|
選ばれし者 真剣に話を聞く為に静寂に支配された空間だが、イオニアの今の言葉に寄り、僅かに驚きの声に寄り破られる。声に出したのは数名程だが、驚かない人物は一人もいない。 イオニアの話に寄れば、この島の下には、島と同じ位に巨大なやみのドラゴンが眠っているとの事、そしてそのドラゴンは、『針』に寄って眠らされているとの事である。 「あのオソヘ城の針がそうなのか?」 と、マリオは口に出して問う。イオニアはマリオに振り向き、首を縦に揺らしてから口を開いた。 「やみのドラゴンを封印する為に針を作ったのは、わたし達マジプシーの先祖。今のマジプシーであるわたし達はその針を見守る役目な訳ね。やみのドラゴンは、針を抜いて目覚めさせた者の心を映し出すと言われているの。善なる者の心を映せば平和に。悪しき者の心を映せば混沌の時代が訪れると言われているわ」 「なるほど。ヨクバ達が針のことを言っていたが」 「やみのドラゴンを目覚めさせるのが目的なのだな」 マーシスとメタナイトが言った。 「でもその針を抜く事が出来るのは、選ばれた極僅かの人間しかいないの。その一人は……」 イオニアは一端言葉を濁すと、リュカと目を合わせ、そして彼を見詰めたまま、すぅっと指を差した。 「貴方よ、リュカ」 「! 僕……?」 指を差されたリュカは見開き、自分の胸に手を当てた。スマブラ達の目線が、リュカに集中する。 「だからブタマスク達が何千何万集まろうと、選ばれし者がいない限り、無駄な仕事としか言えないわ」 「確かにそうだが、アイツらもきっとバカじゃねえ。リュカ以外にも針を抜ける選ばれし者が、既にブタマスクのとこにいんじゃねぇのか?」 不意にファルコが口を開くが、彼の言う事は最もだ。そうでなければ、ブタマスク達はあそこまで派手に動かないであろう。 「そう、それが気になるのよ」 イオニアは、何故かリュカを見詰めたまま、口に指を当て考える仕草を取っている。ずっと見つめられているリュカは、イオニアに対して不安と疑問に小首を傾げる。 「ねえねえ、このタマゴの事も教えてよー!」 静寂を破ったのはカービィだ。カービィの能天気さがイオニアの考えていることを切り換えさせたが、タマゴも重要なものだ。ブタマスクやヨクバが狙っているもう一つのアイテム──タマゴのことも、スマブラの皆には話す必要はあるだろう。 「良いわ。これから話すことは、リュカ達にとっては驚くべき事実となるでしょうけれども、どうか最後まで聞いてね」 イオニアはリュカ、クマトラ、そしてダスターを順番に見た後、両手で大切に持った白く輝くタマゴへ目線を落としながら言った。 「実はこの島、既に何度か滅んでるの。リュカ達がこの島にいた時も……」 「えっ?」 「何だってっ?」 「……!」 イオニアにとって案の定の反応かと思っていた。イオニアに目線を向けられた三人は、イオニアの言葉に驚いてしまっている。 「それはやみのドラゴンが目覚めた為なんだけどね。針を抜いたのは、善なる者に寄るものだった」 「だから、今の島になってる訳なんでしゅね?」 プリンの言葉に、イオニアは微笑みのみで答えた。 「やみのドラゴンは目覚めた時、針を抜いた者の心を見た……それは、零からのやり直しと言うことだったの。そしてその者の意志に寄り、それまでの皆の記憶を封印することになった。それらの記憶を封じ込めた『箱』が、この真・ハミングバードのタマゴなの。そして、皆それぞれ役割を与えられ、それぞれの生活をスタートすることになった。クマトラはオソヘ城の姫となり、ダスターはクマトラ姫の家来となった」 「そうだったのか……」 クマトラが、自分の首からぶら下げているペンダントを片手で静かに握ったのを、イオニアは見詰める。 「そのペンダントは、PSIの力を封じ込めていると言われているの。自分で自分の身を守らなきゃならなくなった時の為に、クマトラ姫へ与えられた秘石……」 「そうか。だからオソヘ城にいるパッションさんは、俺が姫ってことに気付いて……」 クマトラは自分のペンダントの石を見詰めながら言った。 「しかし、真・ハミングバードのタマゴを、何故彼等は狙っているのだろう。狙うなら、針だけで良いのでは?」 腕を組みながらマーシスは言った。言われてみれば、ブタマスク達の考えていることが島の支配ならば、タマゴまで狙う必要は無いであろう。