ブタマスク襲来!!








 パッションさんは浮遊をしながら、マリオ達を導いて行く。
 相手は中々の速さな為、マリオ達は走って追うしか無い。いずれにせよ、今は事を急がねばならない。一体誰がオソヘ城を襲撃したか? タマゴや針は大丈夫なのか? そして、地下へ向かった仲間達は無事なのだろうか? 様々な不安を抱えつつ、スマブラは今はタマゴを求め、駆けていた。

 ──ケケケケケ!

「!」

 突如耳に響いた高い笑い声にマリオ達は立ち止まってしまった。

「ま、また嫌な笑い声が……!」

 プリンは僅かに怯えながら辺りを見回した。
 ピカチュウやピチューも辺りを見回し、警戒しながら、電気を僅かに走らせていた。
 マリオ達は、先程の幽霊達とは違う気配を感じていた。それは──殺気だ。

「むうぅ」

 パッションさんは僅かに唸った。

「オソヘ城、否、この島全体が、何か不吉な影に包まれようとしている」
「どう言うことだ、パッション?」

 クマトラは身構えながら聞いた。

「君達がタマゴを探してると聞いて、その予感がしただけのこと。あのタマゴは、時が来た時に渡さねばならないものだからね」
「時が来た時か。んっ!?」

 床から何体かの白い幽霊が現れた。その者達は、さっきの幽霊達とは違い目が赤く、マリオ達に鳥肌を立たせた。

「この幽霊達を追い払わんとタマゴへは向かえないぞっ」
「ケケケッ! お仲間さんとの会話が途絶えちゃったけど、どう? 絶望感味わってる? ケケケケケ!」
「! 通信を妨害したのはお前達か!」

 フォックス達との連絡が途絶えた原因が分かると、マリオ達は怒りをも攻撃にした。

「チィッ! しかしどんどん増えやがる……!」
「とにかく追い払いつつ、タマゴの元へと向かいましょうっ」

 マリオ達はそれぞれの技を駆使し、幽霊達を追い払いつつ先へと進んで行った。

「ゲップー」
「うっ……!?」

 そんな中ファルコが、近付いて来た幽霊を追い払う直前に、相手からのゲップ攻撃を諸に食らってしまった。気分が悪くなり、口を抑えながら膝をついてしまった。

「ファルコしゃん!」

 そんな彼に酷く驚いたプリンのボルテージが上がり、幽霊に怯えていたのが、今は後先構わず幽霊へ向かって突進していった。

「何するんでしゅかあ!!」

 そう叫びながら幽霊に思い切り往復ビンタを仕掛け、更に勢い良くはたき飛ばしたのだ。
 マリオ達は、幽霊が苦手だった筈なのに? と、そんなプリンの行動に一時唖然としてしまった。

「大事な人を傷つけられたから、襲った幽霊に立ち向かえたのでしょうか?」
「きっとそうだな。よし、先に進も……うわぁ!?」

 マリオ達が進もうとした矢先、彼等の近くに再び砲弾が飛んできた。幸い直撃したメンバーは一人も出なかったが、凄まじい爆風にほぼ全員が吹っ飛んだ。

「くっ……!!」

 マリオ達は何とか床に足をつけバランスを崩すこと無く着地した。

「キャー!」
「キャー!」

 幽霊達は外からの光にやられたのか、悲鳴を上げながらその場から消滅していった。

「外からの敵……一体誰だ!?」

 クマトラはそう言いながら、PSIの力を手に溜めていた。
 マリオ達は警戒しつつ、壁に空いた穴を睨んでいると、壁の穴から何者かが次々と入って来た。
 ピンクの軍服に、ピンクの豚をモチーフにしたガスマスクの様なものを被った者達だ。しかも全員肥満体である。

「な、何だこいつら?」

 ファルコは僅かに見開いた。

「ざっと数えて二十人……てとこですね」

 リンクは呟く様に言った。

「おい! お前達は何者だ!」

 ダスターに危険だと止められるのも振り切ったクマトラは、マリオの隣に立つと、彼等に向かって声を上げた。

「有名なブタマスクのことも知らないとはな」

 敵の中の一人がそう言った。

「……なぁ、知ってたか?」
「初めて聞くなぁ」
「ブタマスクって、焼いたら美味しいのでしゅかね?」
「あんな物を食べたらお腹壊すよ」

 マリオ達はブタマスクと聞くや否や、そんな会話を始めてしまっていた。
 それを聞いた彼らの殆どがショックを受けてしまった様で。

「ブ、ブタマスクを知らないとは余程世間知らずだな……!」
「俺達を怒らせるとどうなるか、思い知らせてやる!!」

 敵の一人が、ポケットから何か玉の様な物を取り出した。そしてこちらに向かって来るマリオ目掛けて投げて来た。

「っ?」

 マリオはその玉を凝視した。

「! 伏せろ、マリオ!!」

 ファルコの怒鳴り声に、マリオは反射的に自分の帽子を下へと引っ張り、その場で素早くしゃがんだ。
 その後ろからファルコが飛び出し、起動させたリフレクターを蹴飛ばした。すると、投げて来た玉がリフレクターに当たり弾き返された。

「ブッ?」

 豚のマスクを被った者達はそれに思わず声を出した。
 そして玉が彼等の目の前まで転がって来るのを見るや否や、ブタマスク達は一目散に、あちこちへ逃げて行った。
 暫くして、その玉は爆発を起こしたのだ。その衝撃で床が崩れ、瓦礫は闇へと吸い込まれて行った。

