に住んでる人達だよ」 「そうなの?」 「……心配すんな。こいつは昔っから足の具合が良くないんだ」 ピンク髪の少女は跪いている男を見ながら、男勝りな口調でそう言った。 そしてマリオ達に振り向くと立ち上がり、頭を下げて来た。 「さっきはいきなり攻撃して、悪かった。侵入者がオレ達の探している物を狙いに現れたのかと、てっきり……」 「いや、こっちは怪我人も出てないし、気にしないで大丈夫だよ」 マリオは微笑んだ。だがその隣に立つネスは逆に少し落ち込んでいた。 「こちらこそ、ご免なさい……僕と同じPSIを持つ人だからって、思わず敵だと判断しちゃって……」 「どこでどうやってそう判断したのかは解らねえが、解ってくれて嬉しいよ」 少女はネスの頭を撫でながら片目を閉じた。 そして気付いた様にマリオ達に改めて振り向くと、 「っと、自己紹介が遅れたな。オレはクマトラ。そんでこっちは、俺の護衛役のダスターだ」 クマトラに親指で差し示されたダスターと呼ばれた男は、今度こそしっかりと立ち上がり、クマトラの隣へ来ると軽く会釈した。 「僕はマリオ」 マリオはその後も、スマブラメンバーを一人ずつ名前を言って紹介していった。 そして二人は握手を交わした。 「クマトラ殿達は、なにゆえこの城に?」 マーシスが前に出た。 「我々は『針』と言うものを探しているのだが、そなた達もそれを?」 「針? いや、オレ達は違う目的でここへ来たんだ」 クマトラは直ぐに否定した。 「じゃあ何を……?」 と、リュカ達は尋ねた。 「ああ、タマゴを探しに来たんだ」 「タマゴォ?」 マリオ達は声を揃え、なぜか間が抜けた言い方をしてしまった。 「ある事態が起こって、タマゴを回収し、守らなきゃならなくなった。それで、俺達はこのオソヘ城へ来たんだ」 と、ダスターが言った。 「針とかタマゴとか、訳解んなくなってきたぜ」 ファルコは思い切り肩を竦めてしまった。 「でも、どちらも重要なものかも知れないね。勘だけど」 マリオは言った。 「やっぱり二手に分かれて探そう」 「そうした方が良いですね」 そしてマリオ達は、上へ行くチームと地下へ行くチームに分かれた。 上へはクマトラ、ダスター、マリオ、ネス、ピカチュウ、リンク、ファルコ、プリン、ピチュー。 地下へはリュカ、クラウス、フォックス、カービィ、サムス、スネーク、C・ファルコン、メタナイト、マーシスと言ったメンバーになった。 「何かあったら、これを使ってくれ」 フォックスはマリオにインカムを手渡した。 「こっちも何かあったら、直ぐに連絡するからな」 「ありがとう、フォックス。よしっ、行こう!」 マリオが頷き感謝をした後、リンク達に振り向き、ガッツをして見せた。それを合図に彼等は、それぞれの目的地へと向かった。 マリオ達は上へと上がり、赤い絨毯を歩いていた。 「ゴホゴホッ! 酷い埃でしゅっ……」 「ピチュッ……」 歩く度に舞い上がる埃にプリンはまいっている様子だ。時折咳き込んでしまっている。ついでにピチューも咽せている。 「島の人達は滅多に近付かないからな。無理もない」 「どう言うこと?」 ネスは首を傾げながら、そう言ったクマトラを見上げて問う。 「何でも、出るみたいだからな」 「……で、出るってましゃか……?」 先程のスネークの話を思い出したのか、プリンの声が恐々としていた。 ──ヒヤリ……と、彼女の頭に、氷の様な冷たさが覆った。 「キャアァッ!?」 プリンは咄嗟に悲鳴を上げ、振り切る様に体を後ろへ素早く半回転させると、ファルコの背後に隠れた。 「プリン、どうした!」 マリオ達が焦って彼女を見る。 「い、い、今、プ、プリンの頭に……ち、ちゅめたいものがあぁ……っ」 プリンは恐怖に震えながらも言葉を繋げていく。それに、最も間近にいるファルコが最初に見開き驚いた。 「俺もだ。さっき肩に冷たい感触があった。まさか……」 ──ケケケケケッ! 高らかな笑い声が、急に辺りに響き渡った。マリオ達は一瞬肩を上げたが、気を引き締めつつ、それぞれ四方八方を向いては身構え警戒を始める。 ──人間が城に来るなんていつ振りだろ? ──安心しろ、取って食うつもりはないない。ケケケケケッ! ──何か御用? 荒らしに来たなら帰れ帰れ! そう言いながら、三人程の幽霊が煙と共に現れた。一般的によく見る、白い布を被った様な容姿である。 「ほ、本物の幽霊でしゅう……!」 顔を僅かに青ざめるプリンは直視も出来ないらしく、ファルコの背中に引っ付きながら目を強く閉じ震えていた。 