マーシスの言葉で、確かにとスマブラは思った。 「……恐らく考えられることは二つね。一つはお金儲けの為。もう一つは──この世界を気に入らないと思ったか」 「気に入らない……」 「みんなの記憶を全て封印して全てやり直すだなんて、納得しない者もいると思うでしょうしね。でもこの事とやみのドラゴンの事を知っているのは、今話した貴方達と、わたし達マジプシーしか知らないわ」 「……じゃあ、ブタマスク達が針の事を知っているのは……?」 マリオは嫌な予感がしたのか、恐る恐る問う。自分達だけしか知らない話だと言うのに、ブタマスクは針、そしてタマゴを狙っている。 イオニアは辛そうな表情を乗せたまま、貴方の考えていることは多分正解よとマリオに頷いた。 「マジプシーの中で一人、裏切り者が現れたに違いないわ」 「!!」 「わたしだって本当は信じたく無いわ。でも、そう考えると自然と筋が通っちゃうのよ」 「イオニア……」 「……針のこと、そしてタマゴのことは、本来なら島の人達には話す訳にはいかないわ。皆混乱しちゃうからね」 「僕達にも話すつもりは無かったしね」 「そうね、マリオ。話すつもりと言うより、話せなかった、と言った方が正しいわ。でも、思ったよりブタマスク達の進行が深刻化してきたから、貴方達にだけは話さねばならなくなったの。針とタマゴの重要さを知って貰い、守って貰いたかった」 「タマゴはイオニアに無事渡せた。後は……あの針を守り抜くことだね」 マリオは、パッションさん達やドラゴの事を思い出していた。これ以上犠牲を出さない為に、固く誓うかの様にぐっと拳を作った。 「勿論、欠片のことも忘れちゃ駄目ですね」 リンクは言った。 宝玉の欠片があるが為に、マリオ達はここへ導かれた。この島のことも大事だが、欠片も重要な事である。 「噂のスマッシュブラザーズ。貴方達がこの世界へ来たのも、欠片が引き合わせた運命なのかも知れないわね。そしてドラゴ達の様に、苦しんでいる者達も解放出来るかも知れない……この世界のことは、貴方達に託すわ」 「……ドラゴは、我々がタツマイリ村に近付くブタマスクを相手にしている間に連れ去られ、何かしらの実験を受けてああなったのだろう……すまなかった、リュカ殿。ドラゴの事にも気付いていたら、クラウス殿も……」 「マーシスさん達の所為じゃないよ。タツマイリ村が無事平和でいられたのも、マーシスさん達のお陰なんだからさ。寧ろ感謝したいよ」 リュカは、申し訳無いと謝罪するマーシスに対し、首を横へ振った。 「ブタマスクがタツマイリ村に近付いたのも、恐らく村にいる人達の気をそらす為の時間稼ぎだったんだろうな……」 フォックスは腕を組みながら言った。 「汚い手を使うだなんて……絶対にこの世界を悪で支配はさせないぞっ」 マリオは怒りを込めるかの様に握り拳を震わせた。 「そう言やぁ、話戻すがよぉ」 ファルコはイオニアに目を細めた。 「リュカ以外に選ばれた者がいるとすりゃあ、そいつって誰何だか、分るのか?」 「……」 イオニアは押し黙っていた。 イオニアは、封印された記憶のことも知っている。当然、封印された記憶の中では、誰が選ばれし者なのかも分かっていた。何事も無ければ、普通に話すべきだが、この話に関しては、口を開いて良いものか躊躇ってしまっている。 もう一人の選ばれし者は、リュカの双子の兄のクラウスである。しかし、実は彼は、『以前の記憶』で既に……。 「っ!!」 「イオニア!?」 イオニアは、何故か痛そうに表情を引き攣らせれば、突然頭を抱えた。その様子に、スマブラやクマトラ達は驚きを隠せない。一番近くにいたマーシスは咄嗟に立ち上がれば相手へ更に近付き、相手の肩に手を回しては相手の様子を伺う。 「如何した、イオニア殿、大丈夫かっ?」 「い、いけない……っ」 イオニアは激しい頭痛を起こしているのか目を強く瞑り、僅かに脂汗を流しながら、苦しそうな声音で言葉を発して行く。そして空気を掴もうとしているかの様に、頭を抱えつつもう片手を前へと伸ばす。 「針を狙う『選ばれし者』が近付いているっ……!」 「何? それはもしや、リュカ殿とは別の……」 「凄いエネルギーを持っているわ……皆、オソヘ城へ行って針を見て来て頂戴! 急いで!!」 