「あ! しまった!」
「な、何だよ、マリオ」
「帰り道が塞がった!」

 ブタマスク達が現れたのは、帰り道になる予定の場所、つまり、マリオの今行ってる方向とは反対側の道だった。そこが爆発し、大穴が開いてしまい、帰り道を塞がれてしまったのである。

「……まぁ、きっと何とかなりますよ」

 リンクは適当なことを言うが、あまりここに長居している訳にいかないのが事実。マリオ達は、今は帰り道より大事なことがあるのだ。

「……ああ、そうだなっ」

 マリオは頷いた後、皆と共に、前へ前へと向かって走って行った。





「ここだ」

 パッションさんが、とある大扉を開けた。
 何も無いただの部屋だ。但し、一つのものを除いてである。
 部屋の奥で、大切に飾られている物があった。天使の様な小さな翼に、不思議な模様の入ったタマゴである。神秘的な卵に、マリオ達は一度心を奪われ掛けた。

「あれが、頼まれたタマゴか?」

 ダスターはタマゴを目に映しながら言った。

「持って行くが良い。但し、大切に扱ってくれたまえ」

 パッションさんは、首を一度一回転させてから、改めて百八十度回し、マリオ達に振り返った。相変わらず慣れていないスマメンは、それを見て肩を少しだけ上げた。

「またいつ豚さん達が来るかも解らないからな」

 そう言うや否や、クマトラはタマゴに早足で向かった。

「さっさと手に入れて、ずらかろう」

 マリオ達は嫌な予感を覚えながらも、彼女について行った。
 クマトラは、タマゴをじっと見つめる。

「しっかし、こんなタマゴが何か運命でも握っているのかねぇ?」
「オソヘ城で、長年守られていたタマゴだ」

 ゆっくり近付きながら、パッションさんは、言葉を一つ一つ繋いでいく。

「一体、どう言ったタマゴなんでしゅか?」

 プリンはパッションさんに振り向いて言った。

「今は教える時間はない。タマゴを持って来て欲しいと言った者に訊きたまえ」

 パッションさんは彼女に振り向かない儘、そう口を動かす。

「彼の言う通りだ」

 クマトラは言った。

「さっさと持って帰ろうぜ」

 そして、タマゴに触れようとした。
 その時、突如地鳴りと揺れが発生した。

「うわっ! 何だっ!?」

 それは、同じリズムで発生していた。閉じられた扉の方を見ると、扉の部分だけが、かなりの力で叩かれているのが解った。

「早速のお出ましか? 懲りない奴らだなぁ、全く!」

 マリオは眉根を寄せ、扉を睨んだ。

「出口は一つだけだ。頼む、皆で守ってくれたまえ」

 パッションさんは指揮棒を構えながら言った。マリオ達も扉を見ながら身構えた。
 少し大きめなタマゴを両手に持ち、クマトラも扉を睨んだ。

「どこからでも掛かって来い! タマゴには指一本触れさせるかっ」
「あ。大事なことを忘れていた」

 唐突にパッションさんがそう声を出した。たった今何かを思い出したかの様だ。

「どうしたんです?」

 リンクは言った。

「もしもの時に備え、この部屋にオバケ達で作った仕掛けがあるのだよ」
「仕掛け?」

 マリオ達が同時にその単語を口に出した時だった。正にその瞬間、彼等に嫌な予感が襲った。
 ガコッと言う、何かが突然開いた音がした。それは、なんと彼らの真下から響いた。
 そう、つまり──床に大きな穴が空いたのである。

「!?」
「!!」
「?」
「う……うわあああぁぁ!?」

 マリオ達は全員、真っ逆様に落ちていってしまった。先程爆発しては崩れた床を抜けて、どこまでもどこまでも落ちて行ってしまった。

「……」

 唯一浮遊していた為か、一人だけ助かったパッションさん。
 闇へと続く落とし穴を上から見守る。

「ここは我々に任せたまえ」

 そう言った直後、扉が大破した。その向こうからは粘土で出来た怪物、そしてブタマスクらがドヤドヤと現れ、あっと言う間にパッションさんを囲んだ。

「もう逃げられないぞ!」
「大人しく『タマゴ』をこっちへ寄越すんだ!」
「……」

 パッションさんは無言で彼等を、首を三百六十度回転させて見回した。

 ──ケケケケ!

「ぎゃ!?」

 ブタマスクの一人の横からゲップをかます幽霊。彼はパッションさんの味方にいる方の幽霊だ。

 ──ケケケケ!

「ひぃ!?」

 向かい側からもう一人の幽霊が。それは赤い目をした、敵サイドの幽霊である。

「ケケケケ! オソヘ城で悪戯して良いのは俺達だけだ!」

 二人の幽霊はパッションさんのそれぞれの隣に立った。

「パッションさん、他の奴等はこの豚共に捕まり、閉じ込められちゃったんだ」
「後は俺達だけってことだな」

 良い方の幽霊がそう報告し、悪い方の幽霊は苦笑いで肩を竦めた。

「我々だけで充分だ」

 パッションさんは自信に満ちた顔をし、指揮棒を構えた。幽霊もブタマスクらを見回す。

「針とタマゴ、そして姫のことは頼んだぞ──スマッシュブラザーズの諸君」










 ──to be continued──