スマメンはこちらへ近付く幽霊に変わらず警戒するが、リンクが一旦それを解いてから、一歩前に出た。 「俺達はタマゴと針を探しに来ただけだ。君達に危害を加えるつもりは無い」 「タマゴと」 「針?」 複数の幽霊が順繰りで言葉を綴りながら見合わせた。 「ある人に頼まれたんだ」 次にクマトラが前に出た。 「今、この島に何かが起きようとしているかも解らないんだ。心配するな、預かるだけだ。事が終わったらちゃんと返す。だから協力してくれないか?」 「どうする?」 「どうしよう?」 「どうしたら?」 クマトラがそう言うも、幽霊達は迷っている。その様子だと、何か心当たりがあるのかも知れない、と、マリオ達は思っていた。 すると、 「あ! もうすぐパーティーの時間になる!」 「え?」 「ホントだホントだ、遅れちゃうっ」 急な話の切り替わりに、マリオ達はきょとんとしてしまう。 それを余所に幽霊達はその場であたふたしていたが、急にピタリと止まったかと思うと、無表情をこちらへ突如向けた。マリオ達はそれにビクッとしてしまう。 「今日はコンサートパーティーがあるんだ。君達良い人そうだから一緒に来い」 と、幽霊の一人が手招きして言う。 「えっ。で、でも僕らは今……」 「コンサート開く人、この城守ってる人。卵のことも知ってるかも」 「!」 それを聞いた瞬間、マリオ達の目の色が変わった。 「それなら好都合かも知れないな」 クマトラは腕を組み、口端を緩める。 「オソヘ城は広いからな。その人に聞けば何か解るかも知れない」 ダスターは言った。 その内に幽霊達は方向転換し、その儘前進して行く。マリオ達を導いている様にも見える為、マリオ達は黙って彼等について行くことにした。 とある扉を開けば、ピアノの旋律が流れる大広間が目に映った。 「間に合った。まだコンサートは始まってないみたいだ」 「お前達も早くテーブルについてな」 「あ、ああ」 マリオ達は適当に場所を選び、テーブルの椅子に座った。 テーブルにあるワインや食べ物が何やら浮いている様に見えるが、よく見ると幽霊達が食事をしている。だが、ワインを飲めば床が濡れ、食べ物を口に入れれば床にその食べ物が積もったりと、どうやら幽霊だからか、何もかもが体を通り抜けてしまう様だ。それにも構わず、幽霊達は食事パーティーを楽しんでいる。 「そこのダンディー、エクレアはいかが?」 突如ダスターの横から幽霊が出現し、トレイに乗っている沢山の──腐ったエクレアを差し出してきた。見るのもおぞましいソレらに、マリオ達は思わず顔を引き吊らせ退かせてしまった。 「い、いや、悪いが俺は結構だ」 そう言うダスターだが、 「遠慮するなよ。お母さんへのお土産に持ってけ」 ニコニコしては腐ったエクレアを一個向けて来たのだ。躊躇うダスターだが、相手に笑顔で渡されては、これ以上断ると何をされるか解らないと判断し、渋々それを受け取ることにした。 「あ、パッションさんだ!」 「待ってましたー!」 急に辺りから拍手が響き、同じ方向をマリオ達は見る。 バロック時代を思わせる白のクルクルカールな髪型をした幽霊が、指揮棒を片手に現れた。 「あの人が、この城の?」 「恐らく、な」 拍手をしながら、マリオとクマトラがそう話した。 「タマゴのことについて何か知ってるかも……」 「よし、彼の演奏が終わったのを見計らって聞きに行こう」 そうクマトラに言うマリオ。聞いていた他のメンバーと共に、クマトラは首を縦に振った。 パッションさんと呼ばれた指揮者は浮遊している譜面台の前に立つと、首をくるりと横に一回転させてから、人間では不可能な、正面から180度後ろへと顔を向けた(回転させること自体無理だが)。 「皆さん、今日は私のコンサートの為にわざわざお越し頂き、ありがとう。是非私の美しい演奏を最後まで聞いてってくれたまえ」 頭を下げ、そしてまたくるりと首を一回転させてから前に戻した。 「では私の代表作『家庭の事情〜第二楽章』」 指揮棒を掲げ、こう言った後に思い切り振り始めた。 演奏者は一人もいない筈なのに、どこからか音楽が流れ出したではないか。マリオ達はどこから流れているのかと辺りを見回してしまう。 パッションさんが指揮棒を振る間、周りの物が独りでに動き出した。ソファーや本、キャンドル等、彼の周りをあちこち浮遊している。信じがたいが、これらから音楽が聴こえている。演奏者達なのだろう。 「うわ!」 