テーブルに両手を付き椅子から立ち上がりながら声を荒げる。 有無を言わせない怒りの形相にマリオ達は一瞬固まるも、圧されるかの様に全員外へ飛び出して行った。 「イオニア、あんなに焦って……早く行かなきゃ……!」 リュカは走りながら言う。 悲しみの連続だと言うのに、それにくれている暇も無く次々と襲い掛かる不安。サムスは走りながら、そんな彼を辛そうに見ていた。 ネスは走りながら、隣を走るマリオに言った。 「隊長、僕がテレポートを使うよ。それでオソヘ城へ……!」 「あ、そうかっ。皆、ネスに掴まるんだ!」 ネスのテレポートでオソヘ城の地下まで来たマリオ達。 中庭へ向かおうと走る直前、突然の衝撃派がマリオ達を襲った。大した強さではないが、マリオ達の動きを一瞬だけ抑える程だった。 「何だ、今の衝撃!?」 「……マリオ殿、針から気が消えた。もしや結界が……」 「! 急ぐぞ、皆!」 「……」 その針に結界を張っていたリュカとネスは顔を見合わせた後、マリオ達に続いて中庭へ向かって走って行った。 「なっ!」 中庭の光景に、マリオ達は驚愕せざるを得なかった。針を守る為に張られた結界が、ガラスの如く散らばっていた。素人は無論、PSIの力を持つ者でもそう簡単に破られることの無いベールが、この有様となっていた。 結界を破った本人が針を見詰めている。その者はリュカと同じ位の背で、黒い容姿をしているが、顔は頭ごと仮面で覆われている為、確認をとることが出来ない。 その者はマリオ達に見向きもせず、針に左手を伸ばし、静かに握り締める。 「! 針に触れることが出来るだとっ?」 「と言うことは、あの仮面の少年も『選ばれし者』とやらなのか?」 C・ファルコンとスネークが言い、その声は驚きも含まれていた。その気持ちは、他のスマッシュ戦士達も同様だろう。 「あの針を抜かせるな!!」 イオニアのあの様子だと、あの仮面の男は選ばれし者でも心は邪悪そのものなのかも知れないと、クマトラは仮面の男を止めに駆け出す。マリオ達もクマトラに続き、彼を止めに入ろうとした。 そこで仮面の男は漸くマリオ達に振り返るが、その直後、左手で素早くソードを取り出し、一振りした。すると、マリオ達目掛けて無数の雷が降り注ぐ。 「うわあああぁぁっ!!」 雷の雨に襲われた為、マリオ達は諸に喰らってしまう。おまけに電気系の技だ。体を強烈な電流が走り、暫く動けなくなってしまった。 その様子を、オソヘ城の屋根から見下ろしている男がいた。狂気に塗れた赤髪の男は、その仮面の男の様子を見ながら口を厭らしく象る。 「ヒヒッ、素晴らしいね、この『合成』……この実験はとりあえず成功かな?」 「うぅ……」 全員が気を失ったり、動けないまま蹲っている中、リュカが最初に意識を僅かでも取り戻した。それでも目の前がぼやけているが、仮面の男を辛うじて視界におさめる。 仮面の男も彼の視線に気付いたか、静かにこちらを向いた。 リュカは無意識の内に彼と心を通わせた。仮面の男の心に、自分がいる様な、だが、空っぽにも見えた。では、何故その空っぽの心に自分がいる気がするのか? それとも彼はリュカの事を知っているのだろうか。今のリュカはそれが理解出来ない。 そしてそのまま、意識が途切れた。 「ぐっぅ……」 次にマリオが何とか意識を取り戻すが、体は未だに中々言う事を聞かない。 マリオが見たのは、仮面の男が針を握り、正に引き抜こうとしている所だ。あんな奴に針を抜かれ、やみのドラゴンが目覚めてしまったら……。 「や、めるんだ……っ」 電流で痺れ重くなっている体をゆっくりででも引き摺って行き、彼の足を弱々しく掴んだ。こんなんで止められるとは到底思えないが、これが今のマリオの限界だった。 案の定、仮面の男の左手が動き、とどめと言わんばかりの電流をマリオは再度浴びせられ、手を離してしまう。それでも諦め切れず再び震わす手を伸ばすが、軈て力が抜けてしまい、地面へとそれは落ちて行く。 瞼が次第に閉じ意識を手放す直前、仮面の男の片手が、やみのドラゴンを封じた針を引き抜いたのを見てしまった──。 「……な、みんな、確りしなさい」 マリオ達はイオニアの呼び声で意識を取り戻し、ハッと目を覚ました。 マリオが目を覚ますと、こちらを覗き込んでいる者がいた。それはオカマ──否、イオニアだった。だが、見るとどこか違和感があった。イオニアの体が、何故か半分程透けているのである。 「イオニア、その体……!」 その姿に驚き、マリオは上半身を起こす。 そして起き上がれば、針を抜かれた跡が目に映ったことに更に見開く。抜かれた跡からは不思議な色をした煙が溢れ出ていた。それを見たマリオは、ギリッと歯を食いしばり悔やんでしまう。 「イオニア、ごめん。針を、守れなかった……っ」 「ええ、見れば分るわ。でも、ありがとう。こんな姿になっちゃってまで、針を守ろうとしてくれたのね」 「でも、止める事は出来なかった! 感謝なんて……!」 「マリオ、リュカ、皆、今はわたしの話を聞きなさい。時間が無いの」 イオニアの体は、先程より更に透けていた。その様子からして一刻を争うのだろうと、マリオを始め、意識を取り戻した全員が、静かにイオニアの話を聞く様にした。 「針は確かに抜かれてしまった。結界を破った『選ばれし者』にね。でも、島の様子は、まだ何とも無いでしょ?」 「……あ! 言われてみれば……」 ──悪しき者が針を抜くと邪悪な時代が訪れる。 そう聞いていたが、辺りを見回せば、針を抜かれる前と変わらない光景──オソヘ城の中庭にマリオ達はいた。 「そう。針は実は二本あって、その一本が抜かれたの。だから、この島はまだ完全に闇に支配されないわ。でも、一刻も早く、最後の針を抜きに行くのを食い止めなければならない……プレッシャーを掛けてしまうけれども、最後の針は、貴方に抜いて貰わなければならないわ。この島を心から愛しており、邪悪な者に支配されたくなければ、ね」 イオニアは話しながら、リュカへ顔を向けた。 「……」 島が生まれ変わる前までの記憶を除けば、正直ここまでのプレッシャーは初めてに近い。だけど、島の人達が大好きだから。これ以上島の人達や、動物達を苦しめたく無いから。圧されそうな心を抑えようと服の胸元部分をギュッと握り締め、リュカはイオニアを真っ直ぐに見た。 そんなリュカを、サムスは見つめる。 ──あの子達をお願いします。 自分の隣に現れた、リュカの母親から受けた言葉が頭を過る。一度目を閉じ再び開くと、サムスはリュカに近付き、彼の頭に手をそっと置く。突然頭を撫でられたリュカは肩を上げ、サムスを見上げた。 「リュカ、私達がいることも忘れないで。私達が必ず、リュカを最後の針の元まで届けてあげるから」 「サムスさん……」 「そうだ、リュカ」 次にクマトラが口を開いた。 「きっとブタマスク達が針を抜かせない様、色々な手で妨害をして来るに違いない。そうなったら、俺達がそいつらを食い止め、リュカを先に行かせる」 「おう! どんな事が待ち受けようと、皆でリュカを守り抜くぞ!」 「おー!!」 「了解」 「心得た」 雷攻撃に寄って未だにボロボロな状態のスマブラ達だが、全員で決意を固め、マリオの言葉に応じた。 その時、リュカの心のプレッシャーが不思議な位に解き放たれ、リュカは涙を零し始めた。必死に両手で拭おうとしても、絶え間なく零れる。 「うふ。素敵な仲間達ね。感動しちゃったわ」 そんな彼等を微笑ましく見るイオニアだが、体が更に透けていっている。後少し時間が経てば、完全に消えてしまいそうだ。それに気付いたマリオ達は、その姿を見て驚いてしまうが、イオニアは冷静だった。寧ろ、笑顔だった。 「わたしの針を見守る役目が終わったから、わたしは消えるわ」 「イオニア……」 「悲しまないで頂戴。消えるだけで死ぬ訳じゃないから……そうそう、最後の針の場所だけれど、見た事のない都会の地中深くにあるみたいね……じゃ、この島のことは頼んだわよ?」 イオニアは片目を閉じ、さようならと手を振りながら消えて行った。 (もう一人の選ばれし者のことも話したかったけれど、時間切れね。どうか、この先の試練に負けないでね、選ばれし者の一人、リュカ……) そして、イオニアの消えた跡に、イオニアが愛用していたひげ剃りと口紅が遺されていた。マリオがそれを拾い上げると、その二つの道具が光り輝き、光の粒となってマリオ達に降り注ぐ。その光に包まれたマリオ達の傷が消えて行き、マリオ達は完全に回復した。 「……ありがとう、イオニア」 マリオは空を仰ぎながら、感謝の言葉を零した。 「最後の針は、都会の地中深い場所に……と、言っていたな」 スネークは煙草を口にくわえながら言った。 