マリオ達が座っているテーブルや椅子もガタガタと震えだした。 が、直ぐに治まった。 「……」 今の現象に、マリオ達は顔を見合わせた。 「今のは?」 「パッションさんのポルターガイスト……とは何か違う様な感じが……」 「まるで何かが激突したかの様な……」 と、そんな内緒話みたいに話をしていた時だ。 「こら! 私の演奏をちゃんと聴きなさい!」 マリオ達に向け、パッションさんの怒声が響いた直後──この広間の壁の一部が轟音と共に吹き飛んだ。 「!?」 「な、何だ!?」 マリオ達はそちらを振り向きながら反射的に立ち上がった。 集まっている幽霊達も大慌てである。 「おい、大丈夫か!」 「し、死ぬかと思った……」 「いや、幽霊だから死ぬ訳ないし」 そんな会話も聞こえる中、幾人かが爆破された壁を見に、残りに見守られる中、マリオはインカムを取り出しては頭に装着した──フォックスから緊急連絡が入ったのである。 「フォックス、大丈夫か!」 『大丈夫って言ったら嘘かもな……』 フォックスの返事にマリオ達は静かに驚く。思わず全員で顔を一旦見合わせた。 「まさか怪我した人が!?」 『それについては心配は要らない──そっちはどうだっ』 「今壁がドカーンってなった所だよ。怪我人は……幽霊に何人かいるかもだけど……そんなことよりこれは一体!」 『こっちもさっき天井が爆破した。危うく閉じ込められるとこだったよ。今オソヘ城は、何者かに襲撃され……』 そこで突如、通信が途絶えてしまった。 「フォックス? フォックス!」 何度も通信し直すが、ノイズだけに終わってしまった。 「く!」 「狐のお兄ちゃん……」 「マリオ、ネス、皆、心配するのは解るが、今はタマゴが先だ」 僅かに辛い表情を見せながらクマトラは言った。 「ああ、そうだな」 「ファルコしゃん……」 ファルコは目を閉じながら言い、プリンはそんな彼を悲しい目で見る。 「フォックス達の無事を信じましょう。簡単にやられる訳ないじゃないですか」 リンクは口端を釣り上げてはそう言って見せる。彼も辛い筈なのだが、マリオ達を元気付けようとしてくれているのだろう。マリオ達はそんなリンクを見た後、こちらも口端を上げては頷いた。 今はタマゴを見つけ出すのが優先なのだから。 「君達、新しく入った幽霊かね?」 「きゃあ!?」 「ピッチュウ!?」 その時、プリン達の背後からパッションさんがでかい顔を乗せて現れた。プリンとピチューは体を飛び跳ねさせて、ファルコの背後へと避難した。 「パッションさん、オレ達は幽霊なんかじゃない。正真正銘の人間と……生き物だ。足だってちゃんとあるんだからな」 「何と生き物がここまで!」 パッションさんは両手を上げ、首を横に一回転させた──それは驚きの表現なのかと、マリオ達は疑問に思った。 「パッションさん、それより聞きたいことがあるんだ!」 「ほう。何だね?」 「ある人に頼まれて来たんだ。どうしてもオソヘ城にあるタマゴと針を見つけなければならない。パッションさん、それらの在処を、オレ達に教えてくれないか……!」 クマトラが目を強く閉じ懇願している。マリオ達も真剣な眼差しを向けている。 パッションさんが迷っている。その様子だと、やはりそれらの在処を知っている様だ。 こうしている間にも、オソヘ城に何者かからの襲撃が絶えずにいた。時間は残されていない。 だが、 「残念だが、この城へ来たばかりの者達にそう易々と渡せる程、君達に対する信用が足りない──だから教える訳にはいかないのだよ」 「そんな……っ」 マリオ達はショックを受け、頭を下げてしまう。 「……どうしても駄目なのか! このままじゃ皆が……!」 同じく顔を伏せるクマトラの肩が震える。 ──と、その拍子に、彼女の首に下げている水色のペンダントが揺れて光った。その光がパッションさんの目に入ると、パッションさんは彼女を凝視した。 (そのペンダントはこの世に二つと無い魔法のペンダント……もしやこの娘──クマトラ姫……?) 「……良いでしょう、案内しますよ」 「え!?」 気が変わったかの様な言動にマリオ達は驚いた。 (──どうなってるんだ?) クマトラ含め、彼等はハテナを出していたが、そうしている間も、パッションさんはスゥッと滑らかに移動して行ってしまう。 マリオ達にとってこれ程好都合な機会はない。悩む暇もなく、マリオ達はとにかくパッションさんの後についていった。 ──to be continued── |