「見た事の無いってことは、タツマイリ村の皆も知らない場所ってことになるかな?」 カービィは小さな腕を組みながら呟いた。 その時、空から何やら放送開始の音が鳴り響いた。 『皆さん、心して聞いてください。ブタマスクの中でもえらーい人、ポーキー・ミンチ様からのありがたーい放送が始まりまーす』 「!?」 マリオ達は、今の名前に酷く驚いてしまった。その中でも、特にネスが驚いてしまっている。 そして、彼の声は間違いなくあの声だ。ギーグと共にいて、そしてギーグが消滅する前にどこかへ行ってしまった、ネスの友達……。 「ポ、ポーキーだって!? どこかへ逃げるって言ってたけど、まさかこの世界に来ていたってのか? しかもブタマスクを率いているだなんて……」 マリオは声を上げた。それに構わず、ポーキーの声で放送は続く。 『これからきみ達の島は、このポーキー様のおもちゃ箱になって頂きます。ぼくのおもちゃ箱になったら、平和な世の中を約束します……でもそれを乱そうとする、スマッシュブラザーズと言うバカな集団がいるので、これからぼくが直々きみ達にお仕置きしちゃうから、今直ぐぼくのいるニューポークシティに来る様に。 針がある都会ってのはここのことだよ。さっきそのお城で、ぼくの忠実なしもべが針を抜いちゃったから、これは急がなきゃね? 逃げたきゃ逃げても良いんだけどねー。あっかんべろべろべー!』 挑発的な言葉を吐き捨てた後に、放送はぷつりと切れた。 「マリオさん、ポーキーと言うのは……」 「……ギーグと戦った時に、ギーグと一緒にいた少年だよ。本当はネスの友達なんだけど……」 「明らかに挑発しているが、針がある以上、どの道行く必要があるみたいだな」 リンクがマリオに問うた後、メタナイトが言った。 「でも、本当にそこに針があるんでしゅか?」 「ニューポークシティなんて初めて聞いたから、そこに針がある可能性は充分にあるな」 ハテナを出しながらそう言うプリンにクマトラが答えた。 (ポーキー……) ネスは周りの声が聞こえず、ポーキーの事を考えていた。 ポーキーのことは友達だと思いたい。しかし、こんなことをやっているのって……。 ギーグといた時の事も思うと、ポーキーは僕のことを、本当はどう思っているのだろう。 「ネス? 大丈夫か?」 「あっ、ごめん、隊長……」 「……リュカ達の島を救うには、ポーキーも止めなきゃならないな」 「うん。僕からも何とか説得してみる。上手く行けば、針を止められるかも知れないからね」 「ああ」 そう言うネスだが、不安と辛さが顔に出ていた。マリオも彼の気持ちは分かっているが、ポーキーを何とかするには、彼以外にないのである。 「さて、そのニューポークとやらにお邪魔するには、どうしたら良い?」 ダスターは腕を組みながら言う。 すると、その疑問に答えるかの様に、空から黒いリムジンがマリオ達の元へ降りてきた。しかも丁度いい事に、マリオ達が全員入る程の長さである。 「長っ!?」 と、マリオは思わず声を発してしまった。 そしてリムジンが地面へ着陸すると、中から高貴な格好をした運転手が現れた。 「スマッシュブラザーズ様ですね。私達の偉大なる指導者であり、王様でありますポーキー様が、貴方方をニューポークシティへご招待したいと仰っておられます」 「どうする、隊長?」 「……言われ無くとも。寧ろ好都合だってね」 鼻で笑うスネークからの問いに、マリオもニヤッと口端を上げて言った。 「それではどうぞ、お乗りください」 運転手は、丁寧な動作でリムジンのドアを開いた。 (……ん?) リュカはふと、抜かれた針の跡を見ると、何やらキラリと光ったものが落ちており、迷わずそれを拾いに行った。それは、何かのバッジだった。仮面の男が落として行った物だろうか? 「……」 リムジンに乗ったネスのリュックからどせいさんが顔を出す。リュカが拾ったバッジを、窓からジッと見ていた。 「リュカ、行くぞ!」 「あ、うん」 リュカはバッジをポケットにしまうと、一番最後にリムジンへと乗り込んだ。 最後の針を目指し、リュカ、クマトラ、ダスター、そしてスマッシュブラザーズは向かう。 例え罠が待ち受けようとも、マリオ達は負けず、立ち向かうであろう。 ──to be continued── |